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番外編
ジェラシーと、大好きなお父さん
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カレンとジョンズワートの再会、父と息子の初めての出会いから、数年が経ったころ。
デュライト公爵邸に、ほぎゃあ、ほぎゃあ、と元気な産声が響く。
雪国ホーネージュが新たな春を迎えようとしていたころ、カレンとジョンズワートの第二子が誕生した。
二人目の子は、カレンに似た髪色に、父から受け継いだ青い瞳の女の子。
第一子のショーンのように、どう見ても父親似、というよりは、両親どちらの要素も感じられる女の子だった。
色々あって、ショーンの誕生には立ち会えず、息子に会うまでに3年を要したジョンズワート。
生まれたばかりの我が子の姿を見るのは、今回が初めてで。
ジョンズワートは、それはもう娘にメロメロだった。
主に世話をするのは乳母だが、ジョンズワートは休憩時間のたびにまだ幼い我が子の様子を見に来る。
小さな手に、自分の指をのせて。きゅ、と握られるとデレデレと破顔した。
父と娘の微笑ましい光景ではあるのだが――それを、面白く思わない者もいた。
誰って、ジョンズワートの長男・ショーンである。
このころには、ショーンも公爵邸での暮らしに慣れ、ジョンズワートを父と呼ぶようになっていた。
初めて会ったときからここまで、自分につきっきりだった父が、妹に取られてしまった。
長男のショーン。妹にアイドルの座を奪われ、完全にジェラっていた。
もちろん、みながショーンのことを大事にする姿勢は変わらないのだが……。
ショーンからすれば、面白くないものは面白くないのである。
だって今まで、ショーンがこの家の唯一のアイドルだったのだから。
今日もショーンは、ベビーベッドの前で妹に話しかける父を、物陰からじいっと見つめていた。
自分にもかまえ。そんなオーラが出ているが、流石は公爵家の長男といったところか、5歳ほどにも関わらず、わあわあと声をあげることはしない。
だがその分、ジョンズワートを見つめるその姿には、凄みがあった。
黒いオーラと、哀愁。その両方が、ショーンからにじみ出ていた。
ジェラシーモードのショーンと、娘にデレデレしていて、息子が見ていることに気が付かないジョンズワート。
そんな膠着状態を崩したのは、母であるカレンだった。
「ショーン? そんなところでどうしたの?」
「! ははうえ……」
子供部屋の前を通りかかったカレンが、中には入らずに父と妹を見つめ続けるショーンを発見した。
二人のやりとりのおかげで、ようやくジョンズワートもショーンがいることに気が付く。
ぱあっと笑顔で振り向くと、きみたちもおいでよ、と妻子に向かって手招きをした。
しかし、ショーンは動かない。
「……ショーン?」
「……」
俯いてしまったショーンに、ジョンズワートが首をかしげる。
ショーンは、ジョンズワートのことを父と呼ぶようになった。公爵家の長男としての扱いにも、もう慣れている。
ショーンは、ジョンズワートを自分のお父さんだと思っていた。
しかし、ジョンズワートのほうはどうかというと。
自分が父である、父としてショーンを守り育てたいとは思っていたが、嫉妬の対象になるとまでは思っていなかった。
ジョンズワートが感じていた以上に、ショーンの中で、ジョンズワートは大切な存在になっていたのだ。
そのことをまだいまいち理解できていないジョンズワートは、俯いて黙る息子を前にして、困ってしまった。
なにか、気に障るようなことをしてしまったのだろうか。
おろおろするジョンズワートに助け船を出したのは、やはりカレンだった。
「ショーン。ちょっと待っててね」
そう言って、ぽん、とショーンの頭に触れると、カレンはジョンズワートに近づき、内緒話をする。
「ワート様。ショーンは、あなたを妹にとられたと思って嫉妬してるんですよ」
「え? 嫉妬……?」
「大好きなお父さんなんですから、当然です」
「だいすきな、おとうさん……」
カレンの言葉を繰り返しながら、ジョンズワートは、いまだ部屋に入ってこないショーンを見やる。
ショーンは、悔しそうに、悲しそうに唇をかみながら、ぐす、と泣き出す寸前となっていた。
大好きなお父さん。嫉妬。
ショーンがそんなふうに思っていたことを知り、やはりジョンズワートは破顔した。
息子の気持ちを感じ取ることができず、申し訳ないことをした。
しかし、生まれてからの3年を離れて過ごしていた、あとからできた父親だというのに、そんなふうに思ってもらえることが、本当に嬉しくて。
ジョンズワートは、隣にいたカレンも驚く速さで息子に近づき、がばっと抱き上げた。
「ショーン! ごめんよ、下の子ばかり見て……! もちろん、ショーンのことも大好きだから! 変わらず愛しているよ!」
あまりの愛おしさに、ジョンズワートがショーンに頬ずりをする。
ジョンズワートは誓った。自分の子らは、平等に愛すると。
ショーンの「父親」としての自覚を、もっと持つと。
だって自分は、ショーンの大好きなお父さんなのだから!
