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第二話
戦いが終わって<Ⅶ>
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「私も苦手ですけど……」
「二人の気持ちは分かったが、里の機能を改善することを考えたらまずは妾が貰い受けることがよかろう。それに感謝の意を表すのなら別の方法でいくらでもあるじゃろ」
「そ、それは……はい。そうですね」
カトリナはまた紋様を赤くして笑顔を向けてくる。
素直な好意として分かりやすいのはいいが、こっちまで恥ずかしくなるな。
「なので妾がお願いする。それで報酬は如何致す?」
「それでは二人がのんびりと眠れるベッドと……お風呂的な物があるといいのですが」
「お風呂? それならば地下に温泉があるがそれでもよろしいか?」
「そういえばそんなこと言ってましたね」
「勇者殿からMPを受け取れれば、そこの補修も直ぐに出来よう」
「それならば是非とも! こんなところで温泉に入れるなんて最高です!」
「よし、ならば契約成立としよう。それでは勇者殿……致そうか」
「い、いいのですか」
「なんじゃ、やはり妾では不足か?」
「そんなことは……族長は綺麗な方ですし」
「ほう、口も達者じゃのう。なんじゃヴェンデルやカトリナだけじゃ飽き足らず妾まで落とそうというのか?」
「そ、そういうわけでは……」
「大丈夫じゃ、勇者殿は妾の好みの顔をしておる」
「そういうお世辞はなくても構いませんよ」
「そういう奥ゆかしいところ嫌いではない。そうじゃのうせっかくだから、少し雰囲気を出してやるとしよう……それでは勇者殿、少し身を屈めてくれるかの」
言われたとおりに背を屈ませると族長は俺の首元に手を伸ばして抱きつく。屈んでもまだ身長差はあるが背を伸ばして顔を寄せてきた。
目の前の族長の顔は凄く綺麗だった。
確かに紋様は、刺青みたいで少し怖いけど、見馴れてくるとそれもありな感じがしてくる。むしろ綺麗かもしれない。
それに紋様族って揃いもそろってみんな美男美人ばかりだし。
「ふふっ、そんなに見つめられると妾でも少し照れてしまうの。この様なキス、何時以来じゃったか……」
照れ隠しだろうか。そんな話を交わして族長さんはそっと唇を交わしてきた。
「んちゅっ……んんっ……」
ぬお!?
「わわわっ!?」
「きゃーっ!」
驚くデル、嬉しそうなカトリナに黙って見ているセレーネ。
セレーネやデルとは全く違った。なんと言えばいいか凄く手慣れていて翻弄される動きだった。
族長の小さな唇に小さな舌が動くと気持ちがよかった。
あまりの気持ちよさに、身体が弛緩するように動かなくなってしまう。
ああ、なんかずっとしたくなってきた……。
俺は半ば無意識に、族長の身体に手を回して抱きしめてしまうと、予想以上に華奢な身体に驚かされた。
一瞬身体をびくんとさせる族長だが、直ぐに嬉しそうに首に回している手をより強く回してきた。
「族長! 長い、長いですって!」
「ちゅっ……ふう……」
「あ……」
温もりが去って行ったことで思わず俺は声を上げてしまう。
「やれやれ、妾の心配をするのは分かるが、こういったときにその様な言葉は無粋以外のなにものでもないぞ」
「無茶なことを言わないでくださいよ。あんた族長なんですから!」
デルがとうとう族長をあんたと言い始めた。
「あ、そうか。族長ってことは伴侶とかは……」
「伴侶? あー、夫とかのことか。妾達にそのような考え方はないから気にしなくて構わないぞ」
「え、そうなんですか?」
それは一体どういうことなんだ。
「族長それよりもMPの方は?」
「おっとそうだった。何せ勇者殿がなんとも官能的なキスをしてくるから酔いしれて忘れておったよ……ステータス」
彼女の前にステータスウィンドウが表示される。
デルやカトリナが見えるように族長の方に回った。
「ふむ、きっちり500増えているな」
「わぁ、本当に500超えてる……」
カトリナもそれを見て少しばかり驚いた声を漏らしていた。
「どうやら、どのようなキスをしても上限は500と決まっているようじゃな」
「その様ですね……、なんだか嬉しそうですね勇者様」
「え? えっと、何故怒っていらっしゃる?」
「もう……」
頬膨らませているセレーネだった。
そんなに可愛らしく怒られると、さすがに俺もどう対応していいか困ってしまう。
一体どうすればいいんだ?
