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最終章 数多の未来への選択編
※※※(奏輔視点)
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部屋に帰りついて、俺は即パソコンに入っていたデータを漁る。
自分が整理しているデータだ。そんな時間がかかることなく目的のデータは見つかった。
(これさえあれば姫さんとまた会えるっ)
やっぱり誠さんに会いに行って正解だった。
やっとだ。やっと見つけた。姫さんと会える手段を。
あまりの喜びに泣きそうになるが、まだ今は泣く時じゃない。
この方法で会えたとしても、絶対に俺はまたあの男と対峙する事になる。
その時は負ける訳にはいかないんや。絶対に姫さんを守らなあかん。失敗は絶対出来ん。
アイツを、鴇にも佳織さんにも、そして姫さんにも倒させる訳にはいかない。悪縁は繋げるのではなく断ち切らねば意味はない。
と言うより、これ以上あの男に俺の大事な人達を狂わされたくない。守る為にも断ち切るのだ。
しかし、問題はその方法だ。
何か、良い手段はないだろうか。
データをもう一度見返す。
………特に、これと言った情報は……うん?そう言えば一つ、解らない記号の羅列が書かれてた紙について語っていた記述があったな。
何年前の記事だったか。スキルや神様に関係あるかと思ってその記事を保存しておいたが、世界の何処の言葉でもなく後回しにしたのがあったんだよな。
引っ張りだしたデータには相変わらず意味不明の記号が並んでいる。
他に目ぼしい情報もない。けれど、短さといい、最初の書きだし方といい、この紙の折り方といい手紙っぽいんだよな。…それこそ他に目ぼしい情報がない訳だし、試しに解読してみるか。
解読と言えば、まず記号の意味を辿る所からだな。
その日から、俺はまたパソコンと睨めっこの日々を開始した。
まずは文字を分類化して、規則性を探し出す。
大体の分別が終了したら、今度はこの文字の読み方を探す。
解読に没頭して恐らく数日が経過して…一旦パソコンから視線を外した。色々試しては見たが、今一掴めない。
行き詰まってしまったらしい。
「…………奏輔様。ご飯」
「ん。おおきに」
丁度良く空良が食事を持って来てくれたので、立ち上がり肩を鳴らしながら体を動かす。
「…………意識がこっちに、戻って来た?」
「ん?何の話や?」
一先ず休憩しようとベッドに座ると、目の前のテーブルにトレイを置いた空良が俺にお茶を差し出しつつ、言った。
「………奏輔様。集中するとこっち、見てくれない」
「それは、すまん」
「………お礼はちゃんと言われてた。意識こっちにないだけ」
…それもどうなんやろ…?
もくもくとお握りを咀嚼しながら空良に脳内突っ込みを入れるが、元々は自分が悪い事だからそこは口に出さないでおく。
「あれから何日経った?」
「……………3日」
「3日か…」
全然時間が経ったように感じなかったが、誠さんと話してから3日経過していたらしい。
それで一文字も読めないとは…情けない。
「…………奏輔様。これ」
「?」
空良が俺に葉書を差し出した。何にも考えずそれを受け取り差出人を見ると。
「鴇っ?」
まさかの差出人に急いで葉書を裏返す。するとそこには、『翻訳機能をオフに』そして『後は頼んだ』と殴り書かかれていた。
戦闘に行く前にもしもの可能性を考えて俺に葉書を出したのか。
「………翻訳機能って何や?」
そんなものあったか?
それとも鴇の使っていたパソコンとかにあるデータの話か?
…いや。どこまでも俺達の行動を先読んでいた鴇の事だ。鴇でしか使えない物を使えとは言わないだろう。
だとしたら俺が今出来る事だろう。そしてそれがきっと最大のヒントとなる筈だ。
俺が今出来る事。姫さんが言った乙女ゲームの世界だと解った上で俺が出来る事…スキル?
まずはステータスを開いてみる。
スキルの欄を確認してみたが…翻訳機能なんてスキルは…ないな。
ステータスを全て確認してみたが、それらしいものはない。
鴇が意味のない事を書き殴る訳がない。
そもそも、だ。
翻訳機能って、オプションにあるものなんじゃないか?
所謂【ゲーム設定】の一つじゃないか、って事だ。良くあるだろ?ゲームを起動して、トップ画面にある【オプション】とか【設定】とか言うあれだ。
…確かにゲーム内で変更出来るものもあるかもしれないが…流石にありえなくないか?
