81 / 141
攻略されていたのは、俺
【22】
しおりを挟む
話せと言うから話したのに、何でか怒られる、この理不尽。解せぬ。
「そんな理不尽極まりないって顔をされても、俺の方がその倍以上の理不尽に晒されているからな? 少しは考えろ」
俺が、何時、理不尽を押し付けたよ?
「とにかくだ。君は、好意からメゴロウの性欲処理の手伝いをしようとした。が、結果、断られた上に、大嫌いだと言われた。間違いないか?」
「間違いありません」
「即答するな、考えろ。君は、メゴロウの性器に触れようとしたのだろう? その事に、疑問を抱いたりはしなかったのか?」
疑問?
「…何故、首を傾げるんだ…」
いや、何、眼鏡外して目頭押さえるんだ?
俺か?
俺が悪いのか?
「…はあ~…」
え? 何、そのこれ見よがしな溜息は?
「…トイセ会長?」
訳が分からず、首を捻っていたら、生徒会長がソファーから立ち上がり、ローテーブルを回り込み、俺の前に立っていた。
何だ? 見上げると首が痛いんだが?
ん? 何で、俺の両肩に手を置く? 急に立ち上がったから、目眩でも起こしたのか? 貧血か? 鉄分を摂れよ? 貧血にはレバーがお薦めか?
「それなら、その空振りした好意を俺が貰おう」
は?
おい、身体を曲げて耳元で話すなよ。何かゾワゾワするだろう。
「…貰う、とは?」
何だ? 生徒会長にあげる物なんて、何も無いぞ?
「最近、処理をしていなくてな。君が手伝ってくれるのなら、それはさぞかし最高の気分になれるだろう」
は?
頭に更に巨大な疑問符が浮かぶ。
そんな俺の右手首を生徒会長が握って、導く先は薄い寝間着越しの生徒会長の股間…ちんこだ。
「何をするのですかっ!!」
それに気付いた俺は、慌てて生徒会長の手を振り払い、ついでに足を振り上げようとしたが、同時に会長が払われた手をすかさず翻して、掴み返し、更には左手首も掴んで、俺の股の間に右膝を入れて、俺の身体を強く押す。背中を思い切り背凭れに押し付けられて、軽く息が詰まった。
椅子ドン!?
何だこれ!?
こんなのやられるのは、ヒロインだろう!?
てか、何だよ、この流れる様な動きは!?
こいつ、マジでヤンキーか!?
「何故、拒絶を? 男の性器を触ろうとしたのだろう? それなら、俺の性器を触っても問題ないだろう? 違うか?」
鼻と鼻がくっつきそうな距離でそう囁かれて、俺は生徒会長の目を睨んで、咄嗟に口を開く。
「違うわ、ボケッ! 何で俺が、お前なんかのちんこを触らなきゃならないんだよっ! メゴロウのだから、触ろうとしただけだ! それ以外のちんこに興味なんかないわ! 退け、クソ眼鏡っ!!」
全力で叫んだせいか、ぜぇぜぇと乱れる息を整えながら、俺は思った。
…やべぇ…。
思いっ切り、素で叫んでしまった…。
ケタロウのイメージ、ぶち壊しだ…。
俺の手首を掴む生徒会長の手が震えてる。
ボケとか、お前とか言ったし。
もの凄く目を細めて睨んで来る、その目が怖い。眼鏡が欲しい。
その目元がピクピクと震えている。
ヤバい。
めちゃくちゃ怒ってるよな?
が、言ってしまった物は仕方が無い。
負けて堪るかと、俺も生徒会長の目をじっと睨み付ける。
「…ち…」
カチカチと暫く時計の音を聞いた後で、生徒会長が唇を震わせながら、一言だけ発した。
「…ち…?」
ちくしょう?
いや、生徒会長はそんな事言わないよな?
いや、ヤンキーなら言うのか?
