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運命の糸を宿した君へ
最悪の王子と糸の守護魔導師
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最悪だ。
自分ではあまり使いたくない言葉だが、それ以外の言葉は生憎思い付かぬ。
それくらい、最悪だ。
『よし。三十分経過だ、お前も行け』
そっとノルエフリンたちの方を盗み見るが、どれもこれも役立ちそうなことは言っていない。むしろこの時点で僕が審眼を使っても咎められないのだから魔王軍は勝った気でいる。
…タタラ。何処に行ったのだ。
みっともなく縋るような言葉を使って、異なる世界に帰ろうとしていたタタラを止めた。きっともう亡くなっていたのに魂だけになってもタタラを待っていた友人や家族。その輪に入った後ろ姿を見て…もう駄目だと諦めた。
それなのに。
お前は…また、僕を選んで帰って来てくれた。
『…タタラの…いる、場所…』
思い付かぬ。
今までは王家に刻まれた絆で結ばれていたということか? 僕は、それがなければタタラを見つけることすら叶わないと言いたいのか。
妙な門の前に向ける足をゆっくりと進めながら僕は必死に今までのタタラとの思い出を探る。
初めて出会った街に、あの子が大好きな王都…行きたいと言っていた南の国? しかし行くなら僕も知っている場所のはず。
ならば、可能性があるのは城だ。僕たちは大半の時間を城で過ごした。厨房に中庭…夢の間は、どうだ? いや…神殿という選択肢もある。
…だけど、あの子が…僕が向かうとわかっていたなら、きっとそれは思い出深い場所。
『…よし』
脳裏に浮かべた場所をしっかりと意識して進む。
『転移後の移動は最小限。一度止まった場所から動くことは許さねぇからな。
…証明しろ。なんの結び付きがなくても、今まで二人で積み重ねたもので引き合うっつーなら…お前は間違いなく、あの子の伴侶に相応しい』
そうだ。
言わなくては、タタラに。随分待たせてしまったんだ…必ず、言わなくては。
そうして僕は門を潜る。その直後に背後から大勢の声援を受けて歩き出す…訪れた闇は、一瞬で消え去り辺りの景色が変わる。
辿り着いた場所に、幾つかの水鏡が現れて僕の姿を映し出す。向こう側からは何名かの声も聞こえてかなり騒がしい。
【おい、此処って…】
【城内? というか…王族の居室?】
そう。
僕が選んだ場所は、自分の部屋。
すぐ後ろにはタタラの部屋に繋がる扉もある。これが一番の悩みどころだ…僕の部屋かタタラの部屋、どちらかにいると思われるが、それがわからなかった。
僕は、自分の部屋を選択して歩き出す。
何故ならタタラが自分の部屋に行ったとして、恐らくその部屋には何もないはずだ。私物が移動されてしまいガランとした部屋を見たあの子は、きっと寂しくなって僕の部屋に行くに違いない。
あれは、本当に甘えたな奴なんだ。…甘やかす僕も悪いのだが。
そしてある場所に目が行き、思わず足を止めた。
【あれっ!! ねぇ、もしかして!】
【ベッドって…。アイツ、隠れ場所が王道すぎねぇか?】
水鏡の向こうでボヤくシュラマを、周りの守護者たちがボコボコにしている。
ベッドにこんもりと築かれた山。丁度人一人くらいだろうか? 少し大きい気がするが、この場所に隠れているに違いない。
安堵に包まれる水鏡の向こう。
僕も安心して布団に手を掛け、ゆっくり捲り上げると…
【ばぁ!! ゲヒ、
ゲヒヒッ…!! 俺様に何か用かぁ??】
ピシリと凍る空気に、思わず掴んでいた布団をすぐに下ろしてしまう。
…は?
夢か、今…ドラゴンのぬいぐるみが…いたような。
しかし夢ではない。ズリズリと僕の布団から這い出て来たドラゴンぬいぐるみ、リィブルーは…パタパタと翼を動かしてタタラの部屋に繋がる扉を開けた。
【ざぁんねん。観念しろよなぁ☆】
そのまま部屋を出たリィブルーに、ハッとして追い掛けようとしたものの…すぐに魔王が言っていた縛りを破ることになると気付き、その場に崩れるように座り込んだ。
…僕は、間違えた…のか?