実際今調べても何も出なかったし…。
「まさか、【オプション】って言って出る訳が」
ヒョンッ。
目の前に、オプション画面と思わしき板が出て来た。
「……マジか」
ステータス画面と同じようなオプション画面が出てくるとは思わず、目が点になる。
えっと、何々?項目は2つ、か。……ん?
一つは鴇が言っていた【翻訳機能】だとして、もう一つの文字が…俺が解読しようとしていた文字だ。
どう言う事や…?
……いや、悩むのは後で良い。まずは鴇が言っていた翻訳機能をオフにしてみよう。
翻訳機能の横にあるオンオフを切り替える。オンになっているのをオフにした。
すると、今まで見ていた日本語の文字が全て俺が調べていた記号へと切り替わった。
「え?あ?ちょ、ちょお待ちぃ」
慌てて翻訳機能と書かれている文字をオンに戻す。因みに翻訳機能と書かれていた文字も記号へと変わったのだがそれは配置で覚えていたから問題ない。
それよりも、だ。
ついつい慌てて戻してしまったが、成程。これなら文字の意味を調べられるな。
「…………奏輔様。ご飯、残ってる」
空良に服の袖を引っ張られ、食事の途中だったことを思い出す。
けれど、早く研究に戻りたいからと急ぎ腹の中へ収めて、空良に礼を言って直ぐに椅子へと戻った。
そこからまた何日かの時間が過ぎて。
漸く手紙を読みきることに成功した。
まぁ、なんてことはない。普通の手紙だったんやけど…。内容も大したことは書いていなかった。日記の様な…交換日記と言った方が正しいんか?
けど、それよりも重要な情報があった。この手紙を書いた人物が【ショウコ】さんであると言う事だ。
どの時代の【ショウコ】さんかは解らない。だが、【ショウコ】さんは会いたがっていた。【ミオ】さんと【カオリ】さんに。
言われてみれば【ショウコ】さんは【星巫女】で【維持】を司ると聞いた。と言う事はショウコさんは記憶を維持してる可能性が高いと言う事で。でもそれは一体どう言う形で現れるのだろう?
記憶を記憶と思わない、けれど、それもまた記憶であると認識する為の…何言ってるんや?俺。
待て待て。迷走して来たで。
今必要な情報と必要じゃない情報を整理しよう。
今俺が必要なのは、過去の情報じゃない。前世の情報でもない。
俺が必要なのは姫さんを助ける為の力を手に入れる方法や。
…となると、この情報は意味がなかったか?ただの手紙だしな…。
会いたい、か。
その気持ちは痛い位解る。俺も会いたい。本当なら、もう会いに行く手段は解っている。いつでも会いに行けるのに…俺が弱いから、守れないから、まだ会いに行けない。
(ジレンマや…)
会いたくてたまらなくなって、抱えた頭を意味もなく掻く。
会いたい、か。
もう一度呟いて。…ん?何や、今違和感が…何やろ?
何に違和感を感じたんや?
会いたい気持ちに違和感はない。本心や。ほんならなんや?この違和感は…。
会いたい…会う…会えない…呼ぶ…?
「あぁ、そうや。このゲーム、【あれ】が使えないんや」
本来のRPGなら大抵あるよな?なくてもそんな光景は入れこまれてる。
うん?…待て。待てよ…?
俺達は今【翻訳機能】を使って、言葉を【謎の言語】を【日本語】に変換して使っているって事やんな?
……もしかして、この言語は誠さんが言っとった【神を育てる世界】の…【アースラウンド】の言語なんでは?
RPG等のゲームには必ず魔法陣や呪文が付き物。やのに、この世界は呪文を唱えたりはしていない。
それはスキルだからだと思っていたが、もしかして、呪文もあるが翻訳機能でショートカットされてる可能性があるのでは…?
試してみるか。
発音や発生の仕方は解らないから、魔法陣で行こう。
紙に【盾】と書いてみる。
だが、何も起きない。
確かにこれだけだと何に【盾】をつけたいのか解らないな。
だったら次は、【嵯峨子奏輔】【盾】と書いてみる。発動しないな。
だったら次は、【嵯峨子奏輔】【盾】【発動】と書いてみる。……やはり変化はない。
なら、文章にすべきか?
【嵯峨子奏輔に盾を発動】と書いてみる。
すると、バシュンと音を当てて空気が横にそれた。力が入ったけど流れて行ったって感じか?
力を逃さずにいるには?
……循環させる必要があるか?
なら、文字を円形にしてみよう。
これでどうだ?
書き終えた瞬間、光が俺を包む。
急ぎステータスを開き確認すると、スキルが発動しており名前の横に【盾(シールド)】と書かれていた。
「成功…した?」
いや、でもまだ駄目だ。完全に成功するまで。他のモノも試す。
俺は出来る限りのスキルを発動させた。
全部検証するのに数日をまた要したが、それでも全て検証出来た。
違いは色々あったがそれも全て把握した。ずっとこの言語に触れていたおかげで、ある程度の文章も作れるようになった。
そして、アイツに対抗する力も、手に入れた。
やっと、やっとだ。
やっとここまで来た。
これでやっと、姫さんに…。
立ち上がり、研究成果が詰められた冊子を手に取り、俺はそこにいるだろう空良を見た。
空良は俺の顔を見て、嬉しそうに笑った。
「……とり先輩と会える?」
「あぁ、会える。…空良、待っとってな」
言うとまた嬉しそうに笑って頷いた。
部屋を出て、車の鍵をポケットから取りだす。
これからの手順は間違えられない。
出来るのは一回だけ。最初で最後の勝負や。
「奏輔っ」
店から外へ出ようとして、背後から呼び止められた。
素直に振り返り、そこに立っていた二人を見て俺は微笑む。
「……行くんか?」
「あぁ。行く。姫さんを、取り戻す方法をやっと掴んだんや」
「……そうか。………奏輔。負けるんやないで」
「何が起きても、姉ちゃん達はアンタの味方やからな」
「………解っとるよ。…ありがとう。桜お姉、咲お姉。……大好きや。後、頼むわ」
笑って、俺は手を振って…駆け出す。
後は振り向かずに行く。未練はない。
車に飛び乗り、アクセルを踏み込む。
まずは移動だ。人気のない所まで車で移動して、その後に空間移動のスキルを発動させる。
以前は妨害されたが、その妨害ももうない。
一気に、俺は佳織さんの研究室―――姫さんと最後に過ごした場所まで飛んだ。
ここにある【本】を目当てに。
棚に仕舞われている一冊の本を手に取る。何も書かれていない辞書並みに分厚い本。
念の為に間違いがないかと数枚捲ってみても、間違いはない。
【セーブの本】だ。
それを手に持ち、もう一度その本をじっくりと観察してみる。どこにも何もないか?
ない筈がないんや。絶対に文字が書かれている筈。
そして気付いた。
最後の一ページと背表紙がくっ付いている事に。
本来それは珍しくない事だ。だが、この本に関しては怪しい。
ぺリぺりと丁寧に、慎重に背表紙と離していくと、そこには円状に文字が書かれており、想像通り【アースラウンド言語】だった。
訳すとこう書いている。
【美鈴に3回のやり直しを発動】と。
要するに姫さんは無意識の内にこの本と自分のMPを使って時間を巻き戻しやり直しをしていたと言う事だ。
だが……それだけでは、なさそうだ。
裏表紙がこうなっているのなら、前表紙もその可能性がある。
今度は前を慎重に剥がしていくと、そこには別に文字が書かれていた。
【美鈴以外の発動を禁ずる】と。
一種の封印スキルだ。
姫さん以外は使えないように。まぁ、疑問は多々ある。何故姫さんを指定出来るのか。何故3回と限定したのか。疑問はあるけれど、今の俺にはその疑問を解く必要はない。
これさえあれば、どうにかなると言う事だけ解っているから。
本をしっかりと持って、また空間移動をする。
次に向かうは、佳織さんの実家だ。
最初は解らなかった。けれど、ここを調べて気付いたのだ。
ここの住民は皆忍びの人間だと。地図に載らないのも全ては忍び故だ。
(俺の予想では、忍びの力ってのは、神様が何らかの形でこちらに力を具現する必要があった時に利用する為のツールって所だと思うんやけど…)
まぁ、それも今はどうでも良い。
「あら?奏輔ちゃん?」
「ヨネ婆さん、お久しぶりです」
「あらあらあらっ。どうしたのっ。そんなにやつれちゃってっ」
「ヨネ婆さんこそ」
佳織さんの実家の庭に突然現れた俺を疑問に思う事なくヨネ婆さんは俺の顔に触れた。
「やっぱり子供が先に死ぬってのは、辛いのよ…」
「………すみません。…守れなくて」
「あらあら。ごめんなさいね。貴方を責めている訳じゃないのよ。佳織の事を責めてるの」
うふふっと笑いながら毒を吐く所が佳織さんと姫さんを感じさせて、俺は苦笑いを浮かべた。
佳織さんは、前からヨネ婆さんには勝てないと言っていた。だからヨネ婆さんと源爺さんの記憶を消す事は出来なかったんだ。
それが解ってまた知らず眉が下がった。
「それで?奏輔ちゃんは何の用かしら?」
「………罪人を捕らえておく牢があると、昔言ってましたね?その場所をお教え願えませんか?」
「それは、何故じゃ?」
庭にいた俺とヨネ婆さんの側にゆっくりと源爺さんが歩いてきた。
その眼光は鋭く、村を治めるものの目だった。
だが、今更そんな瞳に恐怖を感じる事はまるでない。
俺はその瞳を真っ直ぐに見据えて答えた。
「今の俺に必要な人に会いに行く為です。……俺は【あの人】に合わなきゃいけない」
「…………全く。若造が、そんな目をしおって」
そんな、目?
