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第二話
そろそろ出発のとき
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次の日、セレーネが治療などを行っている間に俺の方はドームを色々と調べて回った。
今よりも発達した時代の代物なので、もしかしたら宝的なものが出るかもしれないと調べたら思った以上に色々と発見があった。
ドームの地下には魔力で封印された区画が複数あり、それを軒並み開けて回った。
ほとんどは空でしかなかったがガーディアンの予備と思われるゴーレムが複数手に入ったり、いくつかの魔導機やマジックアイテムも見つかった。
それ以外にも色々と出て来たが補修部品のようなもので単体ではあまり使い物にならなかった。
更に魔力石の鉱脈を探してみたが、廃坑道の一つにまだ手つかずの場所が見つかったので族長などに報告すると直ぐさま担当している連中が掘る計画を話し合い始めた。
そんな感じであっという間に数日が過ぎていった。
「やはり行ってしまうのですな」
「俺にはまだやるべきことがあるからね」
セレーネの治療も終わったので里を出発することにした。
居心地の良い場所なので長居をすると本当に腰が重くなりそうだしな。
ドームから歩いて行くのはさすがに危険で遠いので、転移装置で森にまで飛ばして貰うことにした。
そこには族長やカトリナなど主要な面々が見送りに来ている。
それ以外の連中は、俺が与えた新たな仕事に忙しくしているようだった。
デルとはドームを探索している間、ずっと共に行動をしていたが結局それらしいことは一度もすることはなかった。
正確には忙しすぎて、そんな暇がなかったというのが正しいかな。
とはいえ少しだけホッとしてる部分と残念に思う部分と両方の気持ちがあるんだけどね。
デルはここに来ていないので、やはり怒らせてしまったかもしれない。
「お待たせー、よいしょっと」
「え……」
などと考えていたらデルが遅れてやってきた。
それにしてはえらい荷物だが……。
「それは餞別なのか?」
「なーに言ってんの、これから僕も一緒に行くんだよ」
おい、何か言い出したぞ。
「それって人間の街に買い出しにでも行くってことか」
「なにそれボケの一種? 僕も二人と一緒に行動するって言ってんの」
「はあ!?」
ドヤ顔のデル、確かによく見たらい普段よりも着込んでいるし装備も整えている。
「不甲斐ない一族の主を間近で守護するのが必要でしょ、僕以外は人間にバレちゃうと面倒だしちょうど良いでしょ」
「いやいやいや……、さすがにそれはどうなんだよ」
「やっぱりだめかな、二人の邪魔をするつもりはないんだけど……」
「そういわけじゃないけど」
困った俺は、ちらりと見るとセレーネは笑顔を向けた。
「もちろんわたくしは構いませんよ。デルの魔法があれば道中色々と助けになると思いますし」
「だよねっ!」
ぱあっと笑顔になるデル。
「それになんだかここ数日お二人だけ凄く仲良くなられて、わたくしは一人で蚊帳の外で寂しい想いをさせられてしまいましたし」
「え?」
「……はい?」
も、もしかして……、例の話知られちゃったとか?