【おい…これ…、もう終わりなの?】
【嘘…、最悪!!】
誰かの言葉を皮切りに、次々とその言葉が投げ掛けられる。ずっとずっと言われて来た言葉。僕を表す言葉。
一番、醜い言葉。
『…っ、すまない…本当に、すまなか』
ーチリンッ。
【殿下っ!!】
鳴り止まない言葉の嵐の合間に、何処かで聞いたような…鈴の音色。そして周りの雑音を薙ぎ払うように鋭く飛び込んで来た声に、顔を上げる。一つの水鏡が近付いて来て僕と対面すると…そこに映し出されていたのは、やはりノルエフリンだった。
『すまぬ…本当に、僕はどうしたら…』
【違います! 貴方がその場所に立った時、明らかにアーエード・バンクフは心から動揺していました!!
先程のリィブルーの言葉も恐らく、殿下に対するものではありません!】
いつもの様な冷静で穏やかな話し方とは打って変わって、彼は必死だった。それこそ大きく口を開いたために牙も見えているし、本人はそれを見せるのを酷く嫌がっていたはず。
それでも、ノルエフリンは伝えてくれた。
【もう一度!! もう一度、よく見てください! 私もその部屋以外は有り得ないと思えて来ました!
ほら、早く立つ!!】
あまりの気迫に、素直にベッドに掴まって立ち上がると…再び布団を握りしめる。リィブルーがいたから広いベッドは未だ中央が盛り上がっているが…最初の時よりもかなりへこんでいた。それでも僕は、今度は全ての布団を床に落としてそこを見る。
もしも、あの音が…間違っていないのであれば。
『…ぁ、っ…まっ、たく…!!』
そこには、僕のベッドで丸まって眠るタタラがいた。全身から抜ける力をなんとか踏み留めてシーツを握りしめて小さくなった体に手を差し込んで抱き上げる。
『お前は本当にっ…!! 隠れて眠る奴があるか、こんな時に…、本当に…っ、くっ』
いなかったと思った。
また、いなくなるのかと。
『ん…、?』
小さな体を抱きしめて思わず出た涙を浮かべて座り込んでいれば、腕の中で身動ぎするタタラが…ゆっくりと目を開ける。ポヤっとした顔に潤んだ瞳からまだ寝惚けていることがわかる。
一言文句を言わなければ気が済まない、そんな思いで口を開く僕よりも先に…タタラの目から涙が流れた。
『…さむか、…った』
ボタボタと大粒の涙が次々と溢れる。
『来て、くれなかったらどうしようって…いつでも、入って良いよって、言って…っ言ったのにぃ』
…そうか、あの日…約束したこと、覚えていて…。
『ずっと、寒いままだったらどうしようって…、だって凄い寒いまんまでっ! あの時はあんなに、あんなにあったかかったのに…!』
『…そうだな。すぐに来なくて、すまなかった』
結局いつも、僕が謝る方。だけどそれで良い。それだけで泣き止んでくれるなら…また笑顔を見せてくれるなら。何度だって罪を認めて、次はないからと乞い続ける。
僕だって、お前に惚れてしまってどうしようもないんだ。
『まだ寒いか? 大丈夫…、もう二度と一人で寒がることなどない。
待っていてくれて、ありがとう』
『ーっ、! ハルジオン…!!』
胸にピッタリとくっつくタタラに、名前を呼ばれて浮かれた僕もそっと腰に手を回す。先程とは違い…今度は水鏡の向こうから割れんばかりの歓声が響いてくる。
…ゲンキンな奴等め。これだから人間は信用ならぬ、…タタラ以外は。
【おぉ~。おめでと、おめでとぉ。タタラ~下駄向こうから持って来てやったぜぇ】
マヌケな音を立てて隣の部屋から戻って来たリィブルーの前足には、タタラの下駄が持たれていた。ベッドに入る際に脱いでわざわざ自分の部屋に置いてきたらしい。
相変わらず律儀な奴め…、脱いでおけばすぐにわかったというのに…。
『…もう少し、このままが良い』
どこか拗ねたように僕の服を握る姿に堪らず天を仰ぐ。面白そうに笑うリィブルーを見て更に臍を曲げたらしく、大変不機嫌そうに僕の胸元に頬を寄せて体に腕を回す。ベッドに潜ったせいで乱れた黒髪を梳かすように撫でてやれば、そんなことで気分を上げたようで可愛らしく笑って僕に髪飾りを手渡す。
櫛がないから悪戦苦闘しつつ花の髪飾りを結び目に、細く尻尾のように垂れた髪の先に鈴を付け直してやれば…あまり上手くもないそれに、タタラは嬉しそうに笑って僕に寄り掛かった。
…天使、というのも強ち…間違いではないのではないか…?
