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16.けっかおーらい。
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「ほっほっほ、さすがの殿下もルカ様の前では型無しですなぁ!」
ん?ん?どゆことだろ…?
お兄様はなんだか納得…って感じでゼインをみてるし…。
僕だけが何もわからないや…。
「ではジーク様、授業の続きをしましょうか。ルカ様達はどうなさいますか?見ていかれますか?」
「えと…んと…僕、お部屋戻る!お兄様にも会えたし、満足した!」
それに戻らないとお兄様の邪魔になっちゃう…
するとお兄様は凄く残念そうな顔をしたけれど、授業頑張ってね!と言うと絶望していたのは僕は気づかないまま部屋を出ていった。
「ふふ、お兄様の授業の先生すごく仙人みたいだった!もしかしたら僕の来年の先生もあの人かなぁ?」
僕はまだ6歳だから授業はないけれど、7歳から貴族は家庭教師を招いて10歳から入学する学園の予習、みたいなことをする。学園に入った後も週に何日か教師を呼んで復習するのだ。
お兄様は11歳なので普段は学園に通っている。だが今日はお休みの日だし、復習しているのだろう。
「せんにん…?はわからないけど、どうかな、そこはクリス殿に聞いてみないとわからないね。」
そっか、仙人ってこっちの世界はないのか…。
「じゃあ父様が帰ってきたら聞く!あ、ゼイン…」
いるのが当たり前になってたから気づかなかったけど、ゼイン王宮に帰らなくてもいいのかな…
「どうしたの?」
「あのね…ゼイン、帰らなくてもいいのかなって。王様たち、心配してるんじゃないの?」
「ああ、大丈夫だよ。許可は取ってある。ちゃあんとお仕事もやってるからね?」
「ふふふ!お仕事頑張って偉いね、ゼイン。」
にこにこしながらたくさん歩いていると、いつの間にか自分の部屋に着いていた。
「ゼインと話しながらだと早く着くね!」
「楽しい時間はあっという間に過ぎちゃうからね」
部屋に入るとルイスがお茶を淹れてくれて、お茶菓子も出してくれる。
家の中とはいえちょっと疲れたや…
あれから僕は家の中だけなら歩けるようになった。ただ、やっぱり庭や外に出るのは体が拒絶していて、一度頑張ってみたのだけど、吐き気を催してしまった。いくら犯人が捕まって、魔導具も没収されたと聞いても、心が納得してくれなくて。
「ごめんね、ゼイン。どうしても、出られないの。わかってるの、もう危険はないこと。でも………無理なの。」
ゼインの膝の上に向かい合いながら乗せてもらって、背中をぽんぽんと撫でてもらう。僕はゼインの胸に寄りかかってぼろぼろと涙をこぼしていた。
「いいんだよ、ゆっくりでいい。あ、そうだ。今アレク殿とクリス殿が共同で開発してる魔導具があってね。」
「母様たちが?」
「うん、そう。もうルカが危ない目に遭わないようにって、ルカや他の人に危害を加えようとする人が近づいてきたら狙われた人全員に接触不可の魔法、防御魔法、視認不可の魔法、望んだ場所への転移魔法を付与する魔導具だって。」
それ、僕でもわかるくらいすごいんじゃないの、母様達。
「あのぉ…それこそ国宝級…それ以上のものじゃないの…?」
「ふふ、そうだよ。ルカのご両親は天才だもの。」
「そんなもの、貰っていいのかなぁ…」
「いいんだよ。私はお二方のように素晴らしい魔道具は作れない。この身一つしかルカを守れるものはないからね。貰えるものは貰っておきなさい。」
「わかった…」
やっぱり僕、迷惑かけてる。お外、出てみよう。頑張れ、僕。もう危険はない。
「ゼイン、もう一回だけ、玄関まで行く。そしたら…あの…抱っこして。それで、お外に出てみてほしいの…。抱っこしてくれたら、行けるかもしれないから。」
「わかった、じゃあ行ってみようか。」
緊張しながら玄関まで行って、ゼインに抱っこしてもらう。すこし息が浅くなってきたけど、大丈夫。
「行くよ?」
「うん…」
ギィ…、ガチャン
ぎゅっと目を閉じてゼインに縋り付く。
や、やっぱり怖い!ゼイン!ゼイン!ゼイン!ゼイン!
「ルカ、大丈夫、何も怖いことないからね。ほら、もう外に出ちゃった。」
で、ちゃった…?
固く閉じていた目をゆっくりと開けていく。そこは僕の記憶と何ら変わりないいつもの風景が広がっていた。
出られた…?僕、出られたの…?
「ふふ、おめでとう、ルカ。」
そうゼインは微笑んで言うと、ちゅっ、と僕の頬にキスを送った。
「あ、りがとう…ゼイン…。あの、もう入ろう?お外には出られたから。」
すると、馬の蹄の音がして、門の方を見ると今日は母様達の帰りが早かったのだろうか、我が家の馬車が門へ停車した。
中から母様達が出てくると、外に出た僕達を素早く見つける。
「……!……、!、、!」
何か大声で言ってるけど如何せん距離が離れすぎてて聞こえない。
「母様と父様何言ってるんだろう…聞こえないや」
「ふふふ、だね」
すると父様が母様をお姫様抱っこして全速力で走ってきた!!
なんだかどちらも運び慣れてる、運ばれ慣れてる、って感じで普通に走ってる…
「ルカ!外に出られたんだな…!おめでとう…!」
「ルカ、大丈夫?吐き気も何も無い?でも良かった、本当におめでとう…!」
二人共すごく喜んでくれて、母様達がとんでもないもの作ろうとしてるからそれが衝撃的で外に出ようと思ったなんて言えなかった。
「えと…ありがとう…母様、父様。」
でも、これが結果オーライってことなのかな
ん?ん?どゆことだろ…?
