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にゅー帝国にむけて
俺の誘拐バレた件
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かああ、っと赤くなった顔を隠しべく慌てて下を向いた。
普段は忘れちゃってるけど、折にふれお兄様が甘い空気を出してくるの、まだ慣れない。
なんていうか……むずむずして恥ずかしくなっちゃう。怖いような嬉しいような複雑な気持ち。
クスクス笑うお兄様から目をそらし反対側に視線をやれば……
「!?」
聖女様のお顔がヤバかった!
えええ?どどど、どういう表情?!
にこにこしてるのに怖い!背後に暗雲が見える!!
「……そういえばナージャ?サフィラス様を誘拐とか言ってなかったかしら?どういうことなの?
まさかあなた……強引な手段を取ったんじゃないでしょうね?」
あわわわわわ!!ピンチ!ナージャがピンチ!事実なだけに、ナージャ、大ピンチであります!!
救いを求めてお兄様を見れば、先ほどの甘い空気をすっとひっこめ「スン」とした王子様スマイル!
あれは……「私は知らないよ?だって事実だものね?」なおかおーーー!
お兄様も相当オコでしたものね。壁に穴あけちゃってたし……。
でもでも、ナージャにも事情はあって、俺はもう許してるからここに来たんだし!
ね?
ゲ、ゲイル……聖女様におとりなしと………
って、ゲイルもとってもよいお顔!お兄様と同じく「知らないぞ?やったことの責任は取らねえとな?」だ!
ダメだ!ナージャを助けてあげらえる人は……俺!俺がいた!被害者本人だけど!
「あの、あの、あの!あのですねえ…………誘拐というか……プロポーズ?でしたのです!お嫁に来いって言われただけですのでえ!!」
うん!手段はアレだったけど、間違いではない!嫁にって言われたし!
俺の言葉にナージャも必死でがくがくと頷く。
「そそそ、そうなんだ!サフィってとっても可愛いでしょう?ですから、一目ぼれをしたのです!!」
「そうそう!そうなの!俺ってばとっても可愛らしいですので!よくひとめぼれされるのですよ!あははははー!」
うう……王国勢の視線が痛い……。事情を知ってるお兄様たちはともかく、キースは剣呑な表情になっちゃったし、リオは逆に乙女みたいな顔になっちゃった。協力お願いしたときに、敬意まで細かくは言ってなかったもんね……。
お願い、騙されておくれ、聖女様!帝国の衆!
と思ったらば。
そうでした。帝国は脳筋。
「まあああああ!!ナージャったらいつの間に!そうなのね、まさかそんなご縁で……!そ私の予知ではそこまで見えなかったの。でもそれで納得だわ。プロポーズを受け入れ、帝国の留学を決意してくださったのね!ということは……サフィラス様、いえ、サフィちゃんは私の息子になってくれるの?ゲイル様は……あら、なにかしら?可愛らしい息子ができてうれしいわあ!」
「なんとなんと!ナージャが自分で妃を見つけおったか!ようやったナージャ!このような立派な嫁を連れてくるとは、素晴らしい!」
ちょっとおおお!誰かツッこんで!!
団長さん以下、「おめでとう」「殿下もそのようなご年齢に」などと幼子の成長を見守るおじいさんみたいになっちゃってるし。
と、ものすごい冷気が!
おそるおそる振り返れば…………やはりお兄様!
やばいやばいやばいやばい!さっきの聖女様なんて比べ物にならないくらいヤバい!
「な、なんなのだ?!急に寒気が……!」
「父上もですか?私もです!」
聖女様だけはその発生元に気付いたみたい。
「あ……あの……殿下?どうかなさいまして?」
お兄様の口から物凄い殺気と共に地獄の悪魔のような声が発せられた。
「あなた方は馬鹿なのかな?先ほどから何度もサフィは私の婚約者だと言っているのに、聞いていなかったのか?それに、陛下にもサフィを紹介する際、婚約者だと伝えましたよね?覚えていませんか?ああ、申し訳ない。帝国の方の記憶力を過信しておりました。もう一度言いますね?サフィは、この私の、婚約者です!ナージャ殿下のではありません。私の婚約者です。ご理解いただけたかな?」
ガクガクガクガク。
物凄い高速で頭が縦に振られた。
団長さんたちも、さっきまであんなに微笑ましそうな表情だったのに……。
天国と地獄。そんな言葉が浮かんだ。
俺まで恐怖でちびりそう。
お兄様、怒らしたらダメ。絶対。
俺はナージャの名誉のために付け加えておく。
「えっとお…ナージャのプロポーズは本当だけどね。会ったばかりだからお断りしたのです。だけど仲良くなったから来たの。そういうわけでございまするう………」
嫁とかプロポーズは嘘じゃないからね。ただすぐにお断りしただけで。
誘拐とかしてませんよー。嘘だけど。
友好的に来たのですよー。これはほんと。
※※※※※※※※
★★★★年末特別企画★★★★
みなさま、いつもサフィちゃんをご拝読頂きありがとうございまするー!
ご感想やイイネなど、大変ありがたく励みにさせて頂いております。
おかげさまでなんとかお休みせず続けてくることができました。
サフィちゃんももうすぐ300話!きゃー!!
連載から6か月目を迎えようとしておりまする。
そこでクリスマス特別企画。
サフィちゃんの「もしも」小話を企画してみたいと思います!
