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番外編
3-10
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純が穏やかに眠りにつく頃。
……見られた。
……見られた……!!
兄ちゃんに見られただけでも恥ずかしかったのに……!!
ダブルベッドの端っこで、俺はまん丸になっていた。
反対側の端っこでは、修治さんがまん丸になっている。
どうしても体が反応して、修治さんがお風呂に入っている間に終わらせようとしたけれど。思いの外早く上がってきた彼に、決定的なシーンを見られてしまった。
呆れられていないだろうか。
はしたないと思われていないだろうか。
不安ばかりが胸を騒がせる。お風呂場まで運んでもらったけれど、内心、どう思ったのだろう。
急いで体を洗って、あれを解放して。部屋に戻れば怒られた。ズボンを履きなさい、と。
でも置いていたズボンは洗濯中で、無かったから。このままで許して欲しかったけれど。
いきなり家を飛び出した修治さんが走りに出て、一時間後のこと。やつれた彼が帰ってきた。
その後もう一度お風呂に入り、俺と一緒にベッドへ入った。あまりに気まずくて、何も話せない。暗くした室内で、お休みなさいのキスもできなかった。
やっぱり、呆れられたのだろうか。
ギュッとシーツを握った。眠ることなんかできなくて。
修治さんに嫌われたくない。謝った方が良いのだろうか。
ますます丸くなっていた俺は、そっと伸ばされた腕に引き寄せられていた。
「落ちちゃうよ……」
ベッドの中央へ連れて行かれる。後ろから抱き締められ、じわっと体が温まる。修治さんの体温を感じて、大きな手にしがみ付いた。
「ご、ごめんね……あんな姿……見せて!」
「僕の方こそ。我慢するって決意固めてても、可愛い素喜君に反応しちゃってる」
「……俺……だって……」
修治さんの事を思うと、体が疼いてしまった。
いつもドキドキしてしまう。
「ね、素喜君」
「……何?」
「君の誕生日まで、お泊まり無しにしたいって言ったら……駄目かな」
俺の髪に囁かれた言葉。思わず手を握り締めてしまう。
「俺……俺……何か……した!? ごめん……!」
「そうじゃなくて……やっぱり、そうなるよね。違うんだよ、素喜君。お願いだよ、泣かないで……」
じわっと滲んだ涙が目元に溢れてしまう。ギュッと目を瞑ると零れ落ちていった。
後ろから抱き締めてもらっても、寂しくてたまらない。ほとんど毎日のようにお泊まりしていたのに、俺が気に障る何かをしたから止めたくなったのだろう。
俺が、俺が何か……!
「泣かないで……! ね? 正直に言うから」
仰向けにしてもらった俺は、男なのにぐずぐず泣いてしまった。こんな姿、兄に見られたらきっと怒られる。
思うのに、涙は止まらなかった。何でこんなにいっぱいいっぱいなのだろう。もっと、修治さんの事が分かれば良いのに。
止まらない涙に、修治さんの大きな手が触れた。
「ここ……触って」
俺の手を取った修治さん。上から覆い被さっていた彼の下に、俺の手が触れた。
そこは、とても熱くて。
涙が止まってしまうほど、驚いた。
「分かる……? 何をしても引かないんだ……お風呂でちゃんと処理したけど、君に触れると戻っちゃう」
「…………!!」
「だから、誕生日まで、お泊まりは止めよう。誕生日を過ぎたら、ずっと一緒に居よう」
ズボンの上からでも分かってしまう。ジャージだからか、そこは高くなっていた。
男の修治さんが、目の前に居る。
俺を見つめる目は、優しさと、熱っぽさが入り混じっている。
「僕、そこで寝るから。素喜君はゆっくりお休み。明日、送っていくね」
にこりと、精一杯笑った修治さん。目元がどんどん、赤くなっている。
キュッと唇を引き結ぶと、離れようとした体を思い切り抱き締めた。倒れてくる重みを受け止める。
「素喜君?」
すぐに離れようとした彼の熱いそこに、手を当てた。ズボンの上からわし掴む。
「ちょ……! だ、駄目……!」
焦った彼の唇に、自分からキスをした。教えてもらった大人のキスを仕掛けてみる。
「ん……だめ……! 離れて……! 約束が……!」
「え……エッチじゃねぇ!」
怒鳴った俺を見下ろした修治さんを、真っ直ぐに見つめ返した。
「兄ちゃんが駄目って言ったのは……え、エッチだから……!」
「……これも……エッチになるよ」
「最後までは……しねぇし! て、て、て、手伝う……だけだし!」
思い切ってズボンの中に手を入れた。腫れていたそこに手を当てる。下着が邪魔だと、布団の中で引っ張り降ろした。
出てきた熱い、修治さんのモノを握り締める。
「…………ぁっ!」
「…………!!」
修治さんの顔が俺の肩に埋まった。切なそうな声に顔が真っ赤になる。
握ったは良いけれど、どうしたら良いのか分からなくて、頭の中がグルグルした。少し動かせば、修治さんの吐息が俺の耳に入ってくる。
「ん……駄目……素喜君……!」
「…………!」
「熱いよ……」
ゆっくりと、修治さんの顔が上がった。俺の顔に触れるほど、近くにある。
豆電球の明かりが、少しだけ照らし出した。
ユラユラ、ユラユラ、黒い瞳が揺れている。
眼鏡を掛けていない、修治さんの瞳が、雄になった。
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