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第二話
ドームの中へ<Ⅱ>
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「それじゃあ、奥にどうぞ」
「で、ですが……」
セレーネは後ろ髪引かれる感じに困った様子で立ち止まっていた。
だが既に今日の奇跡を使い切ったばかりであり、俺の方もかなりの数のポーションを消費してしまった。
ポーションは出来る限りセレーネの為に使いたい。
見ての通り彼女はいつも自分の分など考えていないので、彼女自身が傷ついたときの治療に残しておかないとならない。
「重篤な人から順に入口に連れてきたはずだし、今は明日まで待つしかないって」
「で、ですが……」
「それに俺達はここではまだ捕虜なんだ。とにかく言うとおり進むしかない」
「……分かりました」
それでもセレーネはしばらく立ち止まり小さく女神に祈ってから一緒に歩き始めた。
ドームの奥側まで辿り着くと、それまで全く気がつかなかったが壁など所々に亀裂などが入っているのが見えた。
さらに一部崩落したような後もあり、その近くには何とも不格好な補修を施したと思われる壁があった。
「こっちは山側で岩が落ちてきて外壁に当たって亀裂が入っちゃったみたいなの」
なるほど、そういうことか。
火山活動で出来たのか。
「ここでーす」
結構な現場を見た後なのに彼女の声は妙に軽かった。
見馴れているからだろうか。
「ここじゃあれは日常なのよ。一々悲しんでいたら身が持たないんだって」
俺の顔を見てデルが話しかけてきた。
なるほど、確かにそうかもしれない。
「ほらほら、中にどうぞー」
案内された場所は……、これは建物なのか?
葉巻状、いや横に伸ばした卵形と表現するのが正しいか。
それとも巨大な飛行機から翼を外したような形が一番近いかな。
何よりも驚くのが綺麗な白色には傷一つも無いことだった。
横になった円筒形が動かないように細い脚が何本か生えていて、これも傷らしきものは見当たらない。
ドームでもわりと凄い遺跡なのに、これはまるでオーパーツみたいな違和感だった。
「これは……」
「凄いでしょー」
ふふんと自慢げな女の子
「別にアンタのものでもないでしょう。ここに僕達が来たときからあるものなんだし」
「そうなんだ」
円筒形の中央からハッチが開きスロープがかけられていて、そこから中に入るらしい。
「それではこちらでーす」
連れられて中に入ると結構狭い廊下が左右にあり特に高さが足らず俺ですら少し屈まないと歩けない。
その通路を歩いて一つの区画に出ると、そこは広さにして6畳くらいだろうか。扉も窓もないが天井は少しだけ高くなっている部屋に入った。
ギリギリ頭が当たらず屈まなくていいのは大助かりだった。
「これでもここが一番綺麗な場所なんだよ」
綺麗と言えば綺麗だが、飾り気はなく天井も壁も床すら白一色の空間でなんだか宇宙人のおっさんが居た場所を思い出す。
部屋の中央に多人数で座れるテーブルと椅子が設置してあるが明らかに後で彼らが置いたものだと分かる。
俺とセレーネはそれぞれ椅子に座ると女の子が一度部屋を出てコップとポットを持って戻ってくる。
「こんなモノしかないんだけど、お口に合うかな」
俺達の目の前に置かれたそれはシュワシュワと音を立てていた。
「え、これ……もしかして炭酸水!?」
「あ、知っているんだ。シュワシュワして美味しいよ」
置かれた金属製と思われるコップを掴むと、キンキンに冷えているのが分かった。
俺はゴクリと生唾を一つ飲むと、そっとそれを口に付けてみる。
「ごく……っ!」
一口含むと、味はないが確かに炭酸だと分かった……なんだか懐かしい気分だぜ。
そしてそのまま一気に飲み干してしまう。
「ふう……、すげえ美味しい」
「うわ、一気に飲んでるし!?」
紋様族の二人は驚いていた。
「ちぇー、知っていたのかぁ、これ飲んで驚く顔を見るのが楽しみだったのに」
「それは悪かったな」
「わわっ?! な、なんですか凄く冷たくて……、それに舌がピリって……、は!? もしかして……」
「大丈夫、毒じゃないから。こういう飲み物だから」
「そうなんですか!?」
どうやらセレーネはこういう飲み物は初めての経験だったらしい。
「聖職者さんは初めてだったんだねぇー」
「はい。凄く驚きました」
セレーネは炭酸の刺激に慣れていないからか飲みづらそうにちびちびと飲んでいる。
「それでえーっと……、ああそっか、私の名前はカトリナだよ。気安くリナって呼んでもいいよ」
「俺は、卯路睦久」
「セレーネとお呼びください」
「うろむく? 聖職者さんが呼んでるみたいに勇者さんでいいよね」
どうやら呼びづらいらしい。
そういえば俺ってここに来て名前で呼ばれたことはなかったな。
「それで、僕……わたし達に話したいこととは?」
あやっぱり、今たしかに僕って言ったよな。もしかして彼女は僕っ子なのか!?
