上 下
221 / 301
第2部   サフィ10歳。伯爵家の息子です!

俺と生徒会

しおりを挟む
なんかもう盛りだくさんだった一日を終え、俺は元気よく帰宅!
しようとしたら、リオがクラスに迎えに来た。 

「生徒会長!」
「リオ先輩⁈」

あ!ヤベ!

こそこそと反対の出口から逃げようとしてたら、リースくんに捕まった。

「サフィなにしてるんだい?お迎えだよ」

空気呼んで!
これ、絶対に生徒会連行されるやつじゃん!

「サフィ!迎えに来たよー!
みんなサフィに会いたいって待ってるんだよ!
さあ、行くよ!」

ミ、ミルくん!マ、ママ助けてええ!

「こーら。リオ先輩をおまたせしちゃダメでしょ!
さっさと支度しなさい!」

あーん!いけずう!

仲間に売られた俺は、しょもしょもと荷物をまとめたのでした。




リオにガッツリ腕を掴まれ連行される俺。

「サフィちゃん、どうしたの?」
「リオにれんこーされてるの」
「生徒会長!あんまり叱らないであげてね」

俺が叱られる前提なのおかしいから!

「叱られませんー!まだ悪いことしてませんし!」
「あはは!大丈夫だよー?
みんなに紹介するだけだから!」

リオの言葉で安心したのか、みんなにこにこしながらドナドナされる俺をよしよしして通り過ぎていく。

「あはは。サフィってばもうみんなに可愛がられてる!」
「リオのせいでしょおが!」

他人ごとだとおもって!



ズルズルと連れていかれた生徒会室。
コンコン、とリオがノックするやいなや、ドアが開いた。

「ようこそサフィちゃん!おいでませ生徒会!」

生徒会の人(たぶん)が勢ぞろい。
ワクワク顔でお出迎えだった!

「ひょわ!」

いきなりわらわらと大きな人たちに囲まれる。

「いやあん!かんわゆい!
リオが自慢するだけあるわー!」
「ふふふ。なんだかお人形さんみたいですねえ。頭を撫でても良いですか?」

返事してないのに撫で始めた!
自由かよ!

「ま、またれよーーー!!!
えっと、落ち着いて下さいませー!
なでなでの前に自己紹介でしょーが!」

俺は大きく手を広げてみんなを遠ざけ、カッコよく名乗りをあげた。

「俺は魔法科1年のサフィラス・フィオネルです!
リオとは…いっしょのお家で暮らした仲間!
よろしくしてくださいませ!」

ペコリ!

完璧!礼儀正しくご挨拶。
これ基本ですからね!


俺のスンバラシイご挨拶に、先輩たちは目をぱちくり。
慌てて居住まいを正してご挨拶してくれたのでした。

「ごめんね
改めてご挨拶させてもらうね。私はオルトガ・グリーン。
リオと同じ3年で副会長をさせてもらっている」

シルバーブロンドの前髪を片側だけ下ろした眼鏡のイケメンさん。
スラリとした理知的な感じだけど、この人がいきなりナデナデかました人である。

ジトー、と見てたら、横のお姉さんが苦笑した。
うちの国には珍しい浅黒い肌。ウエーブのかかった黒髪ロングのセクシーなお姉さまだ。

「ごめんなさいねえ。オル先輩ってば可愛いものが大好きだから。
私は2年のアーシャ・スクラムよ。書記なの」
「で、俺は会計。ルーシュ・スクラム!
アーシャと俺は双子な!んで交換留学生なんだ。よろしく!」

アーシャ先輩と同じく浅黒い肌、黒髪ウルフヘアのワイルドな先輩が割り込んできた。
なんか、この2人は貴族っていうよりも海賊って感じ。
自由な雰囲気。

握手したらブンブンって振られた。元気い!

「僕はロイド・オドネル。2年書記だよ。よろしく。
なにかあれば言ってね?」

濃い目のメンバーの中でなんてまともそうな先輩!
穏やかそうで、生徒会の良心って感じ!
リースくんみを感じる!

