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第二話
奇跡の生還?<Ⅰ>
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「あ、あれ?」
目を覚ますと、眼前にデルの顔があった。
「俺はどうしたんだっけか……」
頭に妙に柔からな感触があるけど、ああ、そうか。どうやら膝枕をされているらしい。
天井は見たことがない場所に思えるけど……彼らの住居は似たようなところが多いからな……。
「お、俺は一体?」
「えっと……だ、大丈夫?」
凄く近いところで心配そうな顔をしている。
「何があったんだんだっけ……敵にやられた?」
「そ、それがその……ごめんなさい。僕が思わず蹴っ飛ばしてしまって……」
「蹴っ飛ばす? ああそうか、思い出した」
一応それなりのウェイト差があるはずなんだが、なかなか凄いものだなと感心してしまう。
「あのその、それで……あ、主様を蹴っ飛ばしてしまって、ごめんなさい……もし怒っているのなら、僕を思い切り蹴っ飛ばしたりしていいから、その……」
「いや、女の子を蹴っ飛ばすような趣味はないから。それにデルと同じような蹴りなんて出来ないし」
「じゃ、じゃあ……どうすれば許してくれる?」
そこまで必死にならんでも……。
「ってそうか、今の俺は主様なんだっけか。ふっふっふー、さてどうしようかな」
「な、なんでもするので、どうか……主様を辞めたりはしないで……お願いします」
「そうかそうか、ふむふむ何でもするんだな」
「え、ちょ、もしかして……そんな……」
「そう、俺は主様だからな。好きにさせて貰うぞ」
「ほ、本気……なの? え、ちょ、ちょっと目が怖いんだけど……」
「なんだ責任を取るつもりはないのか?」
「そ、それは……」
「ならば、こうじゃ!」
「ひゃっ!」
くるりと俯せになってデルの生脚の間に顔を埋める。先ほどから妙に心地良い感触が気になってしょうがなかった。
「おお……これはなかなか」
「……え、な、なに、なんなの!?」
まだ何をされているのかが分かっていない様子のデルだった。
「見ての通り、お前の太ももを堪能しているのだが」
「え……こ、こんなのでいいの?」
「こんなのって、もしかしてもっと凄いことを想像していたのかよ」
おそらく、その覚悟もあったんだと思う。
なにせ今寝かされていたベッドは俺でもゆっくり眠れる大きなサイズなのだから。
「ば、ばっかじゃないの!」
べしっ!
「えぶっ!」
激しい突っ込みとばかりに後頭部にチョップをカマしてきやがった。
「……あ、ごめん」
「お前はその口よりも先に手が出る癖は治した方が良いと思うぞ」
そんな彼女はこれでも魔法使いである。まあ体術も相当得意みたいだけど。
まあ、確かに魔法使いとはいえ勇者相手に接近戦を挑むだけはあるよな。
「あ、あのさ、もしかして里に居てくれるの?」
俺が彼女の太ももに触れているとそう話しかけてきた。
「え、なんでだ?」
「だってその、作戦が中止になったから……もしかしたら族長とあんたが、し、しちゃったのかなって思ったんだけど、それにしてはあまりにも早いし……」
「ああ、その話か」
「……もしかして、凄く早いとか」
どきっ!
「ど、ど、ど、どういう意味だよ!」
「もう冗談、冗談だって、男の子ってどうして早いっていうと怒るんだか」
「う、うるっさいっ! そうやって気軽に使うんじゃない。結構傷つけることになるんだからな」
「え、そ、そうなんだ……ごめんなさい。じゃあもう言わないようにする」
彼女に悪気がないのは分かっているが、思わずトラウマを刺激されてつい言い返してしまった。まだまだかなり引きずっているみたいだった。
「あ、そうか、あんたって男の子の方が好きって人なんだ」
「はあ!? だからなんでそうなるんだよ!」
「だって、あれだけの美人を連れ立っていて、しかも沢山キスしまくっているのにそういうことしていないんでしょ? だったらそう思うのが普通じゃん……可愛い男の子の方を用意しようか」
「要らないから!」
「ええ!? ムキムキマッチョなのが好きなの!? ガチホモじゃん!」
「なんでそうなるんだよっ!」
「えー……、じゃあ獣系とか人外系が好みなの?」
「お前なぁ……」
獣とか人外ってどんなののことを言っているんだよ。そっちの方が気になるわ。
「もしかして人間特有の宗教的な理由でもあるの? 亜人と交わってはいけないみたいなの、それとも性行為そのものを否定しているとか」
「そういうのでもないけど、どうしてその方向に持っていこうとするんだ」
「どうしてって、むしろなんでそんなに嫌がるのかが不思議なんだけど」
