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空と地上の秘密の花
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【えー。まもなく、花火の打ち上げを開始します。野郎ども。歓声と拍手を絶やさずご覧ください】
スイカを割りに走った猿石を見送って暫くすると、覚の声で放送が入る。いよいよかと手に汗握っていたら突然、両脇に手が差し込まれて身体が浮いた。
『なんだ。一人か』
『ボス!』
ビーチチェアに腰掛けていたら後ろから現れたボスに抱き上げられ、座ったボスの足の上に下ろされる。ビーチチェアに腰掛けるなら、二人並んでも余裕なのに…密着してソワソワしてしまう。
そんな時、すぐ近くに小さなテーブルが用意されるとあの紫色の花束が飾られて、一緒に南国みのあるオレンジ色のジュースが出される。コップにはスイカやオレンジが飾られていてオシャレでゴージャスだ。
『良いんですか?!』
用意してくれた刃斬にそう問い掛ければ、勿論というように微笑んでからあの日のように一歩後ろに下がって空を見つめる。
『美味しい! すごい、ビタミンたっぷりって味がします!』
酸味もあって疲れた身体に元気がみなぎるようだ。飾りのスイカをヒョイ、と取ると…あの独特な音がしてから夜空に花が咲く。
最初に大きな花火が上がり、飾りつけるように小さな花火が次々と上がる。それからも鮮やかな花火が彩り、周囲からは歓声と定番の叫び声もする。
ドン、という打ち上げ花火の心臓に直接響き渡る感覚が久しぶりで思わずボスの身体に向けて仰け反ってしまう。色んな意味でドキドキする心臓を抑えてなんとか身体を起こそうとしたら、そのままボスによって身体を固定されてしまう。
『あ、の…?! 重いでしょう?! すぐっすぐに退きますから』
『これで良い。…それより宋平、上見てな』
ボスと同じように上を見れば、一際大きな紫色の花火が空に現れる。次々と上がるそれに夢中で自分を見つめる人がいるだなんて、思ってもみなかった。
そして花火が終わる頃には、いつの間にか辺り一帯に幹部が大集合している。パチパチと拍手をしている時にそれに気付いて動きを止めた。
『なっ…?!』
グッと身体をボスから離そうとするのに腹に手が回っていて離れない。
『なんでっ! く、全然剥がれない!!』
俺が必死に抵抗しているのに、当人は俺の飲みかけのジュースを奪い取って余裕そうにそれを飲んでいる。つまり俺はボスの片手の力にすら張り合えないというわけだ。泣きそう。
『はーい、撮りますねー』
『はっ?! ちょ、待って覚さん?!』
カメラを構える覚。まさかの行動に全力で逃げ出そうとするも、挙げ句の果てには頭に顎を乗せられそのまま記録されてしまった。
ひでぇ!!
『はい笑顔ネ!』
『泣き顔でも良いヨ!』
鬼か、この人たち!!
猿石は上を向いたままボーっとしていたかと思えば終わった? とばかりに首を傾げている。そんな中、犬飼は何かビニール袋をガサガサと漁り…取り出したものを掲げる。
『はいはい。それじゃ、撤収作業終わるまでこれでもやっててね。ちゃんとゴミの分別をするように。ああ。夕飯は出前ですからねー』
俺に押し付けられたそれは、手持ち花火だった。
ボスと刃斬だけが残って花火をする。猿石も必死に残ろうとしていたが、散々遊んだろと怒られて連れて行かれた。
…今度一緒にやろうね。
『スゲー夏って感じ! わ、煙すご!!』
座りながら一人花火をしていたが、二人にもやろうと花火を差し出した。ボスはすんなり受け取ってくれたが、刃斬が中々受け取らない。花火がすぐなくなると心配しているようだが、一緒にやりたい俺は必勝の一手を打つ。
『ボス!』
『あ。こら、お前それは…』
一人で先に俺の花火から火を貰っていたボスは、スッと刃斬に目を向けてから一言だけ告げる。
『やれ』
『…御意。宋平、一本貰うぞ』
どうぞー、と言ってから三人で花火をする。三人で喋りながら花火をして、誰かの花火が消えたらまだ火が付いている人から火を貰う。そうしていたら、すぐに花火がなくなってしまって最後に残った線香花火をすることにした。
『折角だから勝負しましょう!』
『へェ。ヤクザ相手に何を賭ける?』
途端にやる気を出すボスに、降りるとは言わない刃斬。ちょっとした軽口のつもりが引くに引けない状況になってきた。
『えー…っと、…あ! じゃあ、俺が負けたらスイーツを作ります! 唯一作れるのがあるんですよ! 二人が負けたら今度、美味しいお菓子を買って来て下さいね』
ヤクザに渡すには可愛らしい景品だが、ボスは構わないと言って線香花火を手にする。続いて刃斬も一本取ってから一斉に火を付けた。
だが、開始十秒程で刃斬はクシャミをして火を落としてしまった。
『兄貴大丈夫ですか?』
『…平気だ。ほら、自分のに集中しろ』
そうだった。目指せ高級菓子! 俺の舌に至高の菓子を乗せる為に!
線香花火が爆ぜるのを止めて、ジリジリと小さな音を鳴らしながら鬼灯のように綺麗な色で膨らむ。ボスのも全く同じだ。
『…後は我慢比べ。または、神の悪戯か…』
刃斬がポツリと何か呟くが手を動かさないように集中するので意識はいっぱいだ。もう高級菓子とか関係なく、ただ負けたくないだけ。
『宋平』
『聞こえませーん』
隣からまたしても、甘い声が耳に届く。振り切るように集中を継続するが隣から僅かな物音がした。遂に自分の勝利かと気持ちが浮き足だった瞬間。
ちゅ、と右耳に何かが押し付けられた。
耳たぶ。それは人体にとって敏感にして敏感な、大切な部位である。そして俺は先程…その感触を学んだ。そして脳裏に浮かぶのは花畑での出来事。
『おあぁああああーっ!?!』
線香花火を落としてビーチチェアから転がり落ちそうになったところを刃斬によって受け止められ急死に一生を得たが…まるでそれを予感していたようなキャッチに目を白黒させる。
『ボスーッ?!』
すぐに元凶を呼べば、未だに火を灯すボスがニヤリと笑う。だが、そのすぐ後に最後の火が落ちる。最後まで残ったのはボスだ。
だが!
『異議しかないでしょ!! な、なんてことするんですか!!』
『あ? 妨害なしとは言わなかっただろ』
…確かに!
いや騙されるか!
『酷いです! 大人気ないですよ、それで良いんですか?!』
『ああ。勝ちてェ賭けに出る時はな…出る時点で勝利は決まってンだよ』
なにそれカッコいい!
刃斬にお礼を言うと何故か小さく謝罪を述べられてから再びボスの横に座らせてもらう。折角の花火も終わってしまって落ち込んでいたが、横からトンとボスが身体を預けて寄り掛かる。
『…賭けの内容は覚えてンだろォな?』
『はいはい。ちゃんと作りますよ。今日お泊まりの予定だから明日で良いですかね』
『…は? お前今日泊まるのか』
ボスには話がいっていなかったのかと思えば、すぐ横で刃斬も驚いている。誰も知らないようだが俺は確かに伝えた。
猿石に。
『…あの猿。浮かれて報告怠りやがったな』
報連相に厳しい刃斬は今にも飛び出さんばかりの気迫がある。ということは、猿石以外のメンバーは誰も知らないのだろう。
『…あの。じゃあ今日は帰った方が良いですか?』
残念…。楽しみにしてたのに。道理で誰も泊まる場所とか何も言わないと思ったら、そういうことだったのか。ボスとは喧嘩していたし…普段なら何気なく喋ったりしただろうけど。
まぁ、仕方ないか。
『待て。誰も泊まるなとは言ってねェ。好きなだけいろ、俺が許可してやる』
『え。本当ですか?! 良かったぁ』
いきなり帰るなんて言ったら兄ちゃんたちも心配するし、良かった。ちゃんとお泊まりセットも持って来たんだ。
『刃斬の兄貴。俺、どこで寝たら良いですかね? 猿石のアニキんとこで…あ。でもあの部屋、確か布団一組しかないか』
布団は余っているだろうか。
どうしたら良いか聞くと何故か刃斬は俺の上を気まずそうに見るので見上げてみたが、俺に寄り掛かったまま目を閉じるボスしかいない。
…え。ちょ、止めてよ夏だからって…。ホラー系は苦手なんだよ。
『す、すまん。ちょっと急だったからな。取り敢えずボスの仮眠室で良いか? 必要な物は大体揃えてやるから』
『はい! 了解しました』
なんだ、じゃあいつもの場所だな。
心なしか安堵した様子の刃斬が花火の残骸が入ったバケツを持って行く。一緒に片付けようとしたらボスに腰を掴まれてビーチチェアに座り直す。
『怪我人は大人しくしてな。また暫くはウチの連中におぶられる生活が始まっちまうなァ?』
『うぐ。へ、平気ですよ…見た目ほどは酷くないですし、血も止まってますから』
また辰見に小言を言われるのかと項垂れると、思っていることがわかったのかボスが小さく笑いながら身を寄せる。
『なら、早く治してもらわねェとな』
.