「ロイド先輩、落ち着くーーー!!!」

この総勢5名が今季生徒会メンバーらしい。


生徒会の仕事中にリオが「サフィが」「サフィが」とうるさいらしくて、どんな子なのかって入学を楽しみにしてたんだって。

「家に招待させて、って頼んでも全然会わせてくれないんだもの!
リオ先輩にとってそんなに大切な子なら、会ってみたいでしょ?」
「だって、サフィってばすっごく忙しいんだよ?
僕だってなかなか一緒に過ごせないんだから!」
「ホント?」

疑わしげな先輩たちに俺は自慢げに胸を張ってみせた。

「うん。俺、冒険者ですので!
見習いとして、空いた時間はギルドに通ってたの」
「ええ?!サフィちゃん、冒険者なの⁈
フィオネル伯爵家なら、お父上はゲルリアス様でしょ?
高位貴族じゃないの!」
「俺のお父様も一緒にギルド行くんだよー!
ゲイルは治療してるの」
「そんなチビっちゃいのに大丈夫か?危なくねえ?」
「チビではありません!これからおっきくなるし!
俺ツエエですので、問題なしです!」
「マジで色々と規格外だよなあ!」
「こんなに可愛らしいのに!いやあ、面白い子ですねえ!」



「で。気付いた?」

リオがにこにこしながら俺の両手をぎゅっとにぎった。

「本来書記と会計が2人ずつなんだよねー。
でもね、会計が居ないの。
サフィって計算はとくいだったよね?」

「あーーー!あーーーー!あーーーー!
きこえませーーーーん」


「サフィちゃん計算がとくいなの?」
「おお!そいつはいい!アーシャ一人だと限界でさあ!」
「いや、サフィの意見も聞いてみないと」

一見みんなを諫めながら一番常識的なことを言っているようですが。
オル先輩ってば「自己紹介も終えたことだし。もう解禁だよね?」とばかりに俺をしっかりと抱えて頭なでなでしてるからね?

しかし俺は機会を逃さないので!

「忙しいから無理です!」

ときっぱりとお断りした。
そしたら生徒会メンバー呆然。
断わられることを想定してなかったみたい。

「この空気で断る?!」
「え?学院の生徒会だよ?」
「あのね、一応生徒会って将来のエリートコースだよ?」

「無理ですってば!」

「サフィ、生徒会はこの学校の生徒の憧れのポジションなんだよ?!
生徒会に入って、僕と一緒に学校に通おうよ!
1年しか一緒に通えないんだから!
僕サフィと通うの楽しみにしてたんだよ!」

リオ、必死か!

「だが、断る!!」

ただでさえ忙しいのに、生徒会なんて入ったらお友達と過ごす時間が減っちゃうでしょお!
居残りなんてしたらゲイルと過ごす時間が減るし!
キースに訓練して貰う時間もへっちゃうじゃん!
放っておくとお兄様が闇落しちゃうし。
俺だっていろいろ大変なんだからねっ?
その合間にライリオと遊んであげてたことを褒めてほしい!


しっかりと2本の足で大地を踏みしめ胸の前で腕を組み「これは譲らぬ!」とアピールする。



「…サフィちゃんのためにお菓子を作ってきたのに……」

せくしー先輩がしょんぼりと可愛らしい袋を取り出した。

「それはいただきます!
クッキーですか?ケーキでしょおか?」

シュバっと受け取りうきうきと覗き込めば……

「ふわあああ!アップルパイだああああ!!!
俺、俺、アップルパイだいすきいいいい!!!」

やったあやったあとピョンピョンしていたら、すすす、とロイド先輩が椅子を進めてくれた。

「せっかくだし、食べて行ったら?」

すかさず横からお茶が差し出される。

「これ、俺らの国のお茶。スパイス入りなんだ。
アップルパイと相性ばっちり!」
「ルーシュの淹れるお茶は美味しいのよお!」

こ、この匂いは!

「ジンジャーミルクティー!!!
しかもシナモンとカルダモンの匂いする!!アップルパイと相性抜群のやつ!!」

こくりとすれば、鼻に抜けるスパイシーな香り!
ミルクに負けないように紅茶は濃い目。お砂糖もたっぷり!

