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第二話
長い一日でした
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「うっ……」
温泉でゆっくりした後、二人一緒に部屋に戻ったが寝るには身体がまだ熱いので、ベッドに腰掛けて寛いでいると身体に異変を感じた。
「あ、あれ?」
何故か手が震えて止まらない。
「勇者様、大丈夫ですか」
「あ、あはは……、情けないけど今更になって手とかが震えてきたみたい……」
ワイバーンと対峙しているときは必死だったから何ともなかったんだけど落ち着いた環境になったからだろうか。
改めて考えてみると、よくあんなデカいのを相手に立ち回って生き残れたよな。
震えの範囲は徐々に大きくなり肩や背中も小刻み動き出していた。
「大丈夫ですよ」
俺の異変に気付いたセレーネが直ぐ隣に座ると両手を取り優しく包むように握ってくれた。
「勇者様、これは情けないことではありません。誰だってあのような怪物を間近で見たら恐ろしいのです」
彼女の細くて綺麗な手から温もりを感じ始めた。
「恐怖を感じることは生きている証です。もし感じなくなったらそれはある意味で死と同じになってしまいます」
「そ、そうかもしれないけど……今更になって怖くなるなんてさ……」
確かに普通に考えても無望だったと思う。
なんの策もなく飛び出して、出たとこ勝負でたまたま上手くいっただけだもの。
「では、震えが止まるまでこうなさってはどうでしょうか」
「え、なに?」
何をするのかと見ていたら、ベッドの上で女の子座りをして、こちらに来てくださいとばかりに招くように手を開いた。
「え、えっと……、それって?」
「はいっ、弟や妹が泣いちゃうほど辛いときなどによくしていたのです。凄く落ち着くと思いますよ」
「え、俺って弟扱いなの!?」
「あ、あら? そういうつもりではなかったのですが……」
そりゃ体格的には姉と弟だけどさ。
いやしかし、一人で震えているのも確かに辛いし、こういうときは素直に好意に甘えるのもいいかもしれない。
「いやいいんだけど……、じゃ、じゃあ少しだけいいかな」
「ええ、もちろんです。わたくしでよろしければいつでも構いませんよ」
よければなんて、そんな甘やかすようなことを言うと本当にそうしてしまうんだけど。
何せセレーネは温かくて柔らかくて……優しいからな。
「それでは……少し失礼して……」
俺はどうせ文句は言われないだろうと彼女の大きな胸に顔預けるようにして抱きしめた。
「わ!? ゆ、勇者様、意外と大胆に来ますね……」」
なんかもう色々と悩むのが面倒になったので一番やりたい形にしてもらった。
なんとも言えない柔らかさに温もりがたまらない。
「わ、あ、あのあの、勇者様!?」
困った様子の声が聞こえるが、俺はより温もりを求めてぐりぐりと顔を押し付けていく。
「ちょ、ちょっと……や、も、もうくすぐったいですって……」
なんだか良い匂いがしてくる。これは香水とか何かだろうか。
前に臭いって言っちゃってから、ずっと気にしているみたいなんだよな。
セレーネの心臓の鼓動が聞こえてくると、徐々に早まっていた俺の心臓が彼女の鼓動に合わせるようにゆっくりになっていく。
気持ちが落ち着きしばらくそうしていると、セレーネの手が俺の頭を撫でてきた。
もうなんていうか完全に弟と同じ扱いにされている気がする。
「こんなことしか出来ませんが、勇者様が辛いときはわたくしに言ってくださいね……」
「ありがとう……」
彼女の胸元に顔を埋めたまま、くぐもった声で感謝をしたのだった。
温泉でゆっくりした後、二人一緒に部屋に戻ったが寝るには身体がまだ熱いので、ベッドに腰掛けて寛いでいると身体に異変を感じた。
「あ、あれ?」
何故か手が震えて止まらない。
「勇者様、大丈夫ですか」
「あ、あはは……、情けないけど今更になって手とかが震えてきたみたい……」
ワイバーンと対峙しているときは必死だったから何ともなかったんだけど落ち着いた環境になったからだろうか。
改めて考えてみると、よくあんなデカいのを相手に立ち回って生き残れたよな。
震えの範囲は徐々に大きくなり肩や背中も小刻み動き出していた。
「大丈夫ですよ」
俺の異変に気付いたセレーネが直ぐ隣に座ると両手を取り優しく包むように握ってくれた。
「勇者様、これは情けないことではありません。誰だってあのような怪物を間近で見たら恐ろしいのです」
彼女の細くて綺麗な手から温もりを感じ始めた。
「恐怖を感じることは生きている証です。もし感じなくなったらそれはある意味で死と同じになってしまいます」
「そ、そうかもしれないけど……今更になって怖くなるなんてさ……」
確かに普通に考えても無望だったと思う。
なんの策もなく飛び出して、出たとこ勝負でたまたま上手くいっただけだもの。
「では、震えが止まるまでこうなさってはどうでしょうか」
「え、なに?」
何をするのかと見ていたら、ベッドの上で女の子座りをして、こちらに来てくださいとばかりに招くように手を開いた。
「え、えっと……、それって?」
「はいっ、弟や妹が泣いちゃうほど辛いときなどによくしていたのです。凄く落ち着くと思いますよ」
「え、俺って弟扱いなの!?」
「あ、あら? そういうつもりではなかったのですが……」
そりゃ体格的には姉と弟だけどさ。
いやしかし、一人で震えているのも確かに辛いし、こういうときは素直に好意に甘えるのもいいかもしれない。
「いやいいんだけど……、じゃ、じゃあ少しだけいいかな」
「ええ、もちろんです。わたくしでよろしければいつでも構いませんよ」
よければなんて、そんな甘やかすようなことを言うと本当にそうしてしまうんだけど。
何せセレーネは温かくて柔らかくて……優しいからな。
「それでは……少し失礼して……」
俺はどうせ文句は言われないだろうと彼女の大きな胸に顔預けるようにして抱きしめた。
「わ!? ゆ、勇者様、意外と大胆に来ますね……」」
なんかもう色々と悩むのが面倒になったので一番やりたい形にしてもらった。
なんとも言えない柔らかさに温もりがたまらない。
「わ、あ、あのあの、勇者様!?」
困った様子の声が聞こえるが、俺はより温もりを求めてぐりぐりと顔を押し付けていく。
「ちょ、ちょっと……や、も、もうくすぐったいですって……」
なんだか良い匂いがしてくる。これは香水とか何かだろうか。
前に臭いって言っちゃってから、ずっと気にしているみたいなんだよな。
セレーネの心臓の鼓動が聞こえてくると、徐々に早まっていた俺の心臓が彼女の鼓動に合わせるようにゆっくりになっていく。
気持ちが落ち着きしばらくそうしていると、セレーネの手が俺の頭を撫でてきた。
もうなんていうか完全に弟と同じ扱いにされている気がする。
「こんなことしか出来ませんが、勇者様が辛いときはわたくしに言ってくださいね……」
「ありがとう……」
彼女の胸元に顔を埋めたまま、くぐもった声で感謝をしたのだった。
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