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第三話
あっしと俺っち<Ⅲ>
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『ひゃは、ひゃは……あひゃひゃ!』
トロルは気持ち悪い笑い声をあげながら嬉しそうに川を渡る。
この万能通訳が高機能なのはいいが笑い声みたいのも翻訳されるとちょっと気色悪い。
おそらくトロルにとって狩りそのものが遊びの延長なのかもしれない。
なんつーか強者ならではの考え方だよな。
『汚ーぞ! そこの人間! こいつに何を吹き込んだんだ!!』
ノールがキャンキャン吠えた。
『そうっすよ! 卑怯っすよ!』
「一方的にスリングで攻撃してくるのは卑怯ではないのか……」
『それは戦術でしょうが!』
オークなのになんかそれっぽいことを言うもんだな。
「それならこれだって十分に戦術って言えるだろ」
『ぬぐっ! 人間のくせに口の減らない……』
『やべ! マジで逃げないとこいつに喰われるぞ』
なんか人間くさく悔しそうにしているオークと妙に冷静なノールだった。
『お、憶えてろ! この借りは必ず返すからな!』
本当に悪役みたいな逃げ台詞を残して二匹は走って去って行く。
それをトロルが巨体をモノともしない速さで追いかけていった。
「ふう……まじでヤバかった……」
サーチで3匹の位置を調べるとそのまま遠くへと去って行くのが確認出来た。
「よし……お姉ちゃん……いや、アティウラさんの方は大丈夫?」
「大丈夫……むしろボクの方が大変」
アティウラはよろよろと立ち上がると、俺の側に来て先ほどの投石で切れた額の辺りを指差す。
「これくらい……うわー!?」
軽く額を触ると妙に濡れていたので手を見ると真っ赤になっていた。
少し興奮して血流がよくなったからか、思った以上に血がどばどば出ていたらしい。
「痛っ!!!」
そして思い出したかのように額に痛みが走った。
アティウラが俺の額に手を置いて傷口を見てくれる。
「血は多いけど傷は深くはない」
「それなら、まだポーションが残っているから」
雑嚢に手を入れてポーションを取り出す。
一番安い奴だが、これくらいの怪我であれば直ぐに治してくれる。なんとも便利な世界である。
一体どういう仕組みなんだろうな。サーチ等でも効果の仕組みまでは調べることが出来なかったんだけど、やはり宇宙人の超科学の一種なんだろうか。
「ほら……」
取りだしたポーションを傷口にかけようとしたらアティウラが代わりにやってくれる。
かかった瞬間、少しだけ染みるが直ぐに痛みが引いていく。
「あ、血が止まった。ありがとうお姉ちゃん」
「そ、そう、よかった。無茶して……でも感謝してる」
なんとも少々複雑な表情のアティウラだった。
おそらくキスをしたのかの説明がほしいのだろう。
彼女の唇はセレーネやデルに比べて、少し厚めで弾力があった……ってそれが分かるほど俺はキスに慣れてきているのだろうか。いずれにせよごちそうさまでした。
あ、いやもしかしたら他のことだったりして、おっぱいが固いとか言っちゃったこととか? でもあれっておっぱいの形に合わせて作ってあるんだとしたら結構な大きさだよな。
「顔が気持ち悪い」
「な?! 気持ち悪いって……ごめん、キスの方は説明する時間がなかったんだ」
「本当に必要だった? 実は……」
こんなことしなくても出来たりするんじゃと言いたそうな顔をしていた。
「あるわけないよ。あんな切羽詰まった状況で、それなら後報酬で頼んだ方が余程現実的だもの」
「それもそうか……ませガキじゃないのね」
俺の説明に一応の理解は出来たが、感情的には色々と複雑な感じなのだろう。
理由は色々とあれど出会って数分の男にいきなりキスをされればそういう気持ちにもなるよね。
それにしてもこの特殊能力で毎度女性に誤解されるのはどうにかならないものだろうか。
まあ俺がイケメンならもう少し緩和するのかもしれないけどさ。
「一応言っておくけど、好きでこんな能力を手に入れたわけじゃないから」
「信じてもいいけど……お姉さん、は、初めて……だから」
「まじで!?」
「子供ならノーカウント……あのキスでそれは無理」
「い、いや、本当にこんな能力でごめんなさい」
「冗談。本当に初めてだと思う?」
「え、それはまあ、お姉ちゃんは美人だから意中の人がいても不思議じゃないけど」
「そ、そう? よしよし」
どういう意味かは分からないが、少しだけ機嫌を直して俺の頭を撫でてきた。
「あのMPはどうしたの?」
「それは……」
アティウラは俺からとは考えていないようだった。まあそうだよな普通の人間はMP500なんて持っていないのだから。
