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22.精霊の国だ〜!
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まさか痛みで意識を失うとは……。軟弱者めっ!僕が見てきた小説の中では、痛みで気を失うなんて見たことなかったのに…!やっぱりそこらへんファンタジーなのかなぁ…。二輪刺しってすごく興味があったんだけど、また今度いろいろ開発してもらってやってもらおう。今はとりあえずこのあったかくてふわふわした所から起きたくない…。
『ふふ、そろそろ起きてください。』
んぅ…オベロン…?後5分だけ……
『だめですぅー、起きてくださ~い』
なんで心の声が聞こえてるんだ…あ、精霊だからか……
ん、じゃあさっきの二輪刺し云々も聞こえてたっていうのかっ?!
『ええ、聞こえてましたよ』
「ああああ…!!!僕の馬鹿ぁ…!!」
思わず顔を覆って叫んでしまう。そしてゴロゴロと地べたを転げ回っていて思ったのが、ここどこや?
『ここは精霊の国ですよ、ほら、目を開けてご覧なさい』
そろ、と起きて周りを見てみると、そこはまるでゲームの世界だった。空を飛ぶエメラルド色の魚群、ティンカー◯ルのような小さい精霊達、虹が空を走り、一つの国ほどの大きさがあるのではないかと思えるほど大きな樹木も宙に浮いている。
「す…すごい………ダレン、ザック、オベロン!すごいね!!」
『ふふ、そうですね』
3人に声をかけたはずなのに、オベロンの声しか聞こえなくて。あれ?そう思ってオベロンを見てみると、苦笑した彼が説明してきた。
『だって、あの獣共はシンに無理矢理入れようとしてきたんですよ?私は潰さないように、とは言いましたけど、無理矢理ももちろん駄目です!だから二人は家で反省させています。その間に私とシンとでここの旅行をしましょう!』
うーん…みんなでここに来たかったけど、まあ確かに痛かったし…今日は二人旅だなぁ~
『ふぅ…わかりました、また今度みんなできましょうね?そして…あの二人は別に、自制心がなかったわけじゃないし、思いやりが欠けていたわけではないのですよ?わかっているとは思いますが。ただ、獣人の特性というかなんというか…。やはり純粋な人間ではないので、本能が勝ってしまうんですよね、閨のときは。』
「そうなんだ…でも、体が慣れたらまたしてもらいたいかも。」
『んまっ!私の妻はなんて破廉恥なんでしょうか!そういうところも好きですふふふふふ………!』
あぁ…おかしくなっちゃった…
僕とオベロンは、精霊の国を見て回った。やっぱりオベロンは王様だからか、道行く精霊達に『精霊王様~!』と声をかけられ、僕も『愛し子様~!』『お妃様~!』とか。まあ確かに一応結婚はしてますからね…。いいでしょう。
精霊の国には不思議なものがたくさんあった。川の流れが下から上へと行くものや、常にシャボン玉が地面から出ている町、精霊達の嗜好品だというアイスクリームのような味の花など。精霊はご飯を食べなくてもいいけど、こういうのは嗜好品なんだって。いつの間にかオベロンと手を繋いで国を歩いていたけれど、それが気にならないくらい楽しんでいた。
「ねえねえ、あそこの浮いてる木って何?」
『ああ、あれは精霊樹です。あそこの葉っぱから下級、中級、上級の精霊が生まれるのですよ。精霊王が代替わりするときはあの大木ごと生まれ変わります。』
へ~そうなんだ…。あれだけ大きいからたくさん精霊が生まれそうだなぁ…。
『さて…そろそろ帰りましょうか。』
「え、もう?」
体感まだ3時間ほどしかたってない気がするのだが…?
『こことあちらでは時間の流れが違うのですよ。早く帰らないとあの獣共が暴れているやもしれません。』
「え、ええ!そうなの?!は、早く帰ろ!」
そう慌てて言うと、オベロンは僕をギュッと抱きしめて囁いた。
『本当はね、貴方とずっとここで暮らしたいのです。二人きりでずっと。でも貴方はあの二人を愛しているでしょう?私もあの人たちのように貴方に愛してほしい…。』
切なく言う彼の顔が見たいと思ったが、力強く抱きしめられていたので動けなかった。
『………はぁ…、我儘は此処までにしましょう。では、帰りますよ?』
「う、うん…」
腕の中から解放されてまばたきをすると、既にそこは見慣れた家の中だった。
「えっと…ありがとうね、オベロン。すごく楽しかった!」
そう言うとオベロンは部屋の外を見つめて、
『良かったです。あの二人が来ますよ。』
そう言うやいなやバンッと扉が音を立てて開き、音に驚いていると誰かにぎゅーーーっと抱きしめられていた。
「ぐっ……ぐるぢぃ……!」
背中をバンバン叩くと、ダレンがそこにいて、後ろに髪を振り乱した様子のザックもいた。
「えと……ただいま…?」
「「すまなかった…!」」
二人合わせての謝罪に驚きつつも、宥めて「いいよ?」と許す。あまりにあっけらかんとして言ったのが良かったのか、暗い表情だった彼らがぽかーんとして僕を見つめ、苦笑した。
「私達のせいとはいえ、3日も居なくて辛かったよ…」
3日だと…?
