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第四話
かんぱー……<Ⅰ>
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続々と料理が運ばれてくるなか、杯を手に持って今回はしみじみと別の達成感を感じていた。
そう今回は毎回のような爆発も破壊もないし、身内に怪我らしい怪我も出さず、勇者パーティも新米パーティも無事だったしね。面倒なことをスマートに終わらせることが出来たと思っていた。
「それじゃ、料理も揃ったことだし再度かんぱー……」
ごごごごごご……。
「え、なに……地震?」
どごーんっ!!
「今度はなんだ!?」
小さな地震の後に外から爆発音が聞こえた。
「大変だ! ダンジョンが!」
そう叫びながら店の中に一人の男が急ぐように入ってきた。
「ダンジョンがどうしたんだ!?」
「い、入口が……入口が爆発して、中からモンスターが沢山溢れ出てきてる!」
「な!? どういうことだ!?」
嘘だろ……俺は確かに自爆装置などを確実に無力化したはず。
「大変だ! モンスターが襲ってきやがった!」
「火だ! 火が出てる!」
外の方が相当騒がしくなっていた。
何人か巻き込まれたとか火が出て建物が燃えているなど話が色々と錯綜している。
「……行こう」
「そう仰ると思っておりました」
「今回出番が無かっからちょうど良い」
セレーネとアティウラは各々武器などを手に持って立ち上がる。
「ああもう、今日は疲れたからこれでゆっくり出来ると思ったのに」
そう言ってデルも立ち上がった。
外に出ると、ダンジョンの方で火が出ているのが見えた。
その炎の明かりをバックにしてゆっくりとこちらに歩いてくる影が多数見える。
直ぐさまサーチで調べるとダンジョン内にいたゴーレム達なのが分かる。どうしてこうなったかは今調べている暇は無い。
それにしても数が多く、既にそこかしこで戦闘が始まっているのでデルの魔法で吹っ飛ばすのは難しい。
「少し骨が折れそう。3人は下がって」
アティウラはポールウェポンを手に前に出る。
「セレーネ、アティウラに強化魔法を頼む」
「分かりました!」
セレーネは直ぐさまアティウラに加護の奇跡をかける。
「デル、悪いが建物の屋根伝いでダンジョンの入口が見えるところまで言って見てきてくれないか?」
「ダンジョンの入口の様子を見ればいいのね。OK任せて」
デルは直ぐさま走り出すと、器用に壁を登り出した。
それにしてもゴーレムの総数が多い。確かにそのほとんどがボーンゴーレムやウッドゴーレムだが……。
ゴーレムは魔法生物で魔導柱などからの魔力供給で動いているが、それを止めてもしばらくの間動くことが出来る。そのため魔導柱を強制シャットダウンさせたとしてもこちら側は魔法が使えなくなり、より不利な状況になるだけである。
「お、新米の小僧に先を越されてるじゃん」
「最近の若い子はやる気があるねぇ」
次々と食堂や酒場から出てくる冒険者達。
そう、幸いここには屈強の強者達が集まっていた。
「おっ、レアゴーレムがいるじゃん。倒して素材にしちまおうぜ」
「おいおい独占すんなよ。それはここで戦った奴全員で山分けだろ」
「来たぞ、気を引き締めて行け!」
「行くぞ!」
「おう!」
冒険者達は目の前の異様なゴーレムの集団を目にして一歩も引かない。
命知らずの彼らは、各々愛用の武器を手に戦闘へと身を投じるのであった。
直ぐさま交戦状態となり、次々とゴーレムをなぎ倒していく。
「我が手に集まりし、猛狂う炎よ、激しき凶弾となって我が敵を撃て! “ファイアーショット”!」
「世界の力の源よ、敵を打ち砕く矢となり、解き放て! “マジックアロー”!」
今度は背後から炎の弾や輝く矢が飛んでいくと奥のゴーレムが乾いた音を立てて崩れ落ちていく。
う、うーん……デルの魔法を見馴れてすぎたのか、彼女が特殊だと分かってはいる……分かってはいるんだが、大仰な詠唱の後に出た魔法がこの程度かとどうしても拍子抜けしてしまうんだよね。
「君達は後ろに下がるんだ」
如何にも手練れといった風貌の魔術師が俺とセレーネを一番後ろに下がるように言った。
気になることが多かったが戦場では邪魔でしか無いので渋々下がった。
「おかしい……一体何が起こったんだ?」
書き換えは成功したはず、それとも何か隠されたシステムでもあったのだろうか?
「外部からの介入でもあったのでしょうか」
「外部? でも入口は閉めてあったはずだし……」
ここからでも中の状況を調べることは出来るだろうか。やってみるか?
『ここから入口が見えてるけど、爆発したみたいに扉が壊されてる』
(まじで? じゃあ、だれか侵入したのか)
『うーん、ここから見る限り逆かな。内部で爆発が起きて扉が破壊されている感じ』
(機能は確実に止めたはずなんだけど……)
『侵入者がいたんじゃないの』
(分からん……ありがとう、とりあえずしばらく高いところで見張っていてくれ)
『いいの?』
(いざというときにデルの魔法が必要になるかもしれないからさ)
『分かった』
本当に侵入者がいたとしてどうやって入ったんだ?