そして俺は毎度のように自分の能力について説明をすることにした。
トロルは気持ち悪い笑い声をあげながら嬉しそうに川を渡る。
この万能通訳が高機能なのはいいが笑い声みたいのも翻訳されるとちょっと気色悪い。
おそらくトロルにとって狩りそのものが遊びの延長なのかもしれない。
なんつーか強者ならではの考え方だよな。
『汚ーぞ! そこの人間! こいつに何を吹き込んだんだ!!』
ノールがキャンキャン吠えた。
『そうっすよ! 卑怯っすよ!』
「一方的にスリングで攻撃してくるのは卑怯ではないのか……」
『それは戦術でしょうが!』
オークなのになんかそれっぽいことを言うもんだな。
「それならこれだって十分に戦術って言えるだろ」
『ぬぐっ! 人間のくせに口の減らない……』
『やべ! マジで逃げないとこいつに喰われるぞ』
なんか人間くさく悔しそうにしているオークと妙に冷静なノールだった。
『お、憶えてろ! この借りは必ず返すからな!』
本当に悪役みたいな逃げ台詞を残して二匹は走って去って行く。
それをトロルが巨体をモノともしない速さで追いかけていった。
「ふう……まじでヤバかった……」
サーチで3匹の位置を調べるとそのまま遠くへと去って行くのが確認出来た。
「よし……お姉ちゃん……いや、アティウラさんの方は大丈夫?」
「大丈夫……むしろボクの方が大変」
アティウラはよろよろと立ち上がると、俺の側に来て先ほどの投石で切れた額の辺りを指差す。
「これくらい……うわー!?」
軽く額を触ると妙に濡れていたので手を見ると真っ赤になっていた。
少し興奮して血流がよくなったからか、思った以上に血がどばどば出ていたらしい。
「痛っ!!!」
そして思い出したかのように額に痛みが走った。
アティウラが俺の額に手を置いて傷口を見てくれる。
「血は多いけど傷は深くはない」
「それなら、まだポーションが残っているから」
雑嚢に手を入れてポーションを取り出す。
一番安い奴だが、これくらいの怪我であれば直ぐに治してくれる。なんとも便利な世界である。
一体どういう仕組みなんだろうな。サーチ等でも効果の仕組みまでは調べることが出来なかったんだけど、やはり宇宙人の超科学の一種なんだろうか。
「ほら……」
取りだしたポーションを傷口にかけようとしたらアティウラが代わりにやってくれる。
かかった瞬間、少しだけ染みるが直ぐに痛みが引いていく。
「あ、血が止まった。ありがとうお姉ちゃん」
「そ、そう、よかった。無茶して……でも感謝してる」
なんとも少々複雑な表情のアティウラだった。
おそらくキスをしたのかの説明がほしいのだろう。
彼女の唇はセレーネやデルに比べて、少し厚めで弾力があった……ってそれが分かるほど俺はキスに慣れてきているのだろうか。いずれにせよごちそうさまでした。
あ、いやもしかしたら他のことだったりして、おっぱいが固いとか言っちゃったこととか? でもあれっておっぱいの形に合わせて作ってあるんだとしたら結構な大きさだよな。
「顔が気持ち悪い」
「な?! 気持ち悪いって……ごめん、キスの方は説明する時間がなかったんだ」
「本当に必要だった? 実は……」
こんなことしなくても出来たりするんじゃと言いたそうな顔をしていた。
「あるわけないよ。あんな切羽詰まった状況で、それなら後報酬で頼んだ方が余程現実的だもの」
「それもそうか……ませガキじゃないのね」
俺の説明に一応の理解は出来たが、感情的には色々と複雑な感じなのだろう。
理由は色々とあれど出会って数分の男にいきなりキスをされればそういう気持ちにもなるよね。
それにしてもこの特殊能力で毎度女性に誤解されるのはどうにかならないものだろうか。
まあ俺がイケメンならもう少し緩和するのかもしれないけどさ。
「一応言っておくけど、好きでこんな能力を手に入れたわけじゃないから」
「信じてもいいけど……お姉さん、は、初めて……だから」
「まじで!?」
「子供ならノーカウント……あのキスでそれは無理」
「い、いや、本当にこんな能力でごめんなさい」
「冗談。本当に初めてだと思う?」
「え、それはまあ、お姉ちゃんは美人だから意中の人がいても不思議じゃないけど」
「そ、そう? よしよし」
どういう意味かは分からないが、少しだけ機嫌を直して俺の頭を撫でてきた。
「あのMPはどうしたの?」
「それは……」
アティウラは俺からとは考えていないようだった。まあそうだよな普通の人間はMP500なんて持っていないのだから。
そして俺は毎度のように自分の能力について説明をすることにした。
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