「本当に済まなかった、もう無理矢理にはしないから…」
「え、3日?僕3時間くらいしかあっちにいなかったんですけど、精霊の国の1時間はここの1日ってことですか?」
少し混乱しながらもオベロンに聞けば、微笑みながら頷いていた。
これも異世界あるあるか――――――――――
『ふふ、そろそろ起きてください。』
んぅ…オベロン…?後5分だけ……
『だめですぅー、起きてくださ~い』
なんで心の声が聞こえてるんだ…あ、精霊だからか……
ん、じゃあさっきの二輪刺し云々も聞こえてたっていうのかっ?!
『ええ、聞こえてましたよ』
「ああああ…!!!僕の馬鹿ぁ…!!」
思わず顔を覆って叫んでしまう。そしてゴロゴロと地べたを転げ回っていて思ったのが、ここどこや?
『ここは精霊の国ですよ、ほら、目を開けてご覧なさい』
そろ、と起きて周りを見てみると、そこはまるでゲームの世界だった。空を飛ぶエメラルド色の魚群、ティンカー◯ルのような小さい精霊達、虹が空を走り、一つの国ほどの大きさがあるのではないかと思えるほど大きな樹木も宙に浮いている。
「す…すごい………ダレン、ザック、オベロン!すごいね!!」
『ふふ、そうですね』
3人に声をかけたはずなのに、オベロンの声しか聞こえなくて。あれ?そう思ってオベロンを見てみると、苦笑した彼が説明してきた。
『だって、あの獣共はシンに無理矢理入れようとしてきたんですよ?私は潰さないように、とは言いましたけど、無理矢理ももちろん駄目です!だから二人は家で反省させています。その間に私とシンとでここの旅行をしましょう!』
うーん…みんなでここに来たかったけど、まあ確かに痛かったし…今日は二人旅だなぁ~
『ふぅ…わかりました、また今度みんなできましょうね?そして…あの二人は別に、自制心がなかったわけじゃないし、思いやりが欠けていたわけではないのですよ?わかっているとは思いますが。ただ、獣人の特性というかなんというか…。やはり純粋な人間ではないので、本能が勝ってしまうんですよね、閨のときは。』
「そうなんだ…でも、体が慣れたらまたしてもらいたいかも。」
『んまっ!私の妻はなんて破廉恥なんでしょうか!そういうところも好きですふふふふふ………!』
あぁ…おかしくなっちゃった…
僕とオベロンは、精霊の国を見て回った。やっぱりオベロンは王様だからか、道行く精霊達に『精霊王様~!』と声をかけられ、僕も『愛し子様~!』『お妃様~!』とか。まあ確かに一応結婚はしてますからね…。いいでしょう。
精霊の国には不思議なものがたくさんあった。川の流れが下から上へと行くものや、常にシャボン玉が地面から出ている町、精霊達の嗜好品だというアイスクリームのような味の花など。精霊はご飯を食べなくてもいいけど、こういうのは嗜好品なんだって。いつの間にかオベロンと手を繋いで国を歩いていたけれど、それが気にならないくらい楽しんでいた。
「ねえねえ、あそこの浮いてる木って何?」
『ああ、あれは精霊樹です。あそこの葉っぱから下級、中級、上級の精霊が生まれるのですよ。精霊王が代替わりするときはあの大木ごと生まれ変わります。』
へ~そうなんだ…。あれだけ大きいからたくさん精霊が生まれそうだなぁ…。
『さて…そろそろ帰りましょうか。』
「え、もう?」
体感まだ3時間ほどしかたってない気がするのだが…?
『こことあちらでは時間の流れが違うのですよ。早く帰らないとあの獣共が暴れているやもしれません。』
「え、ええ!そうなの?!は、早く帰ろ!」
そう慌てて言うと、オベロンは僕をギュッと抱きしめて囁いた。
『本当はね、貴方とずっとここで暮らしたいのです。二人きりでずっと。でも貴方はあの二人を愛しているでしょう?私もあの人たちのように貴方に愛してほしい…。』
切なく言う彼の顔が見たいと思ったが、力強く抱きしめられていたので動けなかった。
『………はぁ…、我儘は此処までにしましょう。では、帰りますよ?』
「う、うん…」
腕の中から解放されてまばたきをすると、既にそこは見慣れた家の中だった。
「えっと…ありがとうね、オベロン。すごく楽しかった!」
そう言うとオベロンは部屋の外を見つめて、
『良かったです。あの二人が来ますよ。』
そう言うやいなやバンッと扉が音を立てて開き、音に驚いていると誰かにぎゅーーーっと抱きしめられていた。
「ぐっ……ぐるぢぃ……!」
背中をバンバン叩くと、ダレンがそこにいて、後ろに髪を振り乱した様子のザックもいた。
「えと……ただいま…?」
「「すまなかった…!」」
二人合わせての謝罪に驚きつつも、宥めて「いいよ?」と許す。あまりにあっけらかんとして言ったのが良かったのか、暗い表情だった彼らがぽかーんとして僕を見つめ、苦笑した。
「私達のせいとはいえ、3日も居なくて辛かったよ…」
3日だと…?
「本当に済まなかった、もう無理矢理にはしないから…」
「え、3日?僕3時間くらいしかあっちにいなかったんですけど、精霊の国の1時間はここの1日ってことですか?」
少し混乱しながらもオベロンに聞けば、微笑みながら頷いていた。
これも異世界あるあるか――――――――――
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