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第五話
敵の手に渡るくらいなら<Ⅰ>
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UFOが閃光を放ったと思ったら音もなく霧散するように消えていった。
「あ、あれ、今のは一体?」
「はっはっはぁ! お前達、敵の手に渡るくらいなら自爆させてやったんだ!」
自爆スイッチ的なものを隠し持っていたらしい。
カートリッジとかスイッチなどのオプションの類はサーチで探せないのでどうやら見落としていたようだ。
「ああ、そうなんだ。こりゃ助かったな」
「え?」
「元より破壊するつもりだったんだ」
「嘘!? だってお前は恐ろしいことを言っていたではないか!」
「馬鹿だな。あんた等の正確な規模も分からないのに強襲なんてするわけないだろ」
サリ様の態度にイラッとして思わず話を盛っただけなんだよね。
実際、デルの強力な魔法でも破壊不能なUFOをどうやって破壊すればいいかずっと悩んでいたのだけど、まさか自爆スイッチなんかあるとは本当に半端な資料ばかりだな。
「いやあ、おかげで非常に捗ったよ」
「貴方はあれがどれだかの価値があったのか分かっていないのですか!」
ハーフエルフのアッキーが勿体ないとばかりに話し出した。
「価値云々じゃないんだ。あれはこの世界に存在しちゃいけないものだから破壊するのが正しいんだよ」
「どうして……それはどういう意味なのですか?」
「どうして? こいつのせいで世界が壊れるかもしれないんだよ」
「何を言っているのだ。いくら我ら結社が凄くても世界を破壊するなんて出来るわけがないのだ!」
「そうか……どうやら君の仲間、いや上司というべきか。最も危険な存在を教えて貰っていないみたいだね」
「な、なんのことなのだ?」
核爆弾の様な恐ろしい存在を此奴らは持っている。
それだけでもヤバいんだけど君等が下手に暴れて管理者が失敗と判断したら今のこの世界に終末が訪れるんだよ。
「何故、あなた方勇者が許されて、私達が許されないのですか! 伝説級の武具を持って死んでも何度も生き返る。そんな存在に言われる筋合いはないはずです」
アッキーの思わぬ正論に反論が出来なかった。
「確かにその気持ちは分からなくもないけど別にどう思われても構わない。ただ事実として、君等の持っている物をどうにかしないと世界がとんでもないことになるんだ」
「それはどういう?」
「言葉通りだよ。その道具の数々はこの世界を作った存在に疎まれているってこと」
「ですが、これは我らが作ったモノではなく首領様がくれたもので……」
「その首領様は何処の誰だか分かっている?」
アッキーとサリ様はお互いの顔を見合わせるが、どちらもなにも分からないらしい。
そりゃそうだ。首領様とやらは宇宙人のおっさんだからな。
「さ、さあ……分かりません」
「そ、それに首領様からずっと連絡がないのだ。だから首領様のご意志を継いで我らは新たな活動を始めたのだ」
「なるほどそういうことか」
元々、宇宙人のおっさんの感情エミュレーターが書き換えられて、此奴らの存在を忘れたため連絡がなくなり、仕方なく此奴らが勝手に動き出したってことか。
「まあ、あなた方に言ったところで分からないとは思うけど……世界の均衡を著しく崩してしまった場合、一度破壊して作り直そうとする存在がいるんだよ」
「貴方は何故そんなことを知っているですか?」
アッキーは俺の話を馬鹿にすることもなく聞いてきた。
「馬鹿にはしないんですね」
「……私達だけでなく道具や乗り物の存在まで知っていて、奪うでもなく破壊をしているのがただの狂言とは思えないからです」
なんかちょっと頭のおかしそうな人ばかりの中で、アッキーだけは比較的冷静な思考が出来るらしい。
「俺、ちょっと特殊な事情で勇者になったんだけど、その過程で知ったんだ」
「それを信じると?」
「もちろん信じなくて結構です。どっちにしてもあんた等の行動を無視は出来ないしね、戦争には絶対にさせない」
再度、宇宙アイテムサーチを起動して探すが反応は出ない。
「これで全てですか?」
「も、もちろんなのだ」
なんかサリ様の目が泳いでいる。
「ああそうか。あなた方の乗り物が何処かに隠れているんですね」
