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突然の告白
しおりを挟む翌日、イリーナは、ザンジ国立学院で留学の手続きを行った。
父が大きくしたグロッサー商会の主な取引先はジン帝国だ。父の後を継ぐ妹のルアンナと、元婚約者のリカルドもジン帝国を主な取引先としてグロッサー商会を引き継ぐ事になるだろう。
ルアンナとリカルドは貴族院を卒業する。果たして、まともに商会の事を学んでいない二人が、グロッサー商会を上手く運用できるのか、イリーナは疑っていた。
(きっと、私にも勝機があるはず)
何もかも、返して貰う。
まずは、ジン帝国に行って、、、、
ザンジ国立学院の事務局で手続きを済ましたイリーナに話しかけてくる人物がいた。
「イリーナ。」
声をかけてきたのは、オージン・マクラビアンだった。オージンはジン帝国公爵家の嫡男になる。黒髪で藍色瞳の体格のいい男性だ。オージンは幼馴染のナンシーと共に、ザンジ国立学院へ留学してきた。ナンシーとイリーナはすぐに仲良くなり今では親友になっている。オージンは仲が良いのかよくナンシーに会いに来ていた。ナンシーと一緒にオージンも、イリーナと度々食事を共にしていた。
イリーナは驚き声をかける。
「オージン。そんなに慌ててどうしたの?」
普段落ち着いているオージンが、急いでいたのか息を切らしている。
「ナンシーから聞いた。婚約破棄したって本当?」
イリーナは少し顔を顰める。
ナンシーとオージンの仲の良さは知っているが、話が伝わる事が早すぎる。
イリーナは言った。
「ええ、そうよ。相変わらず貴方達は仲がいいわね。」
オージンは、イリーナに近づき、その手を取った。
急に接近してきたオージンに驚き、イリーナは後退った。
「違う。俺が一番仲良くしたいのはイリーナだ。好きだ。俺と結婚してください。」
今二人がいる場所は、ザンジ国立学院のロビーになる。多くの人が行きかう、その場所での突然の告白に、周囲にいる学生たちが騒めいている。イリーナは、思いがけない告白に驚き、返答した。
「無理よ。ごめんなさい。オージン。」
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