となりでねむらせて

樫野 珠代

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どこからか聞こえてくる話し声で意識を戻した。
「ん・・・」
一瞬、自分がどこにいるのか理解できず、起き上がろうとした時にその姿を見てようやく彼の部屋だということと昨日起こったことを思い出した。
私の体には、いくつかの赤い花びらが刻印されていた。
今、何時だろう・・・
辺りを見回し、傍にあった目覚まし時計を見てみると朝の7時。
え・・・7時!?
慌ててベッドから降り服を着ようと立ち上がると、内股からツツーっと流れ出てくるものがあった。
そうだ・・・昨日そのまま・・・
ちょうどその時、彼が部屋に入ってきた為、慌てて布団に戻らざるを得なかった。
「起きたのか・・・まだ寝てればよかったのに・・・」
彼が近づいてきて私の横のベッドの端に座り、キスを落とす。
彼はシャワーを浴びたのか、上半身裸の状態でふんわりと石鹸の香りがする。
「あ・・・えーっと・・・おはよう、ございます」
何を言えば良いのか、迷いながらようやく出た言葉がこれだった。
その瞬間、彼がくくっと笑い出した。
「香澄・・・おもしろすぎ・・・」
香澄・・・彼はまだそう呼んでくれた。
嬉しかった・・・
昨日の事が夢でないということだから・・・
けれど私にとっては、もうすぐそれが夢だと思わなければならない現実が待っている。
「と、とりあえず・・・シャワーを浴びたいんですけど・・・」
私の中から出てくるものを早く拭い去りたかった。
これ以上、彼のものを体の中に留めておくのは苦しくて辛かった。
「あぁ、そうだね。」
短い返事をした直後、彼は全裸の私をさっと抱きかかえ、バスルームへと向かった。
「え!?あ、だ、大丈夫です!!一人で歩けますって!」
私の抵抗も空しく、彼は私を浴室の中へと下ろすまで離してくれなかった。
「ドライヤーはそこにあるから好きに使って。」
そう言い残し、彼は出て行った。
ぽつんと狭い空間に残された私。
もう彼と離れなければ・・・
熱いシャワーを身体全体に浴びせ、先程までの行為を取り払うかのように何度も体を洗い流す。
体に残った刻印も本当は消してしまいたかった。
見るたびにきっと彼のことを考えてしまうだろう。
なによりも昨日の激しい一夜を思い出してしまうだろう。
馬鹿なことをしてしまったのではないだろうか。
もし彼女にバレてしまったら・・・
私のせいで二人が別れてしまったら・・・
他人を傷付けたくないのに、結果的に傷付ける事になった。
例え彼女に気付かれなくても、すでに私の中で彼女に対しての後ろめたさが渦巻いていた。
それを振り払うかのように、頭を左右に振る。





脱衣所へ下り立ち、バスタオルを手に取る。
ふとそこで気がついた。
そこにはバスローブしか置かれていなかった。
これを着ろと・・・?
