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23.闇神

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心臓に振り下ろされた短剣をメイナは、身を捻り交わした。

そのまま、足で、グロウ・ヘルの短剣を蹴り飛ばす。

メイナは何年も暗殺や魔獣討伐をしてきた。多少具合が悪くても体は動きを覚えている。

周囲を囲む魔術師達の間をすり抜けて、短剣の元へ走って移動した。

メイナはグロウ・ヘルへ訪ねる。
「はあ、はあ、どうして?。何が目的なの?」

グロウ・ヘルは、驚いた表情でメイナへ言った。
「驚いたな。そこまで動けるとは。本当に残念だよ。大人しく誓約魔術に従えばいいのに。目的なんて分かりきっている。残虐王エーリヒを殺す事だ。彼奴さえ死ねば、闇神の加護がヘル国へ戻ってくる。最も、加護を受けるにふさわしい私の元にな。」

メイナは短剣を持ち、後づさりながら伝える。
「エーリヒは殺せないわ。強すぎる。神の加護持ちを殺すなんて現実的ではないわ。」

グロウ・ヘルは言った。
「神の加護持ちも殺せるさ。一対一なら難しいが、準備をして追い詰めれば神の加護が無くても殺せる。実際にマロイ・キーベルデルク神王だって我々の手助けで死んだのだからな。」

メイナは驚いた。
「なんですって。キーベルデルク前王を殺したのは貴方たちなの?」

グロウ・ヘルは笑った。
「我々は手伝っただけさ。さあ、おしゃべりは終わりだ。永遠の闇に囚われろ。闇人形にして使ってやるよ。気に入った寵姫に殺されそうになれば残虐王も隙ができるだろう。」







グロウ・ヘルが手を振り下ろした。
それに合わせて周囲の魔術師達が一斉にメイナに魔術を放つ。

魔術師達より影が伸び、メイナに複数の闇が走ってくる。真っ黒な闇はメイナの周りを取り囲み一斉に襲い掛かってきた。

メイナは、地面を蹴り高く飛び上がり、太ももの暗器を左指に3本挟み、魔術師へ投げつけた。

「「グッ」」

3人の魔術師の首、頭に暗器が命中して、倒れこむ。

グロウ・ヘルは驚き声を上げる。
「なに?」


影で対象を捉え侵略する闇魔術は強力だが、対象が地面に足を付いていなければ、効果がない。
魔術師が死ねば、魔術も解ける。


メイナは、影がない地面に降り立ち、グロウ・ヘルへ向かって走りこんだ。

グロウ・ヘルは大声をだす。
「お前、まさか、暗殺者か!私を守れ!」


残った魔術師が、グロウ・ヘルを守ろうと前へ進み出るが、明らかに遅い。

奪った短剣で、メイナは目の前の魔術師達を切り裂いていった。

確実に息を止めるために、一人目は首を切った。激しい血しぶきが上がる。

二人目は、暗器を目に突き刺し脳を貫いた。

三人目は、短剣で、腹を大きく割いた。崩れ落ち内臓が地面に落ちる。

激しく血しぶきを上げながら、メイナは魔術師達を殺していった。


グロウ・ヘルは、魔術師達を置いて一人逃げようと走り出した。

すでにメイナの周りには血だまりができ、立っているものは誰もいない。


(綺麗。やっぱり赤い血が落ち着く。)

メイナは最後の暗器をグロウ・ヘルへ思いっきり投げつけた。






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