「まじで?」
なんか凄えことを言い出したぞ。
目を覚ますと、眼前にデルの顔があった。
「俺はどうしたんだっけか……」
頭に妙に柔からな感触があるけど、ああ、そうか。どうやら膝枕をされているらしい。
天井は見たことがない場所に思えるけど……彼らの住居は似たようなところが多いからな……。
「お、俺は一体?」
「えっと……だ、大丈夫?」
凄く近いところで心配そうな顔をしている。
「何があったんだんだっけ……敵にやられた?」
「そ、それがその……ごめんなさい。僕が思わず蹴っ飛ばしてしまって……」
「蹴っ飛ばす? ああそうか、思い出した」
一応それなりのウェイト差があるはずなんだが、なかなか凄いものだなと感心してしまう。
「あのその、それで……あ、主様を蹴っ飛ばしてしまって、ごめんなさい……もし怒っているのなら、僕を思い切り蹴っ飛ばしたりしていいから、その……」
「いや、女の子を蹴っ飛ばすような趣味はないから。それにデルと同じような蹴りなんて出来ないし」
「じゃ、じゃあ……どうすれば許してくれる?」
そこまで必死にならんでも……。
「ってそうか、今の俺は主様なんだっけか。ふっふっふー、さてどうしようかな」
「な、なんでもするので、どうか……主様を辞めたりはしないで……お願いします」
「そうかそうか、ふむふむ何でもするんだな」
「え、ちょ、もしかして……そんな……」
「そう、俺は主様だからな。好きにさせて貰うぞ」
「ほ、本気……なの? え、ちょ、ちょっと目が怖いんだけど……」
「なんだ責任を取るつもりはないのか?」
「そ、それは……」
「ならば、こうじゃ!」
「ひゃっ!」
くるりと俯せになってデルの生脚の間に顔を埋める。先ほどから妙に心地良い感触が気になってしょうがなかった。
「おお……これはなかなか」
「……え、な、なに、なんなの!?」
まだ何をされているのかが分かっていない様子のデルだった。
「見ての通り、お前の太ももを堪能しているのだが」
「え……こ、こんなのでいいの?」
「こんなのって、もしかしてもっと凄いことを想像していたのかよ」
おそらく、その覚悟もあったんだと思う。
なにせ今寝かされていたベッドは俺でもゆっくり眠れる大きなサイズなのだから。
「ば、ばっかじゃないの!」
べしっ!
「えぶっ!」
激しい突っ込みとばかりに後頭部にチョップをカマしてきやがった。
「……あ、ごめん」
「お前はその口よりも先に手が出る癖は治した方が良いと思うぞ」
そんな彼女はこれでも魔法使いである。まあ体術も相当得意みたいだけど。
まあ、確かに魔法使いとはいえ勇者相手に接近戦を挑むだけはあるよな。
「あ、あのさ、もしかして里に居てくれるの?」
俺が彼女の太ももに触れているとそう話しかけてきた。
「え、なんでだ?」
「だってその、作戦が中止になったから……もしかしたら族長とあんたが、し、しちゃったのかなって思ったんだけど、それにしてはあまりにも早いし……」
「ああ、その話か」
「……もしかして、凄く早いとか」
どきっ!
「ど、ど、ど、どういう意味だよ!」
「もう冗談、冗談だって、男の子ってどうして早いっていうと怒るんだか」
「う、うるっさいっ! そうやって気軽に使うんじゃない。結構傷つけることになるんだからな」
「え、そ、そうなんだ……ごめんなさい。じゃあもう言わないようにする」
彼女に悪気がないのは分かっているが、思わずトラウマを刺激されてつい言い返してしまった。まだまだかなり引きずっているみたいだった。
「あ、そうか、あんたって男の子の方が好きって人なんだ」
「はあ!? だからなんでそうなるんだよ!」
「だって、あれだけの美人を連れ立っていて、しかも沢山キスしまくっているのにそういうことしていないんでしょ? だったらそう思うのが普通じゃん……可愛い男の子の方を用意しようか」
「要らないから!」
「ええ!? ムキムキマッチョなのが好きなの!? ガチホモじゃん!」
「なんでそうなるんだよっ!」
「えー……、じゃあ獣系とか人外系が好みなの?」
「お前なぁ……」
獣とか人外ってどんなののことを言っているんだよ。そっちの方が気になるわ。
「もしかして人間特有の宗教的な理由でもあるの? 亜人と交わってはいけないみたいなの、それとも性行為そのものを否定しているとか」
「そういうのでもないけど、どうしてその方向に持っていこうとするんだ」
「どうしてって、むしろなんでそんなに嫌がるのかが不思議なんだけど」
「まじで?」
なんか凄えことを言い出したぞ。
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