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第十一王子と、その守護者

破れた恋?

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『も、申し訳ありません……。通行証がなければ城壁は越えられず……こちらで通行証も発行出来るのですが、その……タタラ様には出生証明書もなく、それが出来るまで三日はかかるかと』


 産まれたことすら誰にも証明出来ない、なんだそのパワーワード。オレは今ここにいるのに産まれたことを証明しろ?


 ……ちょっと三日待ってもらえます?


『でもオレ、王都に入ってますけど……』


『……第十一王子によって強引に書類が通されていますね』


 知ってた。


 検問をUターンして、壁にもたれて少し休憩しようと空を仰ぐ。明るくなってきた空を見ながら一体どうしようかと考える。いっそ今こそ信徒を召喚するべきなのだろうかと血迷ったことを考えながら胡座をかいて項垂れていた時だ。


『もしや……タタラ様ではありませんか?』


 誰かに名前を呼ばれて、下げていた頭を上げればそこにいた懐かしい人物にあっ、と声を上げた。いつかの騎士の服ではない制服に身を包み相変わらず丁寧な言葉遣いで接してくれる人。


 ナルバサラ・サーキー殿。


『お体はもう宜しいのですか? 私もあの中継を見て、まさかあの時ハルジオン殿下に拾われた子が、ここまで強くなったのだと最初は感極まってしまいましたが……あんなことになるなど』


 どうぞ、と言って出された温かいお茶にお礼を言って受け取る。


 ナルバサラ・サーキーさんはオレが王子に拾われた時に一緒にいた騎士だ。親切にしてくれた彼に休憩所へと案内されて体が冷えないようにとお茶まで淹れてくれたのだ。相変わらず優しい彼に少し荒んだ心が癒された。


『さっき、目が覚めて……』


『先程?! 誰かに詳細は聞いていますか? 貴方が倒れて、もう一ヶ月は過ぎています』


 聞いていないと首を振れば、ナルバサラさんは簡単にあれからの経緯を纏めて教えてくれた。


 まず、オレが倒れてから他の団長たちや信徒が闘技場に現れて魔人を倒してくれたらしい。オレの生命活動のレベルが著しく低下したから、結界が壊れたようだという話。


 そして、魔人は倒れて団長殿は拘束され地下牢に入ったらしい。尋問の結果、団長殿自身も魔人の存在を隠匿しようとした罪などで処分はまだ決まっていない。城側も魔人に良いように操られたということで全面的な調査が入る。結果としては、日の輪騎士団団長は空白となり魔人は消滅を確認されたそうだ。


『貴方が倒れ、ずっと昏睡状態だと城からの情報が出て以来音沙汰はありませんでした。皆、貴方に感謝していますよ……こんなに小さな体で本当によく戦ってくれました。

 今、この国の英雄は誰かと聞けば人々は真っ先に貴方の名前を出しますよ』


 でも結局、オレは奴を倒し切れなかった。


 ただ護りたいと思った人を護りたいとがむしゃらにやって、そして……。


 そして……。


『うぅっ……』


 失恋した。魔人になってあんなヒャッハーしやがった野郎に負けた……もうやだ。


『うえぇ、ぅえ……』


『タタラ様?! 一体どうしたのです!』


 初めての恋だった気がする。確かに幼稚園の頃に隣のクラスの子に結婚を申し込まれてサラッと受けてしまったような気はするがあれはノーカン。多分ノーカン。


 恋をしていたことにすら、全然気が付かなかったけど……どうしようもなく惹かれた。一緒にいたかった、一番近くで。


 そして勿論、同じように求められたかった。


 メソメソ泣きながら胸に引っかかっていたものを吐き出し、守護魔導師としての役目を終えて旅立つこと。もうすぐにでも出発したいことをナルバサラさんに伝える。彼はずっとオレの背中を撫でながら話を聞いてくれた。


 話終えた後、ナルバサラさんは部屋の奥に行くとある扉の前に行きそれの鍵を開けて振り返る。木製の古びたそれの先は真っ暗だが階段のようなものが繋がっている。


『階段の先には、城壁の一番上へと繋がっています。タタラ様であれば上にさえ上がってしまえば糸魔法でどうにかなるでしょう』


『え?! で、でもオレ通行証がなくて』


 持っていた木製の杯を取り上げ、オレを椅子から持ち上げた彼は階段の一段目に下ろすと目線を合わせて肩に手を置いた。


 もう片方の手にハンカチを持ったその姿に、あの日と被る。


『……リーベダンジョンに行き、魔人と戦ったでしょう。情けないことに私は恐怖で全く戦えませんでした。騎士として不甲斐なかった……貴方に救われた命を存分に活かすことも出来ず。

 貴方は、いつだって先陣で戦っていたというのに。全く戦えない自分が、許せなくて……』


 柑橘類の良い匂いがする柔らかなハンカチが目にあてられ、そのまま鞄の中に仕舞われた。そのまま体を反転されて荷物ごと背中を押される。


『だからここに異動して来ました。自分では、恐怖に負けた自分にはもう騎士として生きる道はない。ですが救われた命を無駄にしないようにと、王都の入り口を護るべく努めています。

 貴方は、多く戦った貴方はもう……自由に生きるべきだ。広い世界で魅力に溢れる貴方を見せ付けて来なさい、きっと……素敵な恋人が出来ますよ』


 恋人?!