スイカを割りに走った猿石を見送って暫くすると、覚の声で放送が入る。いよいよかと手に汗握っていたら突然、両脇に手が差し込まれて身体が浮いた。
『なんだ。一人か』
『ボス!』
ビーチチェアに腰掛けていたら後ろから現れたボスに抱き上げられ、座ったボスの足の上に下ろされる。ビーチチェアに腰掛けるなら、二人並んでも余裕なのに…密着してソワソワしてしまう。
そんな時、すぐ近くに小さなテーブルが用意されるとあの紫色の花束が飾られて、一緒に南国みのあるオレンジ色のジュースが出される。コップにはスイカやオレンジが飾られていてオシャレでゴージャスだ。
『良いんですか?!』
用意してくれた刃斬にそう問い掛ければ、勿論というように微笑んでからあの日のように一歩後ろに下がって空を見つめる。
『美味しい! すごい、ビタミンたっぷりって味がします!』
酸味もあって疲れた身体に元気がみなぎるようだ。飾りのスイカをヒョイ、と取ると…あの独特な音がしてから夜空に花が咲く。
最初に大きな花火が上がり、飾りつけるように小さな花火が次々と上がる。それからも鮮やかな花火が彩り、周囲からは歓声と定番の叫び声もする。
ドン、という打ち上げ花火の心臓に直接響き渡る感覚が久しぶりで思わずボスの身体に向けて仰け反ってしまう。色んな意味でドキドキする心臓を抑えてなんとか身体を起こそうとしたら、そのままボスによって身体を固定されてしまう。
『あ、の…?! 重いでしょう?! すぐっすぐに退きますから』
『これで良い。…それより宋平、上見てな』
ボスと同じように上を見れば、一際大きな紫色の花火が空に現れる。次々と上がるそれに夢中で自分を見つめる人がいるだなんて、思ってもみなかった。
そして花火が終わる頃には、いつの間にか辺り一帯に幹部が大集合している。パチパチと拍手をしている時にそれに気付いて動きを止めた。
『なっ…?!』
グッと身体をボスから離そうとするのに腹に手が回っていて離れない。
『なんでっ! く、全然剥がれない!!』
俺が必死に抵抗しているのに、当人は俺の飲みかけのジュースを奪い取って余裕そうにそれを飲んでいる。つまり俺はボスの片手の力にすら張り合えないというわけだ。泣きそう。
『はーい、撮りますねー』
『はっ?! ちょ、待って覚さん?!』
カメラを構える覚。まさかの行動に全力で逃げ出そうとするも、挙げ句の果てには頭に顎を乗せられそのまま記録されてしまった。
ひでぇ!!
『はい笑顔ネ!』
『泣き顔でも良いヨ!』
鬼か、この人たち!!
猿石は上を向いたままボーっとしていたかと思えば終わった? とばかりに首を傾げている。そんな中、犬飼は何かビニール袋をガサガサと漁り…取り出したものを掲げる。
『はいはい。それじゃ、撤収作業終わるまでこれでもやっててね。ちゃんとゴミの分別をするように。ああ。夕飯は出前ですからねー』
俺に押し付けられたそれは、手持ち花火だった。
ボスと刃斬だけが残って花火をする。猿石も必死に残ろうとしていたが、散々遊んだろと怒られて連れて行かれた。
…今度一緒にやろうね。
『スゲー夏って感じ! わ、煙すご!!』
座りながら一人花火をしていたが、二人にもやろうと花火を差し出した。ボスはすんなり受け取ってくれたが、刃斬が中々受け取らない。花火がすぐなくなると心配しているようだが、一緒にやりたい俺は必勝の一手を打つ。
『ボス!』
『あ。こら、お前それは…』
一人で先に俺の花火から火を貰っていたボスは、スッと刃斬に目を向けてから一言だけ告げる。
『やれ』
『…御意。宋平、一本貰うぞ』
どうぞー、と言ってから三人で花火をする。三人で喋りながら花火をして、誰かの花火が消えたらまだ火が付いている人から火を貰う。そうしていたら、すぐに花火がなくなってしまって最後に残った線香花火をすることにした。
『折角だから勝負しましょう!』
『へェ。ヤクザ相手に何を賭ける?』
途端にやる気を出すボスに、降りるとは言わない刃斬。ちょっとした軽口のつもりが引くに引けない状況になってきた。
『えー…っと、…あ! じゃあ、俺が負けたらスイーツを作ります! 唯一作れるのがあるんですよ! 二人が負けたら今度、美味しいお菓子を買って来て下さいね』
ヤクザに渡すには可愛らしい景品だが、ボスは構わないと言って線香花火を手にする。続いて刃斬も一本取ってから一斉に火を付けた。
だが、開始十秒程で刃斬はクシャミをして火を落としてしまった。
『兄貴大丈夫ですか?』
『…平気だ。ほら、自分のに集中しろ』
そうだった。目指せ高級菓子! 俺の舌に至高の菓子を乗せる為に!