選択の余地もなく、体の雫を拭き取り、それを羽織る。
軽くドライヤーをかけ、リビングに戻るとコーヒーの香りで充満していた。
ダイニングテーブルには、彼が作ったらしい朝食が準備されていた。
「そこに座って。」
彼はキッチンからそう投げかけ、私に微笑んだ。
仕方なく以前と同じ場所に座る。
そこではっと彼がまだこの部屋にいることに疑問をもった。
今日は金曜日、つまり平日で彼は社会人。ひょっとして・・・
「あの・・・お仕事・・・は?」
そう、時計の針はすでに8時を過ぎ、さらに時を刻んでいた。
「あぁ、休み。有給がたっぷり残ってるからね。会社にも連絡してOKもらった。」
なんでもないと言わんばかりに淡々とした答えが返ってきた。
起きた時の話し声は会社に連絡いれてたのか・・・
「ご、ごめんなさい!私が寝ちゃったせいで・・・。あの、すぐに失礼しますから!」
ぱっと立ち上がり、頭を下げた。
彼はくすくす笑いながら、二人分のコーヒーをテーブルに置き、目の前に席に座った。
「別に香澄のせいじゃない。ほら、座って」
「でも・・・本当にごめんなさい。」
「だから本当に違うんだって。とにかく座ってくれ。食事が冷めてしまう。」
そう言われてしまっては、大人しく座るしかなかった。
私が座ったのを見計らって、彼はコーヒーを口にした。
「管理人は来るのが9時だそうだ。まだ時間もある。ゆっくり食べよう。」
爽やかな笑顔で私を和ます。
そんな顔を見たら、別れが辛くなるじゃない・・・
それ以上彼の顔を見ることが出来ず、俯きながら目の前に置かれた食事を口にしていく。
それからは、ぽつりぽつりと会話をしながら朝食を飲み込んでいった。





食事も終わり片付けた後、時計を見ると9時までまだ時間が余っていた。
とりあえず服を着ようかな・・・
「そろそろ着替えますね。服は・・・」
いつの間にか近くに来ていた彼が私を後ろから抱きしめてきた。
「あの・・・」
彼は何も言わず、首筋にキスし、舌を這わせていく。
ぞくっとした震えが背中を伝う。
「ちょ、ちょっと待って・・・」
体をよじらせ、彼から離れようともがいた。
彼はさらに腕に力をいれ、身動きが取れないようにする。
力では圧倒的に敵わない。
彼の腕が徐々に下がってくる。
彼の左手がバスローブの合わせ目から侵入し、張り詰めた乳房を優しく包み込むと同時に右手がバスローブの紐を解き、ゆっくりとバスローブを開いていく。
左手から与えられる刺激と首筋を官能的に這い回る舌で、私の体から力が抜け始めてきた。
駄目・・・これ以上は・・・
心の中で警告している。
彼の手が流れるように私の体を撫でていく。
「あ・・・ぁ・・・・や・・・だめ・・・」
最後の力を振り絞って、彼の手の動きを止める。
彼は顔をあげ、私の顎に手を据えて自分の方へと向かせた。
間近に見る彼の顔はとても整っていて、見てるだけで吸い込まれそうになる。
「君をもっと味わいたい。」
そう言って、私の唇に彼のそれが被さってきた。
舌が口の中を愛撫する。
何度となく飲み込まれそうになりながらも、彼を受け入れてはいけないという強い意志を貫く。
彼が唇を離した瞬間、思いっきり彼を突き飛ばした。
「駄目です。もうこれ以上・・・お願い、苦しめないで・・・」
訴えるように言葉を掠めながら声を張り上げた。
開かれたバスローブを胸の前で寄せて、裸体を隠す。
彼は突然拒否された事に驚いていたが、私の言葉に違和感を感じ、眉間に皺を寄せた。
「香澄?」
彼が私の傍に近づいてきた。
咄嗟に彼と距離を取ろうと、後ずさる。
「来ないで・・・もう、無理です・・・」
首を振りながら、彼を近づけまいと拒絶する。
私の目からはすでに幾粒もの雫が零れ落ち、絨毯に吸い込まれていく。
彼は瞳の奥に悲しい影を落としながらも、一気に私の方へ歩み寄り腕を掴んだ。
「何が無理なんだ?何が苦しいんだ?」
彼は悲痛な声を私に浴びせた。
それでも私は言えない。
ひたすら彼に向かって首を振り続けるしかできなかった。
彼は私の涙を拭き取りながら、じっと私をみつめていた。
そして、悲しみを浮かべた瞳を私から逸らし、
「アイツか?・・・君の中ではアイツの存在はそんなに大事なのか?」
責めるような口調で問い掛けてきた。
そして私の肩をがしっと掴み、逃さない、とでも言うように私を見据えた。
掴まれた部分が悲鳴を上げ、私の顔も歪む。
何も言わない私に対し、さらに畳み掛けるように彼は言い放つ。
「だったら、だったらなぜ君は昨日、俺を受け入れた?なぜ拒絶しなかった?いくらでも出来ただろう?」
最後は呟くように小さな声で、私に訴えかける。
拒否できるわけ、ない・・・
私はあなたがこんなにも好きなんだから・・・
あなたと一つになれたことがどんなに嬉しかったか・・・
「はは・・・君は大した女だよ。好きでもない男と寝れるんだからな。そんな女だとは思わなかったよ!最低だ!」
その言葉を聞いた瞬間、私の中で何かが振り切れた。
さい、てい・・・?
