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8.二人の真実
淫らな愛の花 ★
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それから、レスターは数回――それぞれ一時間ほどずつ寝室を出たが、その他はずっと、クリスティーナの部屋に留まり続けていた。
前日、間断なく続いた激しすぎる行為の名残は、日が変わって昼をまわってもなおクリスティーナの体の奥深くを重く痺れさせていた。
一糸纏わぬ姿で彼の隣に横たわるクリスティーナの肌に手を這わせ、レスターは囁いた。
「――シャンデリアや燭台の光に照らされる君の姿も美しいが、日の光の中にいる君の白い肌は、まるで内から光り輝いているようだな……。クリスティーナ。君は、女神よりも美しい」
幾度も乱暴なほどに激しく抱いたクリスティーナの身体を、レスターはさも愛おしいものでも前にしたようにじっと見つめていた。
「レスター様……」
彼の瞳を、クリスティーナは潤んだ瞳で見返した。
カーテンを開け放ち、優しい日差しに照らされる自らの体は、外の世界の健全さとは異なり、とても卑猥だった。
あのあとも幾度も激しい行為を受けたクリスティーナの陰部からは、レスターの吐き出した熱い精が滴り落ちている。
彼に愛撫されることを自分がどう思っているのか、クリスティーナにはわからなくなっていた。
考えようとしても、いつもその前に彼の手が思考を阻み、クリスティーナをこらえようもない快楽の絶頂へと導いてしまうのだ。
彼の手に触れられていると――。
……いや、彼の瞳に見つめられているだけで、クリスティーナは何も考えられなくなった。
レスターは、クリスティーナの真っ白な肌に唇を甘く寄せ、いくつもの痕を刻みつけていった。
「あ、んん、ひぅ……」
彼の薄い唇に皮膚を吸われる度、クリスティーナの震える喉からはいやらしい声が上がる。
彼に快楽を与えられることが好きなのではなく、彼自身が好きなのだと幾度も説明したのだが……。……これでは信じてもらえるはずもなかった。
胸の突起をぴんと尖らせ、下腹部をうねらせ始めたクリスティーナに、レスターはふっと笑った。
「……あまりきつく吸うと、痕が濃くなるからな。君の真っ白な体には、この薄赤い色がちょうどよく似合う。まるで、君の白い肌の上に、淫らな花がいくつも咲いているようだ」
生まれたままの姿を、隠すことも許されずに見つめられ、クリスティーナは羞恥のあまり顔を背けた。
レスターは、クリスティーナの肌の上に花開いた淫らな花弁を指先で撫で、呼気を吹きかけるようにして囁いた。
「薄い痕は、儚くすぐ消えてしまうのが難点だな……。痕が消える前に、また重ねてすぐに君の体に花を刻もう。君の肌が、二度と俺を忘れられないように」
「わ……、わたしは、忘れたりはいたしません。あなたのこと……」
唇で吸い上げられてちりちりと疼く花の上に温かな吐息をかけられ、クリスティーナは体をわずかに震わせた。
敏感で直接的な場所に強い刺激を受けると、彼を放ってあっさり達してしまうクリスティーナに、レスターは簡単には絶頂を与えてくれなくなった。
陰部や胸の突起ほどは敏感でない体のあらゆる箇所を攻め、クリスティーナが自らの唇で『我慢できない』と求めるまで、触ってほしい場所に愛撫を加えてはくれない。
感じやすいところを乱暴に弄られて絶頂に強引に誘われてしまうのと、こうしてクリスティーナが切なくて耐えきれなくなるまで体のあらゆる場所をゆっくりと攻め立てられるのと――クリスティーナは、どちらを自分が好きなのか、わからなくなっていた。
そう思ってしまってから、クリスティーナは赤面した。
(す、好きだなんて、そんな……)
これでは、レスターの言葉を肯定したも同然だ。クリスティーナは、彼に抱かれることが好きなのだと。
クリスティーナが本当に愛しているのは、レスター自身だというのに……。
すると、長い睫毛を伏せて赤くなっているクリスティーナに、レスターは呟いた。
「君の嘘は、いつも優しくて綺麗で……。とても残酷だな……」
「え……?」
顔を上げると、レスターはクリスティーナの乳房を柔く触った。
尖った先端に彼の手のひらが当たり、それだけでクリスティーナは体をびくんと揺らしてしまった。
「ぁんっ」
淫らな声を上げたクリスティーナに、レスターは続けた。
「……だが、今はもうその嘘は嘘ではなくなった。もうこの身体は、俺のことを忘れられない。君は、俺なしでは生きていけない」
「レスター様……?」
