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第4章
人の噂も七十五日⑦ ~二度寝の正しい起こし方~
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週末の土曜日早朝。二郎は寝ぼけた顔とボサボサの頭をかきながら、喉の渇きを潤すように麦茶を一気に流し込んだ。おもむろにつけたテレビの中のめざましくんが知らせる時間は6時31分だった。
時間を確認し再び持っていたリモコンの電源ボタンを押した二郎は小さくつぶやいた。
「また寝るか」
普段長い通学時間の関係で普通の学生以上に朝の早起きを強いられている二郎は休日だけは意地でも惰眠を貪ろうと自室に戻りベッドに潜り込んだ。
それから2時間ほど経った8時半過ぎ、二郎がいびきをかきながら気持ちよさそうに寝ているところで、目覚ましのアラームとは異なる着信音がなった。
(・・・・あぁ、うるせーな、朝っぱらから。とりあいず放置でいいだろ)
そのうち静かになるだろうと無視を決め込む二郎であったが、二分以上経っても止まないやかましい携帯をベッドからイヤイヤ這い出て手に取ると、思い当たる着信の主に対して開口一番怒鳴りつけた。
「朝からなんなんだよ、一!!こっちが気持ち良く二度寝しているところにうるせったらないぞ!!」
「・・・・・・・・・」
「おーい、聞いてんのか。一、おーい」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「おーい、おーい・・・・・あんにゃろう」
二郎が一向に応答のない電話先に一人でぶつぶつ言っているところで、ようやく電話先から声が聞こえてきた。
「おう、起きたか二郎。ちょっとトイレ入っていたわ。意外とお前が早く起きたせいでゆっくり小便もできなかったぞ。後2,3分は寝ていても良かったんだぞ」
一は全く悪びれることもなく、むしろ二郎が早く電話に出たことを不満そうに言ってのけた。
「あのな、お前が電話を掛けてきたんだよな。どこの世界に電話を掛けた後にトイレに行く奴がいるんだよ、このクソッタレが!・・・全く何の用だよ」
二郎が頭を抱えながら捨て台詞を言っていると、一はさらなる冗談をかぶせながら電話の目的を話した。
「だから、お前が早く起きたせいでクソをする時間も無かったんだぞ。まぁそれはいいや。今日は部活には行くのか。俺たちは13時からだけど、女バスは午前からやっていて忍が暇なら男子も来て練習に参加して欲しいって言っていただろ。俺は午前に予定無いし、家にいてもやることないしさ。今から準備して行けば10時半頃には着けるだろうし二郎も行かないか」
「わざわざ休みの日に予定外の部活に行くことないだろう。それに月曜日からずっと忍が機嫌悪くて面倒くさいし俺は午後から普通に参加するよ」
「そうか。それなら仕方無いか。多分尊も来るだろうし俺は行くとするわ。あぁそうだ、二郎、そろそろ忍と仲直りしろよ。何があったかは聞かないけど、面倒な噂が流れているみたいだし、忍も忍でどうしたら良いか悩んでそうだったし、たまにはお前から声かけてやれや」
一は自分の事は棚に上げて、二人の関係を心配するように二郎に声を掛けた。
「別に俺は普通なんだがな。それに噂がどうこうってなら俺よりお前の方が面倒だろ。俺みたいな存在感のないモブキャラに比べて、有名人の一の噂は簡単には消えないぞ。まぁ情報源だけはある程度目星が付いたから、来週には潰そうかと思うけど1度広まった噂はなかなか消すことは出来ないから時間がかかると思うわ。申し訳ないけどもう少し我慢してくれ」
あたかも噂の原因が自分であるかのように話す二郎に一は釈然しない様子で切り返した。
「何を言ってんだよ。お前も立派な被害者の一人だろう。何でお前が謝る必要があるんだ。100%悪いのは迷惑な噂を流した奴じゃんか」
「それはそうかもしれないが、少し思うところがあってよ。まぁ色々解決したら今度説明するわ。ほんじゃ、部活でな」
一が返事をするかどうかと言う間に二郎は携帯を一方的に切って会話が終了した。
