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第7章

掛け違えたボタンたち⑨ ~急襲、マネージャーすみれ~

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 時間は13時30分過ぎ。昼休憩を終えて軽めのアップを済ませたところで、練習試合第3戦目が始まっていた。

「基本はディフェンスからだぞ!気合いを見せろ一年!」

「大和と中林を中心にして焦らずゲームを組み立てていけば大丈夫だぞ!大城も小柳も緊張しないでデビュー戦を楽しめよ!」

「みんな~がんばって~。カッコいいところ見せてよ!」

 第2試合でスタミナ切れしたこともあり二郎はこの試合ベンチスタートとなっていた。そして二郎が第3試合で使えないことを知った大和はこの試合を一年中心のメンバーで戦い、攻守に渡り負担の大きかった主力の尊と一も体力回復させて、最後の第4試合にフルメンバーで勝ちに行くという作戦を立てたのであった。それを知った桃李サイドも主力は温存し一年中心のチーム編成として、二年1人と一年4人ずつがスタメンの即席の新人戦となっていた。

 そんな事情もあって二郎は控えメンバーがベンチとして使うパイプ椅子に座りながら、同じく横並びに座る一や尊達に順々に目線を流し自分の隣の人物に目を止めて顔を引きつらせてつぶやいた。

「・・・・てか、どうしてお前がここにおるん?」

「何?なんか言ったかな?私がいちゃダメなの?」

 二郎が状況を飲み込めないといった表情で言葉を掛けた相手は当たり前のように学校指定のジャージに着替えて長年バスケ部でマネージャーをしていたかのようにベンチに陣取るすみれだった。午後の試合が始まる少し前に桃李高校に到着したすみれは、部員が少なくて大変だという一の言葉を聞いたからなのか、マネージャーとしてベンチ内の補佐をする代わりに一の活躍する姿が近くで見られるようにベンチに入れて欲しいと尊に懇願し見事口説き落とすことに成功したのであった。   

また琴吹バスケ部顧問の小原も公式戦ではないし、自分自身も女子バスケ部に付きっきりで男バスを放置している手前、すみれがベンチに入るのもマネージャーの手伝いをしてくれるなら問題無いと許可を出したのであった。

 そんな裏取引など知らない二郎は何故か平然と自分の隣で試合に出ている一年達に声援を送っているすみれに本気のダメ出しを言った。

「いや、ダメだろ、普通に考えて。部外者がどうして当たり前のようにベンチに座ってんだよ。おい、一、いくら彼女だからってこれはいかんだろう?尊もどうしてこの状況で平然としてんだよ!」

「別に二郎君には関係ないでしょ、べ~ッだ!」

「まぁそう言うなよ、二郎。すーみんは部員が少ない俺らを心配して手伝いに来てくれたんだって。そうだろ?」

「うん、その通り!何でもやるから遠慮せず言ってね、一君、それと中田君も」

 満面の笑みで声を掛けるすみれに圧倒されつつも若干ハニかみながら尊が言った。

「お、おう、ありがとうな、橋本さん。ウチは部員も少ないし女手があると助かるよ」

「そんなことないよ。私のわがままを聞いてくれてありがとうね、中田君」

 一年の時に同じクラスだった二人は二郎や一が思って居る以上に友好的な関係だったせいか、尊は思いの外あっさりとすみれの提案を受け入れていた。
 
 それを見て居た一が改めて二郎に説明するように言った。

「まぁ尊も了承しているし、あと小原先生も練習試合だから気にせず自由にして良いって言ってくれているから問題は無いんだわ。という事で二郎も心配せず試合の応援に集中してくれて良いぞ!」 

「おう、そうか。なら大丈夫かってならんだろう!どうすんだこれ?」

「まぁまぁ、今はとりあいず大和達を応援しようや、なぁ二郎。よーし、じっくりパス回ししていけよ!」

 そう言いながらも二郎に含みをもった視線を送った一はコートに視線を向け会話を終わらせるのであった。

「おいおい。・・・マジかよ」

 二郎が取り乱すのも当然だった。なぜなら例のダブルブッキング以降、二郎は忍だけでなくすみれとも口をきいておらず、二郎としては四葉、レベッカ、忍と並び謝らなきゃいけない人物リストの一人だからだった。もちろん、二郎としても早いところ謝罪の機会を得たいと思っており、一からもこの日午後からすみれが応援に来るという話しは聞いてはいたが、それがまさかこう言った状態での接触になるとは思ってもみなかったため、内心かなりの動揺をしていた。