どこか悲しげに見えたレスターを、官能に熱く潤み始めた瞳で必死にクリスティーナは見つめた。
レスターはしかし、いつもの強い笑みをただ浮かべていた。
慈しむようにして、レスターがクリスティーナの身体を撫でる。
……その手は、だんだんとクリスティーナの情欲を煽るような動きになっていった。
クリスティーナが彼の愛撫に夢中になって何も考えられなくなるまで、レスターの手が止まることはなかった。
++ ♢ ++
それから何日もの間、――レスターがクリスティーナを解放することはなかった。
幾度もクリスティーナの肌を求め、ようやくレスターが溜まりに溜まった公務のために寝室を出たその早朝には、ベッドの上に残ったクリスティーナは、疲労困憊のあまりに気を失うかのようにしてぐっすりと寝入っていった。
あの密度の濃い空気に包まれた寝室を出て――山のように積まれた書類に目を通し、レスターは、自分の決済を仰ぎにやって来るクレフティス王国とエルザス王国の者たちに指示を与えた。
公務の消化に励みながらも、頭からは、どんな蜜よりも甘い、手に吸いつくようになめらかなクリスティーナのあの白い肌が離れなかった。
彼女の体を官能で支配していけば、いずれはレスターを本心から愛するようになるかもしれない。
その一縷の望みを繋いで、レスターはクリスティーナを愛撫していた。
女の性は、男のそれとは大きく異なる。
抱かれれば抱かれるほどに、男に深く愛と情を感じていく――女はそういう生き物だから。
けれど、蓋を開けてみれば、その思惑とは裏腹に、いつの間にかクリスティーナの官能の虜となっていたのは、慣れているはずのレスターの方だった。
抱く度に神々しいほどに美しく淫らになっていく彼女の体に、レスターはすっかり翻弄されていた。
肌を合わせる度に新しい悦びを知り、もっと奥深いところまで彼女を征服したくなっていく。
そんなレスターの望みを嘲笑うかのように――。
……彼女の心には別の男が住み、今も執念深く立ち去ろうとしない。
以前、彼女に告げた言葉は嘘だ。
処女ではないからといって、クリスティーナを妻とすることを拒むことなどは、どんなに潔癖な男であっても不可能だ。
レスターならば、たとえ彼女が別の男の子を孕んでいたとしても喜んで妻に迎える。
彼女の子なら、父親が別の男であろうと、心から愛せるという確信があるから。
その確信が、ますますレスターを焦燥させた。
――まるで自分が、彼女の初恋を奪った憎い男に、最も美しい彼女を捧げ渡すためにクリスティーナの体をこの手で抱いて花開かせ、より美しく魅力的にしていっているようにさえ感じられる。
レスターは、嫉妬にぎりぎりと心を蝕まれた。
(クリスティーナ……!)
彼女の側を離れたというのに、頭の中はクリスティーナのことでいっぱいだった。
諸国のどの王族よりも優秀だと称えられたエルザス王国の王子だとは信じられないほどに愚かな男がそこにはいた。
「――殿下、大丈夫ですか? 何か不具合でもあったのでしょうか……」
そう問いかけてきたのは、エルザス王国から連れてきた長年の従者の一人――クリスティーナにウェディングドレスを届ける大役を賜った、あの若者だった。
この数日間クリスティーナのそばからレスターが離れなかったのは、彼女が体調を崩したためだと周囲の者たちは思っている。
事情を他の者よりよく知るこの若き従者は、レスターの想いがついにクリスティーナに通じたのだとばかり考えていた。
苦い表情で首を振り、レスターは短く答えた。
「……いや、何でもない」
本当のところは不具合だらけだったが、表情を平静に戻すと、レスターは公務の先を続けた。
ギデオンを斃し、無事にクリスティーナを救い出したのに、どうしてそこまで熱心さを失わないのか。
そう周囲が訝るほどに切羽詰まった表情で公務を片づけていくと、レスターは求めてやまない女のもとへと向かった。
どうしたら彼女の心にもう一度自分が宿ることができるのかと――必死になって、誰より聡明だと称えられる頭を働かせながら。
---
ここまでお読みくださって、本当にありがとうございます!
いいねやお気に入り登録、しおりを挟んでいただき、とても嬉しいです。
励みになっています。
いいねも、「ここはぜひ読んでもらいたいなあ」と思っていたエピソードにたくさんついていたりすると、「伝わった…!」と物凄く嬉しくなっています。
そして、できれば最後まで読んでいただけたら…! とそれはもう激しく思っておりますので、なるべく近日中に結末までアップしようと思っています。
また、今日もエールをくださった方、ありがとうございます!