「よしでは早速取りかかるとしよう!」
俺がどうするか悩んでいる間に、族長の方は早速とばかりに立ち上がった。
「勇者殿、済まぬが温泉やベッドの方はしばり待たれよ」
「ああ、構わない」
族長は颯爽と部屋を出て行くが、気になったので俺も出て行くことにする。
「ゆ、勇者様?」
その際、セレーネの手を取って一緒に行くことにした。
「二人の気持ちは分かったが、里の機能を改善することを考えたらまずは妾が貰い受けることがよかろう。それに感謝の意を表すのなら別の方法でいくらでもあるじゃろ」
「そ、それは……はい。そうですね」
カトリナはまた紋様を赤くして笑顔を向けてくる。
素直な好意として分かりやすいのはいいが、こっちまで恥ずかしくなるな。
「なので妾がお願いする。それで報酬は如何致す?」
「それでは二人がのんびりと眠れるベッドと……お風呂的な物があるといいのですが」
「お風呂? それならば地下に温泉があるがそれでもよろしいか?」
「そういえばそんなこと言ってましたね」
「勇者殿からMPを受け取れれば、そこの補修も直ぐに出来よう」
「それならば是非とも! こんなところで温泉に入れるなんて最高です!」
「よし、ならば契約成立としよう。それでは勇者殿……致そうか」
「い、いいのですか」
「なんじゃ、やはり妾では不足か?」
「そんなことは……族長は綺麗な方ですし」
「ほう、口も達者じゃのう。なんじゃヴェンデルやカトリナだけじゃ飽き足らず妾まで落とそうというのか?」
「そ、そういうわけでは……」
「大丈夫じゃ、勇者殿は妾の好みの顔をしておる」
「そういうお世辞はなくても構いませんよ」
「そういう奥ゆかしいところ嫌いではない。そうじゃのうせっかくだから、少し雰囲気を出してやるとしよう……それでは勇者殿、少し身を屈めてくれるかの」
言われたとおりに背を屈ませると族長は俺の首元に手を伸ばして抱きつく。屈んでもまだ身長差はあるが背を伸ばして顔を寄せてきた。
目の前の族長の顔は凄く綺麗だった。
確かに紋様は、刺青みたいで少し怖いけど、見馴れてくるとそれもありな感じがしてくる。むしろ綺麗かもしれない。
それに紋様族って揃いもそろってみんな美男美人ばかりだし。
「ふふっ、そんなに見つめられると妾でも少し照れてしまうの。この様なキス、何時以来じゃったか……」
照れ隠しだろうか。そんな話を交わして族長さんはそっと唇を交わしてきた。
「んちゅっ……んんっ……」
ぬお!?
「わわわっ!?」
「きゃーっ!」
驚くデル、嬉しそうなカトリナに黙って見ているセレーネ。
セレーネやデルとは全く違った。なんと言えばいいか凄く手慣れていて翻弄される動きだった。
族長の小さな唇に小さな舌が動くと気持ちがよかった。
あまりの気持ちよさに、身体が弛緩するように動かなくなってしまう。
ああ、なんかずっとしたくなってきた……。
俺は半ば無意識に、族長の身体に手を回して抱きしめてしまうと、予想以上に華奢な身体に驚かされた。
一瞬身体をびくんとさせる族長だが、直ぐに嬉しそうに首に回している手をより強く回してきた。
「族長! 長い、長いですって!」
「ちゅっ……ふう……」
「あ……」
温もりが去って行ったことで思わず俺は声を上げてしまう。
「やれやれ、妾の心配をするのは分かるが、こういったときにその様な言葉は無粋以外のなにものでもないぞ」
「無茶なことを言わないでくださいよ。あんた族長なんですから!」
デルがとうとう族長をあんたと言い始めた。
「あ、そうか。族長ってことは伴侶とかは……」
「伴侶? あー、夫とかのことか。妾達にそのような考え方はないから気にしなくて構わないぞ」
「え、そうなんですか?」
それは一体どういうことなんだ。
「族長それよりもMPの方は?」
「おっとそうだった。何せ勇者殿がなんとも官能的なキスをしてくるから酔いしれて忘れておったよ……ステータス」
彼女の前にステータスウィンドウが表示される。
デルやカトリナが見えるように族長の方に回った。
「ふむ、きっちり500増えているな」
「わぁ、本当に500超えてる……」
カトリナもそれを見て少しばかり驚いた声を漏らしていた。
「どうやら、どのようなキスをしても上限は500と決まっているようじゃな」
「その様ですね……、なんだか嬉しそうですね勇者様」
「え? えっと、何故怒っていらっしゃる?」
「もう……」
頬膨らませているセレーネだった。
そんなに可愛らしく怒られると、さすがに俺もどう対応していいか困ってしまう。
一体どうすればいいんだ?
「よしでは早速取りかかるとしよう!」
俺がどうするか悩んでいる間に、族長の方は早速とばかりに立ち上がった。
「勇者殿、済まぬが温泉やベッドの方はしばり待たれよ」
「ああ、構わない」
族長は颯爽と部屋を出て行くが、気になったので俺も出て行くことにする。
「ゆ、勇者様?」
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