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最終章 数多の未来への選択編
※※※
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樹先輩が再びトイレに消えたのを良い事に、私は先輩が持って来た書類を改めて見直した。
確かに先輩が言うように、クローンの失敗例ばかりで何の情報にもならない。
「クローン、か…」
実際クローンを作るってのは違法だ。人道的にどうなんだ?とか色々未だそっちの界隈では騒がれ続けている。
けどまぁ、隠れて研究している人がいない訳ないよね。
研究ってのは、人間のある種本能的なものだから。
「……失敗作を何処かは解らないけど、こんな所に押し込めて放置ってのはあり得ないけどね」
「全くだな」
「あれ?樹先輩。お帰り」
「ただいま。ほら、さっさとお前の足枷の鎖壊すぞ」
「はーい」
塩酸片手に戻って来た樹先輩が私を繋いでいる足枷から手の平四つ分位離れた所の鎖に塩酸をかけた。
一応鼻と口を手で覆っておこう。念の為ね。
樹先輩も直ぐに窓を開けてくれたし。大丈夫だと思うけど。
ちょっとだけ間を開けて、樹先輩は塩酸をかけて脆くなった部分を挟む様に鎖を握ると左右に力一杯引っ張った。
バキィンッ。
音と一緒に鎖が千切れる。
「おお。先輩、怪力」
「冗談言うな。これで怪力ならお前の兄貴と父親はどうなる」
「怪物?」
小首を傾げて問う。
樹先輩が何とも言えない顔をして眉間に皺を寄せて笑った。器用だね。
「…樹先輩、笑いたければ思いっきり笑っていいと思うの」
「笑う状況じゃないから堪えてるだけだ。ほら、とっとと隣に行くぞ」
「はーい」
私と樹先輩はトイレへと向かい、ダクト穴を通って隣の部屋に来た。
…のは良いんだけど、どうしよう。降りたくない。汚い。汚過ぎるぅ…。
先輩は靴履いてるから良いだろうけど、私裸足なの。裸足なのー。逃げ出している最中か落下している時に靴が脱げちゃったらしく裸足なのです。
うぅ…どうしようかな。
そう言えばクローゼットに服はあったのに靴はなかった。うぬぬ…。
「おい、美鈴。何してんだ」
いつまでも降りて来ない私に樹先輩が不思議がって下から訪ねて来た。
だけど、私がじっと下を見ている事に気づいて直ぐに納得してくれた。
「あぁ、確かに降り辛いか。ちょっと待ってろ」
樹先輩は自分の靴を脱いで私にくれた。
「でも先輩?先輩のは…」
「俺は裸足じゃないから平気だ。いざとなったら外に居るクローンが履いている物を奪うから問題ない」
「あ、ありがとうございます。樹先輩」
「…礼はキスでいいぞ?」
一先ず靴を受け取って、それを履いて、アホな事を言う先輩を蹴りつつ私は着地する。
やっぱり先輩の靴大きいね。歩く度にガポガポ言うわ。
トイレを出ると…おぉ…完全なお化け屋敷状態。廃屋とも言う。
先輩が持って来た地図通りだね。
そんな事より薬品薬品、と。
薬品棚に駆け寄ると、先輩に聞いた通りに並んでいる。
「で?どうするんだ、美鈴」
さっき解ったって言ってただろ?
