上 下
79 / 191
運命の糸を宿した君へ

※求婚 リューシー 後編

しおりを挟む
 まぁ。

 男の性欲ってのは強いもんだし、刺激を与えればどうにかなり始めることもある…仕方ない。

『…ふぁっ…ん、リュ、シー』

 …オレ性欲強くないし、これまだ乳首しか触られてないんだけどなぁ!!

 おっかしぃなぁ!!?

『あんっ! んあ、…こ、わいリューシー…こわいよぉっ』

 感じすぎて怖い!

 あの発言からすぐにリューシーはその場にオレを押し倒して丘の上にあるこの花畑で…大変いかがわしい行為をおっ始めている。

『っ…いきなり、そのようなことを言って我をどうしたいのだ、全く! 最後に良い思いでもさせてくれると?』

『ちがぅ、のっ…! だって、だってリューシーがぁ、あっ!』

 薄いキャミソールの上からリューシーが乳首をパクリと咥える。唾液に濡れた、透けた衣服からいやらしく彼を誘う乳首にリューシーは更にそれに歯を当てて刺激した。甲高い悲鳴を上げながらリューシーの頭を抱きしめ、思わず足が内股になる。

 やだ…怖い、恥ずかしいのにっ…!

『こんな風に我に染まったような服を着て、淫らに喘いで…犯されても文句など受け付けられない…そんな、可愛くっ…名を呼ばれては!』

 グッと右足を折り曲げて窮屈に形を浮き上がらせるショートパンツの上からそっと指でなぞられる。ゾワリと体が震えて情けない声を出さないように口に手を当てるのに、それを許さないとばかりに肩の紐をずらされてツンと存在を主張する乳首に更に強い刺激が与えられる。

『ひぅっ、ぅう』

『声を聞かせてほしい。今、貴殿に触れている人間の名を呼んで…でないと』

 でないと…?

『嫌がられていると勘違いしてしまう。もしも、勘違いでなければ我は泣かせてしまった罪を償う為にも…離れなくては。遠く、貴殿を思い出さない場所に』

『…! やっ、やぁ! 行かないで、リューシー! だって…っだってこれからも一緒にギルドに行ったり、またお散歩だって!』

『風魔導師はたくさんいる。それこそ、父君に頼めば素晴らしい外出にしてくれるのである。だから、我がいる必要などない…ギルドも一人で入り浸ることもあったのでは?』

 違う、

 だって…こんな風に優しい色をした若草色の髪をした人はいない。そんなに何度も真っ直ぐオレを見つめてくる金の瞳だって、力強く抱きしめる…惚れ惚れするような筋肉がのった腕に…魔法を唱える低く耳に馴染む声だって。

『~っ、リューシーがいいっ!!』

 怒りをぶつけられ、和解し…互いを理解して背中を預け合った大切な人。

 ずっと…友人だと思ってたのに。君はそれが嫌で、恋愛の感情を持つと言う。オレは違うと思っていたのに、友人に…こんな風に触られて…嫌じゃないと思うのはそういうことなんだろうか?

 友愛と、快楽を与えてくれた人。

『オレがって言うまで、オレを見ててくれなきゃ嫌だ! ちゃんと側で…何処にも行かないで真っ直ぐ見て!!

 …っ、わがまま…で、ごめんな、さいっ』

 だけど、一番最初は彼だと決めている。

 だからもし…もしも、その後でも…気が、変わらないのであれば。そんなことを言う我儘なオレの願いを聞いてくれるなら。

『…本当、に?』

 泣きながら頷くとリューシーは、寝ていたオレの体を起こしてから花畑に腰を下ろして組んだ足の上にオレを座らせると…殆ど脱げかけのキャミソールに申し訳程度に肩だけを覆うパーカー。つまり上半身裸のオレを抱きしめた。

『嘘でなければ、証拠を見せてほしいのであるが…』

『う、嘘じゃない。…何すれば良いの?』

『…下を、脱いでほしい』

 衝撃的な発言に思わず固まり、正気なのかとリューシーを見上げる。

『我が好きな気持ちが少しでもあるのなら、貴殿も…感じているはず。だから、見せて?』

 ピチピチなズボンのボタンを外し…震える手でそれを膝まで下ろす。リューシーの膝の上でもぞもぞと動き、最後に黒のパンツに手をかけて…そこを暴く。

『は、…なんてことか』

 あまりの恥ずかしさにリューシーの首になんとか手を回して顔を隠すようグッと近づき、しがみつく。

『…可愛いな』

『っ…だって! だって、リューシーが! リューシーが…いつもと違って…その、…あぁん!!』

 性器は勿論勃っていた。今にも泣きそうなオレに追い打ちをかけるような言葉を投げかけられると、もうどうしようもない。

 どうせ小さくて可愛いサイズだよ!!