.
自分ではあまり使いたくない言葉だが、それ以外の言葉は生憎思い付かぬ。
それくらい、最悪だ。
『よし。三十分経過だ、お前も行け』
そっとノルエフリンたちの方を盗み見るが、どれもこれも役立ちそうなことは言っていない。むしろこの時点で僕が審眼を使っても咎められないのだから魔王軍は勝った気でいる。
…タタラ。何処に行ったのだ。
みっともなく縋るような言葉を使って、異なる世界に帰ろうとしていたタタラを止めた。きっともう亡くなっていたのに魂だけになってもタタラを待っていた友人や家族。その輪に入った後ろ姿を見て…もう駄目だと諦めた。
それなのに。
お前は…また、僕を選んで帰って来てくれた。
『…タタラの…いる、場所…』
思い付かぬ。
今までは王家に刻まれた絆で結ばれていたということか? 僕は、それがなければタタラを見つけることすら叶わないと言いたいのか。
妙な門の前に向ける足をゆっくりと進めながら僕は必死に今までのタタラとの思い出を探る。
初めて出会った街に、あの子が大好きな王都…行きたいと言っていた南の国? しかし行くなら僕も知っている場所のはず。
ならば、可能性があるのは城だ。僕たちは大半の時間を城で過ごした。厨房に中庭…夢の間は、どうだ? いや…神殿という選択肢もある。
…だけど、あの子が…僕が向かうとわかっていたなら、きっとそれは思い出深い場所。
『…よし』
脳裏に浮かべた場所をしっかりと意識して進む。
『転移後の移動は最小限。一度止まった場所から動くことは許さねぇからな。
…証明しろ。なんの結び付きがなくても、今まで二人で積み重ねたもので引き合うっつーなら…お前は間違いなく、あの子の伴侶に相応しい』
そうだ。
言わなくては、タタラに。随分待たせてしまったんだ…必ず、言わなくては。
そうして僕は門を潜る。その直後に背後から大勢の声援を受けて歩き出す…訪れた闇は、一瞬で消え去り辺りの景色が変わる。
辿り着いた場所に、幾つかの水鏡が現れて僕の姿を映し出す。向こう側からは何名かの声も聞こえてかなり騒がしい。
【おい、此処って…】
【城内? というか…王族の居室?】
そう。
僕が選んだ場所は、自分の部屋。
すぐ後ろにはタタラの部屋に繋がる扉もある。これが一番の悩みどころだ…僕の部屋かタタラの部屋、どちらかにいると思われるが、それがわからなかった。
僕は、自分の部屋を選択して歩き出す。
何故ならタタラが自分の部屋に行ったとして、恐らくその部屋には何もないはずだ。私物が移動されてしまいガランとした部屋を見たあの子は、きっと寂しくなって僕の部屋に行くに違いない。
あれは、本当に甘えたな奴なんだ。…甘やかす僕も悪いのだが。
そしてある場所に目が行き、思わず足を止めた。
【あれっ!! ねぇ、もしかして!】
【ベッドって…。アイツ、隠れ場所が王道すぎねぇか?】
水鏡の向こうでボヤくシュラマを、周りの守護者たちがボコボコにしている。
ベッドにこんもりと築かれた山。丁度人一人くらいだろうか? 少し大きい気がするが、この場所に隠れているに違いない。
安堵に包まれる水鏡の向こう。
僕も安心して布団に手を掛け、ゆっくり捲り上げると…
【ばぁ!! ゲヒ、
ゲヒヒッ…!! 俺様に何か用かぁ??】
ピシリと凍る空気に、思わず掴んでいた布団をすぐに下ろしてしまう。
…は?
夢か、今…ドラゴンのぬいぐるみが…いたような。
しかし夢ではない。ズリズリと僕の布団から這い出て来たドラゴンぬいぐるみ、リィブルーは…パタパタと翼を動かしてタタラの部屋に繋がる扉を開けた。
【ざぁんねん。観念しろよなぁ☆】
そのまま部屋を出たリィブルーに、ハッとして追い掛けようとしたものの…すぐに魔王が言っていた縛りを破ることになると気付き、その場に崩れるように座り込んだ。
…僕は、間違えた…のか?
