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第二話

王様って何をするの<Ⅱ>

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「妾が生み出された時代は子供に手を出すことは犯罪となっておりましたので、その役目も担っておりました」

 うーわー……なんだよそれ。いやまあそういうのが好きって輩は一定数いるけどさ……。

「そのように調整されておりますので、そっちは相応に自信はあります」

 だから不思議な色気を感じたのか。

「それでは正式な契約をお願い出来ますか?」

「え……契約なんてあるの? それって完全な主従契約とかだったらちょっとイヤなんだけど」

「そういったものではなく、我ら一族が主様に帰属するという契約になります」

「帰属って、まあ少なくとも隷属とは違う感じだけど……」

 アイテムみたいに、通常じゃ解除不能とかじゃないだろうな。

「さっきは言い忘れたけど、もし俺の方がトラブルになって大変な状態になったら、君達まで迷惑掛けるかもしれないんだけどさ」

「気になりません。元より主様が現れなければ遅かれ早かれ我らは人間に滅ぼされていたことでしょう」

「じゃあ普通に人間の奴隷とかにはならないのか?」

「我ら一族は彼らにとって忌むべき存在のようで、生け捕りにすることはあまりないようですので……」

 ああ、それもそうか。そんな相手を奴隷にする奴はいないか。

「ですから主様とは一蓮托生、主様に何かあったら共に滅びたとしてもそれはそれで運命だったのでしょう」

「ああもう、分かったよ。それじゃあその帰属契約というのをしてみよう」

「ありがとうございます!」

 俺と契約して何が変わるとは思えないが……。

「それで、どうすればいいんだ」

「契約は簡単です」

 族長は何かしらのウィンドウを表示をすると操作を始め、しばらくするとこちらにダイアログがポップアップ表示された。

【紋様族の族長が貴方に帰属を求めています】

 俺は一瞬の躊躇いの後、OKを押すとピロリーンとビープ音みたいな効果音が頭の中に響いた。正直こういうの要らないって思うのだが。

【紋様族が貴方に帰属しました】

【帰属保護を行いますか?】

「は? 帰属保護って出てるけど、これは何?」

「帰属保護……? 申し訳ありませぬ、その様な単語は初めて聞きました」

 騙されたのかと思ったが、騙すのなら最後まで通せばいいので族長も分からないのだろう。

 あ、そうか。分からなければ調べれば良いんじゃないか。

「ちょっと待ってて、“ワードサーチ”帰属保護」

【帰属保護:亜人や魔物を配下に置いたときに一部の特殊な存在が使用可能な特殊能力である。1人の保護につき20MPの消費を求める】

【それによる効果はステータス上昇、魔法防御の向上、一部スキルの解禁など】

【帰属代表には任意のMPを与えることが可能、ただし与えられるMPは消費したMPの半分を与えることとする】

【貸与は自動的に日に一度、週に一度、月に一度の頻度で送られる】

【帰属解除をした場合、保護も同時に解除される】

「なんだこりゃ?」

「どうなさったのですか」

「いや……勇者ってのは色んな事が出来るんだなって」

 それにしてもMPの消費が多いな。普通は2,3人程度を対象としたものなのなんだろうな。
 だが幸いなことに俺にとってこれだけの人数でも全く問題がない。

「えーっと、とりあえず全員分の帰属保護分を払って、族長には1000MPを……とりあえず週に一度でいいか。足りなかったら変えられるみたいだし」

「主様?」

「よしっ、とりあえず設定は出来た」

「そ、そうですか……」

 俺の言葉の意味があまり分かっていないのか族長は不思議そうに見ていた。

「とりあえずステータスを見せてくれない?」

「……分かりました。これでよろしいでしょうか……あ、主様これ!?」

 族長は自分のステータスを表示して見せてくれた。
 しばらくすると、異変に気付いたようで凝視するように各種数値を見渡し始めた。

「能力値が軒並みアップして……、魔術スキルに取得不能だった一部が可能になっております」

「これが帰属保護の恩恵だそうだ。それとMPは週に一度自動的に500回復するから、計画的に使ってくれ」

「ええ!? そ、そんな……、ここまでされては……」

「気にするなって、こっちにはあんまりペナルティもないし。これなら主としての面目も立つしさ」

「そ、そうですか……。大変申し訳ありません! 主様に謝らなくてはいけません!」

 族長は椅子から降りて俺の前で頭を低く跪いた。

「いきなりどうしたんだよ!?」

「じ、実は……主様をうまく籠絡して、このドームにずっと居ていただこうと邪なことを考えておりました……」

「まじで?」

 族長はその姿勢のまま動かない。
 紋様は灰色になっていた。
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