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番外編
6-2
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ざわざわ、ざわざわ、人が集まっている。
田舎には田舎の、イベントがある。
「素喜く~ん。はい!」
サッと差し出した手。きょとんと見つめる少し鋭い目を見つめて微笑んだ。
「迷子にならないように、手、繋ごう!」
「…………!!」
白い肌が赤味を帯びていく。特に鋭い目元は真っ赤だ。
そうっと出てきた手を握り締める。キュッと唇を引き結んだ素喜君は、少しだけ微笑んだ。
ズキュ―――――ン!!!
僕は毎日彼に恋をしている気がする。日ごとに可愛くなる素喜君を連れて、ドキドキしながら歩いていく。
そんな僕と素喜君の周りには、何故か奥様達が多かった。こちらを見ては微笑んでいる。この商店街で、僕と素喜君のラブラブを知らない奥様は居ないんじゃないかというくらい、広まっている。
おかげで堂々と手を繋げる。僕は素喜君が好きだから、隠したくない。
「……あのさ、修治さん」
「ん?」
商店街は人でごったがえしていた。今日は一年に一度のお祭りの日。この商店街ができた記念の日だった。
アーケードの中はセールの文字で踊り、道には露天も並んでいる。もう数分したら、お神輿も通るはずだ。
少し早い時間に出てきたのに、それでも人が多かった。夏祭り並みの賑わいを見せる商店街。素喜君の家族も、後で合流する予定になっている。
「……大丈夫かな」
見上げてくる瞳に笑ってみせる。
「大丈夫だよ。お母さん達に頼んでるし、僕達は純を引き受ければ分からないよ」
「でもさ、立川さん、本当は呼びたくなかったんじゃないかな」
「僕もそう思ったけど……半々だったと思う」
ギュッと素喜君の手を握り締めながら歩いた。
「呼びたい気持ちもある。でも呼びたくな気持ちもあった。断るなら、最初から断ってるはずだよ」
「……そうだね」
「まあ、何にしても、大介が決めたから。僕達は見守ろう」
「……うん」
僕達は人ごみを避けながら、純と待ち合わせている場所まで急いだ。
途中、お神輿が始まったのか、人の歓声が聞こえてくる。車を通行止めにし、お神輿が景気の良い声を発しながら練り歩いている。
わっしょい、わっしょい。
掛かる声に知らず知らずのうちに顔が綻んでしまう。素喜君もそうだった。血が騒ぐのだろう、そわそわしている。
「皆も見てるかな」
「きっと見てるよ!」
山本家の下の弟と妹達が喜ぶ姿が目に浮かんだ。できれば一緒に行動したかったけれど、それでは計画がばれてしまう。
僕達は近づいてくるお神輿を少しだけ見守って、純との約束の場所へ急いだ。
日は少しずつ傾いていく。
夜が、もうそこまで迫っていた。
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