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第四話
祝攻略パーティ
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「……ん、あ、あれ?」
勇者は目を覚ますとそこは最後のボス部屋のままだった。デーモンゴーレムはもういない。
「……終わったのか……?」
まだ身体が痛いため起き上がれない。
「お、目を覚ましたかい。英雄さん」
「え……」
勇者の目の前には見知らぬ剣士らしき者がいた。
一体何が……、少しずつ思い出す勇者。そうデーモンに全く勝ち目が無くなったところで突如介入してきた謎の存在、そうだそれで……。
「……あのゴーレムはあんたが倒したのか?」
「はは、冗談だろ。俺が倒せるわけがない。英雄さん、あんたが最後の一撃で倒したんじゃないか」
どうやら最後の一撃は有効打となったらしい。それは良かったが……それなりに強いパーティである自負はあった。その四人でも全く歯が立たなかったのに……。
「あの強力な魔法はなんだったんだ?」
たった一撃でデーモンゴーレムをボロボロにしたあの魔法。
そしてあの声……、それに薄れゆく意識の仲で聞こえた声はいずれも幼いものだった。それに何処かで聞いた気もする。その後も何かしていたようだが……。
「そうだ……ダンジョンはどうして今もあるんだ……」
「さあ? 俺にはさっぱり、なんか小僧は大丈夫だって言ってたけど」
ダンジョンマスターの裏から現れた彼がそうしたのだろうか。
「そうだ。他の仲間は!?」
「みんな寝てるよ、ほら……」
彼が運んだのか直ぐ近くに全員寝かされていた。
「安心しろって、英雄さんのお仲間は全員生きているよ」
「……そうか。よかった」
自分はともかく、他は死んでいてもおかしくない状態だった。
「ど、どうやって……助けたんだ?」
ふと床に転がっているポーションの瓶が目に入った。だが確か自分達の手持ちのポーションは既に使い切っていたはず。
「いやあ一緒にここまで来た小僧に使えって渡されたんだよ」
「何から何まで……お人好しだな……」
大分回復したようなので起き上がる。
「ここのゲートは嬢ちゃんが魔法で壊したらしいんで他のを使って戻れってさ。俺も連れて行って欲しいんだけど」
「もちろん、構わない」
しばらくして他のメンバーも目を覚ますとボス部屋を後にするのだった。
彼らはダンジョンを攻略したパーティとして登録されたが本当に自分達が攻略したのだろうか? どうしても腑に落ちなかった。
エルフの魔術師や女神官もそのとき辛うじて意識があったようで2人の幼い魔法使いがデーモンゴーレムを酸で溶かし、勇者が倒した後ダンジョンが消えて無くなるという警告が出た。
だが自分達は動けずこのまま終わると思った矢先、もう1人の魔法使いがよく分からない魔法を使っているところまでは憶えている。
「同じ魔術師として、とても興味深いのだがあれが何かは全く分からないが……私の見解だとあれは魔法というよりも、もっとこう……世界の根幹を扱うなにかのように思える」
一体何だったのか。疑問ばかりが残ってしまった。
「まあ構わないのではないか。劣勢の時に頼れる加勢があって勝ったんだ。どうしても気になるのなら今度合ったときにエールのいっぱいでも奢ればよかろう」
添え木をされ手を吊した状態のドワーフががははと笑いながらそう言った。
「それもそうですね。わたくしたちが戦っていたことに変わりはありませんし」
「確かにそうだな」
女神官とエルフもドワーフの言葉に賛同するのだった。
彼らと共に一年かけてここまで攻略したのだ。最後のボスに少し加勢されたとしても倒したと言っても差し支えはないはず。
あの玉座の主は何処に行ったのだろうか。新たなダンジョンを造るためにいずこかにいったのか。それともあの幼い魔法使い2人に倒されるのだろうか。
「あんま、余計なこと考えてもつまんないぜ! 攻略したんだから、堂々としてりゃいんだよ!」
何故か偉そうな俺様男。
「そういえばお主何処かで合わなかったかのう?」
「そ、そうだったっけ……?」
すっとぼける俺様男。
「うーん、ああ! あのときの!」
ドワーフが気づいて食って掛かろうとする。
「命の恩人が、あの様な軽薄な方なわけがありませんよ」
「ふむ……まあ、そうじゃの! わしの勘違いじゃった!」
女神官は既に俺様男のことに気付いたようだが命の恩人として不問にしたようだった。
「最後のボスを取り逃がしたのは自分達の未熟だ……もしあのダンジョンマスターが再度現れたときは必ず倒そう」
