324 / 388
第五話
商業都市『ロンロール』<Ⅰ>
しおりを挟む
「あっという間に着いたわけだが」
王国とロンロールは商業的な繋がりがしっかりあるおかげで街道は広く綺麗に整備されており、その日のうちに辿り着いてしまった。
「前は七日かかったのに」
唯一来たことのあるアティウラが少し嘆いていた。
「この馬のない馬車は確かに高かったけどいい買い物だったわけだ」
最初は吐いてばかりだったのにすっかり慣れた様子のデル。
道中は本読んでいたもんな。
「先ほどから、少し変な匂いがしますね」
「これは湖の匂い」
「そうなのですか!?」
走っているときにちらりと見えたが向こう岸が見えないので相当大きな湖だと思われる。
車を預けて紹介状を手にこの街のギルドに向かうと、場所を教えて貰って依頼人に会うことに。
「ここで合ってるのか?」
「結構大きいですね」
街の中央辺りと思われるなかなか立派な建物の前までやってきたが、どう見ても一番偉い人が居そうな場所あり、入っていいのか困って立ちすくんでいた。
そこに門番らしき人が怪しんでこちらを見ているので、持っていた書簡を見せたらあっさりと通された。
「ここでお待ちください」
俺達の宿よりも広い場所に通されて待たされることに。
そこには珍しいお菓子やお茶などの設備まで置いてあったのでアティウラが用意してくれる。
「美味い!」
デルは遠慮無くそれらのお菓子を一つずつ食べて回る。
どうやら依頼主は思った以上に偉い人のようで、忙しいとかで結構待たされることとなり太陽が傾いたところでやっと、依頼主のいる部屋に通された。
だがそこにはそして一人ではなく複数人がいた。
円卓のような大きな机に6人のおっさんが偉そうにふんぞり返っていた。
「此度は遠くからお越しいただきまして、ありがとうございます」
その内の一人が口を開いた。思ったよりも腰の低い対応に少し驚く。
「あのこの集まりは……?」
「ふん、学のない」
むかっ、まだ俺はこの世界に来て1年も経っていないんだからしょうがないだろ。とは言えず黙っているしかなかった。
「これ、聖女様の前ですぞ」
「ふん……」
どうやら俺達のことは調査済みらしい。
「まあまあ、ここロンロールには王はおりません。その代わり我ら商人による合議制で国が成り立っているのです」
合議制ってことはこの6人がこの国の王ってことなのか?
そういった重鎮の方々が今集まっているってマジか。もし探している人が死んでいたらどうしよう。そして正直に死んでいるなんて言ったらどうなるんだ。
詐欺師扱いされて牢にぶち込まれるとか……? うわぁ……。
「貴方様がそのなんでも探し出す学者だと?」
「え、ええ……」
「ふん、どうせインチキ占い師だろ」
「どう捉えていただいても構いません。もし信用ならないと思うのでしたらキャンセルしていただいても」
「い、いえ、お待ちください。我らとしても困っているのです」
「依頼を受けた以上、お主等にキャンセルはさせん」
言いたい放題だな。こりゃ最悪の場合王国にバックレてしまうのが良いかもしれないな。
「それで依頼内容とは?」
「これから先は必ず秘密にしてほしいのですが」
「もちろんです」
「それでは……」
依頼の内容とは合議員の一人が現在行方不明となっており生死も不明で、もうすぐ大きな会議がありこのままでは新たな人間に入れ替えてべきかの判断も難しくて困っているという。
なるほど、だからこの場は8人なのか。合議制が偶数な分けがないもんな。
「そこで王国に人探しがとても得意な冒険者がいると聞きおよびまして、ここに呼んだ次第なのです」
「それはありがたいことです」
人をすげ替えた後に、生きて戻ってきた場合面倒なことになるかもしれない。だから生死をはっきりさせておきたいのだろう。
「どうせ死んでいるってことで終わるのだから、さっさと占え」
王国とロンロールは商業的な繋がりがしっかりあるおかげで街道は広く綺麗に整備されており、その日のうちに辿り着いてしまった。
「前は七日かかったのに」
唯一来たことのあるアティウラが少し嘆いていた。
「この馬のない馬車は確かに高かったけどいい買い物だったわけだ」
最初は吐いてばかりだったのにすっかり慣れた様子のデル。
道中は本読んでいたもんな。
「先ほどから、少し変な匂いがしますね」
「これは湖の匂い」
「そうなのですか!?」
走っているときにちらりと見えたが向こう岸が見えないので相当大きな湖だと思われる。
車を預けて紹介状を手にこの街のギルドに向かうと、場所を教えて貰って依頼人に会うことに。
「ここで合ってるのか?」
「結構大きいですね」
街の中央辺りと思われるなかなか立派な建物の前までやってきたが、どう見ても一番偉い人が居そうな場所あり、入っていいのか困って立ちすくんでいた。
そこに門番らしき人が怪しんでこちらを見ているので、持っていた書簡を見せたらあっさりと通された。
「ここでお待ちください」
俺達の宿よりも広い場所に通されて待たされることに。
そこには珍しいお菓子やお茶などの設備まで置いてあったのでアティウラが用意してくれる。
「美味い!」
デルは遠慮無くそれらのお菓子を一つずつ食べて回る。
どうやら依頼主は思った以上に偉い人のようで、忙しいとかで結構待たされることとなり太陽が傾いたところでやっと、依頼主のいる部屋に通された。
だがそこにはそして一人ではなく複数人がいた。
円卓のような大きな机に6人のおっさんが偉そうにふんぞり返っていた。
「此度は遠くからお越しいただきまして、ありがとうございます」
その内の一人が口を開いた。思ったよりも腰の低い対応に少し驚く。
「あのこの集まりは……?」
「ふん、学のない」
むかっ、まだ俺はこの世界に来て1年も経っていないんだからしょうがないだろ。とは言えず黙っているしかなかった。
「これ、聖女様の前ですぞ」
「ふん……」
どうやら俺達のことは調査済みらしい。
「まあまあ、ここロンロールには王はおりません。その代わり我ら商人による合議制で国が成り立っているのです」
合議制ってことはこの6人がこの国の王ってことなのか?