一体どんな目なん?
源爺さんの言ってた言葉の意味が解らず首を傾げると、源爺さんは「解らなければそれでよい」とそう言って俺に背を向けて歩きだした。
「え?ちょ、源爺さんっ?」
何処に行く気や?
慌てて呼びかけると、俺の背中をポンッとヨネ婆さんが叩いた。
「ついて来いって言ってるのよ。ほら、お行きなさいな。………奏輔ちゃん。またね」
ヨネ婆さんはきっと俺が今何をしようとしているか、感じ取ったんだろう。
目を赤くして手を振ってくれる。
俺は深く深く礼をして、源爺さんの後を追った。
また、ここに来るとは思わなかった。
そこは…図書館だった。
初めて姫さんと一対一で話した場所だ。
『奏輔お兄ちゃん』
姫さんの声が聞こえる様で、涙が込み上げる。
けど、今は泣いてる暇はない。その姫さんに会う為に、もう一度会う為にこうして歩いているのだから。
源爺さんは何も言わず、俺を案内してくれた。
そして、一冊の本を俺に手渡した。
「ここが、牢じゃ」
手渡された本には、アースラウンド言語で【文字に触れたものを牢へ転移】と書かれていた。
成程。誰にも見つからない、永遠の牢獄だ。
「ありがとうございます」
「帰ってくる時の方法じゃが」
「……必要ありません。これは一方通行。そうですよね?」
「…奏輔。お主、まさか…」
「本当に、ありがとうございます。…源爺さん。また」
源爺さんが止める前に俺は本の文字へと触れた。
瞬間、俺は違う場所にいた。そう、牢獄の中に。
誰にでも解る、所謂牢屋の様な部屋。その一室に俺はいた。
…恐らくこの鉄格子は動く。
この空間はどうせ出られない。だったら鍵をかけても無駄だ。
鉄格子を開けて、廊下を歩く。数歩歩いた先に他の牢もある。
きっとここにあの人はいる筈だ。
いくつも牢を確認して、やっと目的の人物を見つけた。
「………どなたでしょう?」
目的の人物は、紳士然とした老爺だった。椅子に座ってただ宙を見続けるその姿はまるで懺悔しているようにもみえる。
「……嵯峨子です。覚えておいでですか?」
「嵯峨子…まさか、坊ちゃまのっ!?何故、このような所にっ!?」
「……説明します。だから、俺に力を貸して下さい。【金山】さん。今まであの男の力を精神で抑えきったあなたなら出来る筈や」
「……説明をお聞きしましょう。どうぞ、こちらへ」
鉄格子が開き、俺は素直にその中へと入った。
すると突然鉄格子の中が明るくなり、内装が一気に何処かの屋敷の一室の様に変わる。
赤い絨毯の真ん中に置かれた机に椅子。そしてティーポットとカップまで現れる。
「投獄と言う形でなければ、案外自由になるのですよ」
急激な牢の変化に驚いていると金山さんがそう説明してくれた。
「成程」
「どうぞ、おかけになってください」
言われるまま牢の一室にしては豪勢な椅子へと座る。目の前に差し出された紅茶を一口飲み、俺は話を始めた。
姫さんと佳織さんが殺された事。人が操られている事。そして鴇が犯人の男を追って殺された事。それら全て含め今明かせる事の全てを説明した。
全て話し終わった時、金山さんは俺を真っ直ぐに見て問いかけて来た。
「お嬢様も、坊ちゃまも、奥様も亡くなられた…。それは、理解致しました。ですが、嵯峨子様の行動が読めません。嵯峨子様は私に何を求めているのでしょう?」
「……金山さん。貴方にしか出来ないお願いがあります」
先代の金山さんにしか出来ない俺の唯一の願い。それは―――。
「―――俺を殺して下さい」
自分が整理しているデータだ。そんな時間がかかることなく目的のデータは見つかった。
(これさえあれば姫さんとまた会えるっ)
やっぱり誠さんに会いに行って正解だった。
やっとだ。やっと見つけた。姫さんと会える手段を。
あまりの喜びに泣きそうになるが、まだ今は泣く時じゃない。
