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第一章 『無能』のレッテルを貼られた僕がいかにして英雄と呼ばれるようになったか?
第二十六話 もうこりごり! 仲を取り持つなんてもう『二度』とやらないからね!
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――モルガバレー 町長宅、モルガシャトー――
翌日――。
報告をかねて、早々に町長の屋敷へ行ったんだけど。
「こいつはオレの女だ! 手ぇ出すんじゃねぇっ!!」
なんと! 開口一番はアニキの告白からだったんだ!
「バ、バカっ! い、いつ私がレヴィンの女になったのよっ!」
リリー姉さんは顔を真っ赤にしてるけど、まんざらでもなさそう。
「もう、そんな気はないので安心してくれたまえ」
それと引きかえ、町長は青ざめている。
どうしたんだ? いったい?
Pon Pon……。
ん? なんだろう? ウィンに肩をたたかれる。
耳打ち? 何の話かな?
「ねぇ、フィル? 町のウワサよるとね。この町長、メイドにね……ごにょごにょ――」
Oh……。
なるほど、つまりお手付きしてして、デキてしまったと。
それが親族中にバレて、いろいろいそがしいってわけね。
どうしようもないなぁ。この人。
「では約束の小切手を、あとはすべてセヴァスチャンに任せてある。こう見えて私はいそがしい身でね、失礼するよ」
足早に出ていく。
パタンと戸が閉じて。
UWAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA――っ!!
「なんだなんだっ!?」
「あれ、もしかして町長の声?」
「いえ、みなさまお気になさらず、ここ最近わが主はつかれているようでして、温かく見守ってやってくださいませ」
この人もタイガイだな。
というか、独身っぽいし、さっさとセキニンとればいいんじゃ。
こういうのを往生際がわるいっていうんだっけ?
でもまぁ、カクシツとかそいうのがあって頭を悩ましているんだろうけど。
「聞くところによると、あなた方は〈グランドモンスター〉をたおして回っているそうですね」
「ええ、まぁ……」
多分、トパゾタウンの酒場のマスターだろうね。
「それで実は当家で強力なモンスターがでる情報を手に入れましたので、謝礼として受け取ってください。」
「えっ!? ほんとですかっ!?」
「気前いいじゃねぇか!」
なんと1万ノルのほかに、そんな情報までいただけるなんて!
あくまでもウワサによると。
ここから南西にある港町カルサイトリコ。
そこに強力なモンスターが出たという話だそうだ。
「やったわね! ウィン!」
「うんっ!」
じゃあ、次の目的地はカルサイトリコに決まったところで、屋敷を後にした。
――モルガバレー 宿屋、優美なるバラ――
「もう出てしまわれるんですか? お兄さんたち……」
店先でミシェルと宿屋のご夫婦に見送られる。
「うん、まぁね」
「ほんとにありがとうございます。お母さんを助けてくれて」
「いえいえ、無事でなによりだよ」
深々と頭を下げるミシェル。
なんとしおらしい。
普段からそうしてればいいのに。
「実はボク、ずっと男の子のカッコがイヤで、あの後お母さんと話し合ったんです。そしたらボクのこと女の子として見てくれるってことになって」
「う、うーん? そうなんだ」
そ、そういう話だったんだね。
「これも全部、フィルお兄さんたちのおかげです。ありがと――」
Chu……。
「っ!」
ほほにやわらかいものがっ!?
「あーーーーーーーっ!!」
「あら、まぁ」
「ヒュー……やるじゃねぇか」
「ゥウァン! ゥウァン!」
RMBLRMBL……。
あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛……。
キキにはほえられるし……。
ウィンがすごくにらんでくるよぉ~。
「あ、そうそう、となり町のユークレースタウンで強盗が出たらしいですよ。新聞に書いてありました」
そうなんだ。
貴重な情報源だし、いい加減、定期的に買わなきゃなぁ。
「なので道中お気をつけてくださいね。あ! でもお兄さんたちなら、だいじょうぶですよね! なんたってこの町をの英雄なんですから!」
「うん……ありがとう」
一刻早く、この場からはなれたい。
なんだか後ろで邪神が生まれそうなんだ。
「いつかまたこの町に来ることがあったら、ぜひまたウチに泊まっていってくださいね♡」
とミシェルはにこっとほほえんでくれた。
こうして僕らは、立派な看板娘となったミシェルに見送られ、カルサイトリコへ向けて歩き出したんだ。
アニキたちはうまくいって、ウィンとの道のりは、まだまだけわしいみたい。
どうしてこうなっちゃんだんだろう……ハァ……。
あぁ! もうこりごりだ!