 振り返ってポッと赤くなった顔を見たナルバサラさんに本当かと聞けば、勿論だと返ってきてとても恥ずかしく……しかし、嬉しくなって笑った。


『さぁ、貴方の行きたい場所へ。それが我々、貴方に救われた者たちの願いですから』


 古びた階段は長い間、誰も通っていなかったのか埃っぽい。ギシギシと不安を駆り立てる音に慄きながら歩きにくいサンダルで必死に上を目指す。何度も転びかけ、滑っては階段に座り込んだりして数十分。


 鍵が掛かった扉に糸を突っ込んで硬質化させ、それを開く。新たな天職を見付けてしまったような気がするが気付かなかったことにして踏み出す。


『あ……日輪、出てきた』


 あともう少しで顔を出す。


 流石に城壁の上は風が強くて下半身が大分頼りない。何せ超短いワンピースを着ているようなものだからピラピラとはためいて仕方ないのだ。


『……さよなら、っ』


 振り返れば城が見える。あそこで暮らして、たくさん戦って、色んな人に出会った。


 まさか自分に好きな人が出来るなんて夢にも思わなかった。しかも相手は最悪な出会い方をした王子様である。厚化粧でギンギラで、傲慢で我儘なヤバい人種だったというのに自分はどういう好みをしているのだろうか。更に言うなら男だ、男。


 だけど、そう……どこまでも一緒にいたいと願った。


 叶うなら、一生護るという名目で側にいたかった。どうして自分は一人なんだろう。どうして誰もオレの誕生を証明してくれないんだ。


 家名がない自分が、憎たらしい。


 だけど、それがオレだったんだ。一人で預けられ、抜け出して走り出した。汚くて寂しい場所で似た境遇の奴等となんとか生きて、育った。そして拾われたのが、タタラという人間だ。後悔はない。悲しくはあるが今までの道筋を否定することは出来ない。


 城壁の端に立ち、糸を放つ。壁の向こうはしばらくは開けた道があるが少し遠くには森が見える。あそこに向かって行けば良い。大量の糸でロープを編み、遥か向こうに見える森まで伸ばす。まぁ途中で落ちても自分なら大丈夫だろうと足元に作った糸のロープを地面から切り離そうとした時だった。


『……タタラ』


 幻聴だろうか。


 ここ、風の音煩いしなぁ。


『さよならも言わずに行くのか?』


 まるで夢でも見ているような気分だった。オレの後ろにいたのは、間違いなくハルジオン王子だ。黒いシャツに黒いズボン。とても王子様とは思えない軽装だが顔が良いせいで全てをカバーしている嫌味な奴、なんて野郎だろうか。


『おはよう。随分と眠っていたな……もう、目覚めないのではないかと心配していた』


『……いっそ、目覚めなければ良かったんです』


 親友たちがあんなに心配してくれたのに、早速こんな思いをするなんて思わなかった。これでは合わせる顔がない。


『何を言う、お前はこの国の、』


『オレは英雄なんかになりたかったんじゃない。英雄なんて、もう……』


 必要ない。


 だって、貴方の英雄にはなれないんだから。


『雇用期間が過ぎたのにいつまでも部屋を占領して申し訳ありません。全て処分してしまって構いません、贈り物も……贈り主に返却して下さい』


『待て! お前何を……何故出て行こうとするんだ』


 近付いて来る足音に、反射的に壁のギリギリまで逃げてから背を向ける。今まで堪えてきたものが溢れてきて酷く痛む胸を押さえた。


『っオレなんかのところに来ないで、団長殿のところに行けば良いじゃないですか!! 良かったですね、あの魔人に操られていたから気が可笑しくなっていたんですよ、きっと!

 さっさと……、さっさと結婚式でもなんでもしたら良い!! こんな子どもに構ってる暇なんてないでしょ、お忙しい王子様なんだからっ……ひっ、く』


 折角ナルバサラさんに拭いてもらったのに、バカみたいに涙が溢れてくる。何度も腕で擦っては絶えず流れるそれに嫌になってきた。


 惨めだ、死んでしまいたい。


『……それで終わりか?』


 涙でよく見えないが、なんだか腕を組んだ王子が大変不愉快そうな顔をしている。しかしここで押し負けてはいけないとこちらも彼を睨み付けるが、返ってきたのは予想外の言葉だった。


『もっと強い言葉を使えないのか、お前は。罵倒の仕方がなっていないぞ。相手を徹底的に追い込め。自分がどうしようもない敗者なのだと屈服させるくらいの勢いをつけろ。軽すぎる』


『……』


 なんだコイツ。講座が始まったぞ。


『そもそも言い方が可愛すぎる。そちらに気がいって内容が全然入ってこなかった。というか、なんだその姿は、巫山戯ているのか? 僕以外の人間にそんな姿を晒したというのか』