「…ちん…ちっ、ち、ん…ち…っ…!!」
俺が首を傾げたのと、同時だった。
生徒会長がぶばっと息を吐いて、堪らずと言った様に、俺の手首を掴んでいた手を離し、膝を俺の股の間から下ろし、腹を押さえて、床へと座りこんだ。
ゴツッて、尻だか腰だかを、ローテーブルにぶつけたみたいだが、生徒会長は気にせずに笑い出した。
「…トイセ会長…?」
な、何だ? 何で笑うんだ? 何がツボったんだ? てか、笑い過ぎだろう? こいつ、こんな笑い上戸だったのか? 事実はゲームより奇なりだな?
俺の足元で笑い転げる生徒会長を、ただ、俺はぽかんとして見ていた。
◇
「…失礼した…」
たっぷり五分ぐらいは笑っただろうか。洗面所で顔を洗って来た生徒会長が、眼鏡を掛け直してソファーへと腰を下ろした。
「…いえ…」
そんな生徒会長に、俺は何処か遠くを見ながら返事をしていた。
「君が、余りにも可愛らしい言葉を使うので、つい、な」
「…ソウデスカ…」
可愛らしいって、何だよ。褒め言葉じゃないよな?
てか、まだ微妙に肩が震えて、口元も緩んでいるぞ?
「まあ、今のが君の素の話し方なのか?」
「…そうですよ。前世の影響もありますが、頭の中では何時もあんな感じです」
うん。
他人との付き合いが得意ではないくせに、他人に嫌われるのが怖くて、あんな話し方なんだよ。けど、頭の中では、前世と変わらない話し方だ。
「メゴロウの前でも、ああやって話せば良いのに」
「嫌ですよ! 嫌われたらどうするのですか!?」
そう叫んだ俺の前で、生徒会長は両手で顔を押さえて思い切り天を仰いだ。
「そんな理不尽極まりないって顔をされても、俺の方がその倍以上の理不尽に晒されているからな? 少しは考えろ」
俺が、何時、理不尽を押し付けたよ?
「とにかくだ。君は、好意からメゴロウの性欲処理の手伝いをしようとした。が、結果、断られた上に、大嫌いだと言われた。間違いないか?」
「間違いありません」
「即答するな、考えろ。君は、メゴロウの性器に触れようとしたのだろう? その事に、疑問を抱いたりはしなかったのか?」
疑問?
「…何故、首を傾げるんだ…」
いや、何、眼鏡外して目頭押さえるんだ?
俺か?
俺が悪いのか?
「…はあ~…」
え? 何、そのこれ見よがしな溜息は?
「…トイセ会長?」
訳が分からず、首を捻っていたら、生徒会長がソファーから立ち上がり、ローテーブルを回り込み、俺の前に立っていた。
何だ? 見上げると首が痛いんだが?
ん? 何で、俺の両肩に手を置く? 急に立ち上がったから、目眩でも起こしたのか? 貧血か? 鉄分を摂れよ? 貧血にはレバーがお薦めか?
「それなら、その空振りした好意を俺が貰おう」
は?
おい、身体を曲げて耳元で話すなよ。何かゾワゾワするだろう。
「…貰う、とは?」
何だ? 生徒会長にあげる物なんて、何も無いぞ?
「最近、処理をしていなくてな。君が手伝ってくれるのなら、それはさぞかし最高の気分になれるだろう」
は?
頭に更に巨大な疑問符が浮かぶ。
そんな俺の右手首を生徒会長が握って、導く先は薄い寝間着越しの生徒会長の股間…ちんこだ。
「何をするのですかっ!!」
それに気付いた俺は、慌てて生徒会長の手を振り払い、ついでに足を振り上げようとしたが、同時に会長が払われた手をすかさず翻して、掴み返し、更には左手首も掴んで、俺の股の間に右膝を入れて、俺の身体を強く押す。背中を思い切り背凭れに押し付けられて、軽く息が詰まった。
椅子ドン!?
