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第四話

ダンジョン攻略をせよ!

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 お風呂で逆上せてから数日後。
 俺達はギルド最終試験のために王都郊外にある巨大ダンジョンに来ていた。

「まさか試験で二日もかかるところまで行かせるとは思いもしなかったな」

「移動は冒険者の基本、長いと一月も普通にある」

 そういうものか。確かに街から街に移動するのに数日必要だから二日くらいなら短い方なんだろう。
 道中は平坦な草原ばかりで如何にも初心者用って感じなのはありがたい。

 それにしても都合のいいところにダンジョンがあるよな。やはりツルハゲ宇宙人がちょうど良い場所に作ったってことなのだろうか。
 試験は俺とデルだけだが、セレーネもアティウラも付いてきてくれた。

「あ、見えましたよ!」

 セレーネが小高い丘の上を指差した先にダンジョンがあるらしい……。ってなんだあれは?

 そこにはまるでアミューズメント施設の如くアーチ状の立派な看板が立っていて、大きな文字でダンジョンの入口と書かれていた。

「え、何あれ……」

「かれこれ20年も続いているダンジョンなので、ちょっとした街のようになっているのです」

 なんじゃそりゃ。
 もう少し緊張感のある場所だと思っていたので、なんとなく出鼻を挫かれたような気分なってしまう。

 丘を登りアーチ状の看板を超えるとダンジョンまでの道沿いのあまり広くない空間に所狭しと建物が並んでいた。

 食堂や宿屋といった施設から、武具屋に鍛冶屋、道具屋や魔術関係など各種お店が並んでいる。その中で食堂は複数ありそれなりに人が入っている。中には昼間から酒を飲んでいる奴もいるが、もしかしたら結構な財宝でも出たのだろうか。

 なんかもう一種のアミューズメント施設みたいな様相だな。

「それじゃあ俺達はダンジョンの方に行ってみるよ」

「それではわたくしは宿を取っておきますね」

「ついでに洗濯する」

 セレーネとアティウラは街の方で適当に時間を潰して待ってくれる。

「ちょっと待って、主様」

 そういうとアティウラは俺の外套を綺麗に整えてくれる。

「晴れ舞台だから、きちっとね……はい。格好いい主様」

「あ、ありがとう」

 うんとアティウラはデルの方も格好を整える。
 伊達にメイドさんの格好をしてはいない。なにかと身の回りの世話を甲斐甲斐しくしてくれる。

「ダンジョンの中の水は飲んではいけません。罠もありますから正規ルート以外は絶対に行ってはいけません。後、第一層の敵は弱いですが決して油断はなさらないでください」

 更に心配そうなセレーネが注意事項を教えてくれる。

「うーん、髪の毛も……」

 メイドさんは気になるところがあるらしく今度は鞄から櫛を取りだして俺の頭を整えだした。

「だ、大丈夫だから」

「それではデル、勇者様のことよろしくお願いしますね」

「主様は無茶するから、止めてあげて」

 何処までも心配そうなセレーネとアティウラ。
 なんだ。二人は俺の姉か?

「はいはい。分かってるって手の掛かる弟……いや息子さんは責任を持って連れて戻ってくるから」

 いや息子扱いされてしまった。

「ここで売っているのは王都に比べると割高ですから、本当に必要なもの以外は買ってはいけませんよ」

 まだ心配事項があるらしい。
 そもそも金の方はほとんど持ってないから大丈夫だと思われるが。

「もし何かあったら直ぐに言ってくださいね。すっ飛んで参りますから」

 デルの言うとおりですね。もうセレーネもアティウラもおかんみたいなもんだな。

「大丈夫でしょ。こいつの能力ならそもそも戦闘は回避出来るだろうし、いざとなったら僕が居るし」

「主様、もし危険のときは躊躇わずに武器を使って」

「……ああ、分かったよ」

 腰に下げた短剣に手をかけながら、彼女の最後のアドバイスを真剣に聞いた。
 もしデルの身に何か起こったとき俺が彼女を助けなくてはならない。そのときに躊躇わずに短剣を引き抜けるだろうか。
 いや引き抜かないといけない。

「よしっ、じゃ、行ってらっしゃい」
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