顔はばっちり可愛い女の子だが体つきは中性的だから、なんかちょっとクるものがあるな。
しかしセレーネといいこの娘たちといい、この世界の女性はアクセサリを付けるのが好きなんだな。
全員指輪や腕輪、ネックレスとかピアスまでをしているのが確認出来る。
ここにはデルとカトリナの二人だけなんだがそれでいいのだろうか。
「で、ですが……」
セレーネは後ろ髪引かれる感じに困った様子で立ち止まっていた。
だが既に今日の奇跡を使い切ったばかりであり、俺の方もかなりの数のポーションを消費してしまった。
ポーションは出来る限りセレーネの為に使いたい。
見ての通り彼女はいつも自分の分など考えていないので、彼女自身が傷ついたときの治療に残しておかないとならない。
「重篤な人から順に入口に連れてきたはずだし、今は明日まで待つしかないって」
「で、ですが……」
「それに俺達はここではまだ捕虜なんだ。とにかく言うとおり進むしかない」
「……分かりました」
それでもセレーネはしばらく立ち止まり小さく女神に祈ってから一緒に歩き始めた。
ドームの奥側まで辿り着くと、それまで全く気がつかなかったが壁など所々に亀裂などが入っているのが見えた。
さらに一部崩落したような後もあり、その近くには何とも不格好な補修を施したと思われる壁があった。
「こっちは山側で岩が落ちてきて外壁に当たって亀裂が入っちゃったみたいなの」
なるほど、そういうことか。
火山活動で出来たのか。
「ここでーす」
結構な現場を見た後なのに彼女の声は妙に軽かった。
見馴れているからだろうか。
「ここじゃあれは日常なのよ。一々悲しんでいたら身が持たないんだって」
俺の顔を見てデルが話しかけてきた。
なるほど、確かにそうかもしれない。
「ほらほら、中にどうぞー」
案内された場所は……、これは建物なのか?
葉巻状、いや横に伸ばした卵形と表現するのが正しいか。
それとも巨大な飛行機から翼を外したような形が一番近いかな。
何よりも驚くのが綺麗な白色には傷一つも無いことだった。
横になった円筒形が動かないように細い脚が何本か生えていて、これも傷らしきものは見当たらない。
ドームでもわりと凄い遺跡なのに、これはまるでオーパーツみたいな違和感だった。
「これは……」
「凄いでしょー」
ふふんと自慢げな女の子
「別にアンタのものでもないでしょう。ここに僕達が来たときからあるものなんだし」
「そうなんだ」
円筒形の中央からハッチが開きスロープがかけられていて、そこから中に入るらしい。
「それではこちらでーす」
連れられて中に入ると結構狭い廊下が左右にあり特に高さが足らず俺ですら少し屈まないと歩けない。
その通路を歩いて一つの区画に出ると、そこは広さにして6畳くらいだろうか。扉も窓もないが天井は少しだけ高くなっている部屋に入った。
ギリギリ頭が当たらず屈まなくていいのは大助かりだった。
「これでもここが一番綺麗な場所なんだよ」
綺麗と言えば綺麗だが、飾り気はなく天井も壁も床すら白一色の空間でなんだか宇宙人のおっさんが居た場所を思い出す。
部屋の中央に多人数で座れるテーブルと椅子が設置してあるが明らかに後で彼らが置いたものだと分かる。
俺とセレーネはそれぞれ椅子に座ると女の子が一度部屋を出てコップとポットを持って戻ってくる。
「こんなモノしかないんだけど、お口に合うかな」
俺達の目の前に置かれたそれはシュワシュワと音を立てていた。
「え、これ……もしかして炭酸水!?」
「あ、知っているんだ。シュワシュワして美味しいよ」
置かれた金属製と思われるコップを掴むと、キンキンに冷えているのが分かった。
俺はゴクリと生唾を一つ飲むと、そっとそれを口に付けてみる。
「ごく……っ!」
一口含むと、味はないが確かに炭酸だと分かった……なんだか懐かしい気分だぜ。
そしてそのまま一気に飲み干してしまう。
「ふう……、すげえ美味しい」
「うわ、一気に飲んでるし!?」
紋様族の二人は驚いていた。
「ちぇー、知っていたのかぁ、これ飲んで驚く顔を見るのが楽しみだったのに」
「それは悪かったな」
「わわっ?! な、なんですか凄く冷たくて……、それに舌がピリって……、は!? もしかして……」
「大丈夫、毒じゃないから。こういう飲み物だから」
「そうなんですか!?」
どうやらセレーネはこういう飲み物は初めての経験だったらしい。
「聖職者さんは初めてだったんだねぇー」
「はい。凄く驚きました」
セレーネは炭酸の刺激に慣れていないからか飲みづらそうにちびちびと飲んでいる。
「それでえーっと……、ああそっか、私の名前はカトリナだよ。気安くリナって呼んでもいいよ」
「俺は、卯路睦久」
「セレーネとお呼びください」
「うろむく? 聖職者さんが呼んでるみたいに勇者さんでいいよね」
どうやら呼びづらいらしい。
そういえば俺ってここに来て名前で呼ばれたことはなかったな。
「それで、僕……わたし達に話したいこととは?」
あやっぱり、今たしかに僕って言ったよな。もしかして彼女は僕っ子なのか!?
顔はばっちり可愛い女の子だが体つきは中性的だから、なんかちょっとクるものがあるな。
しかしセレーネといいこの娘たちといい、この世界の女性はアクセサリを付けるのが好きなんだな。
全員指輪や腕輪、ネックレスとかピアスまでをしているのが確認出来る。
ここにはデルとカトリナの二人だけなんだがそれでいいのだろうか。
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