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第10章 結婚式

初夜 ※ほぼ致しております

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その日のフィオは、凄く丁寧に俺を抱いた。
もう何度も抱き合ってるのにまるで処女を扱うかのようにひとつひとつ、その先を知っている俺が焦れてフィオを乞うても、ゆっくりと順を追って俺を愛した。
愛おしげに全身にキスの雨を降らせ、全てを慈しむように優しく丁寧に触れた。

まるで、ゆっくりと俺の身体をフィオに塗り変えていくように。 
俺の身体にフィオを染み渡らせていった。

ぬるま湯に浸るような心地よさと、身体の奥から湧き出るような欲望。
いつまでも浸っていたい気持ちと、さっさと入れて突いて欲しいという相反する欲求がせめぎ合い、自分が自分じゃないみたいだ。
全身でフィオを受け入れ、求めているのがわかる。
フィオの全てを捧げられ、愛されているのがわかる。

フィオ、フィオ!
これは酷えよ。
まるで自分が凄く弱くなっちまったみたいだ。
最強のはずなのに。
全てを預けてしまいたくなる。

「フィ…フィオ…」

無意識に出た声は我ながら凄く弱々しいものになってしまった。

「どうしました?ゲイル」

深い愛情に満ちた声音に、俺は何も言えず唇を震わせた。
何を言いたいのか、自分でも分からなかった。
ただ、あまりにも深い愛で自分の中の何かが変わってしまいそうで怖かった。

そんな俺の気持ちをわかっているかのように、フィオは俺の頬に手を触れ優しく微笑んだ。

「大丈夫です。あなたを愛したいだけなんです。
あなたはなにも変わりません。
私の愛するゲイルのままだ。
あなたの強さもあなたの弱さも、その全てを愛させて?
どうか……私の愛を受け入れてください」

最強のゲイルだぞ?
能力も、精神も、全て最強だと言われている俺だぞ?

ボロリと涙が出た。
一度出たら、ダメだった。

「フィオ…フィオ…。俺を離すな。俺の側にいろ。俺を愛してくれ」
「離しません。側にいます。愛しています」
「俺に愛させろ。俺に甘えさせろ。俺を………ひとりにするな」
「私を愛してください。私に甘えてください。あなたを……決してひとりにしません」
「ひとりは……さびしい」
「ええ。これからは、ずっと一緒です。あなたはひとりではありません」

最強だから、俺は特別だから。
だから俺はひとりだった。
誰もが俺を神聖視し、特別に扱う。
大勢に囲まれ、大勢から求められながらも
俺はひとりだった。

フィオは俺を弱くする。
弱い俺でも愛していると言う。

俺は弱くてもいいんだ。



泣きじゃくりながらひたすらに求め、求められた。
フィオが中に入って来た時には、俺はすでに息も絶え絶え。
全身がくにゃんくにゃんで、頭ん中もぽやぽやになってしまっていた。

俺の身体の中心にフィオがいる。
優しく揺さぶられ続け、気持ち良すぎて何も考えられない。
フィオと俺の身体の境界が溶け合いひとつになっていく。

フィオが「すきです」「愛しています」と返してくれるのが嬉しくて、俺は馬鹿みたいに喘いでひたすらに「すき」「愛してる」を繰り返した。

「フィオ…っフィオ…すきだ…っ…愛してる。大好きだ。フィオ」

「ゲイル…ゲイル…好きです…愛しています。ああ…あなたが愛おしい。かわいくてたまらない。ゲイル…」



最後にフィオが出て行こうとするのを必死で止める。

「やだ!俺の中にいろよ、フィオ。中にくれ。お前をくれよ」

俺の内にこいつが欲しい。
俺の大切な男の全てが欲しかった。
溢れても溢れても湧き出る俺たちのこの愛を、形にして世に送り出したいたいと思った。

とたん、「グゥッ」という唸りとともにフィオを激しく打ち付けられた。

「はあっ…ゲイル…ゲイルっ!愛していますっ…ゲイルっ」

「あっ!あっ、フィ、フィオ!フィオ!」

頭の中がスパークし、ぎゅっとフィオを締め付けると同時に身の内温かなものが広がるのを感じた。

「ああ……フィオだ……」

途方もない満足感とともに、俺は意識を手放したのだった。






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