何だこれ!?
こんなのやられるのは、ヒロインだろう!?
てか、何だよ、この流れる様な動きは!?
こいつ、マジでヤンキーか!?
「何故、拒絶を? 男の性器を触ろうとしたのだろう? それなら、俺の性器を触っても問題ないだろう? 違うか?」
鼻と鼻がくっつきそうな距離でそう囁かれて、俺は生徒会長の目を睨んで、咄嗟に口を開く。
「違うわ、ボケッ! 何で俺が、お前なんかのちんこを触らなきゃならないんだよっ! メゴロウのだから、触ろうとしただけだ! それ以外のちんこに興味なんかないわ! 退け、クソ眼鏡っ!!」
全力で叫んだせいか、ぜぇぜぇと乱れる息を整えながら、俺は思った。
…やべぇ…。
思いっ切り、素で叫んでしまった…。
ケタロウのイメージ、ぶち壊しだ…。
俺の手首を掴む生徒会長の手が震えてる。
ボケとか、お前とか言ったし。
もの凄く目を細めて睨んで来る、その目が怖い。眼鏡が欲しい。
その目元がピクピクと震えている。
ヤバい。
めちゃくちゃ怒ってるよな?
が、言ってしまった物は仕方が無い。
負けて堪るかと、俺も生徒会長の目をじっと睨み付ける。
「…ち…」
カチカチと暫く時計の音を聞いた後で、生徒会長が唇を震わせながら、一言だけ発した。
「…ち…?」
ちくしょう?
いや、生徒会長はそんな事言わないよな?
いや、ヤンキーなら言うのか?
「…ちん…ちっ、ち、ん…ち…っ…!!」
俺が首を傾げたのと、同時だった。
生徒会長がぶばっと息を吐いて、堪らずと言った様に、俺の手首を掴んでいた手を離し、膝を俺の股の間から下ろし、腹を押さえて、床へと座りこんだ。
ゴツッて、尻だか腰だかを、ローテーブルにぶつけたみたいだが、生徒会長は気にせずに笑い出した。
「…トイセ会長…?」
な、何だ? 何で笑うんだ? 何がツボったんだ? てか、笑い過ぎだろう? こいつ、こんな笑い上戸だったのか? 事実はゲームより奇なりだな?
俺の足元で笑い転げる生徒会長を、ただ、俺はぽかんとして見ていた。
◇
「…失礼した…」
たっぷり五分ぐらいは笑っただろうか。洗面所で顔を洗って来た生徒会長が、眼鏡を掛け直してソファーへと腰を下ろした。
「…いえ…」
そんな生徒会長に、俺は何処か遠くを見ながら返事をしていた。
「君が、余りにも可愛らしい言葉を使うので、つい、な」
「…ソウデスカ…」
可愛らしいって、何だよ。褒め言葉じゃないよな?
てか、まだ微妙に肩が震えて、口元も緩んでいるぞ?
「まあ、今のが君の素の話し方なのか?」
「…そうですよ。前世の影響もありますが、頭の中では何時もあんな感じです」
うん。
他人との付き合いが得意ではないくせに、他人に嫌われるのが怖くて、あんな話し方なんだよ。けど、頭の中では、前世と変わらない話し方だ。
「メゴロウの前でも、ああやって話せば良いのに」
「嫌ですよ! 嫌われたらどうするのですか!?」
そう叫んだ俺の前で、生徒会長は両手で顔を押さえて思い切り天を仰いだ。
0
お気に入りに追加
141
あなたにおすすめの小説
推しの完璧超人お兄様になっちゃった
紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。
そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。
ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。
そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。
魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました
タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。
クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。
死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。
「ここは天国ではなく魔界です」
天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。
「至上様、私に接吻を」
「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」
何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?
