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攻略されていたのは、俺?

【16】※

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「…っ…」

 くそ、何だ、これは?

『疲れもあるでしょうけど、軽い熱中症も疑った方が良いわね。身体を少し冷やしましょう。上、脱いでベッドに横になって頂戴』

 そう、ウーゴ教諭に言われて、俺は着ていたブレザーとシャツを脱いで、ベッドへと上がり横になった。脇の下に保冷剤でも入れるんだろうか。確かに、汗掻いていたから、それはひんやりして気持ち良いかも。なんて思った俺が馬鹿だった。

「…ふふ…綺麗な肌ね…」

「…っ…」

 俺が横になった途端、ウーゴ教諭もベッドに上がって来て、突然の事に驚き、即座に反応出来なかった俺の腰を跨いで、柔らかい尻を俺の股間の上へと置いたのだ。
 咄嗟に声を上げようとした俺の唇に、ウーゴ教諭は人差し指をあてて、目を細め、唇を笑みの形にして、こう言った。

『女に襲われたなんて広まったら、お家に傷がつくんじゃないかしら?』

 と。

『ここで、私がブラウスを開けて叫べば、襲われたのは私の方になるのかしら?』

 とも言ってくれた。

 何だ、この女は!?
 こんな女が、隠しヒロインだなんて有り得ない。
 こんなのがメゴロウの相手だなんて、絶対に俺は認めない。
 女神様が、メゴロウが、これを良いと言っても、俺は絶対に認めない。
 メゴロウに嫌われても良い、絞首台送りになっても良い。
 そんなシナリオ、俺がぶっ壊してやる。
 気分は、もう『かかって来いや、おらぁ!』だ。

「…ねえ? 私のも触ってくれるかしら?」

 そう言いながら、ウーゴ(誰が、こんなのに"教諭"なんて敬称付けてやるか)は俺の胸を撫で回していた手を離して、ブラウスへと持って行く。白く細く長い指が一つ一つボタンを外して行く様子は、それが惚れた相手だったり、憧れていた相手だったなりしたなら、酷く妖艶に映るのだろう。だが、俺には、それは、ただただ醜悪な物にしか見えなかった。白衣を脱いで、ゆっくりとブラウスの袖から腕を抜いて、両腕を後ろに回して、ブラジャーのホックを外したのだろう、肌にぴったりと付いていたそれが浮き上がるのと同時に、肩紐が滑り落ち、その中にあったボリュームのある胸が、ボロンと踊り出た。

「…これまでにも、こうして生徒達を?」

 随分と汚い乳首だな。AV女優の方が余程綺麗だぞ、おい。
 まあ、そのどれよりも綺麗なのは、メゴロウの乳首だけどな。って、違う、落ち着け、俺。鎮まれ、俺の俺。こんなのにメゴロウを重ねるな。

「…ふふ…どうかしら…?」

 どうかしら? じゃないだろう。どう考えても初犯じゃないだろうが。ベッド周りのカーテンは閉められているし。誰かが来ても、声さえ出さなければ、そうそうバレないだろうし。
 これがゲームなら『よっしゃ来たコレ。筆おろしあざます!』とか言いながら、マウスから手を離してスタンバる処だが、これは現実リアルだ。今の俺ケタロウ現実リアルだ。こんなのに童貞をくれてやるのは癪に障るが、仕方が無い。今は、この屈辱を受け入れるしかないだろう。

 …だって、ちんこが反応してるんだっ!!

 今、こうして俺の上に居るのがメゴロウだったらって思ったら、元気になってしまったんだっ!!
 女神様の馬鹿、ボケッ!! あんな夢を見せるからっ!! これは不可抗力っ!! 女神様の強制力っ!! いや、それ以前にあんなに俺に接近したメゴロウが…っ…!!

「…ねえ? ほら…触って…?」

 おい、止めろ。その汚い胸を俺の胸に押し当てるな。何で乳首硬くしてるんだ? この淫乱が。ちんこはくれてやるが、俺からは絶対に動かないからな、畜生っ!!

「…ふふ…。あの子が来てから、表情が柔らかくなったと思っていたけれど…」

 おい。何、片手で自分の胸弄ってるんだよ? 止めろ、気持ち悪い。そんなオナニーなんか見たくないわ。メゴロウなら別だが。って、おい、反応するな、俺の俺。

 俺が手を出さないからか、ウーゴは押し付けていた胸を浮かせて、左手で自分の胸を弄り出し、右手は俺のズボンのファスナーへと手を掛けて、ジー…と音を立てながら、それを下ろして行く。

 うっ、うっ、ゲーム画面で見たかった。傍観者でいたかった。

「睨んでいる割に…ここは硬いのね…」

 止めて、言わないで。これ、全部女神様のせいだから。女神様が見せるメゴロウのせいだから。

「…本当…綺麗ね、あなた…」

 止めて、本当、止めて。チン毛撫で回しながら言わないで。メゴロウならバチ来いだけど、あんたには言われたくないから。
 うっ、うっ、やっぱり嫌だな。けど、家に迷惑掛ける訳にはいかないし。こんな俺だけど、育ててくれたし。でも、でも、俺、死ぬし。こいつとメゴロウの邪魔したら、間違いなく死ぬし。でも、俺、邪魔する。こんなのがメゴロウの相手だなんて、絶対に祝福出来ない。呪う。自信持って呪う。呪わずに居られるか。メゴロウには、もっと相応しい相手が居る筈なんだ。だから、嘘だって言ってくれよ、女神様。
 祈る様な、そんな気持ちで目を閉じた時、ぬちゃぬちゃと、にちゃにちゃと、俺の鼓膜を抉っていた音が不意に止んだ。

「…ねえ? 犯されるってどんな感じなのかしら…?」

 ウーゴが気持ち悪い息を吐きながら言って、汚い穴に俺の俺を宛がった時。

「…何してるの…?」

 暗い。
 …とても暗い声が聞こえて来た。
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