「せ、セレーネ、あれは……」
「ですから、これからの旅でわたくしもお二人とより仲良くなりたいと思う次第です」
「うん、僕もセレーネと仲良くなりたいっ!」
「はいっ!」
デルとセレーネの二人は手を取り合いぴょんぴょんと跳び合う。
まるで女子高生みたいだなと……。
「分かった分かった。付いてくるのは構わないけど、あんまりワガママは言うなよ」
「当たり前じゃん! 僕は主様に帰属しているんだから」
本当かね……。
やれやれ一人増えてしまったな。
「でも、里の方はいいのかよ?」
「主様、今はガーディアンも稼働しておりますし、契約により妾達も色々と底上げしていただきましたのでヴェンデルが居なくても問題はありません」
「それにヴェンデルはずっと人間の国とか行ってみたかったみたいだしね」
族長やカトリナもデルを後押ししてきた。
「そうか分かったよ、それじゃあ行くとしよう。後のことはみんなに任せたから、その内また来るよ」
「ははっ、後のことは全てお任せください。主様も何卒お気を付けて」
今よりも発達した時代の代物なので、もしかしたら宝的なものが出るかもしれないと調べたら思った以上に色々と発見があった。
ドームの地下には魔力で封印された区画が複数あり、それを軒並み開けて回った。
ほとんどは空でしかなかったがガーディアンの予備と思われるゴーレムが複数手に入ったり、いくつかの魔導機やマジックアイテムも見つかった。
それ以外にも色々と出て来たが補修部品のようなもので単体ではあまり使い物にならなかった。
更に魔力石の鉱脈を探してみたが、廃坑道の一つにまだ手つかずの場所が見つかったので族長などに報告すると直ぐさま担当している連中が掘る計画を話し合い始めた。
そんな感じであっという間に数日が過ぎていった。
「やはり行ってしまうのですな」
「俺にはまだやるべきことがあるからね」
セレーネの治療も終わったので里を出発することにした。
居心地の良い場所なので長居をすると本当に腰が重くなりそうだしな。
ドームから歩いて行くのはさすがに危険で遠いので、転移装置で森にまで飛ばして貰うことにした。
そこには族長やカトリナなど主要な面々が見送りに来ている。
それ以外の連中は、俺が与えた新たな仕事に忙しくしているようだった。
デルとはドームを探索している間、ずっと共に行動をしていたが結局それらしいことは一度もすることはなかった。
正確には忙しすぎて、そんな暇がなかったというのが正しいかな。
とはいえ少しだけホッとしてる部分と残念に思う部分と両方の気持ちがあるんだけどね。
デルはここに来ていないので、やはり怒らせてしまったかもしれない。
「お待たせー、よいしょっと」
「え……」
などと考えていたらデルが遅れてやってきた。
それにしてはえらい荷物だが……。
「それは餞別なのか?」
「なーに言ってんの、これから僕も一緒に行くんだよ」
おい、何か言い出したぞ。
「それって人間の街に買い出しにでも行くってことか」
「なにそれボケの一種? 僕も二人と一緒に行動するって言ってんの」
「はあ!?」
ドヤ顔のデル、確かによく見たらい普段よりも着込んでいるし装備も整えている。
「不甲斐ない一族の主を間近で守護するのが必要でしょ、僕以外は人間にバレちゃうと面倒だしちょうど良いでしょ」
「いやいやいや……、さすがにそれはどうなんだよ」
「やっぱりだめかな、二人の邪魔をするつもりはないんだけど……」
「そういわけじゃないけど」
困った俺は、ちらりと見るとセレーネは笑顔を向けた。
「もちろんわたくしは構いませんよ。デルの魔法があれば道中色々と助けになると思いますし」
「だよねっ!」
ぱあっと笑顔になるデル。
「それになんだかここ数日お二人だけ凄く仲良くなられて、わたくしは一人で蚊帳の外で寂しい想いをさせられてしまいましたし」
「え?」
「……はい?」
も、もしかして……、例の話知られちゃったとか?
「せ、セレーネ、あれは……」
「ですから、これからの旅でわたくしもお二人とより仲良くなりたいと思う次第です」
「うん、僕もセレーネと仲良くなりたいっ!」
「はいっ!」
デルとセレーネの二人は手を取り合いぴょんぴょんと跳び合う。
まるで女子高生みたいだなと……。
「分かった分かった。付いてくるのは構わないけど、あんまりワガママは言うなよ」
「当たり前じゃん! 僕は主様に帰属しているんだから」
本当かね……。
やれやれ一人増えてしまったな。
「でも、里の方はいいのかよ?」
「主様、今はガーディアンも稼働しておりますし、契約により妾達も色々と底上げしていただきましたのでヴェンデルが居なくても問題はありません」
「それにヴェンデルはずっと人間の国とか行ってみたかったみたいだしね」
族長やカトリナもデルを後押ししてきた。
「そうか分かったよ、それじゃあ行くとしよう。後のことはみんなに任せたから、その内また来るよ」
「ははっ、後のことは全てお任せください。主様も何卒お気を付けて」
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