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第3章 番外編
凜と二郎の不思議な関係 出会いの中学編④ ~推測と遭遇~
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次の日も当然3年の各クラスでは何事もなく、平凡な朝を迎えていた。もちろん二郎が、3人が帰った後に黒板を綺麗さっぱり掃除していたからだ。
この二度の失敗から純は一つの回答にたどり着いた。
「多分誰かが俺らのやっていることに気づいて誰にも知らせずに消しているな。たぶん二階堂のクラスの奴じゃなくて別の誰かがいると思うわ」
「誰かって先生かな。それだとやばくない私ら」
「いや、先生ならとっくに問題になっているし、直接やめるように言ってくるだろ普通。多分誰か二階堂のために動いている生徒がいるんだよ。それか本人が消しているかどちらかだわ。じゃないとおかしいだろう。騒ぎも起きないし、犯人捜しもしないし。騒ぎを大きくしたくない誰かが隠れてやっているはずだ」
「そんなこと誰がするって言うのよ。何のためにいつ起こるか分からない嫌がらせを防ぐため放課後わざわざ学校に残っているわけ。どんだけ暇なのよそいつは」
千和子は純の言葉を聞いても、実際にそんな行動を取る生徒がいることを疑わずにはいられなかった。当然である。普通に考えてそんな異常な行動を取る意味は普通の生徒にはなく、授業が終われば部活をしたり、友達と遊ぶことが普通の中学生の放課後の過ごし方だからだ。もちろん、習い事や勉強をする生徒もいるがいずれにせよ放課後の校舎に残るという選択肢は普通の女子中学生徒の千和子には考えられなかった。
「まぁそんなことする頭のおかしい奴は流石にいないだろうから、二階堂に惚れている野郎か、女友達の誰かが偶然一昨日の黒板を見て、昨日も心配で見に来たってところじゃんか」
「あんな奴のために女友達は動かないでしょ。女子達も心の底では嫌っているに決まってるわ。そう考えるとあの女に惚れているバカな男子が濃厚かな。部活に入っている奴が部活終わりに来て消してるんじゃないの」
「でも、どうやって俺らがこれを書いているのを知ったんだろな。部活やっている連中ならこの時間は普通教室にはいないし、わざわざ部活終わりに教室に来ないだろ」
「偶然忘れ物でもして教室に来たときに発見した可能性はあるんじゃない」
純と千和子はこれまでの経緯から考えられる可能性を順々に話していたが、どうしても合点がいかなかった。しばらくして純は悩んだ末にリスク覚悟で再度実行する事を選択した。
「どちらにせよ、こんなこと何度もやっていられないぜ。次が最後だ。明日、二階堂のクラスだけに書いてすぐには帰らずにどこかで待機しよう。それで時間を見て消されてないか確認しよう。もし消されていたらもう一度書けばいい。そうすれば邪魔をくぐり抜ける事が出来るはずだ」
「分かったわ。やるからには最後までやってやるわ」
もはや凜への嫌がらせのためなのか、妨害をくぐり抜けたいがためなのかよく分からない純の意地が二郎の裏をかくこととなった。
いつも通り放課後の4時過ぎから凜のクラスである3年3組にだけ凜の悪い噂など悪口を黒板に書いた純と千和子は一度図書館へ移動し時間が過ぎるのを待った。その後二人は4時30分を過ぎる頃に再び教室へ戻ろうとしたときに、一人の冴えない男子生徒と階段ですれ違った。
その見るからに友人も居ないであろう陰気くさそうな男子生徒は二人を見向きもせずにスタスタと階段を降りていき、2年の教室のあるフロアへ歩いていった。
一方、純と千和子は二郎の行く先を訝しむように見つめて、姿を消したところで純が声を掛けた。
「あんな奴3年にいたか」
「知らない、見たことないわ。多分2年でしょ」
「何で2年が3年の教室のある3階から降りてくるんだ」
「そりゃ教室に戻ってみれば分かるんじゃないの」
純の疑問に当たり前の事を言うように千和子は答えて、二人は駆け足で3年3組へ向かったところ黒板はさっぱり綺麗に掃除されていた。