私が?
「・・・どい・・・」
「・・・なんだよ」
「ひどすぎます!どうして私がそこまで言われなきゃいけないんですか?あなただって!あなただって最低なことしてるじゃないですか!」
もう自分を抑えることが出来なかった。
全てがもうどうでもよくなっていた。
いっそ、彼に嫌われた方が楽だわ。
そう思ったら、心に仕舞い込んでいた感情が一気に吹き出ていた。
「私は!好きでもない男となんて寝ないし、キスもしない!」
泣きながら、彼をキッと睨みつけた。
「え・・・。は?それ、どう・・・」
彼の言葉を遮り、私はさらに怒りを彼にぶつけた。
「あなただから・・・あなただから抱かれたの!なのにひどい!私が最低!?だったらあなたは何よ!二股なんて最低以外の何物でもないでしょ!しかも私が好き?って、彼女に申し訳ないとか、私に失礼だとか、思わないんですか!」
彼の胸を両手でドンドンっと叩き付けながら批難を浴びせた。
「ちょ・・・ちょっと待ってくれよ。何を言ってるんだ?俺にはさっぱり意味がわからないよ」
彼は私の肩を押さえ込み、落ち着かせようとした。
しかし一度膨れ上がった感情は、止められない。
「意味がわからないのは私のほうです!彼女、ミユキさんでしたっけ?その人と一緒に暮らしてるのに、どうして私を好きだって言えるんです?その神経を疑っちゃいます!どうせ私が居なくなっても、今までと変わりなくここで彼女を抱くんでしょ?昨日どうして引越すのか私に訊いてましたよね?ついでだから言いますけど、あなた達のセックスしてる声が私の部屋まで聞こえてくるんです!そんなの、聴きたいわけないじゃないですか!しかも相手は好きな人なのに・・・余計に惨めじゃないですか!だから引越するんです!」
そう言って彼を跳ね除けて、彼から顔を背け、自分の体を抱きしめた。
彼は私の話す間、眉を吊り上げながらじっと耳を傾けていた。
沈黙が二人の間に流れた。
すると突然、彼はクっと笑い、私の両手を掴み、自分のそれと重ねた。
「香澄・・・俺達はもっと話をするべきだったね。そうすれば君もきっともっと早く楽になれたはずだ。それに君があんな感情を溜め込んでたなんて知らなかったよ。あとさ・・・何よりも今、一番聞きたいことがある。」
両手で私の頬を挟み、自分の方へ向けた。
優しく包まれた頬が熱い。
彼はなぜこんなにも落ち着いていられるんだろう・・・
私はまだ彼のことを割り切れないでいるのに。
それとも彼の中ではとっくに私のことは割り切ってたとか・・・?
考えたくないけど、そうなのかもしれない。
結局、私の独り善がりだったのか・・・
「なぁ香澄。何も周りに囚われない状態で考えて欲しい。俺のことをどう思ってるのか」
彼の質問の真意が掴めない。
今更、何が言いたいのだろう。
私の気持ちを知ってどうするの?
