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第五話
一応拘束してみた<Ⅹ>
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「主様動かないで!」
「分かった」
そもそも未だアティウラが抱きついたままなので動くに動けないんだけどね。
光る角の周りに周囲の石が吸い寄せられるように集まっていき、それは巨大な球体状へとなっていく。
「あれをぶつけるつもりなのか?」
あれって、ただの石つぶてなんて可愛いものじゃないだろ。
「アティウラ、セレーネもっと身を低くして!」
ばーんっ!!
そう言った瞬間、強烈な破裂音がした。
球体に集めた石はまるでショットガンか榴弾のように爆発四散した。
「うわ!?」
どすーん!
それらは目に見えないほどの速さでそこら中に飛び散り、デルが造った魔法の石壁すら破壊した。
「まじか!?」
驚いて見ている俺の頭を掴んで無理矢理屈ませるアティウラ。
「うわ、危なっ!?」
セレーネも身を屈めるが彼女の透明な盾の一部に石が着弾、いやあっさりと貫通していったが、盾の上部だったのでセレーネも直ぐ側にいたデルも直撃はしなかった。
あんなの近くで喰らったら穴だらけにされて確実に死ぬな。
「土竜にこんな攻撃方法を持っているのかよ……」
「あまり聞いたことない」
アティウラは知らない様子。だとしたら、どういうことなのだろうか。
「じゃなくて魔王は!?」
魔王の居た場所はもうもうと土煙が上がっているため彼の状態は全く分からない。
あの、おっさんはアンチサーチ的なものがあって状態を調べられないんだよね。
そして土煙が徐々に晴れてくると、まずは土竜のシルエットが見えると次は人と思われるシルエットも見えだした。
まさか、あれだけの攻撃を受けて立っているのか!?
「ふっ……その程度か」
アティウラのポールウェポンよりも巨大な斧を手に魔王様は涼しい顔でそう言った。
「おお! 憎き竜騎士の竜の首を一撃で切り裂いた斧!」
それは凄いな。毎度この人から情報がダダ漏れなのはいいのだろうか。
「いやいやいや、めっちゃ頭からメッチャ血出てるから、凄い流れてますから!」
どすんっ!
「って、ええー!?」
土竜が音を立てて倒れていった。
「はあはあ……」
肩を揺らしながら呼吸をする魔王はアティウラすら簡単に吹っ飛ばした土竜を負傷こそ負ったものの一人で倒してしまった。
そして魔王はゆっくりとこちらに顔を向ける。その目は怪しい赤い光を帯びている。
「な……、なーんか嫌な予感がするんだけど」
「それは僕もそう思う」
デルも同意してくれる。
魔王様は黙って斧をその辺に捨てると、何もない空間から双剣を出して持ち替えた。
「む、いかん! 魔王様!」
マジシャンナイトが慌てて魔王の元に走って行く。
「勇者様、あの方は正気を失っておられます」
「ど、どうしよう」
何かしら魔法で眠らせるとかした方がいいかな。
「魔王様! 申し訳ありません……世界に溢れし力の根源よ……」
マジシャンナイトは魔王に畏まると、呪文を唱え始める。
どうやら魔王を止めようとしているらしい。
「はあ!!」
だが真っ赤な目をした魔王は、なんの躊躇いもなくマジシャンナイトを双剣で切り刻んだ。
「ぎゃあ!! ま、魔王様……」
両手と片脚をさっくりと斬り落とされ、自立出来ずその場に倒れ込んだ。
「まじか!?」
「はぁ……はぁ……、はあ……」
荒い息でトドメとばかりに双剣を高く構える。
しかしその魔王の背後の影からダークエルフが現れた。
「分かった」
そもそも未だアティウラが抱きついたままなので動くに動けないんだけどね。
光る角の周りに周囲の石が吸い寄せられるように集まっていき、それは巨大な球体状へとなっていく。
「あれをぶつけるつもりなのか?」
あれって、ただの石つぶてなんて可愛いものじゃないだろ。
「アティウラ、セレーネもっと身を低くして!」
ばーんっ!!
そう言った瞬間、強烈な破裂音がした。
球体に集めた石はまるでショットガンか榴弾のように爆発四散した。
「うわ!?」
どすーん!
それらは目に見えないほどの速さでそこら中に飛び散り、デルが造った魔法の石壁すら破壊した。
「まじか!?」
驚いて見ている俺の頭を掴んで無理矢理屈ませるアティウラ。
「うわ、危なっ!?」
セレーネも身を屈めるが彼女の透明な盾の一部に石が着弾、いやあっさりと貫通していったが、盾の上部だったのでセレーネも直ぐ側にいたデルも直撃はしなかった。
あんなの近くで喰らったら穴だらけにされて確実に死ぬな。
「土竜にこんな攻撃方法を持っているのかよ……」
「あまり聞いたことない」
アティウラは知らない様子。だとしたら、どういうことなのだろうか。
「じゃなくて魔王は!?」
魔王の居た場所はもうもうと土煙が上がっているため彼の状態は全く分からない。
あの、おっさんはアンチサーチ的なものがあって状態を調べられないんだよね。
そして土煙が徐々に晴れてくると、まずは土竜のシルエットが見えると次は人と思われるシルエットも見えだした。
まさか、あれだけの攻撃を受けて立っているのか!?
「ふっ……その程度か」
アティウラのポールウェポンよりも巨大な斧を手に魔王様は涼しい顔でそう言った。
「おお! 憎き竜騎士の竜の首を一撃で切り裂いた斧!」
それは凄いな。毎度この人から情報がダダ漏れなのはいいのだろうか。
「いやいやいや、めっちゃ頭からメッチャ血出てるから、凄い流れてますから!」
どすんっ!
「って、ええー!?」
土竜が音を立てて倒れていった。
「はあはあ……」
肩を揺らしながら呼吸をする魔王はアティウラすら簡単に吹っ飛ばした土竜を負傷こそ負ったものの一人で倒してしまった。
そして魔王はゆっくりとこちらに顔を向ける。その目は怪しい赤い光を帯びている。
「な……、なーんか嫌な予感がするんだけど」
「それは僕もそう思う」
デルも同意してくれる。
魔王様は黙って斧をその辺に捨てると、何もない空間から双剣を出して持ち替えた。
「む、いかん! 魔王様!」
マジシャンナイトが慌てて魔王の元に走って行く。
「勇者様、あの方は正気を失っておられます」
「ど、どうしよう」
何かしら魔法で眠らせるとかした方がいいかな。
「魔王様! 申し訳ありません……世界に溢れし力の根源よ……」
マジシャンナイトは魔王に畏まると、呪文を唱え始める。
どうやら魔王を止めようとしているらしい。
「はあ!!」
だが真っ赤な目をした魔王は、なんの躊躇いもなくマジシャンナイトを双剣で切り刻んだ。
「ぎゃあ!! ま、魔王様……」
両手と片脚をさっくりと斬り落とされ、自立出来ずその場に倒れ込んだ。
「まじか!?」
「はぁ……はぁ……、はあ……」
荒い息でトドメとばかりに双剣を高く構える。
しかしその魔王の背後の影からダークエルフが現れた。
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