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第四話
仮面の正体<Ⅱ>
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俺が裏道と呼んでいたのはダンジョンのメンテ用の道だった。
ダンジョンの機能のほとんどは自動で回復するが、たまにバカみたいな力で破壊されたり回復に失敗したりすることがあって、そういったときは手動で直すことがある。そのための秘密の道だった。
「そもそも、あんな大規模なダンジョンを作ったのは誰なのよ。とてもこんなおっさん達が造れるとは思えないんだけど、もしかして魔王とか?」
俺が最も聞きたかった疑問を、デルが先に言ってくれた。
「それは我々にもさっぱり……最初は商売の神が我らの国のために作ってくれたと思っていたんだが……」
やはり神の御業と思うのが普通なのか。
だが、これだけ長くやってるとそれもまた違うと思い始め、ここ近年は高名な魔導師が何か別の目的で造ったのではないかとも推察しているらしい。
「こんな事が出来るのなら、魔王よりも強いじゃない」
「高名な魔術師の中には国を転覆させるほどの力を持つ者もいると聞きます。そう言ったいずれかの方が、何かを目的として造ったのではないかと」
「そんな力を持ったのが、そこまでのことをするかな?」
デルはまだ何処か腑に落ちない様子。
「この世には不可解な事案が色々とあるもんだ」
「ふーん……まあ確かに僕達の里をなんの見返りも考えずに救った奴がいるくらいだもんね。意外と究極のお人好しが結構その辺に転がっているものなのかしらね」
じろーっとデルが俺を見て、それでなんとなく納得したらしい。
「それで、おっさん達はこれからどうするの?」
「いずれ倒されると覚悟を決めていたが、いざとなったとき死を意識して取り乱して命乞いをしてしまった」
「そんなの普通じゃん、どんなに覚悟を持っても死は怖いもの。もし恐怖がないならそれは死んだのと同じ」
デルはフォローのつもりなのか、それとも格好付けるなと言いたいのか。
「攻略されてしまった以上、我々は故郷に戻って戦争に備えるよ。20年か……長いようで短い平和だったな」
「ああ、そうだな」
おっさん達は思い出に浸るような雰囲気で語り始める。
「あー、なんかすみません」
「いや、君達のせいじゃないさ。どっちにしても攻略は目前だったんだ。数日前倒しになった程度の話だよ」
「そうそう20年も平和だったんだ」
「せめてこのダンジョンを授けてくれた人にお礼を言いたかったな」
「いやいやいや、最後の最後に爆発するのを仕込んでおくような奴だったじゃん」
いいところで突っ込みを入れてくれるデル。
「それでも20年の平和は大きいさ。その間に経済がかなり発展していると聞いているから、軍備の拡大が可能かもしれない」
「そ、そういうものですか」
20年でも平和は貴重ってことか。そういう意味では日本も戦後70年以上外交努力で戦争にならないように色々と政府が動いていたのかなと今更ながら、自分の平和ボケを実感してしまう。
「それにしてもなんかえらく外が騒がしいね」
「そりゃそうさ、ダンジョンが攻略されたんだ。もう祭り同然さ」
「よし、そろそろ俺達も外に出るか」
「あの……君達、我々のことは……」
「もちろん俺や彼女が使った魔法もあまり他人に知られたくないから、そこはお互いに黙っているのが一番だと思う」
「なるほど心得た。我々も君達のことは決して口外しない」
「ありがとう」
「こちらこそ、ありがとう」
挨拶をしてそのまま俺とデルは外に出た。
ダンジョンの機能のほとんどは自動で回復するが、たまにバカみたいな力で破壊されたり回復に失敗したりすることがあって、そういったときは手動で直すことがある。そのための秘密の道だった。
「そもそも、あんな大規模なダンジョンを作ったのは誰なのよ。とてもこんなおっさん達が造れるとは思えないんだけど、もしかして魔王とか?」
俺が最も聞きたかった疑問を、デルが先に言ってくれた。
「それは我々にもさっぱり……最初は商売の神が我らの国のために作ってくれたと思っていたんだが……」
やはり神の御業と思うのが普通なのか。
だが、これだけ長くやってるとそれもまた違うと思い始め、ここ近年は高名な魔導師が何か別の目的で造ったのではないかとも推察しているらしい。
「こんな事が出来るのなら、魔王よりも強いじゃない」
「高名な魔術師の中には国を転覆させるほどの力を持つ者もいると聞きます。そう言ったいずれかの方が、何かを目的として造ったのではないかと」
「そんな力を持ったのが、そこまでのことをするかな?」
デルはまだ何処か腑に落ちない様子。
「この世には不可解な事案が色々とあるもんだ」
「ふーん……まあ確かに僕達の里をなんの見返りも考えずに救った奴がいるくらいだもんね。意外と究極のお人好しが結構その辺に転がっているものなのかしらね」
じろーっとデルが俺を見て、それでなんとなく納得したらしい。
「それで、おっさん達はこれからどうするの?」
「いずれ倒されると覚悟を決めていたが、いざとなったとき死を意識して取り乱して命乞いをしてしまった」
「そんなの普通じゃん、どんなに覚悟を持っても死は怖いもの。もし恐怖がないならそれは死んだのと同じ」
デルはフォローのつもりなのか、それとも格好付けるなと言いたいのか。
「攻略されてしまった以上、我々は故郷に戻って戦争に備えるよ。20年か……長いようで短い平和だったな」
「ああ、そうだな」
おっさん達は思い出に浸るような雰囲気で語り始める。
「あー、なんかすみません」
「いや、君達のせいじゃないさ。どっちにしても攻略は目前だったんだ。数日前倒しになった程度の話だよ」
「そうそう20年も平和だったんだ」
「せめてこのダンジョンを授けてくれた人にお礼を言いたかったな」
「いやいやいや、最後の最後に爆発するのを仕込んでおくような奴だったじゃん」
いいところで突っ込みを入れてくれるデル。
「それでも20年の平和は大きいさ。その間に経済がかなり発展していると聞いているから、軍備の拡大が可能かもしれない」
「そ、そういうものですか」
20年でも平和は貴重ってことか。そういう意味では日本も戦後70年以上外交努力で戦争にならないように色々と政府が動いていたのかなと今更ながら、自分の平和ボケを実感してしまう。
「それにしてもなんかえらく外が騒がしいね」
「そりゃそうさ、ダンジョンが攻略されたんだ。もう祭り同然さ」
「よし、そろそろ俺達も外に出るか」
「あの……君達、我々のことは……」
「もちろん俺や彼女が使った魔法もあまり他人に知られたくないから、そこはお互いに黙っているのが一番だと思う」
「なるほど心得た。我々も君達のことは決して口外しない」
「ありがとう」
「こちらこそ、ありがとう」
挨拶をしてそのまま俺とデルは外に出た。
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