そういった重鎮の方々が今集まっているってマジか。もし探している人が死んでいたらどうしよう。そして正直に死んでいるなんて言ったらどうなるんだ。
詐欺師扱いされて牢にぶち込まれるとか……? うわぁ……。
「貴方様がそのなんでも探し出す学者だと?」
「え、ええ……」
「ふん、どうせインチキ占い師だろ」
「どう捉えていただいても構いません。もし信用ならないと思うのでしたらキャンセルしていただいても」
「い、いえ、お待ちください。我らとしても困っているのです」
「依頼を受けた以上、お主等にキャンセルはさせん」
言いたい放題だな。こりゃ最悪の場合王国にバックレてしまうのが良いかもしれないな。
「それで依頼内容とは?」
「これから先は必ず秘密にしてほしいのですが」
「もちろんです」
「それでは……」
依頼の内容とは合議員の一人が現在行方不明となっており生死も不明で、もうすぐ大きな会議がありこのままでは新たな人間に入れ替えてべきかの判断も難しくて困っているという。
なるほど、だからこの場は8人なのか。合議制が偶数な分けがないもんな。
「そこで王国に人探しがとても得意な冒険者がいると聞きおよびまして、ここに呼んだ次第なのです」
「それはありがたいことです」
人をすげ替えた後に、生きて戻ってきた場合面倒なことになるかもしれない。だから生死をはっきりさせておきたいのだろう。
「どうせ死んでいるってことで終わるのだから、さっさと占え」
0
お気に入りに追加
103
あなたにおすすめの小説
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
婚約していたのに、第二王子は妹と浮気しました~捨てられた私は、王太子殿下に拾われます~
マルローネ
ファンタジー
「ごめんなさいね、姉さん。王子殿下は私の物だから」
「そういうことだ、ルアナ。スッキリと婚約破棄といこうじゃないか」
公爵令嬢のルアナ・インクルーダは婚約者の第二王子に婚約破棄をされた。
しかも、信用していた妹との浮気という最悪な形で。
ルアナは国を出ようかと考えるほどに傷ついてしまう。どこか遠い地で静かに暮らそうかと……。
その状態を救ったのは王太子殿下だった。第二王子の不始末について彼は誠心誠意謝罪した。
最初こそ戸惑うルアナだが、王太子殿下の誠意は次第に彼女の心を溶かしていくことになる。
まんまと姉から第二王子を奪った妹だったが、王太子殿下がルアナを選んだことによりアドバンテージはなくなり、さらに第二王子との関係も悪化していき……。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!
柊
ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」
ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。
「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」
そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。
(やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。
※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。
乙女ゲームの断罪イベントが終わった世界で転生したモブは何を思う
ひなクラゲ
ファンタジー
ここは乙女ゲームの世界
悪役令嬢の断罪イベントも終わり、無事にエンディングを迎えたのだろう…
主人公と王子の幸せそうな笑顔で…
でも転生者であるモブは思う
きっとこのまま幸福なまま終わる筈がないと…
義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。
克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
11月9日「カクヨム」恋愛日間ランキング15位
11月11日「カクヨム」恋愛週間ランキング22位
11月11日「カクヨム」恋愛月間ランキング71位
11月4日「小説家になろう」恋愛異世界転生/転移恋愛日間78位
冷宮の人形姫
りーさん
ファンタジー
冷宮に閉じ込められて育てられた姫がいた。父親である皇帝には関心を持たれず、少しの使用人と母親と共に育ってきた。
幼少の頃からの虐待により、感情を表に出せなくなった姫は、5歳になった時に母親が亡くなった。そんな時、皇帝が姫を迎えに来た。
※すみません、完全にファンタジーになりそうなので、ファンタジーにしますね。
※皇帝のミドルネームを、イント→レントに変えます。(第一皇妃のミドルネームと被りそうなので)
そして、レンド→レクトに変えます。(皇帝のミドルネームと似てしまうため)変わってないよというところがあれば教えてください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる