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アイデンティティ

新生フィオ

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ご拝読いただきありがとうございます♡
ようやくボルゾイさんも本懐を遂げたところで、こちらを1日2回から1回の更新とさせていただきまするー。
本業が年末で忙しくなりますのです。もうわけございません💦

※※※※※※



なんてーか。
フィオが変わった。

いつも張り詰めた空気を持っていたのが、ポワポワと幸せそうにしている。
生まれたてのヒヨコのように俺の後をついて歩く(これは今までと一緒か)

「なぜだか身体が軽いんです。いつもしていた頭痛も無くなりました。愛の力でしょうか?世界が明るく見えます」

真面目な顔で言うのでコーヒーを噴いた。

「愛の力」だと!凄えパワーワードじゃねえか!
まあ実際に浄化で身体の不調が取れたんだろうが、まさか冷血公がにこにこと「愛の力です!」と口にするとは誰も思うまい。
あまりの可愛さに胸がぎゅっとした。このかわいいのは俺の!

俺の大切な尻とプライドとアイデンティティを犠牲にしたんだ。もう絶対に他のヤツには渡さねえぞ!



特にこいつと恋人になったとわざわざ公表して回るつもりは無かった。
だが、いつも通りギルドに行って速攻バレた。
冒険者たちがフィオを見るなりニヤニヤしながら肩を叩いて行く。

「おう!良かったなボルゾイ!」
「ゲイルも年貢の納め時か!」
「もう俺たちに嫉妬すんなよボルゾイ!」

な、なんで分かるんだ⁈

「ゲイル…マジで言ってんのか?こいつの顔見てみろよ。幸せそうな顔しちまってさあ!」

振り返れば確かに。いつもは無表情なのに今日は明らかにご機嫌だ。口元に笑みをたたえ、目元も緩んでいる。
クソかわいいじゃねえかよ、おい!
ここはもうさっさと認めて牽制しておくか!

「オマエらこいつに手を出すなよ!この可愛いのは俺のだからな!」

しーん。
何故か皆から信じられないものを見るような目をされた。

「いや、かわいいって誰が⁈」
「んな怖いのいらねーって!」
「ゲイル、目は大丈夫か?」

ムカ!

「なんだよ、ちゃんと見たのか?
かわいいだろうがよ!」

グイッとフィオの顔を掴み皆の方向に押し出してやる。
見てみろ、ほら!かわいいだろが!

「ゲ、ゲイル!やめてください!かわいいのはゲイルでしょう?」
「いや、オマエだろ?」

オマエだろと言い合ってたら、呆れたように言われた。

「イチャつくんなら帰れよ」




とりあえずフィオは一階したにやって、俺は二階でいつも通りギルドに治療に来た奴らを治療してやる。
あれ?なんかいつもより人、多くないか?
首を捻れば、クリスが苦笑した。

「そらいつもは番犬が下で睨みを効かせてるからな。今日はポワポワして牽制になってねえんだよ。軽症のヤツまで上がってきてやがる」
「ポワポワ、かわいいじゃねーか。俺のわんこだぞ。やらねーからな」
「いらねえよ全く!ゲイルがこんなんなっちまうとはなあ!メロメロじゃねえか」
「……お前も見たら分かるだろ?アイツ、くそかわいいんだって!」
「だから、そう見えてんのはお前だけだっての!色ボケんなよ!」
「え?俺、色ボケしてんのか?まさか!
いや……してるな。フィオがすんげえ可愛く見える。
抱かれたのは俺のほうなのに!逆じゃねーか!」

よし!次は俺が抱く!
もう浄化もできたし、チェンジでいいだろう!
今の俺ならいける!押し倒される前に押し倒してみせる!

そう決意していると、クリスが苦虫を噛み潰したような表情かおをしていた。

「どうした?変な顔して」
「いや……俺の想像と逆だったからビックリしただけだ。まさかお前がそっち側だったのかよ!そんなら俺だって……」
「ああん?そっち側ってどういう意味だよ。
しゃーねえだろ。俺にも色々な事情があるんだよ!」
「……俺が押し倒してたらどうした?」
「問答無用で関節を攻めるな。どこ外したい?」
「いや、冗談だ!マジで勘弁しろ!……ボルゾイは特別なんだな?」
「まあな。俺の運命らしいしなw」

でなきゃ俺が下やらねーっての!


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