同人活動の支えになります、凄く嬉しいです。
明日5/26から次作もアップ開始予定ですので、ぜひ読んでみてください!
(やっぱり好きなシチュってあるので、今作と似た雰囲気のシーンも出たりするかもです。いいのか悪いのか…)
前日、間断なく続いた激しすぎる行為の名残は、日が変わって昼をまわってもなおクリスティーナの体の奥深くを重く痺れさせていた。
一糸纏わぬ姿で彼の隣に横たわるクリスティーナの肌に手を這わせ、レスターは囁いた。
「――シャンデリアや燭台の光に照らされる君の姿も美しいが、日の光の中にいる君の白い肌は、まるで内から光り輝いているようだな……。クリスティーナ。君は、女神よりも美しい」
幾度も乱暴なほどに激しく抱いたクリスティーナの身体を、レスターはさも愛おしいものでも前にしたようにじっと見つめていた。
「レスター様……」
彼の瞳を、クリスティーナは潤んだ瞳で見返した。
カーテンを開け放ち、優しい日差しに照らされる自らの体は、外の世界の健全さとは異なり、とても卑猥だった。
あのあとも幾度も激しい行為を受けたクリスティーナの陰部からは、レスターの吐き出した熱い精が滴り落ちている。
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考えようとしても、いつもその前に彼の手が思考を阻み、クリスティーナをこらえようもない快楽の絶頂へと導いてしまうのだ。
彼の手に触れられていると――。
……いや、彼の瞳に見つめられているだけで、クリスティーナは何も考えられなくなった。
レスターは、クリスティーナの真っ白な肌に唇を甘く寄せ、いくつもの痕を刻みつけていった。
「あ、んん、ひぅ……」
彼の薄い唇に皮膚を吸われる度、クリスティーナの震える喉からはいやらしい声が上がる。
彼に快楽を与えられることが好きなのではなく、彼自身が好きなのだと幾度も説明したのだが……。……これでは信じてもらえるはずもなかった。
胸の突起をぴんと尖らせ、下腹部をうねらせ始めたクリスティーナに、レスターはふっと笑った。
「……あまりきつく吸うと、痕が濃くなるからな。君の真っ白な体には、この薄赤い色がちょうどよく似合う。まるで、君の白い肌の上に、淫らな花がいくつも咲いているようだ」
生まれたままの姿を、隠すことも許されずに見つめられ、クリスティーナは羞恥のあまり顔を背けた。
レスターは、クリスティーナの肌の上に花開いた淫らな花弁を指先で撫で、呼気を吹きかけるようにして囁いた。
「薄い痕は、儚くすぐ消えてしまうのが難点だな……。痕が消える前に、また重ねてすぐに君の体に花を刻もう。君の肌が、二度と俺を忘れられないように」
「わ……、わたしは、忘れたりはいたしません。あなたのこと……」
唇で吸い上げられてちりちりと疼く花の上に温かな吐息をかけられ、クリスティーナは体をわずかに震わせた。
敏感で直接的な場所に強い刺激を受けると、彼を放ってあっさり達してしまうクリスティーナに、レスターは簡単には絶頂を与えてくれなくなった。
陰部や胸の突起ほどは敏感でない体のあらゆる箇所を攻め、クリスティーナが自らの唇で『我慢できない』と求めるまで、触ってほしい場所に愛撫を加えてはくれない。
感じやすいところを乱暴に弄られて絶頂に強引に誘われてしまうのと、こうしてクリスティーナが切なくて耐えきれなくなるまで体のあらゆる場所をゆっくりと攻め立てられるのと――クリスティーナは、どちらを自分が好きなのか、わからなくなっていた。
そう思ってしまってから、クリスティーナは赤面した。
(す、好きだなんて、そんな……)
これでは、レスターの言葉を肯定したも同然だ。クリスティーナは、彼に抱かれることが好きなのだと。
クリスティーナが本当に愛しているのは、レスター自身だというのに……。
すると、長い睫毛を伏せて赤くなっているクリスティーナに、レスターは呟いた。
「君の嘘は、いつも優しくて綺麗で……。とても残酷だな……」
「え……?」
顔を上げると、レスターはクリスティーナの乳房を柔く触った。
尖った先端に彼の手のひらが当たり、それだけでクリスティーナは体をびくんと揺らしてしまった。
「ぁんっ」
淫らな声を上げたクリスティーナに、レスターは続けた。
「……だが、今はもうその嘘は嘘ではなくなった。もうこの身体は、俺のことを忘れられない。君は、俺なしでは生きていけない」
「レスター様……?」
どこか悲しげに見えたレスターを、官能に熱く潤み始めた瞳で必死にクリスティーナは見つめた。
レスターはしかし、いつもの強い笑みをただ浮かべていた。
慈しむようにして、レスターがクリスティーナの身体を撫でる。
……その手は、だんだんとクリスティーナの情欲を煽るような動きになっていった。