 そんな可愛い息子をむにむにと触られては堪らない。あんあん喘ぐオレにリューシーは辛抱ならないとばかりに息子を触りながらオレの乳首を口に含む。

『あっ、あっ! だめぇっ一緒にいじめちゃ、だめっだめなの!』

『っまたそんな風に煽って…悪い子だ』

 だけどリューシーはいつまで経ってもそれ以上のことはしてくれなくて、よしよしと情けなく泣くオレを膝に置いて抱きながら体を摩ってくる。

『…ハルジオン王子より先に手を出すわけにはいかない。すまない、我も我慢する故に治めてくれ』

『んっ。わかっ、た…リューシー…好きだよ、何処にも行かないで…お願い…』

 その瞬間、目の前が真っ暗になった。

 寝落ちしてしまったオレは暫くしてすぐに目覚めたが、目を覚ましてすぐに異常に気がつく。オレを幼い子どもみたいに抱っこしたリューシーが、オレを抱えたまま…自分の息子をシコっていたのだ。耳のすぐ横で荒い息遣いがして…中々イけないらしいリューシーに一押しくれてやろうと首を動かしてそっと囁く。

『…リューシーのイクところ、早く見せて…?』

『…!? ぁ、ぐっ…!』

『わ、ちょっ!』

 痛いくらいキツく抱きしめられてから、お尻に何か違和感を感じる。近くに脱ぎ捨てられたショートパンツに、肌に感じるジットリと濡れた感触。

 パンツ越しにリューシーの精液を浴びたオレは、そのまま腕の力を緩めてしまったリューシーにしがみつくも為す術なく落ちて…

 ぐりぃっ。

『ふぁんっ!?』

 未だ硬さを維持したまま勃っていたリューシーのそれに、パンツ越しだが…丁度お尻にヒット。驚きのままリューシーの首に両手をかけてそこから逃れるべくギュウギュウとしがみ付く。

『ばかぁっ! もうっ…お前本当にラッキースケベ過ぎなんだから!!』

『っ…、待て…あ、あまり刺激を与えないでくれないか…理性を抑えるので精一杯だ…!』

 散々な目に遭いながら近くに水場を見付けてリューシーがオレの下着を乾かしてくれている。パーカーでなんとか下を隠して花畑に座っているとパンツを握りしめたリューシーが戻って来た。

 …中々マヌケだな、おい。

『むっ。見ないでリューシー! エッチな奴め…回れ右だほれほれ!』

『今更照れているのであるか? もうしっかり見ているのだが…』

 お黙り!!

 いそいそとパンツを穿いてからショートパンツも着て、…熱いからパーカーは腰に括り付けておいた。もういいよ、と呼ぶのに背中を向けたリューシーは微動だにしない。

 …怒っちゃった…?

 手を伸ばして腕を掴もうとしたら、その腕を逆に掴まれてしまいリューシーは…片膝をつけてオレを見上げる。タイミングを見計らったように強い風が吹いて目を閉じると…次の瞬間にはリューシーがオレを掴んでいない方の手に少し大きな紫色の箱が。

『我との婚姻を認められ、その時が来たら…これをして我が元に来てほしい』

『これ、は…? わぁ…すご、キラキラしてるね』

 紫と若草色の輪が重なり合う装飾品。美しく光を放つそれは腕輪かと思ったが少しサイズが大きいような気もして首を傾げる。

『これは足飾りである。タクトクト家では代々伴侶に古来から魔除けとしての護りを込めた足飾りを贈る習わしがあるので…タタラに、是非これを』

 つ、つまりこれはっ…?!