この方法で会えたとしても、絶対に俺はまたあの男と対峙する事になる。
その時は負ける訳にはいかないんや。絶対に姫さんを守らなあかん。失敗は絶対出来ん。
アイツを、鴇にも佳織さんにも、そして姫さんにも倒させる訳にはいかない。悪縁は繋げるのではなく断ち切らねば意味はない。
と言うより、これ以上あの男に俺の大事な人達を狂わされたくない。守る為にも断ち切るのだ。
しかし、問題はその方法だ。
何か、良い手段はないだろうか。
データをもう一度見返す。
………特に、これと言った情報は……うん?そう言えば一つ、解らない記号の羅列が書かれてた紙について語っていた記述があったな。
何年前の記事だったか。スキルや神様に関係あるかと思ってその記事を保存しておいたが、世界の何処の言葉でもなく後回しにしたのがあったんだよな。
引っ張りだしたデータには相変わらず意味不明の記号が並んでいる。
他に目ぼしい情報もない。けれど、短さといい、最初の書きだし方といい、この紙の折り方といい手紙っぽいんだよな。…それこそ他に目ぼしい情報がない訳だし、試しに解読してみるか。
解読と言えば、まず記号の意味を辿る所からだな。
その日から、俺はまたパソコンと睨めっこの日々を開始した。
まずは文字を分類化して、規則性を探し出す。
大体の分別が終了したら、今度はこの文字の読み方を探す。
解読に没頭して恐らく数日が経過して…一旦パソコンから視線を外した。色々試しては見たが、今一掴めない。
行き詰まってしまったらしい。
「…………奏輔様。ご飯」
「ん。おおきに」
丁度良く空良が食事を持って来てくれたので、立ち上がり肩を鳴らしながら体を動かす。
「…………意識がこっちに、戻って来た?」
「ん?何の話や?」
一先ず休憩しようとベッドに座ると、目の前のテーブルにトレイを置いた空良が俺にお茶を差し出しつつ、言った。
「………奏輔様。集中するとこっち、見てくれない」
「それは、すまん」
「………お礼はちゃんと言われてた。意識こっちにないだけ」
…それもどうなんやろ…?
もくもくとお握りを咀嚼しながら空良に脳内突っ込みを入れるが、元々は自分が悪い事だからそこは口に出さないでおく。
「あれから何日経った?」
「……………3日」
「3日か…」
全然時間が経ったように感じなかったが、誠さんと話してから3日経過していたらしい。
それで一文字も読めないとは…情けない。
「…………奏輔様。これ」
「?」
空良が俺に葉書を差し出した。何にも考えずそれを受け取り差出人を見ると。
「鴇っ?」
まさかの差出人に急いで葉書を裏返す。するとそこには、『翻訳機能をオフに』そして『後は頼んだ』と殴り書かかれていた。
戦闘に行く前にもしもの可能性を考えて俺に葉書を出したのか。
「………翻訳機能って何や?」
そんなものあったか?
それとも鴇の使っていたパソコンとかにあるデータの話か?
…いや。どこまでも俺達の行動を先読んでいた鴇の事だ。鴇でしか使えない物を使えとは言わないだろう。
だとしたら俺が今出来る事だろう。そしてそれがきっと最大のヒントとなる筈だ。
俺が今出来る事。姫さんが言った乙女ゲームの世界だと解った上で俺が出来る事…スキル?
まずはステータスを開いてみる。
スキルの欄を確認してみたが…翻訳機能なんてスキルは…ないな。
ステータスを全て確認してみたが、それらしいものはない。
鴇が意味のない事を書き殴る訳がない。
そもそも、だ。
翻訳機能って、オプションにあるものなんじゃないか?
所謂【ゲーム設定】の一つじゃないか、って事だ。良くあるだろ?ゲームを起動して、トップ画面にある【オプション】とか【設定】とか言うあれだ。
…確かにゲーム内で変更出来るものもあるかもしれないが…流石にありえなくないか?
