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限界離婚≪再≫
今更な診断
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綾乃は、息子の拓也に付き添い県立病院に来ていた。
県内で唯一「大人の発達障害」外来がある精神科の病院だった。
待合室には数十人の人が座っている。
暗い表情で俯き項垂れている男性。脚を小刻みに震わせ険しい表情で宙を睨んでいる若い女性。病院の外では誰かが叫び声を上げている。
綾乃は自分の状況が信じられなかった。
まさか息子が発達障害の傾向があると言われるなんて、、、、
何枚もの紙に記入する為成育歴を事細かく聞かれ、綾乃は昔を振り返りながら答えていく。
最近服薬を開始した拓也は、眠れるようになったみたいで依然あった目の下の隈は薄くなっている。
友人関係は?喋りはじめは?コミュニケーションは?癇癪を起す事は?
沢山の質問に答えながら、そういえば同じような質問を小児科医の義妹に聞かれた事があると感じていた。
問診と検査で3時間以上かかった。
その後、診察室に呼ばれ、医師が告げてきた。
「IQ116ですが、注意と聴覚理解が明らかに低く、脳機能のアンバランスさが強い。言動や行動の反復性、独特な思考、2次障害として鬱を併発している。これらの事を含めて、拓也さんは自閉症スペクトラム症と診断します。」
息子の拓也が言う。
「治りますが?もっと上手くできるようになりますか。仕事が上手くいかなくてとても困っています。」
医師は、言った。
「自閉症スペクトラム症は、これは生まれつきの特性です。拓也さんは聴覚過敏があるようなので、対応をする事で少し楽に生活できるようになるかもしれません。治るようなものではないですが、工夫する事で生きやすくなる。拓也さんは比較的穏やかで、他害的行動が少ない方なのでしょう。お母様や周囲に恵まれて今まで2次障害が出なかったみたいですね。」
綾乃は思った。
(もしかしたら、夫や義妹は拓也のこだわりや傾向を薄々感じていたのかもしれない。だから、拓也のストレスにならないように、、、、、)
医師は言う。
「まずは、2次障害であるうつ状態を改善しましょう。仕事はそれから考えても遅くないはずです。拓也さんはまだ若いですから。」
綾乃は、うつ病を発症し、やせ細り表情が暗くなった拓也を見て思った。
(私がもっと早く気づいていたら、、、拓也が辛い思いをしている事を知っていたら、、、ここまで、、、、)
その時、拓也が言った。
「お母さん。ありがとう。お母さんや周りに恵まれたから、僕でも医師試験も合格できたってよくわかったよ。」
拓也は久しぶりに微笑んでいた。
診断を受けた事で、拓也はなにか吹っ切れたような表情をしている。
綾乃は返事を返した。
「ええ、ありがとう。拓也。今までよく頑張ったのね。これからは無理しなくていいから。貴方ができる事をしていきましょう。」
(もう、孫が欲しいなんて望まない。次の院長を目指して欲しいなんて思わない。ただ、拓也が生きていってくれたら。)
拓也の手は骨と皮だけになっている。歩くだけで息切れし、顔色も悪い。
少しは食べるようになったはずだ。
だけど、この様子からは、本当に食べているか分からない。
拓也は言った。
「心配しないで。母さん。大丈夫だよ。僕はもう大丈夫だから、、、、」
県内で唯一「大人の発達障害」外来がある精神科の病院だった。
待合室には数十人の人が座っている。
暗い表情で俯き項垂れている男性。脚を小刻みに震わせ険しい表情で宙を睨んでいる若い女性。病院の外では誰かが叫び声を上げている。
綾乃は自分の状況が信じられなかった。
まさか息子が発達障害の傾向があると言われるなんて、、、、
何枚もの紙に記入する為成育歴を事細かく聞かれ、綾乃は昔を振り返りながら答えていく。
最近服薬を開始した拓也は、眠れるようになったみたいで依然あった目の下の隈は薄くなっている。
友人関係は?喋りはじめは?コミュニケーションは?癇癪を起す事は?
沢山の質問に答えながら、そういえば同じような質問を小児科医の義妹に聞かれた事があると感じていた。
問診と検査で3時間以上かかった。
その後、診察室に呼ばれ、医師が告げてきた。
「IQ116ですが、注意と聴覚理解が明らかに低く、脳機能のアンバランスさが強い。言動や行動の反復性、独特な思考、2次障害として鬱を併発している。これらの事を含めて、拓也さんは自閉症スペクトラム症と診断します。」
息子の拓也が言う。
「治りますが?もっと上手くできるようになりますか。仕事が上手くいかなくてとても困っています。」
医師は、言った。
「自閉症スペクトラム症は、これは生まれつきの特性です。拓也さんは聴覚過敏があるようなので、対応をする事で少し楽に生活できるようになるかもしれません。治るようなものではないですが、工夫する事で生きやすくなる。拓也さんは比較的穏やかで、他害的行動が少ない方なのでしょう。お母様や周囲に恵まれて今まで2次障害が出なかったみたいですね。」
綾乃は思った。
(もしかしたら、夫や義妹は拓也のこだわりや傾向を薄々感じていたのかもしれない。だから、拓也のストレスにならないように、、、、、)
医師は言う。
「まずは、2次障害であるうつ状態を改善しましょう。仕事はそれから考えても遅くないはずです。拓也さんはまだ若いですから。」
綾乃は、うつ病を発症し、やせ細り表情が暗くなった拓也を見て思った。
(私がもっと早く気づいていたら、、、拓也が辛い思いをしている事を知っていたら、、、ここまで、、、、)
その時、拓也が言った。
「お母さん。ありがとう。お母さんや周りに恵まれたから、僕でも医師試験も合格できたってよくわかったよ。」
拓也は久しぶりに微笑んでいた。
診断を受けた事で、拓也はなにか吹っ切れたような表情をしている。
綾乃は返事を返した。
「ええ、ありがとう。拓也。今までよく頑張ったのね。これからは無理しなくていいから。貴方ができる事をしていきましょう。」
(もう、孫が欲しいなんて望まない。次の院長を目指して欲しいなんて思わない。ただ、拓也が生きていってくれたら。)
拓也の手は骨と皮だけになっている。歩くだけで息切れし、顔色も悪い。
少しは食べるようになったはずだ。
だけど、この様子からは、本当に食べているか分からない。
拓也は言った。
「心配しないで。母さん。大丈夫だよ。僕はもう大丈夫だから、、、、」
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