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第二王道『ラブ☆アタック』
7-2
しおりを挟む「もう、ぼっちゃまと闘うことはできなくなるでしょう。ガトー様が出した条件は、私があなたの子を産むことです」
硬い唇が押し付けられる。覚悟を決めたミルフィーは、俺の腰を引き寄せた。
「……ぼっちゃま。あなたに負けた時、悔しくもあり、とても嬉しかったです。私とあなたの子は、さぞ強い子供になりましょう。私はそれを楽しみに……」
「……嫌だ」
呟いた俺は、彼を引き離した。
張りのある胸。
全てが筋肉に覆われた、美しい男。
漆黒の髪も、瞳も、全部大好きで。
「絶対嫌だぞ!!!」
「ぼっちゃま……?」
「俺が抱くのはお前だ、ミルフィー!!」
足を抱え上げ、彼の尻を上げさせる。見える女の性器ではなく、その後ろへ唇を押し付けた。
「ぼ、ぼっちゃま……そこは……違います……!」
「いいや、ここだ! 男同士はここでするんだろう? それくらい、俺だって知ってる!」
「し、しかし……ぅん……ぁ……何……を!?」
「媚薬だ」
もらった薬を彼の尻に埋め込んだ。どろりとした液体を刷り込むように指で混ぜていく。指一本だけでも感じるのか、ミルフィーの息が上がり始める。
抱え上げた足がヒクヒクと痙攣を始めた。二本に増やした指で広げていく。
やがて彼の両足から完全に力が抜け、俺の指は三本まで入っていた。
「……ぼっちゃ……まぁ……ぁ……はぁ……ぁ……」
「ちゃんと……気持ち良いか?」
「私は……女になっても……悔いは……ぁ……ぁあ!」
「黙ってろ!」
ミルフィーが何か言う前に、解れた場所へ立ち上がっていた自分のモノを埋め込んだ。大きく仰け反った張りのある胸を眺めながら、二、三度揺すって完全に埋め込んでしまう。
ずっと、追い掛けてきた。
この体を。
大人になって、抱きたくて、抱きたくて。
恋心から、愛しさに変わっていった。
この手で愛したいと。
「……俺は……お前が……好きなんだ!」
「……ぅん……ぼっちゃま……」
「だから、本心隠すなよ!!」
彼の顔の横に、両手をついて覆い被さった。繋がったまま揺する俺の振動に、時折顔を歪めながらも困ったように笑っている。
「そんな顔……するなよ」
「……あなたは……王子なんですよ……?」
「今すぐ世継ぎが要るって訳じゃない」
「……ぼっちゃま……」
「俺はまだ、お前と全力で闘いたい」
吸い寄せられるように、彼の首筋を吸い上げる。それだけの刺激にも敏感に反応している。胸の突起に舌を這わせると、彼らしからぬ、可愛い吐息が漏れ出てくる。
「ぼっちゃ……ぁ……!」
「感じてる? 俺……お前の中に居るよ」
「……はい……私の……中に……!」
「俺が抱きたいのは、お前だ、ミルフィー!」
「……お好きなだけ……抱いて下さい……!」
ポロリと、彼の目尻から涙がこぼれ落ちていった。それがあまりに透明で美しく思えた。唇で受け止め、分け与えるように彼の唇を覆った。
すぐに舌が伸ばされる。いつか教えてもらった、熱い口付けを競い合うように交わした。
熱かった。
彼の体は、どこに触れても熱かった。
漆黒の髪を撫で上げ、硬い肩にキスを落としていく。薬の影響もあるだろう、彼は受け入れている俺のモノを強く締め付けてくる。
「ぼっちゃま……」
「俺も……きそう……!」
両腕の中に彼を閉じこめるように抱き締めた。彼の腕も、初めて俺の背中に回されている。
二人で一緒に。
どちらからともなく思い、見つめ合う。
自然に重なった唇が強張った時、互いに達していた。
「……ぼっちゃまのが……私の……中へ……」
吐き出した精が二人を繋ぐ。抜かないまま、汗でおでこに張り付いていたミルフィーの黒髪を掻き上げてやった。
「……綺麗だ、ミルフィー。大好き!」
「……ありがとうございます」
「女になるのは、俺達がめいっぱい闘ってからだ。まだたった一回しか勝ってないからな!」
「……はい」
「俺は王子だから。いずれは頼むことになると思う。その日まで…………めいっぱいエッチしよう!!」
彼の腰を抱き上げる。繋がったままだったので、彼の喉から甘い声が漏れ出た。
薬の効果はまだ続いているのか、深く繋がりなおした事で吐き出したばかりの彼のモノが緩く立ち上がっている。
ベッドに座った俺の膝の上で、ミルフィーの体が真っ赤に色づいていく。
「……ぼっちゃま……」
その気になったミルフィーが、俺を甘い声で呼んでいる。ゴクリと生唾を飲み込み、目の前の逞しい胸板に喰らいついた。その顔を掴まれ、押し倒される。ベッドに仰向けになった俺の腹に、彼が跨るようにして繋がっている。
「……私の……番です」
「み、ミルフィー?」
「この薬……良く効きますね。体中が……性感帯になったみたいです」
自分の胸を撫で下ろして見せたミルフィー。自ら突起を撫で、刺激を与えた彼は、腰を振るように動き始める。俺を見下ろしながら、口元を緩めて見せている。
「……待っていたのは、ぼっちゃまだけではありませんよ。私も……ずっとお待ちしていました」
「ミルフィー……! エロイ……エロイよ!!」
「……お嫌いですか?」
少し不安そうに動きを止めた彼に、ブンブン首を振って否定する。
「大好き!!」
「良かった」
微笑む姿に胸が高鳴っていく。ただ、待っているだけなんてできなかった。
下から突き上げ、彼と共に上り詰めていく。大きく仰け反る胸元を眺めながら、俺は至福の時を噛み締めた。
七年越しの熱い夜は、二人の絆をより強くした。
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