仲を取り持つなんて、もう二度とやらないからなっ!!!
翌日――。
報告をかねて、早々に町長の屋敷へ行ったんだけど。
「こいつはオレの女だ! 手ぇ出すんじゃねぇっ!!」
なんと! 開口一番はアニキの告白からだったんだ!
「バ、バカっ! い、いつ私がレヴィンの女になったのよっ!」
リリー姉さんは顔を真っ赤にしてるけど、まんざらでもなさそう。
「もう、そんな気はないので安心してくれたまえ」
それと引きかえ、町長は青ざめている。
どうしたんだ? いったい?
Pon Pon……。
ん? なんだろう? ウィンに肩をたたかれる。
耳打ち? 何の話かな?
「ねぇ、フィル? 町のウワサよるとね。この町長、メイドにね……ごにょごにょ――」
Oh……。
なるほど、つまりお手付きしてして、デキてしまったと。
それが親族中にバレて、いろいろいそがしいってわけね。
どうしようもないなぁ。この人。
「では約束の小切手を、あとはすべてセヴァスチャンに任せてある。こう見えて私はいそがしい身でね、失礼するよ」
足早に出ていく。
パタンと戸が閉じて。
UWAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA――っ!!
「なんだなんだっ!?」
「あれ、もしかして町長の声?」
「いえ、みなさまお気になさらず、ここ最近わが主はつかれているようでして、温かく見守ってやってくださいませ」
この人もタイガイだな。
というか、独身っぽいし、さっさとセキニンとればいいんじゃ。
こういうのを往生際がわるいっていうんだっけ?
でもまぁ、カクシツとかそいうのがあって頭を悩ましているんだろうけど。
「聞くところによると、あなた方は〈グランドモンスター〉をたおして回っているそうですね」
「ええ、まぁ……」
多分、トパゾタウンの酒場のマスターだろうね。
「それで実は当家で強力なモンスターがでる情報を手に入れましたので、謝礼として受け取ってください。」
「えっ!? ほんとですかっ!?」
「気前いいじゃねぇか!」
なんと1万ノルのほかに、そんな情報までいただけるなんて!
あくまでもウワサによると。
ここから南西にある港町カルサイトリコ。
そこに強力なモンスターが出たという話だそうだ。
「やったわね! ウィン!」
「うんっ!」
じゃあ、次の目的地はカルサイトリコに決まったところで、屋敷を後にした。
――モルガバレー 宿屋、優美なるバラ――
「もう出てしまわれるんですか? お兄さんたち……」
店先でミシェルと宿屋のご夫婦に見送られる。
「うん、まぁね」
「ほんとにありがとうございます。お母さんを助けてくれて」
「いえいえ、無事でなによりだよ」
深々と頭を下げるミシェル。
なんとしおらしい。
普段からそうしてればいいのに。
「実はボク、ずっと男の子のカッコがイヤで、あの後お母さんと話し合ったんです。そしたらボクのこと女の子として見てくれるってことになって」
「う、うーん? そうなんだ」
そ、そういう話だったんだね。
「これも全部、フィルお兄さんたちのおかげです。ありがと――」
Chu……。
「っ!」
ほほにやわらかいものがっ!?
「あーーーーーーーっ!!」
「あら、まぁ」
「ヒュー……やるじゃねぇか」
「ゥウァン! ゥウァン!」
RMBLRMBL……。
あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛……。
キキにはほえられるし……。
ウィンがすごくにらんでくるよぉ~。
「あ、そうそう、となり町のユークレースタウンで強盗が出たらしいですよ。新聞に書いてありました」
そうなんだ。
貴重な情報源だし、いい加減、定期的に買わなきゃなぁ。
「なので道中お気をつけてくださいね。あ! でもお兄さんたちなら、だいじょうぶですよね! なんたってこの町をの英雄なんですから!」
「うん……ありがとう」
一刻早く、この場からはなれたい。
なんだか後ろで邪神が生まれそうなんだ。
「いつかまたこの町に来ることがあったら、ぜひまたウチに泊まっていってくださいね♡」
とミシェルはにこっとほほえんでくれた。
こうして僕らは、立派な看板娘となったミシェルに見送られ、カルサイトリコへ向けて歩き出したんだ。
アニキたちはうまくいって、ウィンとの道のりは、まだまだけわしいみたい。
どうしてこうなっちゃんだんだろう……ハァ……。
あぁ! もうこりごりだ!
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