そう誓って彼らは地上に戻るのであった。
勇者は目を覚ますとそこは最後のボス部屋のままだった。デーモンゴーレムはもういない。
「……終わったのか……?」
まだ身体が痛いため起き上がれない。
「お、目を覚ましたかい。英雄さん」
「え……」
勇者の目の前には見知らぬ剣士らしき者がいた。
一体何が……、少しずつ思い出す勇者。そうデーモンに全く勝ち目が無くなったところで突如介入してきた謎の存在、そうだそれで……。
「……あのゴーレムはあんたが倒したのか?」
「はは、冗談だろ。俺が倒せるわけがない。英雄さん、あんたが最後の一撃で倒したんじゃないか」
どうやら最後の一撃は有効打となったらしい。それは良かったが……それなりに強いパーティである自負はあった。その四人でも全く歯が立たなかったのに……。
「あの強力な魔法はなんだったんだ?」
たった一撃でデーモンゴーレムをボロボロにしたあの魔法。
そしてあの声……、それに薄れゆく意識の仲で聞こえた声はいずれも幼いものだった。それに何処かで聞いた気もする。その後も何かしていたようだが……。
「そうだ……ダンジョンはどうして今もあるんだ……」
「さあ? 俺にはさっぱり、なんか小僧は大丈夫だって言ってたけど」
ダンジョンマスターの裏から現れた彼がそうしたのだろうか。
「そうだ。他の仲間は!?」
「みんな寝てるよ、ほら……」
彼が運んだのか直ぐ近くに全員寝かされていた。
「安心しろって、英雄さんのお仲間は全員生きているよ」
「……そうか。よかった」
自分はともかく、他は死んでいてもおかしくない状態だった。
「ど、どうやって……助けたんだ?」
ふと床に転がっているポーションの瓶が目に入った。だが確か自分達の手持ちのポーションは既に使い切っていたはず。
「いやあ一緒にここまで来た小僧に使えって渡されたんだよ」
「何から何まで……お人好しだな……」
大分回復したようなので起き上がる。
「ここのゲートは嬢ちゃんが魔法で壊したらしいんで他のを使って戻れってさ。俺も連れて行って欲しいんだけど」
「もちろん、構わない」
しばらくして他のメンバーも目を覚ますとボス部屋を後にするのだった。
彼らはダンジョンを攻略したパーティとして登録されたが本当に自分達が攻略したのだろうか? どうしても腑に落ちなかった。
エルフの魔術師や女神官もそのとき辛うじて意識があったようで2人の幼い魔法使いがデーモンゴーレムを酸で溶かし、勇者が倒した後ダンジョンが消えて無くなるという警告が出た。
だが自分達は動けずこのまま終わると思った矢先、もう1人の魔法使いがよく分からない魔法を使っているところまでは憶えている。
「同じ魔術師として、とても興味深いのだがあれが何かは全く分からないが……私の見解だとあれは魔法というよりも、もっとこう……世界の根幹を扱うなにかのように思える」
一体何だったのか。疑問ばかりが残ってしまった。
「まあ構わないのではないか。劣勢の時に頼れる加勢があって勝ったんだ。どうしても気になるのなら今度合ったときにエールのいっぱいでも奢ればよかろう」
添え木をされ手を吊した状態のドワーフががははと笑いながらそう言った。
「それもそうですね。わたくしたちが戦っていたことに変わりはありませんし」
「確かにそうだな」
女神官とエルフもドワーフの言葉に賛同するのだった。
彼らと共に一年かけてここまで攻略したのだ。最後のボスに少し加勢されたとしても倒したと言っても差し支えはないはず。
あの玉座の主は何処に行ったのだろうか。新たなダンジョンを造るためにいずこかにいったのか。それともあの幼い魔法使い2人に倒されるのだろうか。
「あんま、余計なこと考えてもつまんないぜ! 攻略したんだから、堂々としてりゃいんだよ!」
何故か偉そうな俺様男。
「そういえばお主何処かで合わなかったかのう?」
「そ、そうだったっけ……?」
すっとぼける俺様男。
「うーん、ああ! あのときの!」
ドワーフが気づいて食って掛かろうとする。
「命の恩人が、あの様な軽薄な方なわけがありませんよ」
「ふむ……まあ、そうじゃの! わしの勘違いじゃった!」
女神官は既に俺様男のことに気付いたようだが命の恩人として不問にしたようだった。
「最後のボスを取り逃がしたのは自分達の未熟だ……もしあのダンジョンマスターが再度現れたときは必ず倒そう」
そう誓って彼らは地上に戻るのであった。
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