お次はお楽しみアップルパイを…
ぱくり!

「おおお!このアップルパイ!シナモンとレーズンたっぷり!
美味しいいいい!!」

ぱくぱくぱくぱく。
ごくごくごくごく。

俺は夢中でおやつをいただいてしまった。
そしてお腹満たされぽんぽこりんのまったりタイム。

な、なんて恐ろしい生徒会のコンビネーション!
素早く去るはずだったのに、いつの間にかオル先輩のお膝に…!

リオがにこにこしながら言った。

「生徒会に入ればアーシャのお菓子とルーシュのお茶が毎日日替わりで提供されるよ?
忙しいなら朝だけでもどうかなあ?
1時間くらい早く登校するだけだよ?
起きれないなら僕が起こしにいってあげるし」

「………朝だけ……?そしたらおやつは……?」
「朝食を控えめにしてくればいいんじゃね?」
「朝ならマフィンとかもいいわねえ!フルーツたっぷりで…」

おおおおお!!

そこにオル先輩が「そういえば」ととんでもないことを言い出した。

「ねえ。サフィのお父上は確かゲルリアス様だろう?」
「うん。そうだけど?」
「実は伯爵も学生時代は生徒会の役員でね。伝説の生徒会長だったみたいだよ。
ここに写真もあるけど…見たい?
生徒会に入ってくれたら見せてあげられるんだけどね?」
「サフィが生徒会入りなんて、ゲイル叔父様も喜ぶんじゃないかなあ?
自慢の息子だよね!」

「………あさだけ……」

「え?」

「朝だけなら。入ってもいい!…かもしれない!」

「入ってくれるの?!」
「朝だけでもいいわよ!サフィちゃんなら大歓迎!」
「偉いぞ、チビ!」

ルーシュ先輩!チビって誰のこと?!

オル先輩の俺を撫でる手が高速になった。
はげるのでやめれ。

ロイド先輩がにこにこと

「サフィ席、用意しておくね!」

と笑った。


こうして気付けば俺は入るつもりのない生徒会に入っていた。
生徒会メンバー…恐ろしい子!!





※※※

ゲイルが主役のスピンオフ「俺が聖女⁈いや、ねえわ!全力回避!(ゲイルの話)」を連載開始しております。
若かりしパパと公爵の話(ifストーリー)となります。
よろしければぜひご覧くださいませ♡
イイネ、ブクマいただければ嬉しいですฅ( ̳• ·̫ • ̳ฅ)
しおりを挟む
感想 343

あなたにおすすめの小説

自分勝手な側妃を見習えとおっしゃったのですから、わたくしの望む未来を手にすると決めました。

Mayoi
恋愛
国王キングズリーの寵愛を受ける側妃メラニー。 二人から見下される正妃クローディア。 正妃として国王に苦言を呈すれば嫉妬だと言われ、逆に側妃を見習うように言わる始末。 国王であるキングズリーがそう言ったのだからクローディアも決心する。 クローディアは自らの望む未来を手にすべく、密かに手を回す。

双子の妹を選んだ婚約者様、貴方に選ばれなかった事に感謝の言葉を送ります

すもも
恋愛
学園の卒業パーティ 人々の中心にいる婚約者ユーリは私を見つけて微笑んだ。 傍らに、私とよく似た顔、背丈、スタイルをした双子の妹エリスを抱き寄せながら。 「セレナ、お前の婚約者と言う立場は今、この瞬間、終わりを迎える」 私セレナが、ユーリの婚約者として過ごした7年間が否定された瞬間だった。

婚約破棄でかまいません!だから私に自由を下さい!