言外に樹先輩の目がそう言ってるのに私はしっかりと頷き返す。
「樹先輩に問題です。アルファベットは全部でいくつあるでしょう?」
「馬鹿にしてんのか。26だ」
「そう。26。それから次にこの薬品を見て」
「Z-26。橙の薬品だけどそれが…あぁ、成程。これはアルファベットの順と数字が同じって事か」
「そうなの。でね?次に関係するのが、『薬品の調合方法』って言うあれね」
私は記憶して来た事を頼りに、薬品を取りだして、試しに空きのビーカーに調合してみせながら説明を開始した。
「まずはAの薬品とBの薬品を足すと薬品Cになる」
紫の液体と赤の液体を少しずつ入れて混ぜ合わせるとどう言う原理かは解らないけれど黄色の液体が生まれた。
「これが薬品Cって事か?」
「うん。そう言う事。でもってFの薬品とGの薬品を組み合わせると」
橙の液体と灰の液体を混ぜると黄色の液体が生まれた。
「これが薬品Mか?だがCとの違いが解らないぞ?」
「色が同じだけで多分成分は段違いだと思うの」
流石に触れてみる勇気はないけどね。
「なら一応KとAも足してみるか?」
樹先輩が薬品棚から薬品Kを取りだそうとしてない事に気づく。
「ないぞ?」
「うん。だから作るしかないよね。薬品Kを」
「どうやって?」
「混ぜ合わせて。これでさっきの話に戻るけど、この数字はアルファベット順に対応しているの。だから、薬品Kを作るには【K】に対応している【11】と言う数字を作る必要があるの」
「【11】…【6+5】【4+7】【3+8】【2+9】」
「いっそ【10+1】でもありだよね。ここで面倒なのは引き算が出来ない事だよね」
「だな。今ある薬品を見てみる限りだと…どれも出来なくないか?もしくは三つ混ぜるのか?」
「三つは駄目。三つ混ぜて毒薬出来たらどうするの?研究通りにすべきだよ。それに無くはないよ。作れば良いんだもん。そうだなぁ。【4+7】で作ってみようか」
「7はあるから、4の液体を作るのか。となるとAと今さっき作ったCの薬品を混ぜるんだな?」
「ご名答」
ビーカーにAの紫の薬液とCの黄色の薬液を混ぜた。するとDの緑の薬液が出来上がる。
「しっかり色が変わったのを確認してから、このDの薬品とGの薬品を混ぜる」
Dの緑の薬液が入っていたビーカーに今度はGの灰色の薬液を混ぜると、Kの紫色の薬液が出来上がった。
「これがKの薬品な訳だ。成程な。でこれに薬品A、1の薬品を入れると【1+11】で【12のLの薬品】が出来上がる訳だ」
ビーカーに入っていたKの紫の薬液にAの紫の薬液を追加するとLの赤の薬液が出来上がった。
「薬品の作り方は解った。それで?こっから何の薬を三つ調合するんだ?下手に失敗も出来ないんだろ?」
「そうなの。それでね?今度はこの色に注目」
「色?」
「うん。樹先輩は色がどう変化しているか、解る?」
「色の変化?」
樹先輩はちょっと悩む様に一瞬の間を置いて、あぁと直ぐに納得した。
私が結構塩な対応している所為とお兄ちゃん達の所為で忘れられがちだけど、樹先輩って頭の回転凄く良いんだよね。
「一の位の数字と対応しているな。さっきの調合でもそうだった。となると、【1が紫】【2が赤】【3が黄】【4が緑】【5が青】【6が橙】【7が灰】って所か?」
「ですね。8と9と0が解らないですけど…作ってみます?」
「なら俺が一の位が8になるのを作る」
「じゃあ、私は9の奴を」
言って手早く作ると、結果【8は黄緑】【9は水色】、二人で急いで作った【0は透明】だった。
「全部の色が出終わった所で、思い出すのは鴇お兄ちゃんが言っていた言葉なんだけど」
「お前の兄貴が?」
「そう。鴇お兄ちゃんが『こいつらは【光】に弱いっ!』って言ってたんだ」
「【光】?…そうか。解った。【光の三原色】だな?」
「そう言う事っ!となると組み合わせるのは一の位が【2、4、5】のどれかに限られてくるんだよ」
「【2、4、5】で残るアルファベットは【B、D、E、L、N、O、V、X、Y】か。そこから作られる言葉、…文字。……DELか?」
「その通りっ。【Delete】の略し字の【DEL】を混ぜ合わせれば良いんだよっ。文字通り、クローンを【消す】方法だねっ」
「…お前、あれだけの内容で良くそこまで考え着くな」
心底呆れたように言われるとまるで私がおかしいみたいじゃない。むー。
「まぁ、それが美鈴らしくもある、か。ほら、それを調合するんだろ」
樹先輩が率先してビーカーを用意してくれる。
「【Dが4】【Eが5】【Lが12】っと。今ある薬液と混ぜ合わせて…Aの薬液とCの薬液をまず同じ分量で入れてDの薬液が出来る」
「Bの薬液とCの薬液を混ぜ合わせて、これでEの薬液が完成だな」
「後残るはさっき作ったLの薬液をDとEの薬液とを同じ分量で混ぜ合わせる…あ、【白】くなった」