 愚か、という最後のやたら低い言葉に思わず肩が跳ねてしまった。さり気なく頼りない服を引っ張ってみるが大して何も変わらなかった。


 やだ何コイツ、めっちゃグイグイ来る……。


『……お前が倒れる前に言った、あの言葉。あれはどういう意味だ? 親愛か? 敬愛か? それとも……恋愛のそれなのか』


 こちらを真っ直ぐと見つめる目が、決してオレの心の中なんて見えないはずのその目がまるで嘘は許さないとばかりに向く。


 だけど、もう振り回されるのは御免だ。


『……っ、あんなの本気で言ったわけないじゃないですかっ! ただの戯言です、最後だと……思ったから、つい口走っただけの虚言ですよ!!』


 バカ。


 バカ王子、本当にバカ王子。


 オレにこんな酷いことを言わせる、悪い王子。


『……そうか。

 いや、わかっている。僕を愛する人間なんているはずがない。クロポルドは魔人に操られてはいない。あれは……内に秘めた魔人をどうにかしようと、魔人を滅することだけに生きてきた。僕との結婚は足枷でしかないからな、気はなかっただろう。

 先程面会して、正式に婚約は破棄してきた。すまないな、僕のために色々やってくれたというのに全て無駄にしてしまった。せめて衣装は無駄にしないようにと兄上に譲ろうとしたんだが、兄上も結婚はしないと断られた。本当にすまなかったな』


 ……え?


『国王も目論みが外れて暫くは大人しくするだろう。良い教訓だと思って僕も少しは魔法の腕を磨くとしよう……護られてばかりでは、困るからな』

 
 団長殿は? 結婚は? ええ??


『タタラ』


『あ。は、い……?』


 思わず条件反射で応えてしまった。威厳を保つために懲りずに睨みつけようとしたが、彼があまりにも優しい顔で微笑むものだからつい目を逸らしてしまう。


『他の奴と結婚しようとしていた僕が言っても、きっと信じてくれないだろうが伝えたいんだ。

 タタラ、好きだ。

 何度も助けてくれて、ありがとう。生きて、帰って来てくれて……ありがとう。お前を失うんじゃないかと思ったら胸が張り裂けそうなくらい痛かったんだ。一番失いたくない者は、ずっと側にいてくれたのに気付けなくて……お前は僕にたくさんのものを与えてくれた。

 本当は、ずっと一緒にいてほしい。例えお前がどこの誰だろうが、タタラはタタラだ。僕の自慢、僕の誇り。


 また、この国に来てくれ。何度でもお前に愛を伝える。だから、頼む……最後だなんて、言わないでくれ』


 青天の霹靂である。


 オレの背後から昇る日輪を浴びながら笑う王子は、とても嘘を言っているように見えない。何も答えられなくて、言葉が見つからなくて。だけど取り敢えず首をカクンと一回だけ上下に動かせば、彼はとても嬉しそうに笑った。


 カクカクとロボットのように足元のロープを持ち上げてから固定していた糸も切り、トンとジャンプして大きく飛んだ。
















 空中で振り返って、泣きながら片手で顔を覆う姿を見た瞬間全ての糸を断った。


 きっと良い子なら、離れる方を選ぶだろう。彼に迷惑もかけない。こんな汚れたお人形よりも、もっと綺麗で出自もわかる良いモノがお似合いだ。


 だけど、言ってくれた。


 あの人は、オレが良いと言ってくれた!!


『糸魔法 天蜘蛛あまぐも!!』 


 上空から垂れてくる糸に掴まり、城壁に向かって飛び降りる。頼りないサンダルでなんとか着地すると衝撃で脱げてしまったそれに構うことなく走り出した。バタバタと走ってくる音に気付いた王子と目が合うと、彼は反射的に腕を伸ばしたので喜んでそこに飛び込んだ。


『っ、嘘つきました!! ほ、んとは! 本当は王子のこと、大好きですっオレだって……オレだって好きです!! ずっと一緒にいたい、ずっと隣にいたいですーっ!!』


『馬鹿者、お前っ……遅いぞ、行ってしまったかと思った……』


 もう離さない、とばかりに強く抱きしめられて一緒になってしがみつく。嬉しくて嬉しくて、涙が止まらなくてわんわん泣いた。


 やがて泣き止んだオレは取り敢えずサンダルでも取りに行かねばと離れようとしたら王子に大変不服そうな顔をされてそのまま抱き抱えられて城壁を降りて行った。


 そして。


 何故か城壁周辺に大量の民が集まっていて、王子と抱き抱えられたオレを見た瞬間、いつかと同じくらいの歓声に包まれた。驚いたオレが王子の首にしがみついた瞬間、どこからか現れた撮影魔道具がアップで撮影するのを見て嫌な予感がした。


 後日。


 王子に抱き抱えられた一面がデカデカと掲載された雑誌が売り出され、


 オレはその日……恥ずかしさのあまり出現させた超巨大魔法によって王都中から糸を垂れ流して雑誌を回収し、その魔法がその年の世界の選ばれし三大魔法として堂々と評価されてしまうのだった。







end
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