【おい…これ…、もう終わりなの?】
【嘘…、最悪!!】
誰かの言葉を皮切りに、次々とその言葉が投げ掛けられる。ずっとずっと言われて来た言葉。僕を表す言葉。
一番、醜い言葉。
『…っ、すまない…本当に、すまなか』
ーチリンッ。
【殿下っ!!】
鳴り止まない言葉の嵐の合間に、何処かで聞いたような…鈴の音色。そして周りの雑音を薙ぎ払うように鋭く飛び込んで来た声に、顔を上げる。一つの水鏡が近付いて来て僕と対面すると…そこに映し出されていたのは、やはりノルエフリンだった。
『すまぬ…本当に、僕はどうしたら…』
【違います! 貴方がその場所に立った時、明らかにアーエード・バンクフは心から動揺していました!!
先程のリィブルーの言葉も恐らく、殿下に対するものではありません!】
いつもの様な冷静で穏やかな話し方とは打って変わって、彼は必死だった。それこそ大きく口を開いたために牙も見えているし、本人はそれを見せるのを酷く嫌がっていたはず。
それでも、ノルエフリンは伝えてくれた。
【もう一度!! もう一度、よく見てください! 私もその部屋以外は有り得ないと思えて来ました!
ほら、早く立つ!!】
あまりの気迫に、素直にベッドに掴まって立ち上がると…再び布団を握りしめる。リィブルーがいたから広いベッドは未だ中央が盛り上がっているが…最初の時よりもかなりへこんでいた。それでも僕は、今度は全ての布団を床に落としてそこを見る。
もしも、あの音が…間違っていないのであれば。
『…ぁ、っ…まっ、たく…!!』
そこには、僕のベッドで丸まって眠るタタラがいた。全身から抜ける力をなんとか踏み留めてシーツを握りしめて小さくなった体に手を差し込んで抱き上げる。
『お前は本当にっ…!! 隠れて眠る奴があるか、こんな時に…、本当に…っ、くっ』
いなかったと思った。
また、いなくなるのかと。
『ん…、?』
小さな体を抱きしめて思わず出た涙を浮かべて座り込んでいれば、腕の中で身動ぎするタタラが…ゆっくりと目を開ける。ポヤっとした顔に潤んだ瞳からまだ寝惚けていることがわかる。
一言文句を言わなければ気が済まない、そんな思いで口を開く僕よりも先に…タタラの目から涙が流れた。
『…さむか、…った』
ボタボタと大粒の涙が次々と溢れる。
『来て、くれなかったらどうしようって…いつでも、入って良いよって、言って…っ言ったのにぃ』
…そうか、あの日…約束したこと、覚えていて…。
『ずっと、寒いままだったらどうしようって…、だって凄い寒いまんまでっ! あの時はあんなに、あんなにあったかかったのに…!』
『…そうだな。すぐに来なくて、すまなかった』
結局いつも、僕が謝る方。だけどそれで良い。それだけで泣き止んでくれるなら…また笑顔を見せてくれるなら。何度だって罪を認めて、次はないからと乞い続ける。
僕だって、お前に惚れてしまってどうしようもないんだ。
『まだ寒いか? 大丈夫…、もう二度と一人で寒がることなどない。
待っていてくれて、ありがとう』
『ーっ、! ハルジオン…!!』
胸にピッタリとくっつくタタラに、名前を呼ばれて浮かれた僕もそっと腰に手を回す。先程とは違い…今度は水鏡の向こうから割れんばかりの歓声が響いてくる。
…ゲンキンな奴等め。これだから人間は信用ならぬ、…タタラ以外は。
【おぉ~。おめでと、おめでとぉ。タタラ~下駄向こうから持って来てやったぜぇ】
マヌケな音を立てて隣の部屋から戻って来たリィブルーの前足には、タタラの下駄が持たれていた。ベッドに入る際に脱いでわざわざ自分の部屋に置いてきたらしい。
相変わらず律儀な奴め…、脱いでおけばすぐにわかったというのに…。
『…もう少し、このままが良い』
どこか拗ねたように僕の服を握る姿に堪らず天を仰ぐ。面白そうに笑うリィブルーを見て更に臍を曲げたらしく、大変不機嫌そうに僕の胸元に頬を寄せて体に腕を回す。ベッドに潜ったせいで乱れた黒髪を梳かすように撫でてやれば、そんなことで気分を上げたようで可愛らしく笑って僕に髪飾りを手渡す。
櫛がないから悪戦苦闘しつつ花の髪飾りを結び目に、細く尻尾のように垂れた髪の先に鈴を付け直してやれば…あまり上手くもないそれに、タタラは嬉しそうに笑って僕に寄り掛かった。
…天使、というのも強ち…間違いではないのではないか…?
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