「うぐっ!」
いつの間にか葉巻型のUFOが無くなっていた。ゴタゴタの間に姿を消したのだろう。
「あ、あれ、今のは一体?」
「はっはっはぁ! お前達、敵の手に渡るくらいなら自爆させてやったんだ!」
自爆スイッチ的なものを隠し持っていたらしい。
カートリッジとかスイッチなどのオプションの類はサーチで探せないのでどうやら見落としていたようだ。
「ああ、そうなんだ。こりゃ助かったな」
「え?」
「元より破壊するつもりだったんだ」
「嘘!? だってお前は恐ろしいことを言っていたではないか!」
「馬鹿だな。あんた等の正確な規模も分からないのに強襲なんてするわけないだろ」
サリ様の態度にイラッとして思わず話を盛っただけなんだよね。
実際、デルの強力な魔法でも破壊不能なUFOをどうやって破壊すればいいかずっと悩んでいたのだけど、まさか自爆スイッチなんかあるとは本当に半端な資料ばかりだな。
「いやあ、おかげで非常に捗ったよ」
「貴方はあれがどれだかの価値があったのか分かっていないのですか!」
ハーフエルフのアッキーが勿体ないとばかりに話し出した。
「価値云々じゃないんだ。あれはこの世界に存在しちゃいけないものだから破壊するのが正しいんだよ」
「どうして……それはどういう意味なのですか?」
「どうして? こいつのせいで世界が壊れるかもしれないんだよ」
「何を言っているのだ。いくら我ら結社が凄くても世界を破壊するなんて出来るわけがないのだ!」
「そうか……どうやら君の仲間、いや上司というべきか。最も危険な存在を教えて貰っていないみたいだね」
「な、なんのことなのだ?」
核爆弾の様な恐ろしい存在を此奴らは持っている。
それだけでもヤバいんだけど君等が下手に暴れて管理者が失敗と判断したら今のこの世界に終末が訪れるんだよ。
「何故、あなた方勇者が許されて、私達が許されないのですか! 伝説級の武具を持って死んでも何度も生き返る。そんな存在に言われる筋合いはないはずです」
アッキーの思わぬ正論に反論が出来なかった。
「確かにその気持ちは分からなくもないけど別にどう思われても構わない。ただ事実として、君等の持っている物をどうにかしないと世界がとんでもないことになるんだ」
「それはどういう?」
「言葉通りだよ。その道具の数々はこの世界を作った存在に疎まれているってこと」
「ですが、これは我らが作ったモノではなく首領様がくれたもので……」
「その首領様は何処の誰だか分かっている?」
アッキーとサリ様はお互いの顔を見合わせるが、どちらもなにも分からないらしい。
そりゃそうだ。首領様とやらは宇宙人のおっさんだからな。
「さ、さあ……分かりません」
「そ、それに首領様からずっと連絡がないのだ。だから首領様のご意志を継いで我らは新たな活動を始めたのだ」
「なるほどそういうことか」
元々、宇宙人のおっさんの感情エミュレーターが書き換えられて、此奴らの存在を忘れたため連絡がなくなり、仕方なく此奴らが勝手に動き出したってことか。
「まあ、あなた方に言ったところで分からないとは思うけど……世界の均衡を著しく崩してしまった場合、一度破壊して作り直そうとする存在がいるんだよ」
「貴方は何故そんなことを知っているですか?」
アッキーは俺の話を馬鹿にすることもなく聞いてきた。
「馬鹿にはしないんですね」
「……私達だけでなく道具や乗り物の存在まで知っていて、奪うでもなく破壊をしているのがただの狂言とは思えないからです」
なんかちょっと頭のおかしそうな人ばかりの中で、アッキーだけは比較的冷静な思考が出来るらしい。
「俺、ちょっと特殊な事情で勇者になったんだけど、その過程で知ったんだ」
「それを信じると?」
「もちろん信じなくて結構です。どっちにしてもあんた等の行動を無視は出来ないしね、戦争には絶対にさせない」
再度、宇宙アイテムサーチを起動して探すが反応は出ない。
「これで全てですか?」
「も、もちろんなのだ」
なんかサリ様の目が泳いでいる。
「ああそうか。あなた方の乗り物が何処かに隠れているんですね」
「うぐっ!」
いつの間にか葉巻型のUFOが無くなっていた。ゴタゴタの間に姿を消したのだろう。
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