急にテンションの上がった父に、息子もたじたじである。
「ちちうえ、やだ、やめて」
ジョンズワートの頬に手を置いてつっぱるショーンだが、その声は、完全に父を拒絶してはいなかった。
本当に嫌なら、もっと暴れるなり叩くなりするだろう。
しかし、そこまではしない。
ショーンだって、男の子として成長してきている。
だから、父とのスキンシップが少し恥ずかしいだけで、こうして抱き上げられ、愛されること自体は嫌ではないのだ。
じゃれあう夫と息子の姿を、カレンは愛おしそうに見守る。
もう少しの時が経てば、仲のいい父と息子が触れ合う場に、第二子も加わるのだろう。
カレンは、勘違い、思い込み、すれ違いを重ね、妊娠の可能性を隠してジョンズワートから逃げた過去を持つ。
ジョンズワートにも非はあったが、逃げ出したのはカレンだ。
父と子の時間を奪ってしまったことを、今も悔いている。
彼らがこうして「親子」になってくれたことは、カレンにとって本当に嬉しいことで、救いだった。
今があるのは、ジョンズワートがカレンを探すことを諦めなかったから。
ショーンのことを愛してくれたから。
ジョンズワートの頑張りのおかげで、こんなにも幸せな光景を見ることができる。
「……ありがとうございます、ワート様」
「……カレン?」
愛おしさから、カレンは背伸びをしてジョンズワートの頬にキスを落とす。
息子の前で、カレンがそういったことをするのは珍しい。
きょとんとしたジョンズワートだったが、愛情たっぷりにほほ笑む妻を見て、同じ表情を返す。
ショーンを片腕で支えながら、もう片方の腕ではカレンを抱きしめる。
やはりショーンからは抗議の声があがったが、ジョンズワートが妻子を放すことはなかった。
デュライト公爵邸に、ほぎゃあ、ほぎゃあ、と元気な産声が響く。
雪国ホーネージュが新たな春を迎えようとしていたころ、カレンとジョンズワートの第二子が誕生した。
二人目の子は、カレンに似た髪色に、父から受け継いだ青い瞳の女の子。
第一子のショーンのように、どう見ても父親似、というよりは、両親どちらの要素も感じられる女の子だった。
色々あって、ショーンの誕生には立ち会えず、息子に会うまでに3年を要したジョンズワート。
生まれたばかりの我が子の姿を見るのは、今回が初めてで。
ジョンズワートは、それはもう娘にメロメロだった。
主に世話をするのは乳母だが、ジョンズワートは休憩時間のたびにまだ幼い我が子の様子を見に来る。
小さな手に、自分の指をのせて。きゅ、と握られるとデレデレと破顔した。
父と娘の微笑ましい光景ではあるのだが――それを、面白く思わない者もいた。
誰って、ジョンズワートの長男・ショーンである。
このころには、ショーンも公爵邸での暮らしに慣れ、ジョンズワートを父と呼ぶようになっていた。
初めて会ったときからここまで、自分につきっきりだった父が、妹に取られてしまった。
長男のショーン。妹にアイドルの座を奪われ、完全にジェラっていた。
もちろん、みながショーンのことを大事にする姿勢は変わらないのだが……。
ショーンからすれば、面白くないものは面白くないのである。
だって今まで、ショーンがこの家の唯一のアイドルだったのだから。
今日もショーンは、ベビーベッドの前で妹に話しかける父を、物陰からじいっと見つめていた。
自分にもかまえ。そんなオーラが出ているが、流石は公爵家の長男といったところか、5歳ほどにも関わらず、わあわあと声をあげることはしない。
だがその分、ジョンズワートを見つめるその姿には、凄みがあった。
黒いオーラと、哀愁。その両方が、ショーンからにじみ出ていた。
ジェラシーモードのショーンと、娘にデレデレしていて、息子が見ていることに気が付かないジョンズワート。
そんな膠着状態を崩したのは、母であるカレンだった。
「ショーン? そんなところでどうしたの?」
「! ははうえ……」
子供部屋の前を通りかかったカレンが、中には入らずに父と妹を見つめ続けるショーンを発見した。
二人のやりとりのおかげで、ようやくジョンズワートもショーンがいることに気が付く。
ぱあっと笑顔で振り向くと、きみたちもおいでよ、と妻子に向かって手招きをした。