 現在、4人はコートの中央から外側に向かって尊、一、すみれ、二郎の順に座っており、突発的に始まった二郎とすみれの会話も一度途切れてしまえば、今まで絶縁状態だった二人が再び会話をするには分厚い壁がそこにはあるように感じられた。

 二郎は一が送った無言のメッセージを正しく理解していた。つまりそれは二郎がすみれに謝るためのお膳立てとして一がこの状況を作ったという事だった。今現在、体育館の中では男女ともにバスケの試合を行っており、雑音が多い状況で隣同士の二人が多少雑談をしていても誰も気付かないし、改まった状況で謝罪をするよりも話しがしやすい状況が作られていることをすみれも理解していた。そのため、すみれもわざと二郎と隣の席に座ったわけで後は二郎がすみれに声を掛けさえすれば和解が成立する状況になっていた。

 ところが、心の準備が整っていない二郎はこんな状況においてもなかなかすみれに声を掛けることが出来ずに居た。そんな焦れる状況にすみれがしびれを切らせヘタレの二郎に喝を入れようとしたとき、最初の10分間である第1クォーターが終了する笛が鳴った。

「ピーッ!」

「よし!上々だぞ」

「ナイスゲーム!しっかり体動いてたぞ」

 笛の音と共に聞こえてきた尊と一の声に反応したすみれは二郎から意識を外して席から立ち上がると戻ってくる5人を迎え入れてタオルを渡したり、飲み物を渡したりとテキパキとマネージャーの仕事をこなしてみせた。

「お疲れさま~。はい、これタオルとポカリだよ。次もこの調子で頑張ってね!」

すると一年達も汗臭い男子からではなく、美人の先輩女子からの差し入れに頬を赤らめてテンション高く声を上げた

「ありがとうございます。姉さん。やっぱり女子マネージャーが居るとベンチが明るいですね」

「すれみの姉御。次の試合の時も是非マネージャーやって下さい」

「すみれ先輩みたいな彼女がいるなんて一ノ瀬先輩が羨ましいですよ」

 そんな一年たちの言葉をまんざらでもない表情ですみれが答えた。

「これくらい大したことないし、そんなに褒めたって何も出やしないわよ。でも、可愛い後輩君達で良かったわ。帰りにアイスでも買ってあげようかしら、ねぇ一君」

「ハハハ、すーみんもすっかりご満悦みたいで良かったよ。部活のマネージャーってのもなかなか体験できないし、これは良い選択だったみたいだな」

 部員、すみれ双方の上機嫌の顔を見て一安心する一は、その一方で未だすみれに謝罪できずにいる二郎にこっそり耳打ちをした。

「おい、二郎。ここまでアシストしてやったんだから、早いところすーみんに謝ってしまえよ。すーみんもそれが分かっていてお前の隣に座ってくれているんだから、ちょっとは空気を読め。このあと忍にも謝るならこれくらいでビビっていたたら本番でしくじるぞ、アホ!」

「わ、わかってるわ」

 一に尻を叩かれた二郎は大きく息を吸い込んでようやくすみれに声を掛ける決心が付いたようだった。

 そうこうしているうちに2分休憩が終わり、大和を含めた一年達が再びコートに戻り第2クォーターが開始され再び二郎達はベンチに戻り応援を始めていた。

 二郎は隣に座るすみれを見て素直に声をかけよとしたところで、不意に先程一年達が言った言葉が頭に過り、思わず薄ら笑いを浮かべながら独り言を漏らしていた。

「ふふふ、姉御ってどこの極道の女だよ、まったく」

 その言葉に反応したすみれは目を尖らせて二郎に噛みついた。

「何か言ったかな、二郎君?」

「え?今俺なんか言ったか?」

「何をしらばっくれているのよ、人を極道呼ばわりしておいて」

「マジか。無意識に口にしていたみたいだわ、ごめん。さっきの会話で一年達がすみれを姉さんとか姉御とかと言っているのがなんか面白くて、それをつい思い出してしまって」

 慌てて謝る二郎を見て、悪気はないと判断したすみれは表情を緩めながらも呆れたように口を膨らませた。

「もう、バカな事ばかり言って。本当にしょうが無いな、二郎君は」

 予想だにしていなかった切り口ではあったが、何とかすみれとの会話に漕ぎ着けた二郎はここがチャンスと覚悟を決めて言った。

「すみれよ。その、あの時はすまなかった。色々と気を回してくれていたのに全部ぶち壊すようなことをして本当にゴメン。どうか許して欲しい」

 二郎は四葉や忍に謝罪を切り出すときにあれこれと小細工をして失敗に終わった経験を生かして、シンプルにハッキリと謝ることが一番だと考えて素直に頭を下げながら、すみれに許しを請うた。

 その思いの外潔い二郎の謝罪にすみれも無意識の内に入っていた肩の力を抜いて答えた。

「あーもう分かったから頭を上げてよ。もう私もそんな怒ってないし、あの時はあぁせざるを得なかったんでしょ。本当に不器用な人だよ、二郎君は」

 なんとか誠意が伝わったと感じた二郎が頭を上げてすみれを見ると、それでもまだ言い足りない様子のすみれが口を尖らせながら言った。

「もうさ、今更言っても仕方が無いことかも知れないけどさ。どうして私に相談してくれなかったのかな。当事者の結城さんとかレベッカちゃん、それと忍には言いづらいことだったかも知れないけど第三者の私とか一君に一言言ってくれれば、どうにかして予定をずらすことも出来たかも知れないし、何か別の方法だって思いついたかも知れなかったんだよ。私はダブルデートをぶち壊された事よりも私らを信頼して相談してくれなかったことの方がショックだったんだよ」

「すみれ・・・」

「二郎君はどうか知らないけど、一君と付き合い始めて、それで二郎君とも二学期に入ってから色々あって、勇次君の事とかで助けてもらって、何だかんだで仲良くなれたって思っていたのに、二郎君が困っていた時に何も言ってくれなくて、頼ってくれなくて、凄く凄く、ムカついたんだから!その後、忍との関係がギクシャクしたときだって一声私に声を掛けてくれれば、間を取り持ってあげようと思っていたのに全然会いに来ないしさ。本当に友達甲斐のない男だよね、二郎君は」

 これまで溜め込んでいた不満を小声ながらもぶちまけていくすみれにビビりつつも、反省する二郎は改めて頭を下げて謝った。

「本当にごめん。一やすみれを信頼していないわけじゃなかったんだが、あの時はテンパっちまって自分でどうにかしなければって思ってしまって、誰かに相談するって頭が回らなくてよ。マジでゴメン」

「まったく優柔不断な二郎君らしいわ。まぁ私はもう言いたいことは言ったし、もう私は怒ってないけど、わかっているの?私なんかでもこれだけムカついたし、ショックだったんだから、私なんかよりも100倍ムカついて、怒って、ショックを受けた人間がいるって事は理解しているのよね?」

 すみれが誰のことを言っているのか理解した二郎は神妙な面持ちで返事をした。

「あぁわかっているさ。いい加減ちゃんとするからまぁ見ていてくれや」

「・・・・そう」

 二郎の言葉に短く返事をしたすみれは二郎が考えていることを察して目を曇らせた。

 すみれは二郎が忍の事を好きだと認識したことを今この時も知らないままだった。そのためすみれは二郎が忍との事を友達以上恋人未満の関係を望んでおり、二郎がちゃんとすると言ったのは、忍の気持ちを受け止めるも付き合うつもりはないと言うモノだと思っていた。すみれがそう思うのも当然だった。なぜなら、あのダブルデートの際に二郎が見せた態度は誰がどう考えても忍に好意を寄せている男が取る行動ではなく、あくまで友人の一人として忍を見ているものだとすみれに思わせたからだった。実際にあの時点では二郎本人も自分の気持ちを理解しておらず、忍に対しては何かと気になるが仲の良い女友達としか考えていなかったため、すみれが勘違いするのは必然だった。

 そんな絶望的な状況下において、忍の親友としてどうにか忍を元気にさせて、あわよくば二郎との関係も好転させるための方法を考えていたすみれは忍にある助言をしたのだった。

 それは【押してもダメなら引いてみろ作戦】だった。すみれが忍に助言した事は全部で3つあった。まず1つに今まで積極的に二郎に関わっていたことを自重すること。次に二郎の事を意識しすぎないで以前のように友達として見ること。最後に他の男子にも目を向けること。また告白されたり、アプローチを掛けられたりしたら思いきってその男子と付き合ってみる事。その3つを実行することで、これまでの近すぎてなおざりになっていた二人の関係に距離を持たせて二郎に忍の存在を意識させて、凝り固まった二人の関係を一変させようと忍に授けたすみれ渾身の作戦だった。

 そのことを考えていたすみれはこのあと忍が二郎に取る行動が予想できるが故に、おそらく今二郎が思い描いている以前の様な仲の良い二人の関係にはまだしばらく戻れないことを察してどこか心をモヤモヤとさせながら二郎との和解を終えるのであった。

 そんなこと知らない二郎はなんとかすみれとの和解を成功させたとホッとした表情ですみれの隣に座る一に目線を向け無言で感謝を伝えると、来たるべく忍への謝罪に向けて気合いを入れるのであった。
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