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ルミアは、手首を強く握られ長身のマキシム皇子に無理やり引っ張られた。

皇子はルミアの腰にも太い腕をまわし、撫でるように支え押してくる。

マキシム皇子の肌は浅黒く、目の下には隈がある。がさついた大きな手の平は、ルミアを離そうとしない。

ルミアは無理やり立たされ、中庭の奥へ引きずるように連れられて行った。

「皇子様。おやめください。私は、ただの侍女です」


「だからいいのさ。乱暴にしても問題にならない。忘れるなよ。お前の主が、私に差し出してきたのだ」

中には奥には木製の扉があった。扉を抜けると、緑色の湖と林が広がっていた。草が生えた小道の向こうに、オレンジ色の建物が見える。

大きなガラス張りの部屋には、キングサイズのベッドが置かれていた。

(本当にこの屑皇子!)

湖と林に挟まれた小道で、ルミアは抵抗する事をやめて、マキシムへ甘く話しかけた。


「マキシム皇子様。私が間違っていました。皇子様に望まれるのは幸せな事です。やさしくしてくださいね」


マキシムは立ち止まり、にたりと笑いながらルミアを見下ろしてきた。

ルミアは、マキシムに擦り寄りながら、ルミアの手首を握るマキシムの太い指にそっと手を添えて、、、



力いっぱいマキシムの中指を後ろへ反らした。

『ゴキ!』

「あーーーーーー」

マキシム皇子が指を抑え、半腰になりのけぞる。

ルミアは、力いっぱいマキシムの中央を下から蹴り上げた。

『バニュ!』

「おーーーーーー」

バネのように反転して前かがみになったマキシムは、ルミアを必死に睨み上げながら言った。

「お、、、おまえ、、、」

ザバーーーン。

よろよろとよろめき、マキシムは緑色に濁った湖へ滑り落ちた。

波紋を広げる緑色の濁った水面を見ながら、ルミアは言った。

「この屑皇子!変態!もう2度と出てくるな!」








ルミアは、強く掴まれていた手首を擦り、侍女服を軽く整えて踵を返した。
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