【完結済】(無自覚)妖精に転生した僕は、騎士の溺愛に気づかない。
キノア9g
BL
完結済。騎士エリオット視点を含め全10話(エリオット視点2話と主人公視点8話構成)
エロなし。騎士×妖精
※主人公が傷つけられるシーンがありますので、苦手な方はご注意ください。
気がつくと、僕は見知らぬ不思議な森にいた。
木や草花どれもやけに大きく見えるし、自分の体も妙に華奢だった。
色々疑問に思いながらも、1人は寂しくて人間に会うために森をさまよい歩く。
ようやく出会えた初めての人間に思わず話しかけたものの、言葉は通じず、なぜか捕らえられてしまい、無残な目に遭うことに。
捨てられ、意識が薄れる中、僕を助けてくれたのは、優しい騎士だった。
彼の献身的な看病に心が癒される僕だけれど、彼がどんな思いで僕を守っているのかは、まだ気づかないまま。
少しずつ深まっていくこの絆が、僕にどんな運命をもたらすのか──?
いいねありがとうございます!励みになります。
エロゲ世界のモブに転生したオレの一生のお願い!
たまむし
BL
大学受験に失敗して引きこもりニートになっていた湯島秋央は、二階の自室から転落して死んだ……はずが、直前までプレイしていたR18ゲームの世界に転移してしまった!
せっかくの異世界なのに、アキオは主人公のイケメン騎士でもヒロインでもなく、ゲーム序盤で退場するモブになっていて、いきなり投獄されてしまう。
失意の中、アキオは自分の身体から大事なもの(ち●ちん)がなくなっていることに気付く。
「オレは大事なものを取り戻して、エロゲの世界で女の子とエッチなことをする!」
アキオは固い決意を胸に、獄中で知り合った男と協力して牢を抜け出し、冒険の旅に出る。
でも、なぜかお色気イベントは全部男相手に発生するし、モブのはずが世界の命運を変えるアイテムを手にしてしまう。
ちん●んと世界、男と女、どっちを選ぶ? どうする、アキオ!?
完結済み番外編、連載中続編があります。「ファタリタ物語」でタグ検索していただければ出てきますので、そちらもどうぞ!
※同一内容をムーンライトノベルズにも投稿しています※
pixivリクエストボックスでイメージイラストを依頼して描いていただきました。
https://www.pixiv.net/artworks/105819552
勇者の股間触ったらエライことになった
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
勇者さんが町にやってきた。
町の人は道の両脇で壁を作って、通り過ぎる勇者さんに手を振っていた。
オレは何となく勇者さんの股間を触ってみたんだけど、なんかヤバイことになっちゃったみたい。
侯爵令息セドリックの憂鬱な日
めちゅう
BL
第二王子の婚約者候補侯爵令息セドリック・グランツはある日王子の婚約者が決定した事を聞いてしまう。しかし先に王子からお呼びがかかったのはもう一人の候補だった。候補落ちを確信し泣き腫らした次の日は憂鬱な気分で幕を開ける———
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初投稿で拙い文章ですが楽しんでいただけますと幸いです。
罰ゲームって楽しいね♪
あああ
BL
「好きだ…付き合ってくれ。」
おれ七海 直也(ななみ なおや)は
告白された。
クールでかっこいいと言われている
鈴木 海(すずき かい)に、告白、
さ、れ、た。さ、れ、た!のだ。
なのにブスッと不機嫌な顔をしておれの
告白の答えを待つ…。
おれは、わかっていた────これは
罰ゲームだ。
きっと罰ゲームで『男に告白しろ』
とでも言われたのだろう…。
いいよ、なら──楽しんでやろう!!
てめぇの嫌そうなゴミを見ている顔が
こっちは好みなんだよ!どーだ、キモイだろ!
ひょんなことで海とつき合ったおれ…。
だが、それが…とんでもないことになる。
────あぁ、罰ゲームって楽しいね♪
この作品はpixivにも記載されています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる