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桃色の花は、誰か
隠れた才能
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ゆっくりと覚醒する意識の中、最初に訪れた違和感は隣に誰かいるということ。全身をすっぽり覆う自分よりも少し大きな体に不思議に思いつつ鼻を擽る匂いを本能的に求めて密着した。
あれ…? オレ、今日は何するんだっけ…早く起きないと。
『おはよう。体は大丈夫か?』
『ぁ…ぅ、? お、じ…あれ? 王子…、っ!!!』
完全なる覚醒と共に夜の痴態を思い出す。怠い体にケツの違和感…枯れた声にチリチリする乳首。
『ぁっ…、!』
ブカブカの襟元から侵入した王子が、ジュっと肌を吸い上げる。顔を上げた王子は金色の美しい髪をかき上げて至る所にキスをした。
『やはりキツそうだ。今治してやるから、ジッとしていろ』
体の内側や色々なところが痛くて、だけどどうしようもなく嬉しくて悶えていれば心配した王子がオレに光魔法で治療してくれる。優しくて安心する黄金の魔力に包まれると、ホッと息を漏らして丸くなった。
ホカホカする~極楽だ~。
少しの間そうしていれば、体は完全に治ってしまった。まさか事後の痛みまで治療出来るとは思わなかったので吃驚だ。
…なんだろう。何故か今、一瞬悪寒が走ったような気が…。
『これは数時間で消えるようにした。誰にも見せるでないぞ?』
『うん!』
指差されたキスマークに、どうせなら一日くらいそのままでも…と思いつつ素直に頷けば王子は優しく微笑んで横になるオレを撫でくり回す。
まだ明るくなり始めたばかりの空。日輪の光を受けたハルジオン王子は上半身に何も着ていなくて、キラキラしている。
…王子様、みたい…。
『何を考えているかわかるぞ? …僕は王子だ、不敬者め』
いつかに似た文句を言われて、笑みを浮かべた王子が軽くオレの頭にチョップをお見舞いする。ベッドに寝転んだままのオレは頭に乗る手を掴んでコロコロと笑う。
気付けば体はすっかり清められていて、服も王子のものだった。ふとお腹を摩ると王子が慌てて近付き心配そうにベッドに座るオレを気遣う。
『どうした? ま、まだどこか痛むのか…腹が痛いのか?』
『…いや、その…』
うーん、と言いながらへこんだ腹を見て…ボソッと呟いた。
『…王子の、なくなっちゃったなぁって』
『はっ…?』
言葉の意味が理解出来なかった王子が数秒その場に停止し、そんな彼を置いてオレは残念だなぁ、と言いながらベッドをよいしょよいしょと降りる。
『待たぬか、このっ…!!』
『うおっ?! な、なんだよ…』
何故か怒ったような雰囲気で迫って来て歩き出したところを捕まり、頬に手を添えられて…キスをされた。
お、起きたばっかりなのに何すんだ!!
バッと後ろに飛んで離れたのに、またしても距離を詰められ手首を掴まれて固定されると次は逃がさないとばかりに深く口付けをされる。
『ふぁ、あっ…な、にぃ…?!』
耐えられず目の前の体に縋り付けば、体に腕を回されてしっかり抱き締められる。随分と長いキスがようやく終わると軽いキスが再びチュッチュと口に降り注ぐ。
もうダメだぁ…!
『あまり煽るな。…一日中、ここに閉じ込めて孕ませたくなる…』
『孕ませっ…?!』
言葉のアヤかと思うが、王子は妖しく微笑みながらオレのお腹を撫でる。その厭らしい手付きにビクつくと王子はなんとも楽しげに声を上げて笑うとオレを抱き上げてしまった。
『すまない。早朝から王族の集まりが決まってな、すぐに行かなければならぬ。そのまま朝食会もあるそうだ…憂鬱だが致し方あるまい。
もう少し一緒にいたかったのだがな、本当にすまない。お前は部屋でゆっくり休め。供は気にするな。他の王族もいる故に問題あるまい』
『こんなに朝から…?
…わかった。いってらっしゃい、ハルジオン』
服を羽織り、一度振り返った王子は未だにベッドに座るオレを見てから名残惜しそうに顔を歪める。だから心配させないよう平静を保って笑顔を見せた。何か言いたげに部屋を出たハルジオンを見送ってから自分の部屋に戻ると、適当な服を引っ張り出して髪を纏めて結い上げ…一人が嫌だから部屋を出て歩き出した。
アオザイを思わせる黒い服に、スリットの入った赤いズボンを揺らして城を歩いていると早朝にも関わらず騒がしい一室が。
『おっ!!』
『あーっ!』
互いに声を上げて、指を差す。
濡れていた手を払いながらこちらに来たガタイの良い男性…ストロガン料理長が厨房を離れて駆けてきた。思わず手を伸ばせば当然のように料理長が抱き上げて高い高いをしてくる。
『よく帰った、お手柄だ!!』
『むふふーっ!』
それからオレは厨房を動き回るみんなに頭を撫で回されながら、一人椅子に座って朝食の準備をする様子を眺めていた。
次々と料理長から指示を出されて働く厨房は、まさに戦場だ。
『ったくよー…急に食事会とか決めるなよなぁ。こっちの迷惑も考えろっての』
どうやら早朝から始まった会議の後に決まった朝食会は、家族の親睦を深めるためにも丁度良いとそのまま開催されることになったらしい。
『なんか手伝う。オレも暇だし…あ、手ぇ洗うね』
途端に嬉しそうにする、忙しなく動き回っていた料理人たち。その姿に料理長も何も言えなくなり簡単な切りものなどを任された。糸を使っても良いと言うので速攻で終わらせると、どんどん仕事を任される。
遂には偏食で有名なハルジオン王子の別メニューまで任されてしまい、熱を逃すために気分転換に来たはずが…また彼を想うことになってしまった。
『…もう。仕方ないなぁ、朝から頑張ってるし…やってやるか!』
.
あれ…? オレ、今日は何するんだっけ…早く起きないと。
『おはよう。体は大丈夫か?』
『ぁ…ぅ、? お、じ…あれ? 王子…、っ!!!』
完全なる覚醒と共に夜の痴態を思い出す。怠い体にケツの違和感…枯れた声にチリチリする乳首。
『ぁっ…、!』
ブカブカの襟元から侵入した王子が、ジュっと肌を吸い上げる。顔を上げた王子は金色の美しい髪をかき上げて至る所にキスをした。
『やはりキツそうだ。今治してやるから、ジッとしていろ』
体の内側や色々なところが痛くて、だけどどうしようもなく嬉しくて悶えていれば心配した王子がオレに光魔法で治療してくれる。優しくて安心する黄金の魔力に包まれると、ホッと息を漏らして丸くなった。
ホカホカする~極楽だ~。
少しの間そうしていれば、体は完全に治ってしまった。まさか事後の痛みまで治療出来るとは思わなかったので吃驚だ。
…なんだろう。何故か今、一瞬悪寒が走ったような気が…。
『これは数時間で消えるようにした。誰にも見せるでないぞ?』
『うん!』
指差されたキスマークに、どうせなら一日くらいそのままでも…と思いつつ素直に頷けば王子は優しく微笑んで横になるオレを撫でくり回す。
まだ明るくなり始めたばかりの空。日輪の光を受けたハルジオン王子は上半身に何も着ていなくて、キラキラしている。
…王子様、みたい…。
『何を考えているかわかるぞ? …僕は王子だ、不敬者め』
いつかに似た文句を言われて、笑みを浮かべた王子が軽くオレの頭にチョップをお見舞いする。ベッドに寝転んだままのオレは頭に乗る手を掴んでコロコロと笑う。
気付けば体はすっかり清められていて、服も王子のものだった。ふとお腹を摩ると王子が慌てて近付き心配そうにベッドに座るオレを気遣う。
『どうした? ま、まだどこか痛むのか…腹が痛いのか?』
『…いや、その…』
うーん、と言いながらへこんだ腹を見て…ボソッと呟いた。
『…王子の、なくなっちゃったなぁって』
『はっ…?』
言葉の意味が理解出来なかった王子が数秒その場に停止し、そんな彼を置いてオレは残念だなぁ、と言いながらベッドをよいしょよいしょと降りる。
『待たぬか、このっ…!!』
『うおっ?! な、なんだよ…』
何故か怒ったような雰囲気で迫って来て歩き出したところを捕まり、頬に手を添えられて…キスをされた。
お、起きたばっかりなのに何すんだ!!
バッと後ろに飛んで離れたのに、またしても距離を詰められ手首を掴まれて固定されると次は逃がさないとばかりに深く口付けをされる。
『ふぁ、あっ…な、にぃ…?!』
耐えられず目の前の体に縋り付けば、体に腕を回されてしっかり抱き締められる。随分と長いキスがようやく終わると軽いキスが再びチュッチュと口に降り注ぐ。
もうダメだぁ…!
『あまり煽るな。…一日中、ここに閉じ込めて孕ませたくなる…』
『孕ませっ…?!』
言葉のアヤかと思うが、王子は妖しく微笑みながらオレのお腹を撫でる。その厭らしい手付きにビクつくと王子はなんとも楽しげに声を上げて笑うとオレを抱き上げてしまった。
『すまない。早朝から王族の集まりが決まってな、すぐに行かなければならぬ。そのまま朝食会もあるそうだ…憂鬱だが致し方あるまい。
もう少し一緒にいたかったのだがな、本当にすまない。お前は部屋でゆっくり休め。供は気にするな。他の王族もいる故に問題あるまい』
『こんなに朝から…?
…わかった。いってらっしゃい、ハルジオン』
服を羽織り、一度振り返った王子は未だにベッドに座るオレを見てから名残惜しそうに顔を歪める。だから心配させないよう平静を保って笑顔を見せた。何か言いたげに部屋を出たハルジオンを見送ってから自分の部屋に戻ると、適当な服を引っ張り出して髪を纏めて結い上げ…一人が嫌だから部屋を出て歩き出した。
アオザイを思わせる黒い服に、スリットの入った赤いズボンを揺らして城を歩いていると早朝にも関わらず騒がしい一室が。
『おっ!!』
『あーっ!』
互いに声を上げて、指を差す。
濡れていた手を払いながらこちらに来たガタイの良い男性…ストロガン料理長が厨房を離れて駆けてきた。思わず手を伸ばせば当然のように料理長が抱き上げて高い高いをしてくる。
『よく帰った、お手柄だ!!』
『むふふーっ!』
それからオレは厨房を動き回るみんなに頭を撫で回されながら、一人椅子に座って朝食の準備をする様子を眺めていた。
次々と料理長から指示を出されて働く厨房は、まさに戦場だ。
『ったくよー…急に食事会とか決めるなよなぁ。こっちの迷惑も考えろっての』
どうやら早朝から始まった会議の後に決まった朝食会は、家族の親睦を深めるためにも丁度良いとそのまま開催されることになったらしい。
『なんか手伝う。オレも暇だし…あ、手ぇ洗うね』
途端に嬉しそうにする、忙しなく動き回っていた料理人たち。その姿に料理長も何も言えなくなり簡単な切りものなどを任された。糸を使っても良いと言うので速攻で終わらせると、どんどん仕事を任される。
遂には偏食で有名なハルジオン王子の別メニューまで任されてしまい、熱を逃すために気分転換に来たはずが…また彼を想うことになってしまった。
『…もう。仕方ないなぁ、朝から頑張ってるし…やってやるか!』
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