「何処にも属さない色。合ってそうだな」
「うん。出来る限り作っておこうよ。それを試験管に入れてストックして置こう」
「あぁ」
樹先輩と二人、DELの薬液を量産する。本当は抽出する事が出来ればもっと作れるんだけど…。生憎そんな便利な道具はここにはなさそう。
二人で量産して、試験管二十本程は作る事が出来た。
「後は一応これが効くかどうか試しておく?」
「なら、お前の部屋の窓から投げてみようぜ」
「うん。そうしよう」
私の部屋の窓の方が鉄格子が無い分だけ投げやすい。
出来上がった試験管を持ってダクト穴を通り私の部屋へと戻る。
一先ず一本だけ持って他はテーブルの上に置いておく。
樹先輩と揃って窓枠から上半身を乗り出して、丁度良く下で巡回しているクローン一体に向かって試験管を投げ…て貰った。
私がやると外しそうだから確実性を考えて樹先輩にパスしました。はい。
樹先輩の投げた試験管は良い感じにクローンの頭へと当たって、試験管が割れて液体がクローンにかかった。
「……キモー…」
「頭から溶けてってるな…」
内臓ブシャーじゃないだけマシかもしれないけど、人間が溶けるって事自体があんまりみたいものじゃないよね…。
「と、とにかくこれで動きを止められる事は解った。次はどうでる?美鈴」
窓からテーブルの位置へと戻って樹先輩と二人向き合う。
「武器が手に入ったから脱出したい、って言いたい所だけどねー」
「ここが何処かも解らないからな。下手に動けない。それに武器と言えど、あるのはこの液体だけだ」
「…もう少し薬品が手に入ると良いんだけど。あと地図も欲しい。…一先ずこの部屋を拠点にして私達のいる階を探索しよう」
「なら、出入りは俺の部屋からの方が良いな。それにお前の靴とか鞄とか、欲を言えば、銃系の何かが欲しい」
「銃は流石にないんじゃない?」
「本当の銃じゃなくてもいいさ。水鉄砲でも構わない。奴らと距離を取りつつ攻撃する手段があればいい」
「あ、成程。確かにそれさえあれば安全に動きを止めれるもんね」
「そう言う事だ」
「この部屋に地図らしきものはなかったけど、樹先輩の部屋には?」
「薬品以外はなかったな」
「そっかぁ。やっぱり出るしかないかなぁ?」
「…美鈴、一旦靴を返せ。俺がまずは一人で行ってくる」
「靴を返すのは良いけど、え?一人で大丈夫?」
「お前が一緒の方が危ないだろ。靴も俺のだとぶかぶかで満足に走れないだろうが」
「…確かに。でもどうやって出るの?」
「ダクト穴を使う。この部屋のダクトはもう一つ奥の部屋に繋がってるだろ」
そうだったかな…?
私、気付けなかった?
あ、そうか。
窓から外を見た時私の部屋の左側には何もなかったからてっきり部屋が無いと思い込んでたけど、窓が無いだけで部屋はある可能性はあるんだ。
すっかり思い込んでたよ。思い込んでいたし、ダクト穴通る時は樹先輩がいつも先を行ってくれるから、尚更気付かなかったんだね。
って事は、天秤座の鍵を手に入れたから、樹先輩の部屋が蠍座か乙女座の部屋だろうって予測したけどこれも違うのかもしれない。
実際に隣に行って調べてみないと解らないって事だよね。
そしてそれは今は樹先輩が適任。私は足手まとい。だったら私は待機してよう。
「一番良いのは、前みたいにトランシーバーとか造れたら良いんだけどなぁ」
「そう言えば昔そんなの作ってたな、お前。材料を教えてくれれば探してくるぞ」
「うぅ~ん…。あんまり色んなの持てないでしょう?だったらまずは樹先輩にちょっと頑張って貰って、私はこの資料に何かないか調べてみるよ。あと、頑張って抽出出来ないか探ってみる」
「解った。この階を全て見れたら見て戻ってくるが、隣の部屋に何かあったら直ぐに戻ってくる」
「了解」
靴を脱いで樹先輩に返して、樹先輩が靴を履いた所で光の薬液が入った試験管を五つ渡す。
「使わないで済むならなるべく使わないでね。恐らく外にいる奴らに使う可能性が高いから」
「解ってる」
「あと、食べれそうなものあったら取って来て。今外を見る限りお昼っぽいけど、脱出に時間かかりそうだし」
「あぁ」
「それから」
「まだあるのか?」
「樹先輩。無理しちゃ駄目だよ?ちゃんとここに帰って来て」
絶対にここに戻って来てね、とダメ押しをすると、何故か樹先輩は嬉しそうに笑った。
こんな樹先輩の顔始めて見るなぁ。
「お前が俺の心配をするなんてな」
「ちょっと樹先輩。私だって心配くらいするよ。きっと」
「きっとってのは余計だってのっ。ったく…んじゃ行ってくる」
「うん。行ってらっしゃい」
手を振ってトイレに消える樹先輩を見送り、私はじっくりと周囲を見渡した。
クローゼットの中には下着しかなかったよね?でも、透け透けでもメイド服をどうにか細工したら靴の代わり位にはならないかな?