線香花火が爆ぜるのを止めて、ジリジリと小さな音を鳴らしながら鬼灯のように綺麗な色で膨らむ。ボスのも全く同じだ。
『…後は我慢比べ。または、神の悪戯か…』
刃斬がポツリと何か呟くが手を動かさないように集中するので意識はいっぱいだ。もう高級菓子とか関係なく、ただ負けたくないだけ。
『宋平』
『聞こえませーん』
隣からまたしても、甘い声が耳に届く。振り切るように集中を継続するが隣から僅かな物音がした。遂に自分の勝利かと気持ちが浮き足だった瞬間。
ちゅ、と右耳に何かが押し付けられた。
耳たぶ。それは人体にとって敏感にして敏感な、大切な部位である。そして俺は先程…その感触を学んだ。そして脳裏に浮かぶのは花畑での出来事。
『おあぁああああーっ!?!』
線香花火を落としてビーチチェアから転がり落ちそうになったところを刃斬によって受け止められ急死に一生を得たが…まるでそれを予感していたようなキャッチに目を白黒させる。
『ボスーッ?!』
すぐに元凶を呼べば、未だに火を灯すボスがニヤリと笑う。だが、そのすぐ後に最後の火が落ちる。最後まで残ったのはボスだ。
だが!
『異議しかないでしょ!! な、なんてことするんですか!!』
『あ? 妨害なしとは言わなかっただろ』
…確かに!
いや騙されるか!
『酷いです! 大人気ないですよ、それで良いんですか?!』
『ああ。勝ちてェ賭けに出る時はな…出る時点で勝利は決まってンだよ』
なにそれカッコいい!
刃斬にお礼を言うと何故か小さく謝罪を述べられてから再びボスの横に座らせてもらう。折角の花火も終わってしまって落ち込んでいたが、横からトンとボスが身体を預けて寄り掛かる。
『…賭けの内容は覚えてンだろォな?』
『はいはい。ちゃんと作りますよ。今日お泊まりの予定だから明日で良いですかね』
『…は? お前今日泊まるのか』
ボスには話がいっていなかったのかと思えば、すぐ横で刃斬も驚いている。誰も知らないようだが俺は確かに伝えた。
猿石に。
『…あの猿。浮かれて報告怠りやがったな』
報連相に厳しい刃斬は今にも飛び出さんばかりの気迫がある。ということは、猿石以外のメンバーは誰も知らないのだろう。
『…あの。じゃあ今日は帰った方が良いですか?』
残念…。楽しみにしてたのに。道理で誰も泊まる場所とか何も言わないと思ったら、そういうことだったのか。ボスとは喧嘩していたし…普段なら何気なく喋ったりしただろうけど。
まぁ、仕方ないか。
『待て。誰も泊まるなとは言ってねェ。好きなだけいろ、俺が許可してやる』
『え。本当ですか?! 良かったぁ』
いきなり帰るなんて言ったら兄ちゃんたちも心配するし、良かった。ちゃんとお泊まりセットも持って来たんだ。
『刃斬の兄貴。俺、どこで寝たら良いですかね? 猿石のアニキんとこで…あ。でもあの部屋、確か布団一組しかないか』
布団は余っているだろうか。
どうしたら良いか聞くと何故か刃斬は俺の上を気まずそうに見るので見上げてみたが、俺に寄り掛かったまま目を閉じるボスしかいない。
…え。ちょ、止めてよ夏だからって…。ホラー系は苦手なんだよ。
『す、すまん。ちょっと急だったからな。取り敢えずボスの仮眠室で良いか? 必要な物は大体揃えてやるから』
『はい! 了解しました』
なんだ、じゃあいつもの場所だな。
心なしか安堵した様子の刃斬が花火の残骸が入ったバケツを持って行く。一緒に片付けようとしたらボスに腰を掴まれてビーチチェアに座り直す。
『怪我人は大人しくしてな。また暫くはウチの連中におぶられる生活が始まっちまうなァ?』
『うぐ。へ、平気ですよ…見た目ほどは酷くないですし、血も止まってますから』
また辰見に小言を言われるのかと項垂れると、思っていることがわかったのかボスが小さく笑いながら身を寄せる。
『なら、早く治してもらわねェとな』
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