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俺の平凡な日常

俺の孤児院救済大作戦!

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キースの言葉でひらめいた!
そう!祭り!フェスティバルだ!


ふんすふんすと意気込みも荒く俺はシスターに聞いた。

「ねえねえ!あのね、こじいんができて10年だとか20年だとかだったりしない?」
「え?できてから?…ええと…確か23年くらいかしらね?」

えー!ちゅーとはんぱ!

「じゃあじゃあ、キース!ギルドができて100年とかだったりしない?」
「ええー?ちょっとそれはわからないかな。ごめんね?」

申し訳なさそうにキースが謝罪してくれた。
キースのせいじゃないのに。

「みなさーん!ギルドができて何年目かわかるひといますかー?」

大きな声で聴いてみたら古参の冒険者さんが教えてくれた。

「もうすぐ50年くらいになるんじゃねえか?60歳の俺の親父がちょうど冒険者になる頃できたって聞いたからさ」

おおおお!!50年!!
思ったよりは最近だったけど、それでもけっこうになるじゃん!



おれは靴を脱いで椅子の上にたち、大声で宣言した。

「みなさん!ギルドの50年きねん祭りをやろうではありませぬか!!
てゆーか、やろーー!!やりたいっ!!!」

「「「「「はああああ?!」」」」
「サフィちゃん、またスゲエこと言い出しやがったな」
「ギルドで祭り?聞いたことねえぞ?」

俺は無知な冒険者たちに憐れみを目を向け、優しく諭すように教えてあげた。

「よいですか。なにごとにもさいしょはあるのです。
まちのお祭りはよき、ギルドの祭りはダメなんてことはありませぬのじゃ」

「確かに!」
「言われてみれば!」

ここで俺は拳を高々とあげ、ちょっと前のめりになってきた冒険者をのせてあげてのせまくった!

「ぼうけんしゃは、さいこう!
採ってきたそざいで作ったワイルドなネックレスとか、めずらしいそざいとか、街の人もぜったいに欲しがるよ!
ぼうけんしゃが森とかでつくるワイルドな料理も、オレはもっと街の人とかにも知って欲しいの!
ぼうけんしゃたちの結束力を、すばらしさを、今こそ見せてやろうではありませぬか!!!」

「おおお!!」
「そうだそうだ!!俺が焼いたドクドク鳥の肉は最高なんだぜ!!」
「俺の適当スープだって絶品だぜ?」

「では、もいちど聞きます!
みなで祭りますかあーーー?!」

「おー!!!」

「声がちいさいぞおお!祭りますかああああーーーーー?!」

「「「「おーーーー!!!!」」」

おけ!これで言質は取った。
俺はにんまりとほくそ笑んだ。

「じゃあ、みんなごきょうりょくたのもー!
あとからイヤとかダメだからねえ!
ほかのぼうけんしゃさんにも伝えてねー!
やらない人は、だっこなでなできんしれーだからねっ!」

向かい側にすわっているハリーが青ざめながら「サフィー……詐欺師とか向いてるんじゃ…」と呟いた。
他の3人も無言でこくこくと頷く。

「可愛い顔してけっこうえげつないよな、サフィって…」

「なんですって?!
どうせいうのならば、わじゅつがたんのーなのだと言ってほしい!」

あれ?キース?その諦めたような笑顔はなにかな?
ご不満でもおありなのかい?




冒険者さんたちから快く協力の約束を取り付けた俺は、とことことっと2階へ向かった。
こういうのは早い方がいいからね。

トントン。のっくのっく。

「サフィです。ギルド長にごれんらく」

「おう、なんだー?」

ギルド長は珍しく書類にせっせと判を押していた。
返事はすれど顔はあげずポンポンポンっと。
うむ、お忙しいようですな。
では簡潔にまいりましょー!

「というわけで、ギルド50しゅうねんきねんさいをやりますので!」

ギルド長の手が止まる。

「どういう訳で?!何をやるって?!」

聞こえなかったのかな?
俺はひとことひとことゆっくりと言い直した。

「ギルドの、50しゅうねんきねんさいを、やりますので!」

「そう言う意味じゃねー!!
おい!アリー!アリー!!
急いでゲイルを呼んで来い!息子がまたやらかしたっ!!!」


うすうす気づいてたけど、ギルド長ってちょっと失礼だよね!



数分後、近くにいたらしいゲイルが大慌てですっ飛んできた。相当急いで来たみたいで、ふうふうと肩で息をしながら額に汗を浮かべている。

「サ…サフィ…っ今度は…っなに…しでかした……っ」

失礼な!それだといつも俺がなにかしでかしてるみたいじゃん!

「…しでかしてるよな?」
「してません!こんかいは、よきことですし!」

なのでまずは安心してほしい。
そんな俺の気持ちはゲイルには通じなかったようだ。

ゲイルは如実に眉間に皺を寄せ言った。

「やっかいごとの匂いしかしねえんだが⁈」




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