クローゼットを開けて、中からメイド服を取りだす。…ミニじゃないだけマシか。
ロングのスカート。スカート部分をビリビリと破りなるべく一本の細長い布状にして…包帯感覚で足に巻き付ける。
「うん。良い感じっ」
さて。
樹先輩が戻ってくる前に出来る事はして置こうかな。
再び部屋の中の探索を開始する。
剥がせるものは剥がして、退かせるものは退かせてみる。
…にしても、さっきからある予感がしてるんだよね。
って言うか多分確定だよね?
この状況ってママが言ってた乙女ゲームの御曹司ルートだよねっ!?
しかも樹先輩編だよねっ!?
謎解きとホラーゲームってのはほぼワンセットってのが世の常。
例えこれが脱出ゲームだとしても、基本ホラーゲームって脱出ゲームと同義語でしょっ?
うーふーふー…ママの嘘つきー…。日本に戻らないと起きないって言ったじゃーん…。
現実になれば、失敗なんて出来ないんだよー…?
後でママに文句を言おう。
一杯一杯言ってくれるわっ。覚えとけーっ。
…せめてもの救いは、ここにいるのはクローンだって事だよねー。
狙いは私達の知識なんだろうから、私達が上手く逃げ切ればどうにかなる。と言うかどうにか出来る。
お兄ちゃん達もきっと動いてくれてるだろうし。何より、私は樹先輩に嫁入りした事により、もう財閥総帥ではないんだよねー。総帥の座をどうするか話し合った結果、葵お兄ちゃんに継がせる事になったし。
そんな葵お兄ちゃんなら動いてくれているに決まってる。うん。お兄ちゃん達大好き。…お兄ちゃん達大好きっ。大事な事だから二回言っておく。
にしても、こんな感じのゲームだったのか。
乙女ゲーム要素は何処にあるんだろう?
一緒に危機的状況を乗り越えたら…みたいなこと?
それとも好感度に伴って、さっきの場面みたいな所は選択肢があったとか?
……うぅ~ん…解らん。
そもそも好感度の問題もそうだけど、…私達既に結婚してるんだよね。
これってどう反映されるのかな?
……さっぱり解んない。
………命の危機的なモノは感じるけど、樹先輩と二人ならどうにかなりそうだし。あれでもかなり優秀な人だからねっ!
こんなヤバい状況の時に何かしてくるような人じゃないと信じてるしっ、うんっ。
きっと大丈夫っ、って、あれ?
「これなんだろ?」
脳内で色々考えつつ、クローゼットの中を隅々までチェックしていたら、隅に文字が書かれているのに気付いた。
ペンでしっかりと書かれているけど…。
「【Zw0elf Sterne…】…ドイツ語だ。えっと何々?【12の星。正しき配置。そこまでは聞き取れたのに、意味が解らない。…私はここで死ぬの…?そんなの嫌。誰か…誰か…助けて】…か。前にここにいた人よね。女性なのかな?…ダイイングメッセージって奴だよね、これ」
12の星。
それって多分十二星座の事だよね?
さっき手に入れた鍵が天秤座だったもんね?
正しき配置?
正しき配置ってどう言う事?