実際今調べても何も出なかったし…。
「まさか、【オプション】って言って出る訳が」
ヒョンッ。
目の前に、オプション画面と思わしき板が出て来た。
「……マジか」
ステータス画面と同じようなオプション画面が出てくるとは思わず、目が点になる。
えっと、何々?項目は2つ、か。……ん?
一つは鴇が言っていた【翻訳機能】だとして、もう一つの文字が…俺が解読しようとしていた文字だ。
どう言う事や…?
……いや、悩むのは後で良い。まずは鴇が言っていた翻訳機能をオフにしてみよう。
翻訳機能の横にあるオンオフを切り替える。オンになっているのをオフにした。
すると、今まで見ていた日本語の文字が全て俺が調べていた記号へと切り替わった。
「え?あ?ちょ、ちょお待ちぃ」
慌てて翻訳機能と書かれている文字をオンに戻す。因みに翻訳機能と書かれていた文字も記号へと変わったのだがそれは配置で覚えていたから問題ない。
それよりも、だ。
ついつい慌てて戻してしまったが、成程。これなら文字の意味を調べられるな。
「…………奏輔様。ご飯、残ってる」
空良に服の袖を引っ張られ、食事の途中だったことを思い出す。
けれど、早く研究に戻りたいからと急ぎ腹の中へ収めて、空良に礼を言って直ぐに椅子へと戻った。
そこからまた何日かの時間が過ぎて。
漸く手紙を読みきることに成功した。
まぁ、なんてことはない。普通の手紙だったんやけど…。内容も大したことは書いていなかった。日記の様な…交換日記と言った方が正しいんか?
けど、それよりも重要な情報があった。この手紙を書いた人物が【ショウコ】さんであると言う事だ。
どの時代の【ショウコ】さんかは解らない。だが、【ショウコ】さんは会いたがっていた。【ミオ】さんと【カオリ】さんに。
言われてみれば【ショウコ】さんは【星巫女】で【維持】を司ると聞いた。と言う事はショウコさんは記憶を維持してる可能性が高いと言う事で。でもそれは一体どう言う形で現れるのだろう?
記憶を記憶と思わない、けれど、それもまた記憶であると認識する為の…何言ってるんや?俺。
待て待て。迷走して来たで。
今必要な情報と必要じゃない情報を整理しよう。
今俺が必要なのは、過去の情報じゃない。前世の情報でもない。
俺が必要なのは姫さんを助ける為の力を手に入れる方法や。
…となると、この情報は意味がなかったか?ただの手紙だしな…。
会いたい、か。
その気持ちは痛い位解る。俺も会いたい。本当なら、もう会いに行く手段は解っている。いつでも会いに行けるのに…俺が弱いから、守れないから、まだ会いに行けない。
(ジレンマや…)
会いたくてたまらなくなって、抱えた頭を意味もなく掻く。
会いたい、か。
もう一度呟いて。…ん?何や、今違和感が…何やろ?
何に違和感を感じたんや?
会いたい気持ちに違和感はない。本心や。ほんならなんや?この違和感は…。
会いたい…会う…会えない…呼ぶ…?
「あぁ、そうや。このゲーム、【あれ】が使えないんや」
本来のRPGなら大抵あるよな?なくてもそんな光景は入れこまれてる。
うん?…待て。待てよ…?
俺達は今【翻訳機能】を使って、言葉を【謎の言語】を【日本語】に変換して使っているって事やんな?
……もしかして、この言語は誠さんが言っとった【神を育てる世界】の…【アースラウンド】の言語なんでは?
RPG等のゲームには必ず魔法陣や呪文が付き物。やのに、この世界は呪文を唱えたりはしていない。
それはスキルだからだと思っていたが、もしかして、呪文もあるが翻訳機能でショートカットされてる可能性があるのでは…?
試してみるか。
発音や発生の仕方は解らないから、魔法陣で行こう。
紙に【盾】と書いてみる。
だが、何も起きない。
確かにこれだけだと何に【盾】をつけたいのか解らないな。
だったら次は、【嵯峨子奏輔】【盾】と書いてみる。発動しないな。
だったら次は、【嵯峨子奏輔】【盾】【発動】と書いてみる。……やはり変化はない。
なら、文章にすべきか?
【嵯峨子奏輔に盾を発動】と書いてみる。
すると、バシュンと音を当てて空気が横にそれた。力が入ったけど流れて行ったって感じか?
力を逃さずにいるには?
……循環させる必要があるか?
なら、文字を円形にしてみよう。
これでどうだ?