『結婚してください。…こんな不器用な男を、好きだと言ってくれて…とても嬉しい。他に相手がいても構わないのである。ただ貴殿が我を好いて、我も貴殿を愛している…好きだ、好き…

 早くこれをして、我が前に現れてほしい』

 チュ、と手の甲にキスが落とされ…熱くて堪らない顔を晒してしまう。足飾り…つまりアンクレットか。それを貰ってゆっくりと頷くオレの姿にリューシーは思わずガッツポーズをしてから手を引いて呼び寄せ、オレのお腹に顔を埋めた。

『…押してダメなら、引く…か。ベルガアッシュ殿下には感謝しなくては』

 ……

 ………

 …………ちょ、っと…?

…か。記録したかった。惜しかったのである』

『…ぉ、おまっ!? ま、まさか!』

『とても幸せである…ああ、ようやく手に入る。我が愛しい伴侶よ』

 まだとは言ってはいないぞ!!

 ばかリューシーッ!!


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

モブに転生したはずが、推しに熱烈に愛されています

奈織
BL
腐男子だった僕は、大好きだったBLゲームの世界に転生した。 生まれ変わったのは『王子ルートの悪役令嬢の取り巻き、の婚約者』 ゲームでは名前すら登場しない、明らかなモブである。 顔も地味な僕が主人公たちに関わることはないだろうと思ってたのに、なぜか推しだった公爵子息から熱烈に愛されてしまって…? 自分は地味モブだと思い込んでる上品お色気お兄さん(攻)×クーデレで隠れМな武闘派後輩(受)のお話。 ※エロは後半です ※ムーンライトノベルにも掲載しています

社畜サラリーマンの優雅な性奴隷生活

BL
異世界トリップした先は、人間の数が異様に少なく絶滅寸前の世界でした。 草臥れた社畜サラリーマンが性奴隷としてご主人様に可愛がられたり嬲られたり虐められたりする日々の記録です。 露骨な性描写あるのでご注意ください。

「陛下を誑かしたのはこの身体か!」って言われてエッチなポーズを沢山とらされました。もうお婿にいけないから責任を取って下さい!

うずみどり
BL
突発的に異世界転移をした男子高校生がバスローブ姿で縛られて近衛隊長にあちこち弄られていいようにされちゃう話です。 ほぼ全編エロで言葉責め。 無理矢理だけど痛くはないです。

マリオネットが、糸を断つ時。

せんぷう
BL
 異世界に転生したが、かなり不遇な第二の人生待ったなし。  オレの前世は地球は日本国、先進国の裕福な場所に産まれたおかげで何不自由なく育った。確かその終わりは何かの事故だった気がするが、よく覚えていない。若くして死んだはずが……気付けばそこはビックリ、異世界だった。  第二生は前世とは正反対。魔法というとんでもない歴史によって構築され、貧富の差がアホみたいに激しい世界。オレを産んだせいで母は体調を崩して亡くなったらしくその後は孤児院にいたが、あまりに酷い暮らしに嫌気がさして逃亡。スラムで前世では絶対やらなかったような悪さもしながら、なんとか生きていた。  そんな暮らしの終わりは、とある富裕層らしき連中の騒ぎに関わってしまったこと。不敬罪でとっ捕まらないために背を向けて逃げ出したオレに、彼はこう叫んだ。 『待て、そこの下民っ!! そうだ、そこの少し小綺麗な黒い容姿の、お前だお前!』  金髪縦ロールにド派手な紫色の服。装飾品をジャラジャラと身に付け、靴なんて全然汚れてないし擦り減ってもいない。まさにお貴族様……そう、貴族やら王族がこの世界にも存在した。 『貴様のような虫ケラ、本来なら僕に背を向けるなどと斬首ものだ。しかし、僕は寛大だ!!  許す。喜べ、貴様を今日から王族である僕の傍に置いてやろう!』  そいつはバカだった。しかし、なんと王族でもあった。  王族という権力を振り翳し、盾にするヤバい奴。嫌味ったらしい口調に人をすぐにバカにする。気に入らない奴は全員斬首。 『ぼ、僕に向かってなんたる失礼な態度っ……!! 今すぐ首をっ』 『殿下ったら大変です、向こうで殿下のお好きな竜種が飛んでいた気がします。すぐに外に出て見に行きませんとー』 『なにっ!? 本当か、タタラ! こうしては居られぬ、すぐに連れて行け!』  しかし、オレは彼に拾われた。  どんなに嫌な奴でも、どんなに周りに嫌われていっても、彼はどうしようもない恩人だった。だからせめて多少の恩を返してから逃げ出そうと思っていたのに、事態はどんどん最悪な展開を迎えて行く。  気に入らなければ即断罪。意中の騎士に全く好かれずよく暴走するバカ王子。果ては王都にまで及ぶ危険。命の危機など日常的に!  しかし、一緒にいればいるほど惹かれてしまう気持ちは……ただの忠誠心なのか?  スラム出身、第十一王子の守護魔導師。  これは運命によってもたらされた出会い。唯一の魔法を駆使しながら、タタラは今日も今日とてワガママ王子の手綱を引きながら平凡な生活に焦がれている。 ※BL作品 恋愛要素は前半皆無。戦闘描写等多数。健全すぎる、健全すぎて怪しいけどこれはBLです。 .

