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俺、またしてもお披露目会?!

俺、気付いてしまった

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なんやかんやと、魔法の訓練って始めるとすっごく楽しい。
なんといっても成果が目に見えるのがいいよねー!

バイツー先生いわく、俺はイメージする能力がすっごく高いらしい。
魔法に必要なのは、魔力と、属性、そしてイメージ。
俺はその3つともかなりのハイレベルみたいで、とにかく魔法習得スピードが異常。
普通ならまずは初歩をやって、ちょっとずつ大きくして…って感じで1か月くらい頑張って中くらいになればいいほう。
でも俺の場合は、初歩がいきなりできてる状態。
でもって、出力がおかしいから「中級だすぞー」が「上級ドドン!」になっちゃう。

「水道の蛇口を開けたり閉めたりするみたいに魔力の量をちょうどよくイメージできれば、たぶんなんでも出来ちゃうと思うよお?」

だってさ!



実は。
レインボーのころから、気になってることがあったんだけれども。
実際に魔法を使ってみて、確信した。

これって、転生チートじゃん!

俺は転生なのか転移なのか憑依なのかがよくわかってなかったんだけど。
聖女とか、レインボーだとか、魔力量だとか、このチートさ加減からすると、転生だったのかもしれない。
だって、明らかに転生チートなんだもん!

でもって、俺が「転生した」という前提で考えたら、いろんなことに「こうじゃないのかな」って答えがでた。
サフィの中に俺が目覚めた理由。
今は俺とサフィで違和感なく一緒の俺になってる理由。

たぶんなんだけど。
本来は「サフィ」と「前世俺」で合体した「今の俺」で生まれてくるはずだったんだろう。
でも転生した時に前世の意識だけ半分眠ったままになっちゃった。
もしかしたら前世で事故にあって死んじゃったショックとかもあるのかもしれない。即死っぽかったから、よく覚えてないけど。それで眠って魂の傷みたいなのを回復してたんじゃないのかな。
まあ、それで前世俺が眠っちゃってて、半分のサフィだけが表に出てたのかも。
本来なら前世俺の魂の回復を待って融合したんだろうけど、サフィには辛い生活が続いて、俺の魂の傷みたいなのが回復してる途中でサフィの想いが俺を目覚めさせた。
前世俺はまだ回復しきってなかったから、身体を動かすこともできずただサフィが苦しむのを見てるだけになっちゃってたんだろう。
それで前世俺が回復したらしたで、今度はサフィの方が弱って半分眠りについたみたいになっちゃった。
前世俺とサフィのすれ違いだ。

その後ゲイルやみんなにたくさんの優しさとか愛情を貰って、サフィも回復。
前世俺とサフィはめでたく当初の予定通り融合。本来のサフィであるはずだった今の俺になった。

なんかこうやって考えると全部が腑に落ちる気がするんだ。
実際、最初の頃は「サフィ」と「俺」と分けて考えてたのに、今は当たり前に過去のサフィも俺だって思うし、俺もサフィも一緒だって感じてる。

最初から一緒になってたら、サフィだけに辛い想いをさせずに済んだのにと思うと、悔しい。
どこでこんがらがっちゃったんだろうね。
公爵家だとか、いろんなことがうまく回り出した気がするのも、もしかすると「本来の形」に戻ろうとしているのかもしれない。

ゲイルの頑張りがエリアナの運命を変えて、公爵の運命を変えて、ライオネル、リオネルという新しい命を生んだ。
前世俺が眠っちゃったっていうイレギュラーが、結果的にゲイルと俺を強く結びつけ、親子にした。
ありこちでイレギュラーが起こり、それが元通りに戻ろうとしてる。



そう考えて、俺はちょっとゾッとした。

待って!元通りに?
それって…。

本来、俺を産む前にはかなくなっているはずだったエリアナは、俺を産んではかなくなった。
本来俺と親子になるはずだったゲイルは、俺が公爵に冷遇されていたことで、親子の縁を結ぶことになった。
つまり、エリアナも俺とゲイルも、結果的にはルーダの言っていた「本来の形」になっているのである。
本来の世界線では結ばれるはずだった公爵とゲイルも、一旦俺の冷遇により距離を空けていたが、今は俺を守るために近づきつつある。結ばれる結ばれないは別として、ある意味運命共同体だ。

じゃあ、イレギュラーであるライオネルとリオネルは?
この「元通りにしようとする」強制力みたいな流れの中で、本来存在しなかったはずのライオネルとリオネルはどうなるんだろう?



「…サフィちゃん?
サフィ!どうしたの?大丈夫?真っ青だよ?!」

バイツー先生の声が遠く感じる。

「……るー…ルーダ!ルーダ!!!」

ねえ。俺の考え、間違ってるって言って!
考えすぎだよ、って言って!

寒い。
身体中から血の気が引いているのが分かる。
こわい。怖い!
「兄弟じゃない」なんていっても、それでもライリオは俺にとってもう大切な仲間なんだ。
失いたくない!ぜったいに!!

ルーダの声を聴いたとたん、俺はふっと意識を飛ばしてしまったのだった。


「サフィ!呼んだか?」

ブオンと空間が歪み、シュン、とルーダが現れた。
もう契約してるから、召喚で大きく魔力が削られたりはしない。

「ルーダ…もしかして…うんめい…もどにもど……」


いいかけて、俺はそのままふっと意識を飛ばしてしまったのだった。
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