んんー…解らないな。
樹先輩が持ってくる情報を待とう。
ひとまずこの言葉はメモしておいて、と。
他にもダイイングメッセージとかないか探してみよう。
私は更に部屋の隅々までチェックを始めた。
…樹先輩、何か良い情報持って来てくれますように。あと、ついでに無事でありますように。
確かに先輩が言うように、クローンの失敗例ばかりで何の情報にもならない。
「クローン、か…」
実際クローンを作るってのは違法だ。人道的にどうなんだ?とか色々未だそっちの界隈では騒がれ続けている。
けどまぁ、隠れて研究している人がいない訳ないよね。
研究ってのは、人間のある種本能的なものだから。
「……失敗作を何処かは解らないけど、こんな所に押し込めて放置ってのはあり得ないけどね」
「全くだな」
「あれ?樹先輩。お帰り」
「ただいま。ほら、さっさとお前の足枷の鎖壊すぞ」
「はーい」
塩酸片手に戻って来た樹先輩が私を繋いでいる足枷から手の平四つ分位離れた所の鎖に塩酸をかけた。
一応鼻と口を手で覆っておこう。念の為ね。
樹先輩も直ぐに窓を開けてくれたし。大丈夫だと思うけど。
ちょっとだけ間を開けて、樹先輩は塩酸をかけて脆くなった部分を挟む様に鎖を握ると左右に力一杯引っ張った。
バキィンッ。
音と一緒に鎖が千切れる。
「おお。先輩、怪力」
「冗談言うな。これで怪力ならお前の兄貴と父親はどうなる」
「怪物?」
小首を傾げて問う。
樹先輩が何とも言えない顔をして眉間に皺を寄せて笑った。器用だね。
「…樹先輩、笑いたければ思いっきり笑っていいと思うの」
「笑う状況じゃないから堪えてるだけだ。ほら、とっとと隣に行くぞ」
「はーい」
私と樹先輩はトイレへと向かい、ダクト穴を通って隣の部屋に来た。
…のは良いんだけど、どうしよう。降りたくない。汚い。汚過ぎるぅ…。
先輩は靴履いてるから良いだろうけど、私裸足なの。裸足なのー。逃げ出している最中か落下している時に靴が脱げちゃったらしく裸足なのです。
うぅ…どうしようかな。
そう言えばクローゼットに服はあったのに靴はなかった。うぬぬ…。
「おい、美鈴。何してんだ」
いつまでも降りて来ない私に樹先輩が不思議がって下から訪ねて来た。
だけど、私がじっと下を見ている事に気づいて直ぐに納得してくれた。
「あぁ、確かに降り辛いか。ちょっと待ってろ」
樹先輩は自分の靴を脱いで私にくれた。
「でも先輩?先輩のは…」
「俺は裸足じゃないから平気だ。いざとなったら外に居るクローンが履いている物を奪うから問題ない」
「あ、ありがとうございます。樹先輩」
「…礼はキスでいいぞ?」
一先ず靴を受け取って、それを履いて、アホな事を言う先輩を蹴りつつ私は着地する。
やっぱり先輩の靴大きいね。歩く度にガポガポ言うわ。
トイレを出ると…おぉ…完全なお化け屋敷状態。廃屋とも言う。
先輩が持って来た地図通りだね。
そんな事より薬品薬品、と。
薬品棚に駆け寄ると、先輩に聞いた通りに並んでいる。
「で?どうするんだ、美鈴」
さっき解ったって言ってただろ?
