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第二話
ゆっくり過ごせそう<Ⅳ>
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「そうですね勇者様が転職なされば今度こそお金の入る仕事がいっぱい出来るでしょうし」
「そっちか」
「もちろんです。ポータルは勇者の為の施設であると同時に大規模な冒険者ギルドでもあるので大きな仕事が沢山入ってきますし」
「冒険者って登録制だったりするのか」
「そうです。あ、わたくしも一応登録だけはしています」
「そうなんだ」
「ええ、登録証が発行されるので場所によってはこれが一種の身分証代わりにもなるの巡回する司祭は大体入っているのです」
そう言って彼女は自分のステータスを表示させる。
たしかに職業の備考欄に冒険者登録済みと書いてある。
「国を越えるときなど比較的楽に通してもらえますし、それに意外と儲けにもなるんです」
さすがセレーネ、そういう話に抜け目はないな。
「そういうものなんだ」
「生きていく為にお金はどうしても必要ですし」
「結構現実的な話だな」
君はお金には特に現実的だよね。
「世界を回っているとそういった現実に嫌でも目にしてしまいますから」
「あ、それは俺もよく分かるよ」
今にしてみると日本では生きるための仕事だったのか、仕事のために生きていたのか……そこはもう考えたくないかな。
「あ、そうだ。大きな図書館のある街って近いの?」
「大きな図書館て……、もしかして古代図書館の街でしょうか」
古代図書館?
女神の手伝いをしていたときに暇な時間は玉さんの手記を読んでいたんだけど、彼の家のものは全てもらえる約束なので、是非行ってみたいが場所は図書館の街としか書いていなかったのでよく分からなかった。
でも図書館で街だし、それで合っている気がする。
「えっと多分」
「何か知っている方でもいるのですか?」
「ドガ砦のワイトとの約束でそこに行ってほしいらしいんだ」
「その様な話もしていたのですか?」
「そうなんだ。ついでにその彼の家にあるものは全てもらっていいらしい。元勇者で冒険もかなりしているから色々と高価なものもあるらしいよ」
「なんですと!?」
その話に驚いて立ち上がるセレーネ。
「こうしてはいられません! 直ぐに向かいましょう!」
……み、見えてしまった。お胸に続きさらに大事なところが。
それにしても……毛がなかった。剃っているんだろうか? それとも元から? いや……髪の毛の色が薄いそっちも薄いから……じゃなくて!
「見えてる! 見えてるから!」
「あら、ついはしたなく興奮してしまいました。お目汚し失礼致しました」
「別にお目汚しじゃないけど、確かに裸を見せ合ったけど……それでもさすがに気を許しすぎじゃ……確かに男女一緒に風呂に入る文化みたいだけど、だからって気安く異性と風呂に入って、これじゃ世間の男共は勘違いするからさ」
「勘違いですか? 殿方と共にお風呂に入るの初めてでけども」
「え? そうなの?」
「もちろんです。確かにサウナなどは男女一緒に入ることはありますが、そんな見も知らぬ他人とは入りませんし苦手な方など当然遠慮しますよ」
「あ、そ、そうなのね」
「お風呂は心身をリフレッシュする場所ですから、気を許した相手以外と入るのは無理がありますよ」
「それならいいんだけど……」
「ですがご忠告痛み入ります。今後いっそう気をつけますね」
なんだ。そうなのか、そういうことならいいか。
「いや待て、これってもしかして後になって『わたくし裸を見られたんですっ! 賠償金を請求しますっ!』とか言い出すなんて罠じゃ……」
「もう何を仰っているんですか。そんなわけ……は!?」
「なに、それだ! みたいな顔をしてんだよ!」
「勇者様それ天才的……いえ悪魔的発想! 確かにその手がありました……」
「ありました。じゃねーよ。お前が手を引いて連れてきたんじゃねーか」
「……冗談ですよ。別に勇者様にでしたら見られても構いませんから」
