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ルミアは、ロンの腕の中で目を開けた。
外は明るくなり、小鳥のさえずりが聞こえてくる。

待ち焦がれた人に再び会えた喜びを噛みしめながら、ルミアは一抹の不安に駆られた。

(なにかを忘れているような)

ドアの外がなんだか騒がしい。

昨日は、長いキスの後、ロンに誘導されて部屋に入ってずっと一緒にいた。暗いし、盛り上がって、その時はよく確認していなかったけど、明るくなってみると、すごく豪華な作りの部屋だと気が付いた。

叔母に用意された皇后宮のルミアの居室より広いかもしれない。

ドアの向こうから焦った女の声が聞こえてきた。

「ご主人様。皆さまが来られています。あ、待ってください。」

重厚感のあるドアが急に開かれた。

ドアの向こうには、シビニアの町で出会った鋭い目線の女使用人が、目を見開き立っていた。

「あ、あなた。どうしてここに!」

後ろから女使用人を押しのせ、無数の宝石が縫い付けられた派手なドレスを着た太った女性が入ってきて大声で叫んだ。

「まあ、何という事。皇子が皇城の使用人に手をだすなんて」

「皇妃。何を言っているの。アーロンがそんな事をするはずが…」

皇妃と呼ばれる女性の後ろから、ゆったりと入ってきた叔母とルミアはしっかり目が合った。

「まあ、何という事!」

叔母はわなわなと震えながら近づいてくる。

皇妃は、太った体を揺らしながらニタニタと笑い様子を伺っていた。

「よくも、私の可愛い・・・」

ルミアの隣で寝ていたアーロンが眠そうに言った。

「うーん。母上?こんなに早くからどうされたのですか」



「姪に手を出すなんて!このバカ息子。」

皇后は、近くの枕を持ちロンの頭を思いっきり叩き続けた。

「私の姪が。やっと見つけたかわいい子が。こんな事に。信じられないわ。」

バシ、バシ、バシ

「母上やめてください。私です。アーロンです」

「そんな事。よくも!私の姪とだなんて。お前なんてこうしてやる」

ビシ。バシ。

宙を舞う羽毛を見ながら、ルミアは慌てて布団を被り隠れた。

「なにをしている。皇后。皇子を殺す気か」

「貴方。ルミアが、私のルミアが、アーロンに・・・」

どうやら皇帝も乱入してきたようだ。

(ロン?アーロン?)

ルミアは布団の中で頭を抱えた。







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