「何だよ、アイツ。何かあったのか」
一は若干のモヤモヤを残したまま部活へ行く準備をさっと済まし、気持ちの良い秋晴れの中、自転車に乗って最寄りの小作駅に向かうのであった。
時間を確認し再び持っていたリモコンの電源ボタンを押した二郎は小さくつぶやいた。
「また寝るか」
普段長い通学時間の関係で普通の学生以上に朝の早起きを強いられている二郎は休日だけは意地でも惰眠を貪ろうと自室に戻りベッドに潜り込んだ。
それから2時間ほど経った8時半過ぎ、二郎がいびきをかきながら気持ちよさそうに寝ているところで、目覚ましのアラームとは異なる着信音がなった。
(・・・・あぁ、うるせーな、朝っぱらから。とりあいず放置でいいだろ)
そのうち静かになるだろうと無視を決め込む二郎であったが、二分以上経っても止まないやかましい携帯をベッドからイヤイヤ這い出て手に取ると、思い当たる着信の主に対して開口一番怒鳴りつけた。
「朝からなんなんだよ、一!!こっちが気持ち良く二度寝しているところにうるせったらないぞ!!」
「・・・・・・・・・」
「おーい、聞いてんのか。一、おーい」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「おーい、おーい・・・・・あんにゃろう」
二郎が一向に応答のない電話先に一人でぶつぶつ言っているところで、ようやく電話先から声が聞こえてきた。
「おう、起きたか二郎。ちょっとトイレ入っていたわ。意外とお前が早く起きたせいでゆっくり小便もできなかったぞ。後2,3分は寝ていても良かったんだぞ」
一は全く悪びれることもなく、むしろ二郎が早く電話に出たことを不満そうに言ってのけた。
「あのな、お前が電話を掛けてきたんだよな。どこの世界に電話を掛けた後にトイレに行く奴がいるんだよ、このクソッタレが!・・・全く何の用だよ」
二郎が頭を抱えながら捨て台詞を言っていると、一はさらなる冗談をかぶせながら電話の目的を話した。
「だから、お前が早く起きたせいでクソをする時間も無かったんだぞ。まぁそれはいいや。今日は部活には行くのか。俺たちは13時からだけど、女バスは午前からやっていて忍が暇なら男子も来て練習に参加して欲しいって言っていただろ。俺は午前に予定無いし、家にいてもやることないしさ。今から準備して行けば10時半頃には着けるだろうし二郎も行かないか」
「わざわざ休みの日に予定外の部活に行くことないだろう。それに月曜日からずっと忍が機嫌悪くて面倒くさいし俺は午後から普通に参加するよ」
「そうか。それなら仕方無いか。多分尊も来るだろうし俺は行くとするわ。あぁそうだ、二郎、そろそろ忍と仲直りしろよ。何があったかは聞かないけど、面倒な噂が流れているみたいだし、忍も忍でどうしたら良いか悩んでそうだったし、たまにはお前から声かけてやれや」
一は自分の事は棚に上げて、二人の関係を心配するように二郎に声を掛けた。
「別に俺は普通なんだがな。それに噂がどうこうってなら俺よりお前の方が面倒だろ。俺みたいな存在感のないモブキャラに比べて、有名人の一の噂は簡単には消えないぞ。まぁ情報源だけはある程度目星が付いたから、来週には潰そうかと思うけど1度広まった噂はなかなか消すことは出来ないから時間がかかると思うわ。申し訳ないけどもう少し我慢してくれ」
あたかも噂の原因が自分であるかのように話す二郎に一は釈然しない様子で切り返した。
「何を言ってんだよ。お前も立派な被害者の一人だろう。何でお前が謝る必要があるんだ。100%悪いのは迷惑な噂を流した奴じゃんか」
「それはそうかもしれないが、少し思うところがあってよ。まぁ色々解決したら今度説明するわ。ほんじゃ、部活でな」
一が返事をするかどうかと言う間に二郎は携帯を一方的に切って会話が終了した。
「何だよ、アイツ。何かあったのか」
一は若干のモヤモヤを残したまま部活へ行く準備をさっと済まし、気持ちの良い秋晴れの中、自転車に乗って最寄りの小作駅に向かうのであった。
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