【R18/短編】僕はただの公爵令息様の取り巻きAなので!

ナイトウ
BL
傾向: ふんわり弟フェチお坊ちゃま攻め、鈍感弟受け、溺愛、義兄弟、身分差、乳首責め、前立腺責め、結腸責め、騎乗位

愛されなかった俺の転生先は激重執着ヤンデレ兄達のもと

糖 溺病
BL
目が覚めると、そこは異世界。 前世で何度も夢に見た異世界生活、今度こそエンジョイしてみせる!ってあれ?なんか俺、転生早々監禁されてね!? 「俺は異世界でエンジョイライフを送るんだぁー!」 激重執着ヤンデレ兄達にトロトロのベタベタに溺愛されるファンタジー物語。 注※微エロ、エロエロ ・初めはそんなエロくないです。 ・初心者注意 ・ちょいちょい細かな訂正入ります。

病弱な悪役令息兄様のバッドエンドは僕が全力で回避します!

松原硝子
BL
三枝貴人は総合病院で働くゲーム大好きの医者。 ある日貴人は乙女ゲームの制作会社で働いている同居中の妹から依頼されて開発中のBLゲーム『シークレット・ラバー』をプレイする。 ゲームは「レイ・ヴァイオレット」という公爵令息をさまざまなキャラクターが攻略するというもので、攻略対象が1人だけという斬新なゲームだった。 プレイヤーは複数のキャラクターから気に入った主人公を選んでプレイし、レイを攻略する。 一緒に渡された設定資料には、主人公のライバル役として登場し、最後には断罪されるレイの婚約者「アシュリー・クロフォード」についての裏設定も書かれていた。 ゲームでは主人公をいじめ倒すアシュリー。だが実は体が弱く、さらに顔と手足を除く体のあちこちに謎の湿疹ができており、常に体調が悪かった。 両親やごく親しい周囲の人間以外には病弱であることを隠していたため、レイの目にはいつも不機嫌でわがままな婚約者としてしか映っていなかったのだ。 設定資料を読んだ三枝は「アシュリーが可哀想すぎる!」とアシュリー推しになる。 「もしも俺がアシュリーの兄弟や親友だったらこんな結末にさせないのに!」 そんな中、通勤途中の事故で死んだ三枝は名前しか出てこないアシュリーの義弟、「ルイス・クロフォードに転生する。前世の記憶を取り戻したルイスは推しであり兄のアシュリーを幸せにする為、全力でバッドエンド回避計画を実行するのだが――!?

悪役令息の従者に転職しました

  *  
BL
暗殺者なのに無様な失敗で死にそうになった俺をたすけてくれたのは、BLゲームで、どのルートでも殺されて悲惨な最期を迎える悪役令息でした。 依頼人には死んだことにして、悪役令息の従者に転職しました! スパダリ(本人の希望)な従者と、ちっちゃくて可愛い悪役令息の、溺愛無双なお話です。 ハードな境遇も利用して元気にほのぼのコメディです! たぶん!(笑)

処理中です...