そう今回は毎回のような爆発も破壊もないし、身内に怪我らしい怪我も出さず、勇者パーティも新米パーティも無事だったしね。面倒なことをスマートに終わらせることが出来たと思っていた。
「それじゃ、料理も揃ったことだし再度かんぱー……」
ごごごごごご……。
「え、なに……地震?」
どごーんっ!!
「今度はなんだ!?」
小さな地震の後に外から爆発音が聞こえた。
「大変だ! ダンジョンが!」
そう叫びながら店の中に一人の男が急ぐように入ってきた。
「ダンジョンがどうしたんだ!?」
「い、入口が……入口が爆発して、中からモンスターが沢山溢れ出てきてる!」
「な!? どういうことだ!?」
嘘だろ……俺は確かに自爆装置などを確実に無力化したはず。
「大変だ! モンスターが襲ってきやがった!」
「火だ! 火が出てる!」
外の方が相当騒がしくなっていた。
何人か巻き込まれたとか火が出て建物が燃えているなど話が色々と錯綜している。
「……行こう」
「そう仰ると思っておりました」
「今回出番が無かっからちょうど良い」
セレーネとアティウラは各々武器などを手に持って立ち上がる。
「ああもう、今日は疲れたからこれでゆっくり出来ると思ったのに」
そう言ってデルも立ち上がった。
外に出ると、ダンジョンの方で火が出ているのが見えた。
その炎の明かりをバックにしてゆっくりとこちらに歩いてくる影が多数見える。
直ぐさまサーチで調べるとダンジョン内にいたゴーレム達なのが分かる。どうしてこうなったかは今調べている暇は無い。
それにしても数が多く、既にそこかしこで戦闘が始まっているのでデルの魔法で吹っ飛ばすのは難しい。
「少し骨が折れそう。3人は下がって」
アティウラはポールウェポンを手に前に出る。
「セレーネ、アティウラに強化魔法を頼む」
「分かりました!」
セレーネは直ぐさまアティウラに加護の奇跡をかける。
「デル、悪いが建物の屋根伝いでダンジョンの入口が見えるところまで言って見てきてくれないか?」
「ダンジョンの入口の様子を見ればいいのね。OK任せて」
デルは直ぐさま走り出すと、器用に壁を登り出した。
それにしてもゴーレムの総数が多い。確かにそのほとんどがボーンゴーレムやウッドゴーレムだが……。
ゴーレムは魔法生物で魔導柱などからの魔力供給で動いているが、それを止めてもしばらくの間動くことが出来る。そのため魔導柱を強制シャットダウンさせたとしてもこちら側は魔法が使えなくなり、より不利な状況になるだけである。
「お、新米の小僧に先を越されてるじゃん」
「最近の若い子はやる気があるねぇ」
次々と食堂や酒場から出てくる冒険者達。
そう、幸いここには屈強の強者達が集まっていた。
「おっ、レアゴーレムがいるじゃん。倒して素材にしちまおうぜ」
「おいおい独占すんなよ。それはここで戦った奴全員で山分けだろ」
「来たぞ、気を引き締めて行け!」
「行くぞ!」
「おう!」
冒険者達は目の前の異様なゴーレムの集団を目にして一歩も引かない。
命知らずの彼らは、各々愛用の武器を手に戦闘へと身を投じるのであった。
直ぐさま交戦状態となり、次々とゴーレムをなぎ倒していく。
「我が手に集まりし、猛狂う炎よ、激しき凶弾となって我が敵を撃て! “ファイアーショット”!」
「世界の力の源よ、敵を打ち砕く矢となり、解き放て! “マジックアロー”!」
今度は背後から炎の弾や輝く矢が飛んでいくと奥のゴーレムが乾いた音を立てて崩れ落ちていく。
う、うーん……デルの魔法を見馴れてすぎたのか、彼女が特殊だと分かってはいる……分かってはいるんだが、大仰な詠唱の後に出た魔法がこの程度かとどうしても拍子抜けしてしまうんだよね。
「君達は後ろに下がるんだ」
如何にも手練れといった風貌の魔術師が俺とセレーネを一番後ろに下がるように言った。
気になることが多かったが戦場では邪魔でしか無いので渋々下がった。
「おかしい……一体何が起こったんだ?」
書き換えは成功したはず、それとも何か隠されたシステムでもあったのだろうか?
「外部からの介入でもあったのでしょうか」
「外部? でも入口は閉めてあったはずだし……」
ここからでも中の状況を調べることは出来るだろうか。やってみるか?
『ここから入口が見えてるけど、爆発したみたいに扉が壊されてる』
(まじで? じゃあ、だれか侵入したのか)
『うーん、ここから見る限り逆かな。内部で爆発が起きて扉が破壊されている感じ』
(機能は確実に止めたはずなんだけど……)
『侵入者がいたんじゃないの』
(分からん……ありがとう、とりあえずしばらく高いところで見張っていてくれ)
『いいの?』
(いざというときにデルの魔法が必要になるかもしれないからさ)
『分かった』
本当に侵入者がいたとしてどうやって入ったんだ?
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