サフィちゃんに言わせたいセリフ、サフィちゃんと〇〇の××などございましたら。
本編と全く関係なく、未来の話でもおけです。新たなモブでもおけ!
先着3名様のオリジナルイフストーリーをば受付いたします。ぜひコメントでお寄せくださいませ。
ゲイルのほうでもおけです!W
お待ちしております♡(応募があるといいなあ……)
普段は忘れちゃってるけど、折にふれお兄様が甘い空気を出してくるの、まだ慣れない。
なんていうか……むずむずして恥ずかしくなっちゃう。怖いような嬉しいような複雑な気持ち。
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「!?」
聖女様のお顔がヤバかった!
えええ?どどど、どういう表情?!
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「……そういえばナージャ?サフィラス様を誘拐とか言ってなかったかしら?どういうことなの?
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あわわわわわ!!ピンチ!ナージャがピンチ!事実なだけに、ナージャ、大ピンチであります!!
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あれは……「私は知らないよ?だって事実だものね?」なおかおーーー!
お兄様も相当オコでしたものね。壁に穴あけちゃってたし……。
でもでも、ナージャにも事情はあって、俺はもう許してるからここに来たんだし!
ね?
ゲ、ゲイル……聖女様におとりなしと………
って、ゲイルもとってもよいお顔!お兄様と同じく「知らないぞ?やったことの責任は取らねえとな?」だ!
ダメだ!ナージャを助けてあげらえる人は……俺!俺がいた!被害者本人だけど!
「あの、あの、あの!あのですねえ…………誘拐というか……プロポーズ?でしたのです!お嫁に来いって言われただけですのでえ!!」
うん!手段はアレだったけど、間違いではない!嫁にって言われたし!
俺の言葉にナージャも必死でがくがくと頷く。
「そそそ、そうなんだ!サフィってとっても可愛いでしょう?ですから、一目ぼれをしたのです!!」
「そうそう!そうなの!俺ってばとっても可愛らしいですので!よくひとめぼれされるのですよ!あははははー!」
うう……王国勢の視線が痛い……。事情を知ってるお兄様たちはともかく、キースは剣呑な表情になっちゃったし、リオは逆に乙女みたいな顔になっちゃった。協力お願いしたときに、敬意まで細かくは言ってなかったもんね……。
お願い、騙されておくれ、聖女様!帝国の衆!
と思ったらば。
そうでした。帝国は脳筋。
「まあああああ!!ナージャったらいつの間に!そうなのね、まさかそんなご縁で……!そ私の予知ではそこまで見えなかったの。でもそれで納得だわ。プロポーズを受け入れ、帝国の留学を決意してくださったのね!ということは……サフィラス様、いえ、サフィちゃんは私の息子になってくれるの?ゲイル様は……あら、なにかしら?可愛らしい息子ができてうれしいわあ!」
「なんとなんと!ナージャが自分で妃を見つけおったか!ようやったナージャ!このような立派な嫁を連れてくるとは、素晴らしい!」
ちょっとおおお!誰かツッこんで!!
団長さん以下、「おめでとう」「殿下もそのようなご年齢に」などと幼子の成長を見守るおじいさんみたいになっちゃってるし。
と、ものすごい冷気が!
おそるおそる振り返れば…………やはりお兄様!
やばいやばいやばいやばい!さっきの聖女様なんて比べ物にならないくらいヤバい!
「な、なんなのだ?!急に寒気が……!」
「父上もですか?私もです!」
聖女様だけはその発生元に気付いたみたい。
「あ……あの……殿下?どうかなさいまして?」
お兄様の口から物凄い殺気と共に地獄の悪魔のような声が発せられた。
「あなた方は馬鹿なのかな?先ほどから何度もサフィは私の婚約者だと言っているのに、聞いていなかったのか?それに、陛下にもサフィを紹介する際、婚約者だと伝えましたよね?覚えていませんか?ああ、申し訳ない。帝国の方の記憶力を過信しておりました。もう一度言いますね?サフィは、この私の、婚約者です!ナージャ殿下のではありません。私の婚約者です。ご理解いただけたかな?」
ガクガクガクガク。
物凄い高速で頭が縦に振られた。
団長さんたちも、さっきまであんなに微笑ましそうな表情だったのに……。
天国と地獄。そんな言葉が浮かんだ。
俺まで恐怖でちびりそう。
お兄様、怒らしたらダメ。絶対。
俺はナージャの名誉のために付け加えておく。
「えっとお…ナージャのプロポーズは本当だけどね。会ったばかりだからお断りしたのです。だけど仲良くなったから来たの。そういうわけでございまするう………」
嫁とかプロポーズは嘘じゃないからね。ただすぐにお断りしただけで。
誘拐とかしてませんよー。嘘だけど。
友好的に来たのですよー。これはほんと。
※※※※※※※※
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サフィちゃんももうすぐ300話!きゃー!!
連載から6か月目を迎えようとしておりまする。
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サフィちゃんの「もしも」小話を企画してみたいと思います!
サフィちゃんに言わせたいセリフ、サフィちゃんと〇〇の××などございましたら。
本編と全く関係なく、未来の話でもおけです。新たなモブでもおけ!
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ゲイルのほうでもおけです!W
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