言外に樹先輩の目がそう言ってるのに私はしっかりと頷き返す。
「樹先輩に問題です。アルファベットは全部でいくつあるでしょう?」
「馬鹿にしてんのか。26だ」
「そう。26。それから次にこの薬品を見て」
「Z-26。橙の薬品だけどそれが…あぁ、成程。これはアルファベットの順と数字が同じって事か」
「そうなの。でね?次に関係するのが、『薬品の調合方法』って言うあれね」
私は記憶して来た事を頼りに、薬品を取りだして、試しに空きのビーカーに調合してみせながら説明を開始した。
「まずはAの薬品とBの薬品を足すと薬品Cになる」
紫の液体と赤の液体を少しずつ入れて混ぜ合わせるとどう言う原理かは解らないけれど黄色の液体が生まれた。
「これが薬品Cって事か?」
「うん。そう言う事。でもってFの薬品とGの薬品を組み合わせると」
橙の液体と灰の液体を混ぜると黄色の液体が生まれた。
「これが薬品Mか?だがCとの違いが解らないぞ?」
「色が同じだけで多分成分は段違いだと思うの」
流石に触れてみる勇気はないけどね。
「なら一応KとAも足してみるか?」
樹先輩が薬品棚から薬品Kを取りだそうとしてない事に気づく。
「ないぞ?」
「うん。だから作るしかないよね。薬品Kを」
「どうやって?」
「混ぜ合わせて。これでさっきの話に戻るけど、この数字はアルファベット順に対応しているの。だから、薬品Kを作るには【K】に対応している【11】と言う数字を作る必要があるの」
「【11】…【6+5】【4+7】【3+8】【2+9】」
「いっそ【10+1】でもありだよね。ここで面倒なのは引き算が出来ない事だよね」
「だな。今ある薬品を見てみる限りだと…どれも出来なくないか?もしくは三つ混ぜるのか?」
「三つは駄目。三つ混ぜて毒薬出来たらどうするの?研究通りにすべきだよ。それに無くはないよ。作れば良いんだもん。そうだなぁ。【4+7】で作ってみようか」
「7はあるから、4の液体を作るのか。となるとAと今さっき作ったCの薬品を混ぜるんだな?」
「ご名答」
ビーカーにAの紫の薬液とCの黄色の薬液を混ぜた。するとDの緑の薬液が出来上がる。
「しっかり色が変わったのを確認してから、このDの薬品とGの薬品を混ぜる」
Dの緑の薬液が入っていたビーカーに今度はGの灰色の薬液を混ぜると、Kの紫色の薬液が出来上がった。
「これがKの薬品な訳だ。成程な。でこれに薬品A、1の薬品を入れると【1+11】で【12のLの薬品】が出来上がる訳だ」
ビーカーに入っていたKの紫の薬液にAの紫の薬液を追加するとLの赤の薬液が出来上がった。
「薬品の作り方は解った。それで?こっから何の薬を三つ調合するんだ?下手に失敗も出来ないんだろ?」
「そうなの。それでね?今度はこの色に注目」
「色?」
「うん。樹先輩は色がどう変化しているか、解る?」
「色の変化?」
樹先輩はちょっと悩む様に一瞬の間を置いて、あぁと直ぐに納得した。
私が結構塩な対応している所為とお兄ちゃん達の所為で忘れられがちだけど、樹先輩って頭の回転凄く良いんだよね。
「一の位の数字と対応しているな。さっきの調合でもそうだった。となると、【1が紫】【2が赤】【3が黄】【4が緑】【5が青】【6が橙】【7が灰】って所か?」
「ですね。8と9と0が解らないですけど…作ってみます?」
「なら俺が一の位が8になるのを作る」
「じゃあ、私は9の奴を」
言って手早く作ると、結果【8は黄緑】【9は水色】、二人で急いで作った【0は透明】だった。
「全部の色が出終わった所で、思い出すのは鴇お兄ちゃんが言っていた言葉なんだけど」
「お前の兄貴が?」
「そう。鴇お兄ちゃんが『こいつらは【光】に弱いっ!』って言ってたんだ」
「【光】?…そうか。解った。【光の三原色】だな?」
「そう言う事っ!となると組み合わせるのは一の位が【2、4、5】のどれかに限られてくるんだよ」
「【2、4、5】で残るアルファベットは【B、D、E、L、N、O、V、X、Y】か。そこから作られる言葉、…文字。……DELか?」
「その通りっ。【Delete】の略し字の【DEL】を混ぜ合わせれば良いんだよっ。文字通り、クローンを【消す】方法だねっ」
「…お前、あれだけの内容で良くそこまで考え着くな」
心底呆れたように言われるとまるで私がおかしいみたいじゃない。むー。
「まぁ、それが美鈴らしくもある、か。ほら、それを調合するんだろ」
樹先輩が率先してビーカーを用意してくれる。
「【Dが4】【Eが5】【Lが12】っと。今ある薬液と混ぜ合わせて…Aの薬液とCの薬液をまず同じ分量で入れてDの薬液が出来る」
「Bの薬液とCの薬液を混ぜ合わせて、これでEの薬液が完成だな」
「後残るはさっき作ったLの薬液をDとEの薬液とを同じ分量で混ぜ合わせる…あ、【白】くなった」