「あの2年が消してやがったのか。でも何であいつが」
純と千和子は疑問を持ちつつもようやく邪魔を出し抜いたと思いここぞとばかりに罵詈雑言で黒板を埋め尽くし、意気揚々と学校を後にした。
この二度の失敗から純は一つの回答にたどり着いた。
「多分誰かが俺らのやっていることに気づいて誰にも知らせずに消しているな。たぶん二階堂のクラスの奴じゃなくて別の誰かがいると思うわ」
「誰かって先生かな。それだとやばくない私ら」
「いや、先生ならとっくに問題になっているし、直接やめるように言ってくるだろ普通。多分誰か二階堂のために動いている生徒がいるんだよ。それか本人が消しているかどちらかだわ。じゃないとおかしいだろう。騒ぎも起きないし、犯人捜しもしないし。騒ぎを大きくしたくない誰かが隠れてやっているはずだ」
「そんなこと誰がするって言うのよ。何のためにいつ起こるか分からない嫌がらせを防ぐため放課後わざわざ学校に残っているわけ。どんだけ暇なのよそいつは」
千和子は純の言葉を聞いても、実際にそんな行動を取る生徒がいることを疑わずにはいられなかった。当然である。普通に考えてそんな異常な行動を取る意味は普通の生徒にはなく、授業が終われば部活をしたり、友達と遊ぶことが普通の中学生の放課後の過ごし方だからだ。もちろん、習い事や勉強をする生徒もいるがいずれにせよ放課後の校舎に残るという選択肢は普通の女子中学生徒の千和子には考えられなかった。
「まぁそんなことする頭のおかしい奴は流石にいないだろうから、二階堂に惚れている野郎か、女友達の誰かが偶然一昨日の黒板を見て、昨日も心配で見に来たってところじゃんか」
「あんな奴のために女友達は動かないでしょ。女子達も心の底では嫌っているに決まってるわ。そう考えるとあの女に惚れているバカな男子が濃厚かな。部活に入っている奴が部活終わりに来て消してるんじゃないの」
「でも、どうやって俺らがこれを書いているのを知ったんだろな。部活やっている連中ならこの時間は普通教室にはいないし、わざわざ部活終わりに教室に来ないだろ」
「偶然忘れ物でもして教室に来たときに発見した可能性はあるんじゃない」
純と千和子はこれまでの経緯から考えられる可能性を順々に話していたが、どうしても合点がいかなかった。しばらくして純は悩んだ末にリスク覚悟で再度実行する事を選択した。
「どちらにせよ、こんなこと何度もやっていられないぜ。次が最後だ。明日、二階堂のクラスだけに書いてすぐには帰らずにどこかで待機しよう。それで時間を見て消されてないか確認しよう。もし消されていたらもう一度書けばいい。そうすれば邪魔をくぐり抜ける事が出来るはずだ」
「分かったわ。やるからには最後までやってやるわ」
もはや凜への嫌がらせのためなのか、妨害をくぐり抜けたいがためなのかよく分からない純の意地が二郎の裏をかくこととなった。
いつも通り放課後の4時過ぎから凜のクラスである3年3組にだけ凜の悪い噂など悪口を黒板に書いた純と千和子は一度図書館へ移動し時間が過ぎるのを待った。その後二人は4時30分を過ぎる頃に再び教室へ戻ろうとしたときに、一人の冴えない男子生徒と階段ですれ違った。
その見るからに友人も居ないであろう陰気くさそうな男子生徒は二人を見向きもせずにスタスタと階段を降りていき、2年の教室のあるフロアへ歩いていった。
一方、純と千和子は二郎の行く先を訝しむように見つめて、姿を消したところで純が声を掛けた。
「あんな奴3年にいたか」
「知らない、見たことないわ。多分2年でしょ」
「何で2年が3年の教室のある3階から降りてくるんだ」
「そりゃ教室に戻ってみれば分かるんじゃないの」
純の疑問に当たり前の事を言うように千和子は答えて、二人は駆け足で3年3組へ向かったところ黒板はさっぱり綺麗に掃除されていた。
「あの2年が消してやがったのか。でも何であいつが」
純と千和子は疑問を持ちつつもようやく邪魔を出し抜いたと思いここぞとばかりに罵詈雑言で黒板を埋め尽くし、意気揚々と学校を後にした。
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