しかし、ショーンは動かない。
「……ショーン?」
「……」
俯いてしまったショーンに、ジョンズワートが首をかしげる。
ショーンは、ジョンズワートのことを父と呼ぶようになった。公爵家の長男としての扱いにも、もう慣れている。
ショーンは、ジョンズワートを自分のお父さんだと思っていた。
しかし、ジョンズワートのほうはどうかというと。
自分が父である、父としてショーンを守り育てたいとは思っていたが、嫉妬の対象になるとまでは思っていなかった。
ジョンズワートが感じていた以上に、ショーンの中で、ジョンズワートは大切な存在になっていたのだ。
そのことをまだいまいち理解できていないジョンズワートは、俯いて黙る息子を前にして、困ってしまった。
なにか、気に障るようなことをしてしまったのだろうか。
おろおろするジョンズワートに助け船を出したのは、やはりカレンだった。
「ショーン。ちょっと待っててね」
そう言って、ぽん、とショーンの頭に触れると、カレンはジョンズワートに近づき、内緒話をする。
「ワート様。ショーンは、あなたを妹にとられたと思って嫉妬してるんですよ」
「え? 嫉妬……?」
「大好きなお父さんなんですから、当然です」
「だいすきな、おとうさん……」
カレンの言葉を繰り返しながら、ジョンズワートは、いまだ部屋に入ってこないショーンを見やる。
ショーンは、悔しそうに、悲しそうに唇をかみながら、ぐす、と泣き出す寸前となっていた。
大好きなお父さん。嫉妬。
ショーンがそんなふうに思っていたことを知り、やはりジョンズワートは破顔した。
息子の気持ちを感じ取ることができず、申し訳ないことをした。
しかし、生まれてからの3年を離れて過ごしていた、あとからできた父親だというのに、そんなふうに思ってもらえることが、本当に嬉しくて。
ジョンズワートは、隣にいたカレンも驚く速さで息子に近づき、がばっと抱き上げた。
「ショーン! ごめんよ、下の子ばかり見て……! もちろん、ショーンのことも大好きだから! 変わらず愛しているよ!」
あまりの愛おしさに、ジョンズワートがショーンに頬ずりをする。
ジョンズワートは誓った。自分の子らは、平等に愛すると。
ショーンの「父親」としての自覚を、もっと持つと。
だって自分は、ショーンの大好きなお父さんなのだから!
急にテンションの上がった父に、息子もたじたじである。
「ちちうえ、やだ、やめて」
ジョンズワートの頬に手を置いてつっぱるショーンだが、その声は、完全に父を拒絶してはいなかった。
本当に嫌なら、もっと暴れるなり叩くなりするだろう。
しかし、そこまではしない。
ショーンだって、男の子として成長してきている。
だから、父とのスキンシップが少し恥ずかしいだけで、こうして抱き上げられ、愛されること自体は嫌ではないのだ。
じゃれあう夫と息子の姿を、カレンは愛おしそうに見守る。
もう少しの時が経てば、仲のいい父と息子が触れ合う場に、第二子も加わるのだろう。
カレンは、勘違い、思い込み、すれ違いを重ね、妊娠の可能性を隠してジョンズワートから逃げた過去を持つ。
ジョンズワートにも非はあったが、逃げ出したのはカレンだ。
父と子の時間を奪ってしまったことを、今も悔いている。
彼らがこうして「親子」になってくれたことは、カレンにとって本当に嬉しいことで、救いだった。
今があるのは、ジョンズワートがカレンを探すことを諦めなかったから。
ショーンのことを愛してくれたから。
ジョンズワートの頑張りのおかげで、こんなにも幸せな光景を見ることができる。
「……ありがとうございます、ワート様」
「……カレン?」
愛おしさから、カレンは背伸びをしてジョンズワートの頬にキスを落とす。
息子の前で、カレンがそういったことをするのは珍しい。
きょとんとしたジョンズワートだったが、愛情たっぷりにほほ笑む妻を見て、同じ表情を返す。
ショーンを片腕で支えながら、もう片方の腕ではカレンを抱きしめる。
やはりショーンからは抗議の声があがったが、ジョンズワートが妻子を放すことはなかった。
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