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遥かなる動物園
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先生の後ろをついていく子供たち。今から動物園に行くみたいだ。微笑ましい遠足の光景は昔となにも変わらない。子供たちはわいわいと笑いながら乗り物が来るのを待っている。みんな、赤と白の帽子をかぶっているので、それがなんだかおもちゃの宇宙船のように見えて、一層無邪気な雰囲気が辺りを流れていた。
プシューッという音。それとともに子供たちは一斉に乗り込んだ。ゆっくりと動き出すと、先ほどまで騒がしかった空気は一変して、小さな瞳は窓の外を眺めていた。
暫くして先生が言った。
「はい、もうすぐ到着しますよー」
その声でまた周囲は騒がしくなった。しかし、先生がそれを注意したので、子供たちはムズムズしながら口を閉じた。
「はい、到着しました。みんな、思い思いの絵をスケッチブックに描いてね! あまり騒ぐと動物さんたちがビックリしちゃうから気をつけて!」
子供たちはそれぞれ好きな場所に散った。遠くから眺めている子、近くで動物を観察している子、エサをあげたいと飼育員にねだっている子、空気が臭いと笑い合っている子。みんな、はじめて間近で見る動物たちに興奮していた。絶えない笑顔がその証拠だ。
時間はあっという間に過ぎていった。子供たちははしゃぎ疲れたのか、帰りはグッスリと夢の中。それを見ていた先生が、ふふっと優しく笑った。
すると、一人の男の子がまだ眠っていなかったのか、先生に声を掛けた。
「先生、さっきの動物さんたちは、どうしてあんなところに住んでいるの?」
「それはね、あの動物たちは非常に獰猛で危険だからよ」
「獰猛?」
「そう、危ないから大人たちが話し合って、あそこに隔離したのよ。さ、それは今度学校でお話するから、今はもうおやすみなさい」
男の子は、うんっと頷いて静かに目を閉じた。窓からわずかに差し込んでいるお日様の光が優しくみんなを包んでいった。
子供たちが目を覚ました時には、もう学校だった。先生の声に誘われて教室に入ると、みんな眠たい目を擦りながらカバンからスケッチブックを取り出した。
「はい、お疲れ様でした。では、今からみんなの絵を見てみようと思います」
その声で子供たちは、つい今しがた見てきたことを思い出すように笑顔になっていった。順番に絵を提出して、それを先生がみんなに見せながら一人一人にコメントをしていく。
「わあ、素敵。動物の描写がイキイキとしているわ」
「これは仲間で遊んでいる絵ね。楽しそうな雰囲気が伝わってくるわ」
「まあ、あなたは遠くから描いたのね。檻の形と色が素晴らしいわ」
そんな中、一人の男の子が手を挙げた。
「先生、どうしてその動物さんたちは檻に入っているの?」
「この動物たちはね、とても恐ろしい動物なの。乱暴で、周りの物をめちゃくちゃに破壊してしまったの。だから、あそこの檻にいるのよ」
子供たちは少し首をひねった。すると先生が一枚の絵を取り出した。
「この絵を見てごらん。このたくさんいる動物たちはみんな色が違うでしょ? 同じ仲間なのに色の違いでいじめたりしているのよ。それに大地や空を汚しては喜んでいるの。それにほら、ここに横になっている動物がいるでしょ? これはね、死んでいるのよ。しかも、他の仲間に殺されたのよ」
そう言うと先生はもう一枚絵を取り出した。
「これが檻の絵。まん丸くてどこにも逃げられないようになっているの。茶色くて濁っているのがその特徴。昔はもっときれいだったのよ。でも、この動物たちが自分たちの手で汚しちゃったの。ね、恐ろしいでしょ?」
子供たちはその絵を見ながら、怯えるように騒ぎ出した。
「先生、ぼく、怖い」
「なんでそんなことしちゃうんだろう」
「その檻は本当に安全なの?」
がやがやとした教室に、先生の優しい声が響き渡った。
