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ルミアは、ロンを迷路庭園の出口まで送っていった。

「また会えるかな?」

「よく夕食は、迷路庭園のコテージで食べているのに、コテージで誰かにあったことがなかったの。夕方はコテージにいるわ。」

「毎晩来るよ。また会おう。ルミー」

ロンは笑ってその場を去っていった。

急に世界が冷たくなったような気がしてルミアは身震いした。










その日からロンは毎日迷路庭園のコテージにやってきた。誰かと一緒に食べる夕食はいつもより美味しく感じられた。

「ロンはここにいてもいいの?帝国使者団は、毎日ルーナ姫様とリーナ姫様と夕食を共にしているって聞いたけど。」

「僕みたいな使用人は晩餐会に参加しなくてもいいから大丈夫さ。ルミーにも会いたいし。」

「ふふふ。ありがとう。ねえ、今回の視察は皇子さまの婚約者選びって本当?」

「婚約者選び?」

「ええ、皆が噂しているわ。ルーナ姫様かリーナ姫様どちらかが選ばれるだろうって。もしかしたら二人とも連れて帰るかもって。姫様一人でも厄介なのに二人ともって帝国皇子様って女好きよね」

「いや、視察の目的は婚約者選びじゃないよ。人探しには違いないけど。インダルア王国の姫が騒いでいるだけで、皇子も困っているのではないかな」

「そうかしら。姫様達は美しいけど、鶏のように騒がしくて気性が荒いのよ。毎日夕食を共にするなんて考えただけでうんざりするわ。ロンは使用人でしょ。皇子と親しいの?」

「いや、そうでもないけど、、、」

「もうすぐ来春祭も終わるわね。私ね。ロンに出会えて本当に良かった。実はね。私、城から出たことがないの。ロンがいろいろ教えてくれたから、城の外へ私も行きたくなったの。まだちょっと勇気がでないけど」

ロンはルミアの手を両手で握り言った。
「じゃあ、一緒にいこう。最終日に迎えにくるよ。僕は仕事もしているし、帝国には家もある。ルミーが一緒に帝国に来ても僕が必ず守るから。」

「本当に?私、帝国についたら一生懸命働くわ。体力には自信があるし使用人の仕事は慣れているの。」

ロンは目を見開きながら言った。
「使用人?使用人じゃなくて。僕の、、、」

「大丈夫。任せて。ロンに迷惑をかけないようにする。」


父王には何年も会っていない。偶に塔を訪れる厄介な義母妃と義姉姫達。家族なんていない。塔から出て、城から出て、王国からも出ていこう。きっと素敵な出会いが待っている。亡くなった母の形見を一緒に持ってこの場所から離れる。ルミアは期待に胸を膨らませながらロンに抱き着き、胸に頬を当てた。
ロンと一緒ならどこにでも行ける。きっと怖くない。そう思った。

ロンは、シルバーの指輪をルミアの指にはめ、そっと指輪にキスをした。
「一緒に行こう。約束だよ。祭りの最終日必ず迎えに行くから。」
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