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第五話

商業都市『ロンロール』<Ⅰ>

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「あっという間に着いたわけだが」

 王国とロンロールは商業的な繋がりがしっかりあるおかげで街道は広く綺麗に整備されており、その日のうちに辿り着いてしまった。

「前は七日かかったのに」

 唯一来たことのあるアティウラが少し嘆いていた。

「この馬のない馬車は確かに高かったけどいい買い物だったわけだ」

 最初は吐いてばかりだったのにすっかり慣れた様子のデル。
 道中は本読んでいたもんな。

「先ほどから、少し変な匂いがしますね」

「これは湖の匂い」

「そうなのですか!?」

 走っているときにちらりと見えたが向こう岸が見えないので相当大きな湖だと思われる。
 車を預けて紹介状を手にこの街のギルドに向かうと、場所を教えて貰って依頼人に会うことに。

「ここで合ってるのか?」

「結構大きいですね」

 街の中央辺りと思われるなかなか立派な建物の前までやってきたが、どう見ても一番偉い人が居そうな場所あり、入っていいのか困って立ちすくんでいた。
 そこに門番らしき人が怪しんでこちらを見ているので、持っていた書簡を見せたらあっさりと通された。

「ここでお待ちください」

 俺達の宿よりも広い場所に通されて待たされることに。
 そこには珍しいお菓子やお茶などの設備まで置いてあったのでアティウラが用意してくれる。

「美味い!」

 デルは遠慮無くそれらのお菓子を一つずつ食べて回る。

 どうやら依頼主は思った以上に偉い人のようで、忙しいとかで結構待たされることとなり太陽が傾いたところでやっと、依頼主のいる部屋に通された。
 だがそこにはそして一人ではなく複数人がいた。

 円卓のような大きな机に6人のおっさんが偉そうにふんぞり返っていた。

「此度は遠くからお越しいただきまして、ありがとうございます」

 その内の一人が口を開いた。思ったよりも腰の低い対応に少し驚く。

「あのこの集まりは……?」

「ふん、学のない」

 むかっ、まだ俺はこの世界に来て1年も経っていないんだからしょうがないだろ。とは言えず黙っているしかなかった。

「これ、聖女様の前ですぞ」

「ふん……」

 どうやら俺達のことは調査済みらしい。

「まあまあ、ここロンロールには王はおりません。その代わり我ら商人による合議制で国が成り立っているのです」

 合議制ってことはこの6人がこの国の王ってことなのか?

 そういった重鎮の方々が今集まっているってマジか。もし探している人が死んでいたらどうしよう。そして正直に死んでいるなんて言ったらどうなるんだ。
 詐欺師扱いされて牢にぶち込まれるとか……? うわぁ……。

「貴方様がそのなんでも探し出す学者だと?」

「え、ええ……」

「ふん、どうせインチキ占い師だろ」

「どう捉えていただいても構いません。もし信用ならないと思うのでしたらキャンセルしていただいても」

「い、いえ、お待ちください。我らとしても困っているのです」

「依頼を受けた以上、お主等にキャンセルはさせん」

 言いたい放題だな。こりゃ最悪の場合王国にバックレてしまうのが良いかもしれないな。

「それで依頼内容とは?」

「これから先は必ず秘密にしてほしいのですが」

「もちろんです」

「それでは……」

 依頼の内容とは合議員の一人が現在行方不明となっており生死も不明で、もうすぐ大きな会議がありこのままでは新たな人間に入れ替えてべきかの判断も難しくて困っているという。

 なるほど、だからこの場は8人なのか。合議制が偶数な分けがないもんな。

「そこで王国に人探しがとても得意な冒険者がいると聞きおよびまして、ここに呼んだ次第なのです」

「それはありがたいことです」

 人をすげ替えた後に、生きて戻ってきた場合面倒なことになるかもしれない。だから生死をはっきりさせておきたいのだろう。

「どうせ死んでいるってことで終わるのだから、さっさと占え」
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