「大丈夫よ。以前は檻から逃げようとしている動物もいたみたいだけど、ちゃんと大人たちが抑え込んだわ。だって、あんな生物が宇宙に出てきたら大変だもの」
先生はもう一度絵をみんなに見せて言った。
「名前は、たしか地球だったかな。生物の名は、――忘れちゃった」
絵には太陽に照らされた惑星が、宇宙の中をひっそりと浮かんでいた。
プシューッという音。それとともに子供たちは一斉に乗り込んだ。ゆっくりと動き出すと、先ほどまで騒がしかった空気は一変して、小さな瞳は窓の外を眺めていた。
暫くして先生が言った。
「はい、もうすぐ到着しますよー」
その声でまた周囲は騒がしくなった。しかし、先生がそれを注意したので、子供たちはムズムズしながら口を閉じた。
「はい、到着しました。みんな、思い思いの絵をスケッチブックに描いてね! あまり騒ぐと動物さんたちがビックリしちゃうから気をつけて!」
子供たちはそれぞれ好きな場所に散った。遠くから眺めている子、近くで動物を観察している子、エサをあげたいと飼育員にねだっている子、空気が臭いと笑い合っている子。みんな、はじめて間近で見る動物たちに興奮していた。絶えない笑顔がその証拠だ。
時間はあっという間に過ぎていった。子供たちははしゃぎ疲れたのか、帰りはグッスリと夢の中。それを見ていた先生が、ふふっと優しく笑った。
すると、一人の男の子がまだ眠っていなかったのか、先生に声を掛けた。
「先生、さっきの動物さんたちは、どうしてあんなところに住んでいるの?」
「それはね、あの動物たちは非常に獰猛で危険だからよ」
「獰猛?」
「そう、危ないから大人たちが話し合って、あそこに隔離したのよ。さ、それは今度学校でお話するから、今はもうおやすみなさい」
男の子は、うんっと頷いて静かに目を閉じた。窓からわずかに差し込んでいるお日様の光が優しくみんなを包んでいった。
子供たちが目を覚ました時には、もう学校だった。先生の声に誘われて教室に入ると、みんな眠たい目を擦りながらカバンからスケッチブックを取り出した。
「はい、お疲れ様でした。では、今からみんなの絵を見てみようと思います」
その声で子供たちは、つい今しがた見てきたことを思い出すように笑顔になっていった。順番に絵を提出して、それを先生がみんなに見せながら一人一人にコメントをしていく。
「わあ、素敵。動物の描写がイキイキとしているわ」
「これは仲間で遊んでいる絵ね。楽しそうな雰囲気が伝わってくるわ」
「まあ、あなたは遠くから描いたのね。檻の形と色が素晴らしいわ」
そんな中、一人の男の子が手を挙げた。
「先生、どうしてその動物さんたちは檻に入っているの?」
「この動物たちはね、とても恐ろしい動物なの。乱暴で、周りの物をめちゃくちゃに破壊してしまったの。だから、あそこの檻にいるのよ」
子供たちは少し首をひねった。すると先生が一枚の絵を取り出した。
「この絵を見てごらん。このたくさんいる動物たちはみんな色が違うでしょ? 同じ仲間なのに色の違いでいじめたりしているのよ。それに大地や空を汚しては喜んでいるの。それにほら、ここに横になっている動物がいるでしょ? これはね、死んでいるのよ。しかも、他の仲間に殺されたのよ」
そう言うと先生はもう一枚絵を取り出した。
「これが檻の絵。まん丸くてどこにも逃げられないようになっているの。茶色くて濁っているのがその特徴。昔はもっときれいだったのよ。でも、この動物たちが自分たちの手で汚しちゃったの。ね、恐ろしいでしょ?」
子供たちはその絵を見ながら、怯えるように騒ぎ出した。
「先生、ぼく、怖い」
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「名前は、たしか地球だったかな。生物の名は、――忘れちゃった」
絵には太陽に照らされた惑星が、宇宙の中をひっそりと浮かんでいた。
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