書き終えた瞬間、光が俺を包む。
急ぎステータスを開き確認すると、スキルが発動しており名前の横に【盾(シールド)】と書かれていた。
「成功…した?」
いや、でもまだ駄目だ。完全に成功するまで。他のモノも試す。
俺は出来る限りのスキルを発動させた。
全部検証するのに数日をまた要したが、それでも全て検証出来た。
違いは色々あったがそれも全て把握した。ずっとこの言語に触れていたおかげで、ある程度の文章も作れるようになった。
そして、アイツに対抗する力も、手に入れた。
やっと、やっとだ。
やっとここまで来た。
これでやっと、姫さんに…。
立ち上がり、研究成果が詰められた冊子を手に取り、俺はそこにいるだろう空良を見た。
空良は俺の顔を見て、嬉しそうに笑った。
「……とり先輩と会える?」
「あぁ、会える。…空良、待っとってな」
言うとまた嬉しそうに笑って頷いた。
部屋を出て、車の鍵をポケットから取りだす。
これからの手順は間違えられない。
出来るのは一回だけ。最初で最後の勝負や。
「奏輔っ」
店から外へ出ようとして、背後から呼び止められた。
素直に振り返り、そこに立っていた二人を見て俺は微笑む。
「……行くんか?」
「あぁ。行く。姫さんを、取り戻す方法をやっと掴んだんや」
「……そうか。………奏輔。負けるんやないで」
「何が起きても、姉ちゃん達はアンタの味方やからな」
「………解っとるよ。…ありがとう。桜お姉、咲お姉。……大好きや。後、頼むわ」
笑って、俺は手を振って…駆け出す。
後は振り向かずに行く。未練はない。
車に飛び乗り、アクセルを踏み込む。
まずは移動だ。人気のない所まで車で移動して、その後に空間移動のスキルを発動させる。
以前は妨害されたが、その妨害ももうない。
一気に、俺は佳織さんの研究室―――姫さんと最後に過ごした場所まで飛んだ。
ここにある【本】を目当てに。
棚に仕舞われている一冊の本を手に取る。何も書かれていない辞書並みに分厚い本。
念の為に間違いがないかと数枚捲ってみても、間違いはない。
【セーブの本】だ。
それを手に持ち、もう一度その本をじっくりと観察してみる。どこにも何もないか?
ない筈がないんや。絶対に文字が書かれている筈。
そして気付いた。
最後の一ページと背表紙がくっ付いている事に。
本来それは珍しくない事だ。だが、この本に関しては怪しい。
ぺリぺりと丁寧に、慎重に背表紙と離していくと、そこには円状に文字が書かれており、想像通り【アースラウンド言語】だった。
訳すとこう書いている。
【美鈴に3回のやり直しを発動】と。
要するに姫さんは無意識の内にこの本と自分のMPを使って時間を巻き戻しやり直しをしていたと言う事だ。
だが……それだけでは、なさそうだ。
裏表紙がこうなっているのなら、前表紙もその可能性がある。
今度は前を慎重に剥がしていくと、そこには別に文字が書かれていた。
【美鈴以外の発動を禁ずる】と。
一種の封印スキルだ。
姫さん以外は使えないように。まぁ、疑問は多々ある。何故姫さんを指定出来るのか。何故3回と限定したのか。疑問はあるけれど、今の俺にはその疑問を解く必要はない。
これさえあれば、どうにかなると言う事だけ解っているから。
本をしっかりと持って、また空間移動をする。
次に向かうは、佳織さんの実家だ。
最初は解らなかった。けれど、ここを調べて気付いたのだ。
ここの住民は皆忍びの人間だと。地図に載らないのも全ては忍び故だ。
(俺の予想では、忍びの力ってのは、神様が何らかの形でこちらに力を具現する必要があった時に利用する為のツールって所だと思うんやけど…)
まぁ、それも今はどうでも良い。
「あら?奏輔ちゃん?」
「ヨネ婆さん、お久しぶりです」
「あらあらあらっ。どうしたのっ。そんなにやつれちゃってっ」
「ヨネ婆さんこそ」
佳織さんの実家の庭に突然現れた俺を疑問に思う事なくヨネ婆さんは俺の顔に触れた。
「やっぱり子供が先に死ぬってのは、辛いのよ…」
「………すみません。…守れなくて」
「あらあら。ごめんなさいね。貴方を責めている訳じゃないのよ。佳織の事を責めてるの」
うふふっと笑いながら毒を吐く所が佳織さんと姫さんを感じさせて、俺は苦笑いを浮かべた。
佳織さんは、前からヨネ婆さんには勝てないと言っていた。だからヨネ婆さんと源爺さんの記憶を消す事は出来なかったんだ。
それが解ってまた知らず眉が下がった。
「それで?奏輔ちゃんは何の用かしら?」
「………罪人を捕らえておく牢があると、昔言ってましたね?その場所をお教え願えませんか?」
「それは、何故じゃ?」
庭にいた俺とヨネ婆さんの側にゆっくりと源爺さんが歩いてきた。
その眼光は鋭く、村を治めるものの目だった。
だが、今更そんな瞳に恐怖を感じる事はまるでない。
俺はその瞳を真っ直ぐに見据えて答えた。
「今の俺に必要な人に会いに行く為です。……俺は【あの人】に合わなきゃいけない」
「…………全く。若造が、そんな目をしおって」
そんな、目?