あなたには彼女がいるじゃない。
もう苦しめないでよ・・・
私の心を読んでいるかのように彼はもう一度、私に尋ねた。
「お願いだ。俺に対する君の正直な気持ちを教えて欲しい。他のことは考えずに。ただ俺だけを見つめて」
彼は、こっちが切なくなるほどの表情で見つめてきた。
「私は・・・」
それまで言って躊躇した。
言ってもいいのだろうか、はっきりと自分の気持ちを。
「香澄、言って」
「私は・・・好き。あなたのこと・・・好きよ、とっても。だけど・・・」
最後まで言えなかった、彼がキスしてきたから。
すぐに唇が離れ、彼は嬉しそうに微笑んでいた。
「それだけ聞けばもう充分だ。香澄、もう離さないから」
そう言って、一気に私のバスローブを引き下ろした。
「きゃっ!な、何・・・」
私が唖然となっている間に、彼は軽々と私を抱き上げ、寝室へと移動し、ベッドの上に私をドサッと降ろした。
「え?な、何するの?まさか・・・」
驚愕の眼差しで彼を見上げると、彼はニヤッと妖しい笑みを浮かべて、私に覆い被さってきた。
「まさかじゃなくても、君をたっぷりと愛してやろうと考えてますが、なにか?」
「じょ、冗談はやめて!さっきも言ったでしょ?私は・・・」
「はいはい、ちょっとおしゃべりが過ぎるからその口を塞ごうかな。」
彼の唇が私のそれに触れた。
彼の舌が唇を這い、そして口の中に侵入してきた。
口の中を執拗に愛撫され、とろとろになってきた。
私が大人しくなると彼の舌が私の体の上を這う。
「はぁ・・・ん・・・だ、め・・・」
彼は口で私の敏感な部分をたっぷりと愛撫した。
私の中に指を侵入させながら、突起を舌でレロレロと舐め捲った。
「あぁ・・・・」
快感で私の表情も歪む。
その後も彼は私の膣へ片方の手の指を入れたまま、突起を優しく刺激し続けた。
「ぅあ・・・んあぁぁ・・・・あ、あ、んあぁぁ、ダメ、い・・・くぅ・・・あ、や・・・あぁぁぁ!」
官能に体をブルブルと震わせながら叫んでいた。
私がいったのを確認して、彼は私を抱きしめた。
「気持ちよかった?」
「はぁ、はぁ、・・・ん・・・」
息を切らせながら、軽く頷く。
彼は服を脱ぎ捨てると私の顎を手で支え、キスで攻めてくる。
「んぅ・・・」
身体中に甘い余韻が残っている中でのキスは、快感を膨らませる余韻になった。
彼はキスをしたまま、私の中へ一気に突き入れた。
「はぅっ!あぁぁ・・・んぁ・・・」
彼はゆっくりと動かし始めた。
「香澄・・・好きだ」
耳元で囁きながら、肉棒を出し入れする。
身体中が熱くなり、溶けてしまいそうな感じになる。
「ハぅ・・・あぁ・・・んんっ・・・あんっ・・・」
抑えることを忘れた官能に溺れる声が徐々に大きくなっていく。
「かわいい声だ。もっと感じて。」
彼は動きを早くする。
「や・・・ん・・・あああん・・・」
開いた脚の間からたくさんの愛液が溢れ、彼の固いものを滑らせていく。
体の奥まで彼の振動が伝わってくる。
それは快感の波を作り、高ぶらせ、全身に響いていく。
彼がこれ以上入らないところまで強く突き立ててきた。
「いぃ・・・あぁぁ・・・はぅぅん・・・んんぁぁ・・・」
気持ちよすぎてどうにかなりそうだった。
彼の汗が私の体に降り注ぐ。
強く出し入れをしながら、彼は私にキスをした。
容赦なく、野生と化した彼は自分の猛りを私の膣を突き立てる。
「あぁ、また・・・い、くぅ・・・あ、あぁ、章吾ぉ・・・あぁぁぁぁん!!」
身体中が震えた瞬間、彼も最後の一突きを私の最奥へと攻め入れ、勢いよく射精した。
私は抱きしめられ、彼を受けとめた。
裸で繋がったまま、彼がキスしてくる。
「香澄・・・すごく気持ちいい。ヤバいな。収まりが効かない。」
肩で息をしながら彼は私に笑顔をむけた。
また・・・してしまった・・・
流されてしまった私が悪いんだけど・・・
そして気がつく、彼の手がもぞもぞと再び動き出している事に。
「え・・・ちょ・・・ちょっとやだ・・・」
「無理。もう止められない。」
私の中で再び彼の肉棒が大きくなっていくのがわかった。
「香澄・・・離さないから・・・」
そして、その言葉どおり私が意識を飛ばすまで彼は私を離さなかった。

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