【完結】誰が王を殺したの？【R１８】

24．誰が王を殺したの②

メイナが放った短剣は、グロウ・ヘルの太ももに刺さった。


グロウ・ヘルは、躓き倒れこむ。

グロウ・ヘルは倒れた状態で、まだ逃げようと前へ手を伸ばし這おうとしていた。
「ううう、痛い。殺さないでくれ。脚が動かない。」

メイナはグロウ・ヘルへ近づき告げた。
「その短剣には、毒が塗ってあるの。ほっとけば1時間で死ぬわ。どうする？貴方が私の質問に答えてくれるなら、解毒剤を渡してあげる。」

グロウ・ヘルはメイナに言った。
「本当に助けてくれるのか？」

メイナは、解毒剤を見せながら言う。
「もちろんよ。これを渡すわ。貴方の暗殺以来は受けていないもの。聞きたいのは、さっき言っていたマロイ・キーベルデルクについてよ。誰が殺したの？」

グロウ・ヘルは脂汗をかき、顔は青ざめていた。太ももからの出血が酷く、足の下に血だまりが出来ている。
「我らは手伝っただけさ。あの時は、王弟マイサーから大量の暗殺依頼があった。我らの国からも闇魔法に長けた暗殺者がキーベルデルク神国へ行った。追い詰めて最後にマイサーが兄王を殺したはずだ。」

メイナは驚く。だが、おかしい。
「それなら、なぜ水神の加護が失われたの？マイサー・キーベルデルクが引き継ぐのでは？」

グロウ・ヘルの唇は青白くなっていた。
「理由は知らない。マイサーが血族で無かったかもしれない。あの後、マイサーは我々との契約を破棄した。送った暗殺者も帰って来なかった者もいる。我々を裏切るからだ。キーベルデルク神国は、神の加護を失いもうすぐ滅びる。」

メイナは言った。
「マロイ前王を殺したのは、王弟のマイサーね。ありがとう。隷属魔術も外してくれて助かったわ。兄さんのふりをした事は許してあげる。」

メイナは、解毒剤を、グロウ・ヘルの目の前に落とした。

「でも、残念ね。自分で飲めるかしら。」

グロウ・ヘルは、手を動かそうとしている。だが、腕が動かずピクピクと震えている。すでに声が出ないのか、口を開けてよだれを垂らしていた。

「言い忘れたけど、その毒は痺れ薬も入っているの。もう喋れないかしら。1時間以内に誰かに飲ませて貰えたらいいわね。」

メイナは、グロウ・ヘルや魔術師達に突き刺さっている暗器を回収し、その場を後にした。



（キーベルデルク神国へ行かないと。マイサーを殺そう。それで、兄さんは助かるはずよ。）