「何処にも属さない色。合ってそうだな」
「うん。出来る限り作っておこうよ。それを試験管に入れてストックして置こう」
「あぁ」
樹先輩と二人、DELの薬液を量産する。本当は抽出する事が出来ればもっと作れるんだけど…。生憎そんな便利な道具はここにはなさそう。
二人で量産して、試験管二十本程は作る事が出来た。
「後は一応これが効くかどうか試しておく?」
「なら、お前の部屋の窓から投げてみようぜ」
「うん。そうしよう」
私の部屋の窓の方が鉄格子が無い分だけ投げやすい。
出来上がった試験管を持ってダクト穴を通り私の部屋へと戻る。
一先ず一本だけ持って他はテーブルの上に置いておく。
樹先輩と揃って窓枠から上半身を乗り出して、丁度良く下で巡回しているクローン一体に向かって試験管を投げ…て貰った。
私がやると外しそうだから確実性を考えて樹先輩にパスしました。はい。
樹先輩の投げた試験管は良い感じにクローンの頭へと当たって、試験管が割れて液体がクローンにかかった。
「……キモー…」
「頭から溶けてってるな…」
内臓ブシャーじゃないだけマシかもしれないけど、人間が溶けるって事自体があんまりみたいものじゃないよね…。
「と、とにかくこれで動きを止められる事は解った。次はどうでる?美鈴」
窓からテーブルの位置へと戻って樹先輩と二人向き合う。
「武器が手に入ったから脱出したい、って言いたい所だけどねー」
「ここが何処かも解らないからな。下手に動けない。それに武器と言えど、あるのはこの液体だけだ」
「…もう少し薬品が手に入ると良いんだけど。あと地図も欲しい。…一先ずこの部屋を拠点にして私達のいる階を探索しよう」
「なら、出入りは俺の部屋からの方が良いな。それにお前の靴とか鞄とか、欲を言えば、銃系の何かが欲しい」
「銃は流石にないんじゃない?」
「本当の銃じゃなくてもいいさ。水鉄砲でも構わない。奴らと距離を取りつつ攻撃する手段があればいい」
「あ、成程。確かにそれさえあれば安全に動きを止めれるもんね」
「そう言う事だ」
「この部屋に地図らしきものはなかったけど、樹先輩の部屋には?」
「薬品以外はなかったな」
「そっかぁ。やっぱり出るしかないかなぁ?」
「…美鈴、一旦靴を返せ。俺がまずは一人で行ってくる」
「靴を返すのは良いけど、え?一人で大丈夫?」
「お前が一緒の方が危ないだろ。靴も俺のだとぶかぶかで満足に走れないだろうが」
「…確かに。でもどうやって出るの?」
「ダクト穴を使う。この部屋のダクトはもう一つ奥の部屋に繋がってるだろ」
そうだったかな…?
私、気付けなかった?
あ、そうか。
窓から外を見た時私の部屋の左側には何もなかったからてっきり部屋が無いと思い込んでたけど、窓が無いだけで部屋はある可能性はあるんだ。
すっかり思い込んでたよ。思い込んでいたし、ダクト穴通る時は樹先輩がいつも先を行ってくれるから、尚更気付かなかったんだね。
って事は、天秤座の鍵を手に入れたから、樹先輩の部屋が蠍座か乙女座の部屋だろうって予測したけどこれも違うのかもしれない。
実際に隣に行って調べてみないと解らないって事だよね。
そしてそれは今は樹先輩が適任。私は足手まとい。だったら私は待機してよう。
「一番良いのは、前みたいにトランシーバーとか造れたら良いんだけどなぁ」
「そう言えば昔そんなの作ってたな、お前。材料を教えてくれれば探してくるぞ」
「うぅ~ん…。あんまり色んなの持てないでしょう?だったらまずは樹先輩にちょっと頑張って貰って、私はこの資料に何かないか調べてみるよ。あと、頑張って抽出出来ないか探ってみる」
「解った。この階を全て見れたら見て戻ってくるが、隣の部屋に何かあったら直ぐに戻ってくる」
「了解」
靴を脱いで樹先輩に返して、樹先輩が靴を履いた所で光の薬液が入った試験管を五つ渡す。
「使わないで済むならなるべく使わないでね。恐らく外にいる奴らに使う可能性が高いから」
「解ってる」
「あと、食べれそうなものあったら取って来て。今外を見る限りお昼っぽいけど、脱出に時間かかりそうだし」
「あぁ」
「それから」
「まだあるのか?」
「樹先輩。無理しちゃ駄目だよ?ちゃんとここに帰って来て」
絶対にここに戻って来てね、とダメ押しをすると、何故か樹先輩は嬉しそうに笑った。
こんな樹先輩の顔始めて見るなぁ。
「お前が俺の心配をするなんてな」
「ちょっと樹先輩。私だって心配くらいするよ。きっと」
「きっとってのは余計だってのっ。ったく…んじゃ行ってくる」
「うん。行ってらっしゃい」
手を振ってトイレに消える樹先輩を見送り、私はじっくりと周囲を見渡した。
クローゼットの中には下着しかなかったよね?でも、透け透けでもメイド服をどうにか細工したら靴の代わり位にはならないかな?