「そうなの!?」
「だからと言って、鼻息荒くなさってマジマジと見られるのは恥ずかしいですし困ってしまいますけど」
どうもこの星の人間の貞操観念が分かりづらい。
「そっちか」
「もちろんです。ポータルは勇者の為の施設であると同時に大規模な冒険者ギルドでもあるので大きな仕事が沢山入ってきますし」
「冒険者って登録制だったりするのか」
「そうです。あ、わたくしも一応登録だけはしています」
「そうなんだ」
「ええ、登録証が発行されるので場所によってはこれが一種の身分証代わりにもなるの巡回する司祭は大体入っているのです」
そう言って彼女は自分のステータスを表示させる。
たしかに職業の備考欄に冒険者登録済みと書いてある。
「国を越えるときなど比較的楽に通してもらえますし、それに意外と儲けにもなるんです」
さすがセレーネ、そういう話に抜け目はないな。
「そういうものなんだ」
「生きていく為にお金はどうしても必要ですし」
「結構現実的な話だな」
君はお金には特に現実的だよね。
「世界を回っているとそういった現実に嫌でも目にしてしまいますから」
「あ、それは俺もよく分かるよ」
今にしてみると日本では生きるための仕事だったのか、仕事のために生きていたのか……そこはもう考えたくないかな。
「あ、そうだ。大きな図書館のある街って近いの?」
「大きな図書館て……、もしかして古代図書館の街でしょうか」
古代図書館?
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でも図書館で街だし、それで合っている気がする。
「えっと多分」
「何か知っている方でもいるのですか?」
「ドガ砦のワイトとの約束でそこに行ってほしいらしいんだ」
「その様な話もしていたのですか?」
「そうなんだ。ついでにその彼の家にあるものは全てもらっていいらしい。元勇者で冒険もかなりしているから色々と高価なものもあるらしいよ」
「なんですと!?」
その話に驚いて立ち上がるセレーネ。
「こうしてはいられません! 直ぐに向かいましょう!」
……み、見えてしまった。お胸に続きさらに大事なところが。
それにしても……毛がなかった。剃っているんだろうか? それとも元から? いや……髪の毛の色が薄いそっちも薄いから……じゃなくて!
「見えてる! 見えてるから!」
「あら、ついはしたなく興奮してしまいました。お目汚し失礼致しました」
「別にお目汚しじゃないけど、確かに裸を見せ合ったけど……それでもさすがに気を許しすぎじゃ……確かに男女一緒に風呂に入る文化みたいだけど、だからって気安く異性と風呂に入って、これじゃ世間の男共は勘違いするからさ」
「勘違いですか? 殿方と共にお風呂に入るの初めてでけども」
「え? そうなの?」
「もちろんです。確かにサウナなどは男女一緒に入ることはありますが、そんな見も知らぬ他人とは入りませんし苦手な方など当然遠慮しますよ」
「あ、そ、そうなのね」
「お風呂は心身をリフレッシュする場所ですから、気を許した相手以外と入るのは無理がありますよ」
「それならいいんだけど……」
「ですがご忠告痛み入ります。今後いっそう気をつけますね」
なんだ。そうなのか、そういうことならいいか。
「いや待て、これってもしかして後になって『わたくし裸を見られたんですっ! 賠償金を請求しますっ!』とか言い出すなんて罠じゃ……」
「もう何を仰っているんですか。そんなわけ……は!?」
「なに、それだ! みたいな顔をしてんだよ!」
「勇者様それ天才的……いえ悪魔的発想! 確かにその手がありました……」
「ありました。じゃねーよ。お前が手を引いて連れてきたんじゃねーか」
「……冗談ですよ。別に勇者様にでしたら見られても構いませんから」
「そうなの!?」
「だからと言って、鼻息荒くなさってマジマジと見られるのは恥ずかしいですし困ってしまいますけど」
どうもこの星の人間の貞操観念が分かりづらい。
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