お兄様はなんだか納得…って感じでゼインをみてるし…。
僕だけが何もわからないや…。
「ではジーク様、授業の続きをしましょうか。ルカ様達はどうなさいますか?見ていかれますか?」
「えと…んと…僕、お部屋戻る!お兄様にも会えたし、満足した!」
それに戻らないとお兄様の邪魔になっちゃう…
するとお兄様は凄く残念そうな顔をしたけれど、授業頑張ってね!と言うと絶望していたのは僕は気づかないまま部屋を出ていった。
「ふふ、お兄様の授業の先生すごく仙人みたいだった!もしかしたら僕の来年の先生もあの人かなぁ?」
僕はまだ6歳だから授業はないけれど、7歳から貴族は家庭教師を招いて10歳から入学する学園の予習、みたいなことをする。学園に入った後も週に何日か教師を呼んで復習するのだ。
お兄様は11歳なので普段は学園に通っている。だが今日はお休みの日だし、復習しているのだろう。
「せんにん…?はわからないけど、どうかな、そこはクリス殿に聞いてみないとわからないね。」
そっか、仙人ってこっちの世界はないのか…。
「じゃあ父様が帰ってきたら聞く!あ、ゼイン…」
いるのが当たり前になってたから気づかなかったけど、ゼイン王宮に帰らなくてもいいのかな…
「どうしたの?」
「あのね…ゼイン、帰らなくてもいいのかなって。王様たち、心配してるんじゃないの?」
「ああ、大丈夫だよ。許可は取ってある。ちゃあんとお仕事もやってるからね?」
「ふふふ!お仕事頑張って偉いね、ゼイン。」
にこにこしながらたくさん歩いていると、いつの間にか自分の部屋に着いていた。
「ゼインと話しながらだと早く着くね!」
「楽しい時間はあっという間に過ぎちゃうからね」
部屋に入るとルイスがお茶を淹れてくれて、お茶菓子も出してくれる。
家の中とはいえちょっと疲れたや…
あれから僕は家の中だけなら歩けるようになった。ただ、やっぱり庭や外に出るのは体が拒絶していて、一度頑張ってみたのだけど、吐き気を催してしまった。いくら犯人が捕まって、魔導具も没収されたと聞いても、心が納得してくれなくて。
「ごめんね、ゼイン。どうしても、出られないの。わかってるの、もう危険はないこと。でも………無理なの。」
ゼインの膝の上に向かい合いながら乗せてもらって、背中をぽんぽんと撫でてもらう。僕はゼインの胸に寄りかかってぼろぼろと涙をこぼしていた。
「いいんだよ、ゆっくりでいい。あ、そうだ。今アレク殿とクリス殿が共同で開発してる魔導具があってね。」
「母様たちが?」
「うん、そう。もうルカが危ない目に遭わないようにって、ルカや他の人に危害を加えようとする人が近づいてきたら狙われた人全員に接触不可の魔法、防御魔法、視認不可の魔法、望んだ場所への転移魔法を付与する魔導具だって。」
それ、僕でもわかるくらいすごいんじゃないの、母様達。
「あのぉ…それこそ国宝級…それ以上のものじゃないの…?」
「ふふ、そうだよ。ルカのご両親は天才だもの。」
「そんなもの、貰っていいのかなぁ…」
「いいんだよ。私はお二方のように素晴らしい魔道具は作れない。この身一つしかルカを守れるものはないからね。貰えるものは貰っておきなさい。」
「わかった…」
やっぱり僕、迷惑かけてる。お外、出てみよう。頑張れ、僕。もう危険はない。
「ゼイン、もう一回だけ、玄関まで行く。そしたら…あの…抱っこして。それで、お外に出てみてほしいの…。抱っこしてくれたら、行けるかもしれないから。」
「わかった、じゃあ行ってみようか。」
緊張しながら玄関まで行って、ゼインに抱っこしてもらう。すこし息が浅くなってきたけど、大丈夫。
「行くよ?」
「うん…」
ギィ…、ガチャン
ぎゅっと目を閉じてゼインに縋り付く。
や、やっぱり怖い!ゼイン!ゼイン!ゼイン!ゼイン!
「ルカ、大丈夫、何も怖いことないからね。ほら、もう外に出ちゃった。」
で、ちゃった…?
固く閉じていた目をゆっくりと開けていく。そこは僕の記憶と何ら変わりないいつもの風景が広がっていた。
出られた…?僕、出られたの…?
「ふふ、おめでとう、ルカ。」
そうゼインは微笑んで言うと、ちゅっ、と僕の頬にキスを送った。
「あ、りがとう…ゼイン…。あの、もう入ろう?お外には出られたから。」
すると、馬の蹄の音がして、門の方を見ると今日は母様達の帰りが早かったのだろうか、我が家の馬車が門へ停車した。
中から母様達が出てくると、外に出た僕達を素早く見つける。
「……!……、!、、!」
何か大声で言ってるけど如何せん距離が離れすぎてて聞こえない。
「母様と父様何言ってるんだろう…聞こえないや」
「ふふふ、だね」
すると父様が母様をお姫様抱っこして全速力で走ってきた!!
なんだかどちらも運び慣れてる、運ばれ慣れてる、って感じで普通に走ってる…
「ルカ!外に出られたんだな…!おめでとう…!」
「ルカ、大丈夫?吐き気も何も無い?でも良かった、本当におめでとう…!」
二人共すごく喜んでくれて、母様達がとんでもないもの作ろうとしてるからそれが衝撃的で外に出ようと思ったなんて言えなかった。
「えと…ありがとう…母様、父様。」
でも、これが結果オーライってことなのかな
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