クリスティーナが彼の愛撫に夢中になって何も考えられなくなるまで、レスターの手が止まることはなかった。
++ ♢ ++
それから何日もの間、――レスターがクリスティーナを解放することはなかった。
幾度もクリスティーナの肌を求め、ようやくレスターが溜まりに溜まった公務のために寝室を出たその早朝には、ベッドの上に残ったクリスティーナは、疲労困憊のあまりに気を失うかのようにしてぐっすりと寝入っていった。
あの密度の濃い空気に包まれた寝室を出て――山のように積まれた書類に目を通し、レスターは、自分の決済を仰ぎにやって来るクレフティス王国とエルザス王国の者たちに指示を与えた。
公務の消化に励みながらも、頭からは、どんな蜜よりも甘い、手に吸いつくようになめらかなクリスティーナのあの白い肌が離れなかった。
彼女の体を官能で支配していけば、いずれはレスターを本心から愛するようになるかもしれない。
その一縷の望みを繋いで、レスターはクリスティーナを愛撫していた。
女の性は、男のそれとは大きく異なる。
抱かれれば抱かれるほどに、男に深く愛と情を感じていく――女はそういう生き物だから。
けれど、蓋を開けてみれば、その思惑とは裏腹に、いつの間にかクリスティーナの官能の虜となっていたのは、慣れているはずのレスターの方だった。
抱く度に神々しいほどに美しく淫らになっていく彼女の体に、レスターはすっかり翻弄されていた。
肌を合わせる度に新しい悦びを知り、もっと奥深いところまで彼女を征服したくなっていく。
そんなレスターの望みを嘲笑うかのように――。
……彼女の心には別の男が住み、今も執念深く立ち去ろうとしない。
以前、彼女に告げた言葉は嘘だ。
処女ではないからといって、クリスティーナを妻とすることを拒むことなどは、どんなに潔癖な男であっても不可能だ。
レスターならば、たとえ彼女が別の男の子を孕んでいたとしても喜んで妻に迎える。
彼女の子なら、父親が別の男であろうと、心から愛せるという確信があるから。
その確信が、ますますレスターを焦燥させた。
――まるで自分が、彼女の初恋を奪った憎い男に、最も美しい彼女を捧げ渡すためにクリスティーナの体をこの手で抱いて花開かせ、より美しく魅力的にしていっているようにさえ感じられる。
レスターは、嫉妬にぎりぎりと心を蝕まれた。
(クリスティーナ……!)
彼女の側を離れたというのに、頭の中はクリスティーナのことでいっぱいだった。
諸国のどの王族よりも優秀だと称えられたエルザス王国の王子だとは信じられないほどに愚かな男がそこにはいた。
「――殿下、大丈夫ですか? 何か不具合でもあったのでしょうか……」
そう問いかけてきたのは、エルザス王国から連れてきた長年の従者の一人――クリスティーナにウェディングドレスを届ける大役を賜った、あの若者だった。
この数日間クリスティーナのそばからレスターが離れなかったのは、彼女が体調を崩したためだと周囲の者たちは思っている。
事情を他の者よりよく知るこの若き従者は、レスターの想いがついにクリスティーナに通じたのだとばかり考えていた。
苦い表情で首を振り、レスターは短く答えた。
「……いや、何でもない」
本当のところは不具合だらけだったが、表情を平静に戻すと、レスターは公務の先を続けた。
ギデオンを斃し、無事にクリスティーナを救い出したのに、どうしてそこまで熱心さを失わないのか。
そう周囲が訝るほどに切羽詰まった表情で公務を片づけていくと、レスターは求めてやまない女のもとへと向かった。
どうしたら彼女の心にもう一度自分が宿ることができるのかと――必死になって、誰より聡明だと称えられる頭を働かせながら。
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ここまでお読みくださって、本当にありがとうございます!
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励みになっています。
いいねも、「ここはぜひ読んでもらいたいなあ」と思っていたエピソードにたくさんついていたりすると、「伝わった…!」と物凄く嬉しくなっています。
そして、できれば最後まで読んでいただけたら…! とそれはもう激しく思っておりますので、なるべく近日中に結末までアップしようと思っています。
また、今日もエールをくださった方、ありがとうございます!
同人活動の支えになります、凄く嬉しいです。
明日5/26から次作もアップ開始予定ですので、ぜひ読んでみてください!
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