クローゼットを開けて、中からメイド服を取りだす。…ミニじゃないだけマシか。
ロングのスカート。スカート部分をビリビリと破りなるべく一本の細長い布状にして…包帯感覚で足に巻き付ける。
「うん。良い感じっ」
さて。
樹先輩が戻ってくる前に出来る事はして置こうかな。
再び部屋の中の探索を開始する。
剥がせるものは剥がして、退かせるものは退かせてみる。
…にしても、さっきからある予感がしてるんだよね。
って言うか多分確定だよね?
この状況ってママが言ってた乙女ゲームの御曹司ルートだよねっ!?
しかも樹先輩編だよねっ!?
謎解きとホラーゲームってのはほぼワンセットってのが世の常。
例えこれが脱出ゲームだとしても、基本ホラーゲームって脱出ゲームと同義語でしょっ?
うーふーふー…ママの嘘つきー…。日本に戻らないと起きないって言ったじゃーん…。
現実になれば、失敗なんて出来ないんだよー…?
後でママに文句を言おう。
一杯一杯言ってくれるわっ。覚えとけーっ。
…せめてもの救いは、ここにいるのはクローンだって事だよねー。
狙いは私達の知識なんだろうから、私達が上手く逃げ切ればどうにかなる。と言うかどうにか出来る。
お兄ちゃん達もきっと動いてくれてるだろうし。何より、私は樹先輩に嫁入りした事により、もう財閥総帥ではないんだよねー。総帥の座をどうするか話し合った結果、葵お兄ちゃんに継がせる事になったし。
そんな葵お兄ちゃんなら動いてくれているに決まってる。うん。お兄ちゃん達大好き。…お兄ちゃん達大好きっ。大事な事だから二回言っておく。
にしても、こんな感じのゲームだったのか。
乙女ゲーム要素は何処にあるんだろう?
一緒に危機的状況を乗り越えたら…みたいなこと?
それとも好感度に伴って、さっきの場面みたいな所は選択肢があったとか?
……うぅ~ん…解らん。
そもそも好感度の問題もそうだけど、…私達既に結婚してるんだよね。
これってどう反映されるのかな?
……さっぱり解んない。
………命の危機的なモノは感じるけど、樹先輩と二人ならどうにかなりそうだし。あれでもかなり優秀な人だからねっ!
こんなヤバい状況の時に何かしてくるような人じゃないと信じてるしっ、うんっ。
きっと大丈夫っ、って、あれ?
「これなんだろ?」
脳内で色々考えつつ、クローゼットの中を隅々までチェックしていたら、隅に文字が書かれているのに気付いた。
ペンでしっかりと書かれているけど…。
「【Zw0elf Sterne…】…ドイツ語だ。えっと何々?【12の星。正しき配置。そこまでは聞き取れたのに、意味が解らない。…私はここで死ぬの…?そんなの嫌。誰か…誰か…助けて】…か。前にここにいた人よね。女性なのかな?…ダイイングメッセージって奴だよね、これ」
12の星。
それって多分十二星座の事だよね?
さっき手に入れた鍵が天秤座だったもんね?
正しき配置?
正しき配置ってどう言う事?
んんー…解らないな。
樹先輩が持ってくる情報を待とう。
ひとまずこの言葉はメモしておいて、と。
他にもダイイングメッセージとかないか探してみよう。
私は更に部屋の隅々までチェックを始めた。
…樹先輩、何か良い情報持って来てくれますように。あと、ついでに無事でありますように。
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