一体どんな目なん?
源爺さんの言ってた言葉の意味が解らず首を傾げると、源爺さんは「解らなければそれでよい」とそう言って俺に背を向けて歩きだした。
「え?ちょ、源爺さんっ?」
何処に行く気や?
慌てて呼びかけると、俺の背中をポンッとヨネ婆さんが叩いた。
「ついて来いって言ってるのよ。ほら、お行きなさいな。………奏輔ちゃん。またね」
ヨネ婆さんはきっと俺が今何をしようとしているか、感じ取ったんだろう。
目を赤くして手を振ってくれる。
俺は深く深く礼をして、源爺さんの後を追った。
また、ここに来るとは思わなかった。
そこは…図書館だった。
初めて姫さんと一対一で話した場所だ。
『奏輔お兄ちゃん』
姫さんの声が聞こえる様で、涙が込み上げる。
けど、今は泣いてる暇はない。その姫さんに会う為に、もう一度会う為にこうして歩いているのだから。
源爺さんは何も言わず、俺を案内してくれた。
そして、一冊の本を俺に手渡した。
「ここが、牢じゃ」
手渡された本には、アースラウンド言語で【文字に触れたものを牢へ転移】と書かれていた。
成程。誰にも見つからない、永遠の牢獄だ。
「ありがとうございます」
「帰ってくる時の方法じゃが」
「……必要ありません。これは一方通行。そうですよね?」
「…奏輔。お主、まさか…」
「本当に、ありがとうございます。…源爺さん。また」
源爺さんが止める前に俺は本の文字へと触れた。
瞬間、俺は違う場所にいた。そう、牢獄の中に。
誰にでも解る、所謂牢屋の様な部屋。その一室に俺はいた。
…恐らくこの鉄格子は動く。
この空間はどうせ出られない。だったら鍵をかけても無駄だ。
鉄格子を開けて、廊下を歩く。数歩歩いた先に他の牢もある。
きっとここにあの人はいる筈だ。
いくつも牢を確認して、やっと目的の人物を見つけた。
「………どなたでしょう?」
目的の人物は、紳士然とした老爺だった。椅子に座ってただ宙を見続けるその姿はまるで懺悔しているようにもみえる。
「……嵯峨子です。覚えておいでですか?」
「嵯峨子…まさか、坊ちゃまのっ!?何故、このような所にっ!?」
「……説明します。だから、俺に力を貸して下さい。【金山】さん。今まであの男の力を精神で抑えきったあなたなら出来る筈や」
「……説明をお聞きしましょう。どうぞ、こちらへ」
鉄格子が開き、俺は素直にその中へと入った。
すると突然鉄格子の中が明るくなり、内装が一気に何処かの屋敷の一室の様に変わる。
赤い絨毯の真ん中に置かれた机に椅子。そしてティーポットとカップまで現れる。
「投獄と言う形でなければ、案外自由になるのですよ」
急激な牢の変化に驚いていると金山さんがそう説明してくれた。
「成程」
「どうぞ、おかけになってください」
言われるまま牢の一室にしては豪勢な椅子へと座る。目の前に差し出された紅茶を一口飲み、俺は話を始めた。
姫さんと佳織さんが殺された事。人が操られている事。そして鴇が犯人の男を追って殺された事。それら全て含め今明かせる事の全てを説明した。
全て話し終わった時、金山さんは俺を真っ直ぐに見て問いかけて来た。
「お嬢様も、坊ちゃまも、奥様も亡くなられた…。それは、理解致しました。ですが、嵯峨子様の行動が読めません。嵯峨子様は私に何を求めているのでしょう?」
「……金山さん。貴方にしか出来ないお願いがあります」
先代の金山さんにしか出来ない俺の唯一の願い。それは―――。
「―――俺を殺して下さい」
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