桗梛葉 (たなは)
恋愛
第一皇太子のセヴラン殿下の誕生パーティーの真っ最中に、突然ノエリア令嬢に対する嫌がらせの濡れ衣を着せられたシリル。 シリルの話をろくに聞かないまま、婚約者だった第二皇太子ガイラスは婚約破棄を言い渡す。 その横にはたったいまシリルを陥れようとしているノエリア令嬢が並んでいた。 そんな2人の姿が思わず溢れた涙でどんどんぼやけていく……。 ざまぁ展開のハピエンです。

訳あり侯爵様に嫁いで白い結婚をした虐げられ姫が逃亡を目指した、その結果

柴野
恋愛
国王の側妃の娘として生まれた故に虐げられ続けていた王女アグネス・エル・シェブーリエ。 彼女は父に命じられ、半ば厄介払いのような形で訳あり侯爵様に嫁がされることになる。 しかしそこでも不要とされているようで、「きみを愛することはない」と言われてしまったアグネスは、ニヤリと口角を吊り上げた。 「どうせいてもいなくてもいいような存在なんですもの、さっさと逃げてしまいましょう!」 逃亡して自由の身になる――それが彼女の長年の夢だったのだ。 あらゆる手段を使って脱走を実行しようとするアグネス。だがなぜか毎度毎度侯爵様にめざとく見つかってしまい、その度失敗してしまう。 しかも日に日に彼の態度は温かみを帯びたものになっていった。 気づけば一日中彼と同じ部屋で過ごすという軟禁状態になり、溺愛という名の雁字搦めにされていて……? 虐げられ姫と女性不信な侯爵によるラブストーリー。 ※小説家になろうに重複投稿しています。

「あなたの好きなひとを盗るつもりなんてなかった。どうか許して」と親友に謝られたけど、その男性は私の好きなひとではありません。まあいっか。

石河 翠
恋愛
真面目が取り柄のハリエットには、同い年の従姉妹エミリーがいる。母親同士の仲が悪く、二人は何かにつけ比較されてきた。 ある日招待されたお茶会にて、ハリエットは突然エミリーから謝られる。なんとエミリーは、ハリエットの好きなひとを盗ってしまったのだという。エミリーの母親は、ハリエットを出し抜けてご機嫌の様子。 ところが、紹介された男性はハリエットの好きなひととは全くの別人。しかもエミリーは勘違いしているわけではないらしい。そこでハリエットは伯母の誤解を解かないまま、エミリーの結婚式への出席を希望し……。 母親の束縛から逃れて初恋を叶えるしたたかなヒロインと恋人を溺愛する腹黒ヒーローの恋物語。ハッピーエンドです。 この作品は他サイトにも投稿しております。 扉絵は写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID:23852097)をお借りしております。

成人したのであなたから卒業させていただきます。

ぽんぽこ狸
恋愛
 フィオナはデビュタント用に仕立てた可愛いドレスを婚約者であるメルヴィンに見せた。  すると彼は、とても怒った顔をしてフィオナのドレスを引き裂いた。  メルヴィンは自由に仕立てていいとは言ったが、それは流行にのっとった範囲でなのだから、こんなドレスは着させられないという事を言う。  しかしフィオナから見れば若い令嬢たちは皆愛らしい色合いのドレスに身を包んでいるし、彼の言葉に正当性を感じない。  それでも子供なのだから言う事を聞けと年上の彼に言われてしまうとこれ以上文句も言えない、そんな鬱屈とした気持ちを抱えていた。  そんな中、ある日、王宮でのお茶会で変わり者の王子に出会い、その素直な言葉に、フィオナの価値観はがらりと変わっていくのだった。  変わり者の王子と大人になりたい主人公のお話です。

今、目の前で娘が婚約破棄されていますが、夫が盛大にブチ切れているようです

シアノ
恋愛
「アンナレーナ・エリアルト公爵令嬢、僕は君との婚約を破棄する!」  卒業パーティーで王太子ソルタンからそう告げられたのは──わたくしの娘!?  娘のアンナレーナはとてもいい子で、婚約破棄されるような非などないはずだ。  しかし、ソルタンの意味ありげな視線が、何故かわたくしに向けられていて……。  婚約破棄されている令嬢のお母様視点。  サクッと読める短編です。細かいことは気にしない人向け。  過激なざまぁ描写はありません。因果応報レベルです。

婚約破棄ですか? では、最後に一言申しあげます。

にのまえ
恋愛
今宵の舞踏会で婚約破棄を言い渡されました。

処理中です...